奨学金の返済ガイド|月いくら・いつまで・返せないときの制度
この記事のもくじ
日本学生支援機構(JASSO)の貸与奨学金は、貸与が終わった月の翌月から数えて7か月目に返済が始まり、原則として毎月27日に登録した口座から引き落とされます。毎月の額と返す年数は借りた総額で決まり、定額返還方式なら最長で20年です。返せない事情が出たときは、延滞する前に減額返還か返還期限猶予を願い出るのが基本の動き方です。この記事では、返済の始まりから終わりまでと、困ったときの制度を一枚の地図にして、詳しい記事へ渡していきます。
返済はいつ始まり、どうやって返すのか
返還が始まるのは、貸与が終わった月の翌月から数えて7か月目です。3月に卒業して貸与が終わる人は、同じ年の10月が最初の返済月になります。3月以外に貸与が終わる場合(途中で辞退した、廃止になったなど)も、終わった月の翌月から数えて7か月目が始まりです。在学猶予や返還期限猶予が承認されている人は、その分だけ開始がずれます。
返し方は口座振替が基本で、返還専用の口座(リレー口座)を登録します。3月に貸与が終わる人の流れは次のとおりです。
- 在学中の10月ごろ、学校の返還説明会で「貸与奨学金返還確認票」と返還の案内を受け取る
- リレー口座の加入手続きをする(スカラネット・パーソナルか、窓口用の申込書)
- 8月にJASSOから加入通知が届き、初回の返還日と金額が分かる
- 10月から口座振替で返還が始まる
振替日は原則として毎月27日で、27日が金融機関の休業日なら翌営業日です。年度ごとに日付が決まっていて、令和8年度は10月27日、11月27日、12月28日、2027年1月27日の順になります。振替日の前営業日までに口座へ入金しておけば足ります。個別の日付は振替日カレンダーで毎年確かめてください。
毎月の額と返す年数はどう決まるのか
返還方式は2つあります。多くの人が使う定額返還方式は、貸与総額から返す年数と月額が自動的に決まります。もう一つの所得連動返還方式は、平成29年(2017年)4月以降に第一種奨学金で採用された人が選べる方式で、前年の所得に応じて月額が毎年変わります。第二種奨学金は所得連動返還方式の対象外です。
| 項目 | 定額返還方式 | 所得連動返還方式 |
|---|---|---|
| 対象 | 第一種・第二種 | 平成29年4月以降採用の第一種 |
| 月額の決まり方 | 貸与総額で決まり、期間中ほぼ一定 | 前年の課税対象所得と子どもの数で毎年見直し |
| 最低額 | 総額による | 前年の所得が0円でも月2,000円 |
| 変更 | 返還中に所得連動へ変更できる(願出と審査) | 貸与終了後は定額へ戻せない |
定額返還方式の年数は、貸与総額を総額の区分ごとの基礎額で割り、小数点以下を切り捨てて決まります。たとえば総額144万円なら13年(156回)で、上限は20年(240回)です。計算の手順と区分ごとの基礎額、具体的な月額と回数は借りた総額別の返済額と期間の早見表に表でまとめました。
第二種奨学金は在学中は利子がつかず、返還が始まってから利子がつきます。基本月額の利率は、固定方式と見直し方式(おおむね5年ごとに見直し)のどちらを選んでも年3.0%が上限です(私立の医・歯・薬・獣医学課程などの増額部分は別の算定です)。第一種は無利子なので、毎月返す額の合計は借りた額と同じになります。
| 見るところ | 定額返還方式 | 所得連動返還方式 |
|---|---|---|
| 返す年数 | 貸与総額÷基礎額(最長20年) | 所得しだいで変わる |
| 月額の変わり方 | 変わらない(救済制度を使うときを除く) | 毎年10月分から見直し |
| 減額返還制度 | 使える | 使えない |
自分の返済状況を確かめる・早く終わらせる・会社に支援してもらう
