うつ病で奨学金が返せないとき|傷病による猶予と免除の申請
この記事のもくじ
つらくて眠れない、消えたいと思うほど沈んでいるときは、先に借金で死にたいと思ったとき|24時間つながる相談先と最初の一歩の窓口に連絡してください。そのうえで、うつ病などで働けず奨学金が返せないときは、日本学生支援機構(JASSO)の返還期限猶予のうち「傷病」の事由で申請します。医師の診断書が要り、1回の承認は最長12か月で、年数の制限はありません。休職中などで収入がある人は、年間収入200万円以下が目安です。病気が長引いて症状が固定し、労働能力が高度に制限されたときは、返還免除という別の制度が視野に入ります。条件や書類は、2026年10月時点の JASSO の案内にもとづきます。
うつ病で働けないとき、最初に使うのは傷病の猶予
奨学金は、病気で働けなくなったからといって自然に止まる借金ではありません。口座振替は予定どおり続き、残高が足りなければ延滞になります。ここで使えるのが、返す義務を一定期間止める返還期限猶予です。承認された期間は返還が不要になり、返し終わる時期もその分だけ延びます。第二種奨学金でも、猶予の期間中は新たな利子が付きません。
傷病の事由には、次の特徴があります。
- 「傷病により就労が困難である方」が対象です。うつ病などの精神疾患にだけ別の規定はなく、同じ条件と書類で審査されます。
- 1回の承認は最長12か月です。事由が続くあいだは、あらためて願い出ます。
- 経済困難の事由は通算10年が限度ですが、傷病には年数の制限がありません。
- 傷病の願出は、Webではなく郵送です。
猶予の制度全体は奨学金の返済猶予の申請方法|返還期限猶予の条件・年収の目安にまとめています。ここでは、病気の場合に絞って説明します。
傷病の猶予の条件:働いているかどうかで分かれる
審査の入口は、猶予を受けたい期間に就労しているかどうかです。
| いまの状況 | 収入の目安 | 申請の事由 |
|---|---|---|
| 働いていない(無職・退職後) | 経済困難の証明書を添える | 傷病 |
| 休職中・短時間などで就労している | 給与所得者は年間収入200万円以下(賞与ありで月平均13万円程度、なしで16万円程度が目安)。給与以外を含めば所得130万円以下 | 傷病 |
| 上の基準を超える収入がある | 傷病では申請できない。経済困難の基準(給与収入300万円以下、給与以外を含めば所得200万円以下)を満たせば、そちらで申請できる場合がある | 経済困難 |
給与所得者は「給与収入金額(給与支払金額)」で判定され、給与所得ではありません。収入が基準を超えるときは、休職証明書、直近3か月分の給与明細、失業の証明書のいずれかを添えます。
診断書の取り方と申請の手順
傷病の猶予で、いちばん時間がかかるのが診断書です。
- 主治医に診断書を依頼します。 発行から2か月以内のものが必要です。診断書には、「加療開始期」または「発症時期」と、「現在も就労が困難であること」の記載が要ります。この2点の記載が必要とされています。
- 猶予の願出書類を用意します。 「奨学金返還期限猶予願&チェックシート」で事由に「傷病」を選びます。経済困難の証明書(所得証明書など)も添えます。
- 基準を超える収入があるときは追加の書類を出します。 休職証明書、給与明細3か月分、失業の証明書のいずれかです。
- 専用郵便番号の猶予減額受付窓口に郵送します。 延滞していない人は、猶予を始めたい月の3か月前から前々月末までに出します。4か月以上前は返送されます。
- 結果を待ちます。 審査中も口座振替の請求や督促は止まらないので、結果が出るまでの月は通常どおり振替される前提で口座に入金しておきます。承認されると、連帯保証人には郵送で通知されます。
文例(診断書の依頼):「奨学金の返還期限猶予の申請に使う診断書をお願いします。必要な記載は、加療を始めた時期(または発症時期)と、現在も就労が困難であることです。発行から2か月以内のものが必要なので、申請の時期に合わせて書いていただけますか。」
文例(奨学金相談センターへ):「うつ病で休職しており、収入が減って返還が難しくなっています。傷病の事由での猶予を申請したいので、必要な書類と、いまの収入で傷病か経済困難のどちらになるか教えてください。」
手続きがつらいときにできること
