奨学金の返済 / 手順

奨学金の繰り上げ返済|手続きの方法と得になる場合・注意点

この記事のもくじ
  1. 繰り上げ返済の手続きの方法
  2. 繰り上げ返済できない場合と注意点
  3. 繰り上げ返済で得になるのはどのくらいか
  4. 生活資金を残す優先順位
  5. 繰り上げた後の確認

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金の繰り上げ返済は、返還期日の来ていない割賦金を前倒しで返す手続きで、繰上返還と呼ばれます。スカラネット・パーソナルから申込期間内なら土日祝日も手続きでき、リレー口座で返している人が使えます。得の大きさは種類で違い、第一種(無利子)は返す総額が変わらず期間が縮むだけ、第二種(利子つき)は繰り上げた期間の利子がなくなる分だけ総額が減ります。手元の生活資金を削ってまで急ぐ必要はない、というのが優先順位の結論です。

繰り上げ返済の手続きの方法

方法は2つあります。

1. スカラネット・パーソナルで申し込む

申込期間内なら、土日祝日も含めて8時から翌日1時まで手続きでき、Web上で完了します。リレー口座に加入していないと使えません。手順は次のとおりです。

  1. スカラネット・パーソナルにログインする(登録とログインは奨学金の返済をスカラネットで確認する方法)
  2. 繰上返還の申込みの画面を開く
  3. 全額か一部かを選ぶ。一部なら、上限の金額か希望の回数を入力する
  4. 内容を確認して申し込む
  5. 希望月の中旬ごろに届く「繰上返還通知」で額を確かめ、希望月の振替日までに登録口座へ繰り上げる額を入れておく

申込みの受付開始日は、当月だけ繰り上げるか、前月から続けて繰り上げるかで変わるため、JASSOの繰上返還申込スケジュールで確かめます。中旬を過ぎても通知が届かないときは、奨学金相談センターに問い合わせます。

2. 郵送で申し込む

郵送は、スカラネット・パーソナルが使えない場合の方法です。申込書を郵送します。送る期間は、繰り上げたい月の4か月前の振替日の翌日から、1か月前の振替日までです。振替日は原則毎月27日なので、たとえば12月に繰り上げたいなら、8月28日ごろから11月27日ごろまでの間に届くよう送ります。細かい日付は振替日カレンダーで確かめてください。

お金の払い方によって、手数料が変わります。口座振替なら手数料はかかりません。払込取扱票で払う場合は払込手数料がかかり、30万円を超える額はコンビニで払えずゆうちょ銀行になります。

繰り上げ返済できない場合と注意点

次の場合は、繰り上げ返済ができない、または待つように案内されています。

  • 返還期限猶予中、減額返還中(制度を使っている間は繰上返還ができない)
  • 「特に優れた業績による返還免除」を申請していて、結果が出る前(結果を待つ)
  • 貸与が終わる前(繰上返還の対象は、貸与が終わって返還が必要になった奨学金です。貸与終了の翌月から初回の返還期日の前までの据置期間中は、第二種だと、繰上返還をする月の振替日までに元金に発生した利子がかかります)

繰り上げても、翌月からの返済額は通常どおりです。繰り上げの効果は「早く終わる」という形で出ます。また毎月繰り上げるなら、毎月申込みが必要です。

繰り上げ返済で得になるのはどのくらいか

得の大きさは、第一種か第二種かでまったく違います。以下は筆者の計算で、公式の試算ではありません。

第一種(無利子)の場合

利子がないので、返す総額は繰り上げても変わりません。変わるのは期間です。たとえば総額144万円・月額9,230円・156回の人が50万円を繰り上げると、50万円÷9,230円で約54回分が先に済み、残りは約102回になります。終わりが約4年半早まる計算です。お金は減りませんが、毎月の負担が続く期間が短くなります。

第二種(利子つき)の場合

利子は残っている元金にかかるので、繰り上げた分の元金には、その後の利子がかからなくなります。1年あたりに減る利子の目安は、繰り上げた額×年利です(元金が減っていく分は含めない、おおまかな計算)。

比較:50万円を繰り上げたときに1年あたり減る利子(筆者の計算)
借入の種類・年利 1年あたりに減る利子の目安
第一種(無利子) 0円
第二種 年0.5% 2,500円
第二種 年1% 5,000円
第二種 年2% 10,000円
第二種 年3%(基本月額の上限) 15,000円
年18%のカードローン(比較用) 90,000円

第二種の利率は、貸与が終わった月ごとに決まります。JASSOの貸与利率の推移ページでは、令和8年度の4〜9月分(2026年10月時点で公表されている分)の基本月額が、固定方式で2.722〜3.000%、見直し方式で1.874〜2.400%でした。基本月額の利率の上限は年3.0%です。私立の医・歯・薬・獣医学課程などで借りた増額部分は、原則として基本月額の利率に0.2%を上乗せして決まるため、上の表より高くなることがあります。自分の利率は、貸与が終わった年月から、推移ページで確かめられます。

この表から分かるのは、奨学金の繰り上げの効果は、カードローンなど金利の高い借金の繰り上げよりずっと小さいことです。50万円の余裕があるなら、まず年18%の借金に回すほうが、減る利子は6倍になります(上の表の90,000円と15,000円の比較)。借金全般の繰り上げの考え方は、借金の繰り上げ返済は得?利息が減る仕組みと返すタイミングで整理しています。

生活資金を残す優先順位

繰り上げるかどうかは、次の順で考えると失敗が少なくなります。

  1. 生活費の数か月分と、急な出費に備える貯金を先に確保する
  2. カードローン・リボ払いなど金利の高い借金があるなら、そちらの返済を先にする
  3. 第二種で利率が高い人は、余裕の範囲で繰り上げる
  4. 第一種は、期間を縮めたいときだけ繰り上げる

理由は、繰り上げた分のお金は戻ってこないからです。そのあと収入が減って返せなくなったときも、救済制度は延滞する前に使うものです。繰り上げで貯金を使い切ると、猶予や減額返還が承認されるまでの間の生活費に困ります。余裕のある範囲で、続けられる額で行ってください。

もうひとつ、返還期限猶予中や減額返還中は繰上返還ができない点も、覚えておくと役に立ちます。収入が不安定な時期は、猶予や減額返還の条件を先に読んでおくと選択肢が広がります。奨学金が返せないとき|減額返還・返還期限猶予の条件と申請の時期に条件をそろえました。

繰り上げた後の確認

申込みが済んだら、次の点を確かめます。

全体の流れは奨学金の返済ガイドで見渡せます。

よくある質問

Q. 繰り上げ返済をすると、翌月からの月額は下がりますか?

下がりません。繰り上げた分だけ返す期間が短くなり、翌月からの返済額は通常どおりです。毎月繰り上げたいときは、そのたびに申込みが必要です。

Q. 繰り上げ返済は、いつからできますか?

繰上返還の対象は、貸与が終わって返還が必要になった奨学金です。貸与が終わった月の翌月1日から初回の返還期日の前月27日までの据置期間中も、申し込めます。たとえば3月に貸与が終わる人の据置期間は4月1日から9月27日で、初回の返還は10月27日です。申込みの受付開始日はJASSOの繰上返還申込スケジュールで確かめます。返還期限猶予中や減額返還中は、繰上返還ができません。

Q. 一部だけ繰り上げることはできますか?

できます。全額を返す方法と、一部だけを返す方法があり、一部の場合は上限の金額か、繰り上げたい回数を選びます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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