自分の残りの回数や残額は、JASSOの「スカラネット・パーソナル」で見られます。返還中の人は、返還総額(元金)、返還残回数、返還残額(元金)、現在請求額、次回の振替日と前回の振替結果が画面に出ます。登録とログインの手順は奨学金の返済をスカラネットで確認する方法に、終わる時期の計算は奨学金の返済がいつまで続くかの確かめ方に書きました。
余裕があるときは、返還期日の来ていない分を繰り上げて返せます。繰り上げた分だけ返す期間が短くなり、翌月からの月額は変わりません。第二種は繰り上げた期間の利子がかからなくなりますが、第一種は無利子なので総額は変わらず、期間が縮むだけです。手順と得になる場面は奨学金の繰り上げ返済の手続きと注意点で整理しています。
もう一つ、勤め先が返還を支援する場合があります。企業が従業員の返還残額の一部または全額を、従業員に代わってJASSOへ直接送金する「代理返還」の制度です。仕組みと調べ方は企業による奨学金の代理返還制度にまとめました。
返済が始まってからは、住所・氏名・勤務先が変わったときの届出もスカラネット・パーソナルでできます。連絡先が古いままだと、振替不能の通知や猶予の終了の通知が届かず、気づいたときには延滞が進んでいることがあります。引っ越しや転職のたびに、届出まで済ませておくと安心です。
保証の種類にも触れておきます。奨学金には、連帯保証人と保証人を立てる人的保証と、保証料を毎月の貸与額から差し引く機関保証があります。どちらの場合も、返還の義務を負うのは借りた本人です。自分がどちらかは、スカラネット・パーソナルの保証情報に「人的保証」か「機関保証」で表示されます。
返せないときに使える制度
返済が苦しくなったとき、JASSOには3つの救済制度があります。どれも「延滞状態になる前」に使うことがJASSOから案内されています。
| 制度 | 内容 | 主な条件・限度 | 詳しい記事 |
|---|---|---|---|
| 減額返還 | 月額を3分の2・2分の1・3分の1・4分の1にして期間を延ばす | 延滞していない。1回12か月、通算15年まで | 減額返還の申請 |
| 返還期限猶予 | 承認された期間は返還が不要になり、終了時期が先に延びる | 一般猶予は通算10年(120か月)まで。傷病・生活保護などは年数の制限なし | 返済猶予の申請 |
| 返還免除 | 返還未済額の全部または一部が免除される | 本人の死亡、精神・身体の障害で返還できなくなった場合など | 返済免除の条件 |
注意したいのは、どの制度も返す総額そのものは減らない点です。減額返還は期間が延びるだけで、猶予も終わりの時期が先にずれるだけです。また、減額返還は延滞している間は使えませんが、返還期限猶予は延滞中でも申請できます。承認されるかどうかはJASSOの審査で決まります。収入の目安や必要書類は、奨学金が返せないときの減額返還・返還期限猶予の条件と申請の時期にそろえてあります。
病気で働けない場合は、傷病を理由にした猶予があります。診断書などの書類が要るので、うつ病で奨学金が返せないときの猶予と免除も見てください。
延滞するとどうなるのか
救済制度を使わずに返済が止まると、次の順に進みます。
- 口座振替ができなかった月の翌月、翌月分とまとめて2か月分が振り替えられる。1回目は延滞金がかからない
- 本人と連帯保証人・保証人に、文書と電話で督促が来る。委託先の債権回収会社から連絡が来ることもある
- 延滞金がかかる(平成17年4月以降採用の第一種・第二種は年3%)
- 延滞が3か月以上になると、個人信用情報機関に登録される(同意書を出した人が対象)
- 長期の延滞が続くと、予告のうえで一括請求や支払督促など法的措置に進む
令和6年度末のデータでは、延滞者は返還者の約6%です。人数の内訳は奨学金を滞納したときの督促・延滞金・裁判までの流れに載せています。延滞後の流れの細かい説明は奨学金を滞納したときの督促・延滞金・裁判までの流れ、保証人への影響は奨学金が返せないと保証人に請求が行くのか、自己破産を考えるときの保証人への影響は奨学金が返せないと自己破産?保証人に起きることと先に使える制度、督促の電話への対応は奨学金の督促の電話への対応と相談の進め方に書いています。
