債務整理の全体と選び方 / 手順

債務整理を司法書士に頼むときの流れと頼めない場合の見分け方

この記事のもくじ
  1. 債務整理を司法書士に頼める場合・頼めない場合の見分け方
  2. 任意整理を認定司法書士に頼むときの流れ
  3. 司法書士の費用の枠:日司連の指針が決めていること
  4. 自己破産・個人再生を司法書士に頼むときの流れ
  5. 途中で頼めなくなる場合と、その後の動き
  6. 依頼の前に確かめることと、依頼先の選択肢

債務整理を司法書士に頼めるのは、大きく2つの形です。1つは、認定司法書士が代理人になる任意整理や過払い金の交渉で、範囲は1社(個別の債権)ごとに140万円以下。もう1つは、自己破産・個人再生の申立書を作る書類作成で、この場合の申立人は本人です。1社でも140万円を超える借金がある、地方裁判所で訴えられた、破産や再生を代理人に任せたい、という場合は司法書士には頼めない部分が出るので、弁護士への依頼を考えます。

債務整理を司法書士に頼める場合・頼めない場合の見分け方

自分の状況を、次の表の左の列に当てはめます。どの資格が何を代理できるかの全体の正本は債務整理は弁護士と司法書士どっちかにあり、ここでは司法書士に頼む人が迷いやすい場面に絞っています。

見分け表:この状況は司法書士に頼めるか
自分の状況 司法書士に頼めるか 関わり方 見分けるときに見るもの
借入先ごとの残高がどれも140万円以下で、任意整理をしたい 認定司法書士なら頼める 代理人として交渉 借入先ごとの残高、司法書士検索の「簡裁代理権の有無」
140万円を超える借入先が1社ある その1社は頼めない ほかの会社は代理できる 1社ごとの残高(合計ではない)
自己破産・個人再生をしたい 頼める 申立書の作成と相談(申立人は本人) 代理人を立てたいかどうか
簡易裁判所から訴状や支払督促が届いた 請求額が140万円以下なら認定司法書士に頼める 代理人として対応 書類に書かれた裁判所と請求額
地方裁判所から訴状が届いた 代理は頼めない 答弁書などの作成まで 書類に書かれた裁判所
相談した司法書士に簡裁代理権がない 交渉は頼めない 書類作成なら頼める 司法書士検索の表示

140万円の線は、最高裁の平成28年6月27日の判決により、借金の総額でも、減る分の額でもなく、個別の債権の額で見ます。取引履歴を取り寄せて計算し直した結果、1社の額が140万円の前後になることもあります。残高が線に近い会社があるときは、超えた場合の扱いを依頼の前に聞いておきます。任意整理に限った線の話は任意整理を司法書士に頼むときの1社140万円の線にあります。

任意整理を認定司法書士に頼むときの流れ

日本司法書士会連合会(日司連)の「債務整理事件の処理に関する指針」(2025年)は、司法書士が債務整理を受けるときの決まりを定めています。指針に沿って、依頼から終わりまでの流れを並べます。

  1. 面談:受任する予定の司法書士本人が、依頼者と直接会って話を聞きます(指針4条)。借金・資産・収入・生活の状況を聞き取り、手続きと生活の立て直しの見通しを説明します。テレビ電話やウェブ会議で面談できるのは、依頼者に直接会えない合理的な理由があり、依頼者が希望する場合で、司法書士の側から誘導や強制はできません。依頼を受ける前には、予想される不利益(信用情報への登録、破産の資格制限、不動産などを失う可能性、保証人への一括請求の可能性など)の説明も受けます(指針6条と解説)。
  2. 契約:代理なのか書類作成なのか、業務の範囲をはっきりさせた契約書を作り、依頼者に渡します。報酬と費用、その計算の仕方も書面で示します(指針5条1項・2項)。
  3. 受任通知:司法書士が借入先に、代理人になったことを知らせます。貸金業法21条1項9号は、司法書士への委託の通知の後に、正当な理由なく電話や訪問で本人に返済を求めることを貸金業者の禁止行為に挙げています。
  4. 取引履歴の取り寄せと計算し直し:借入先から取引の記録を取り寄せ、利息制限法の上限で残高を計算し直します。過払い金が見つかれば、その回収も検討します。
  5. 和解案の提示と交渉:毎月いくらなら払えるかをもとに、分割の回数などを交渉します。日司連は、分割の期間はおよそ3年程度の和解が多いと説明しています。
  6. 和解の成立:和解書の中身(月々の額・回数・遅れたときの扱い)の説明を受けます。
  7. 返済の開始:自分で振り込むか、司法書士の支払代行を使うかを選びます。代行を使うかは依頼者が選ぶもので、強制してはならないと指針12条2項が定めています。
  8. 終了の報告と精算:事件が終わったら、司法書士は経過と結果を報告し(指針16条3項)、遅滞なく費用を精算して、預かった書類なども返します(指針17条)。

進んでいる間も、司法書士は定期的に状況を報告するものとされ、指針の解説は1〜2か月に1回程度を目安に挙げています。依頼前の相談の進め方は借金を司法書士に相談する流れで扱っています。