診断書を取り、書類をそろえて郵送する手順は、体調が悪い時期には重い作業です。負担を減らす方法があります。
- 代筆を頼みます。 本人が書けない場合は、連帯保証人、保証人、2親等以内の成人の親族などが代筆できます。
- 先に電話で相談します。 奨学金相談センターに、働けない状況と収入を伝えて、どの事由が合うかを聞けます。受付時間と番号は奨学金が返せないとき|減額返還・返還期限猶予の条件と申請時期にあります。
- 延滞していても申請します。 延滞中でも猶予は申請できます。延滞の開始から全期間の証明書を出せないときの「延滞据置猶予」は基準が通常より厳しく、内容は奨学金の返済猶予の申請方法にあります。
- 回復の時期が読めないなら、1年ごとに見直します。 1回の承認は最長12か月で、事由が続くあいだは願い出直せます。
督促の電話が負担なときの対応は奨学金が返せないときの電話の連絡|督促への対応と相談の進め方に書きました。
回復が見込めないとき:障害による返還免除
病気が長引き、症状が固定して、労働能力を失った、もしくは高度に制限されている場合は、返還未済額の全部または一部の免除を願い出られます。
- 症状が固定している(または回復の見込みがない)ことが条件です。
- 貸与中・在学中は願い出られません。
- 本人と連帯保証人が連署します。機関保証の場合は本人のみです。
- JASSO 所定の診断書(病院で封入・密封、開封してはいけません)と、返還できなくなった事情を証明する書類(コピー不可、原本)が要ります。
- 提出先は JASSO 返還総務課の返還免除係です。
「うつ病で長く働けないから免除される」とは言えず、治療中で回復の見込みがある間は、まず傷病の猶予で対応する形になります。免除の全体は奨学金の返済免除の条件|対象は死亡・障害・業績のみ、年収では不可で整理しています。
心の相談と、借金全体の整理
奨学金の猶予が決まっても、ほかの借金があれば、返済の負担は残ります。病気で収入が落ちたときに使える給付と、借入先への相談の仕方は病気で借金が返せないとき|使える給付と返済の相談の仕方にあります。債務整理が視野に入ったときは、体調に合わせた進め方をうつ病で借金が返せないときの債務整理|体調に合わせた進め方で確かめられます。
心の不調そのものの相談は、お住まいの地域の保健所や精神保健福祉センターで受けられます。精神保健福祉センターは精神保健福祉全般を扱う窓口です。夜間や休日に話したいときは、厚生労働省の「まもろうよ こころ」に、電話やチャットの窓口が一覧になっています。お金の問題と体調の問題は、一度に解決しようとせず、診断書と猶予の申請という「いま出せる一枚」から手を付けてください。
よくある質問
Q. うつ病と診断されていれば、奨学金の猶予は認められますか?
診断名だけで決まるわけではありません。JASSO の案内では「傷病により就労が困難である方」が対象で、診断書に現在も就労が困難であることの記載が必要です。精神疾患だけに別の条件はなく、ほかの傷病と同じ基準と書類で審査されます。承認されるかは JASSO の審査で決まります。
Q. 自分で書類を書くのがつらいときは、家族に頼めますか?
本人が書けない場合は、連帯保証人、保証人、2親等以内の成人の親族などが代筆できると案内されています。診断書そのものは医師が書くものなので、受診の予定に合わせて、依頼の時期を早めに決めておきます。
Q. 精神障害者保健福祉手帳がないと、返還免除は申請できませんか?
免除の案内に、手帳の有無は条件として書かれていません。免除は、障害で労働能力を失った、または高度に制限されていて、症状が固定している場合の制度で、JASSO 所定の診断書で審査されます。手帳の扱いは、申請の前に奨学金相談センターで聞くと確かです。
出典・参考にした公的な情報
- 一般猶予 傷病(診断書・収入の基準)(日本学生支援機構)
- 返還期限猶予(種類・申請方法・時期)(日本学生支援機構)
- 一般猶予の事由と年数制限(日本学生支援機構)
- 延滞している場合の返還期限猶予(延滞据置猶予)(日本学生支援機構)
- 死亡・精神または身体の障害による返還免除(日本学生支援機構)
- 奨学金相談センター・お問い合わせ(日本学生支援機構)
- こころの相談(まもろうよ こころ)(厚生労働省)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。