状況別に、次に読む記事と進め方
| いまの状況 | 次に読む記事 |
|---|---|
| 毎月の額と回数を知りたい | 奨学金の返済は月いくら?借りた総額別の返済額と期間の早見表 |
| 払い終わる時期を知りたい | 奨学金の返済はいつからいつまで?始まる時期・終わる時期と残りの確かめ方 |
| 無職や低収入で払えない | 奨学金の返済猶予の申請方法|返還期限猶予の条件・年収の目安 |
| 払えるが月額を下げたい | 奨学金の減額返還の申請|月の返済額を下げる条件と手順 |
| 病気で働けない | うつ病で奨学金が返せないとき|傷病による猶予と免除の申請 |
| すでに滞納している | 奨学金の返済を滞納したら?督促・延滞金・裁判までの流れ |
| 教員・公務員なら免除があるか知りたい | 教員や公務員なら奨学金の返済は免除される?今の制度の確かめ方 |
| 生活保護を受けている | 生活保護を受けたら奨学金の返済はどうなる?猶予の申請 |
| 自己破産を考えている・保証人が心配 | 奨学金が返せないと自己破産?保証人に起きることと先に使える制度 |
| 親に任せていた分が延滞していた | 親が奨学金を返せない状態にしていたら|使い込みや未払いへの対応 |
迷ったときの進め方
最初にやることは、現状の数字を確かめることです。次の順に進めると、自分に必要な制度が見えてきます。
- スカラネット・パーソナルで残回数、残額、現在請求額を見る
- 現在請求額に延滞分が含まれていないかを確かめる
- 返せなくなりそうなら、延滞する前に猶予か減額返還の条件を読む
- すでに延滞しているなら、猶予は申請できるので、できるだけ早く動く
- 奨学金以外にも返済が苦しい借金があるなら、借金の公的な相談窓口と受付時間で相談先を選ぶ
迷うときは、JASSOの奨学金相談センターに聞くのが近道です。番号と受付時間は奨学金が返せないとき|減額返還・返還期限猶予の条件と申請の時期にあります。奨学金以外の借金も重なっていて家計全体を立て直したい場合は、赤字家計の立て直し方から入ってください。
よくある質問
Q. 奨学金の返済は、卒業してすぐに始まりますか?
始まりません。返還は貸与が終わった月の翌月から数えて7か月目に始まります。3月に貸与が終わる人なら、卒業後に半年あけた10月からです。在学猶予や返還期限猶予を受けている人は、開始の時期がずれます。
Q. 奨学金の返済額は、あとから変えられますか?
変えられる仕組みがあります。返済が苦しいときは月額を減らして期間を延ばす減額返還、返還そのものを待ってもらう返還期限猶予があります。余裕ができたときは、繰上返還で早く終わらせることもできます。どれも延滞する前に動くほうが選べる範囲が広くなります。
Q. 奨学金は、保証人がいると返せないとき迷惑がかかりますか?
人的保証の場合、延滞が続くと連帯保証人や保証人にも請求が行く仕組みです。機関保証の場合も、延滞が長引けば保証機関への代位弁済を経て本人に請求が戻ります。迷惑をかけないためにも、延滞に入る前に救済制度を使うのが基本です。
出典・参考にした公的な情報
- 返還の流れ(日本学生支援機構)(日本学生支援機構)
- 返還方式(定額返還方式・所得連動返還方式)(日本学生支援機構)(日本学生支援機構)
- 返還期間(回数)の決まり方(日本学生支援機構)(日本学生支援機構)
- 振替日カレンダー(日本学生支援機構)(日本学生支援機構)
- 繰上返還(日本学生支援機構)(日本学生支援機構)
- 返還が難しくなったとき(日本学生支援機構)(日本学生支援機構)
- 延滞した場合(督促・延滞金・個人信用情報機関)(日本学生支援機構)(日本学生支援機構)
- 奨学金事業に関するデータ集(令和6年度末・2026年1月更新)(日本学生支援機構)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。