司法書士の費用の枠:日司連の指針が決めていること

司法書士の債務整理には、日司連の指針が、依頼者が払う費用の上限を定めています。法律ではなく司法書士の団体の規律で、弁護士には当てはまりません。上限の額に消費税は含まれず(指針8条3項)、実際の請求は税の分だけ上乗せされます。

早見表:日司連の指針が定める司法書士の報酬の上限(税抜)
報酬の種類 上限 指針の条
任意整理の報酬 債権者1人あたり5万円。着手時の報酬だけでなく、その後の報酬や他の名目の報酬の合計 9条1項・2項
減額報酬 減額され、または免れた元本の10% 10条
過払金返還報酬 回収額の20%(訴訟によらない場合)、25%(訴訟による場合) 11条
支払代行手数料 依頼者1人につき月1,000円。使うかどうかは依頼者が選ぶ 12条
上記以外の名目の報酬 任意整理では請求も受領もできない 13条

指針の解説は、この5万円を「定額」ではなく合計の上限だと説明しています。債権者が請求している額を超える報酬も取れず(9条3項)、解説は、残高3万円の債務を報酬5万円で受任することはできないという例を挙げています。見積書では、どの名目がいくらで、上の表のどの行に当たるかを聞いて仕分けてもらうと、事務所どうしを比べやすくなります。

自己破産・個人再生を司法書士に頼むときの流れ

自己破産と個人再生は、債務者の住所地を管轄する地方裁判所に申し立てます。司法書士の関わりは、司法書士法3条1項4号の「裁判所に提出する書類の作成」と、5号の相談です。代理人ではないので、流れの中で本人が担う部分が任意整理より増えます。

段階 司法書士がすること 本人がすること
準備 必要な書類の案内、債権者一覧表や財産目録の作成 通帳・給料明細・源泉徴収票・住民票などを集める
申立て 申立書と添付書類の作成 申立人として、申立先の地方裁判所に申し立てる
申立ての後 裁判所からの照会に答える書類の作成と相談 裁判所からの連絡や呼出しに対応する

裁判所のQ&Aは、自己破産の申立てに要る書類の例として、住民票の写し、事情説明書、債権者一覧表、財産目録、源泉徴収票や給料明細書などを挙げ、申立先の裁判所に問い合わせるよう案内しています。日司連の指針の解説は、遠くに住む依頼者から受ける場合、破産・民事再生は依頼者の住所地の地方裁判所に申し立てるのが原則のため、支援が十分にできない場合があることを説明するよう求めています。通える距離の事務所かどうかも、ここで効いてきます。

途中で頼めなくなる場合と、その後の動き

依頼した後に、司法書士では続けられない事情が出ることがあります。

  • 計算し直したら、1社の額が140万円を超えた:その会社との交渉は代理できなくなります。その会社だけ弁護士に引き継ぐか、全体を弁護士に頼み直すかを相談します。
  • 任意整理では返しきれないと分かった:指針7条3項は、破産や民事再生が適切なのに安易に任意整理を選んではならないとしています。手続きを変えるなら、司法書士の関わりは書類作成になります。
  • 地方裁判所で訴えられた:司法書士は代理人になれないので、答弁書の作成の支援を受けて本人が対応するか、弁護士に頼みます。

文例:「残高が140万円に近い会社が1社あります。計算し直して140万円を超えた場合、どこまで代理していただけて、残りはどうなりますか。弁護士に引き継ぐときの費用の精算も、契約書に書いていただけますか。」

依頼の前に確かめることと、依頼先の選択肢

  • 日司連の司法書士検索で、氏名・事務所と「簡裁代理権の有無」を確かめた
  • 受任する司法書士本人と面談した(面談の方法と、それを誰が決めたかも)
  • 契約書に「代理」か「書類作成」かが書かれている
  • 報酬と費用が、計算の仕方とともに書面で示された
  • 140万円を超えた場合や、手続きが変わった場合の扱いを聞いた

司法書士の事務所に依頼するなら、選ぶときは、簡裁代理権の有無と自分の借入先ごとの残高を照らし合わせること、通える範囲に事務所があるか、費用の総額と計算の例を書面で示してもらえるかを確かめます。弁護士も含めて比べたいときは債務整理の事務所の選び方と確かめる10項目が使えます。

よくある質問

Q. 司法書士に自己破産を頼むと、裁判所とのやり取りは自分でするのですか?

司法書士が自己破産で受け持つのは、裁判所に出す書類の作成とその相談です。申立人は本人なので、裁判所からの連絡や呼出しには本人が対応します。書類の中身や受け答えの準備は司法書士と相談しながら進められます。代理人に任せたいときは、弁護士に頼みます。

Q. 司法書士の受任通知でも、督促は止まりますか?

貸金業法21条1項9号は、弁護士と並べて司法書士を挙げており、貸金業者は通知の後に正当な理由なく電話や訪問で本人に返済を求めてはならないとされています。債権回収会社についてのサービサー法18条8項は、条文に弁護士だけを挙げています。ただ、貸金業者から譲り受けた債権には貸金業法21条が準用されるので、督促の相手を司法書士に伝えて扱いを確かめます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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