借金の基本・返せないとき / 悩み整理

病気で借金が返せないとき|使える給付と返済の相談の仕方

この記事のもくじ
  1. 病気で借金が返せないときに最初に確かめる3つのこと
  2. 収入を補う公的な給付:傷病手当金と障害年金
  3. 医療費と毎月の支払いを減らす制度
  4. 借入先へ返済を相談する話し方(文例つき)
  5. 保険で返済が免除・猶予される場合を確かめる
  6. 給付と相談でも返せないとき:債務整理と相談先

病気やけがで働けず借金が返せないときは、①収入を補う公的な給付を申請して「これから入るお金」を確かめる、②返済日の前に借入先へ連絡して返済額や時期を相談する、③ローンや保険に、病気のときに返済が免除・猶予される保障が付いていないか確かめる、の順で動きます。給付は自分で申請しないと始まらず、決まるまで時間がかかるものもあるため、体調が許す範囲で早めに手を付けます。それでも返済の見通しが立たないときは、債務整理という手続きも選択肢に入ります。

病気で借金が返せないときに最初に確かめる3つのこと

借金の相談をする前に、まず家計の「入る・出る・返す」を書き出します。病気のときは考える力も落ちやすいので、全部を一度に決めようとせず、表を埋めることから始めます。

確かめること どこで分かるか 分かること
給与がいつまで出るか 就業規則、勤務先の人事・総務、有給休暇の残り日数 収入が途切れる時期
使える給付と申請先 加入している健康保険(保険証に保険者の名前がある)、年金事務所、市区町村 収入を補える額と時期
医療費の見込み 病院の医事課・相談窓口、高額療養費の上限 毎月出ていくお金
借金の一覧 借入先の会員ページ、利用明細、契約書 毎月の返済額・返済日・残高

借金は、借入先・残高・毎月の返済額・返済日・金利を1枚にまとめます。書き方は借金の返済計画の立て方と借入一覧の作り方で詳しく扱っています。

この3つがそろうと、「給付が入れば毎月いくら返せるか」「給付が決まるまでの数か月をどう乗り切るか」が見えてきます。借入先に相談するときも、この数字があると話が具体的になります。

収入を補う公的な給付:傷病手当金と障害年金

会社員・公務員などが仕事以外の病気やけがで休むときは、まず傷病手当金を確かめます。 健康保険法第99条により、療養のため働けない日が続いたとき、働けなくなった日から3日を経過した日(4日目)から支給され、支給期間は支給を始めた日から通算1年6か月です。1日あたりの額は、支給開始日以前の継続した12か月の標準報酬月額の平均を30で割った額の3分の2です。

協会けんぽの計算例では、標準報酬月額の平均が17万円の人は、1日あたり3,780円になります(30分の1が5,670円、その3分の2)。30日分なら11万3,400円です(筆者の計算)。給与が一部でも出ている日は、給与が傷病手当金より少ないときに差額が支給されます。健康保険組合や共済組合には独自の上乗せがあることもあるので、加入している保険者に確かめます。

退職する場合も、退職日の前日まで継続して1年以上被保険者で、退職時に傷病手当金を受けている(受けられる状態の)人は、退職後も続けて受けられます(同法第104条)。ただし、いったん働ける状態になると、その後また働けなくなっても退職後の分は支給されません。自営業やフリーランスで国民健康保険に入っている人は、傷病手当金の扱いを市区町村の国保の窓口に確かめます。

病気が長引くときは、障害年金も視野に入れます。 国民年金法第30条は、初診日(その病気で初めて医師の診療を受けた日)から1年6か月を経過した日(それより前に治った、または症状が固定した場合はその日)を「障害認定日」とし、その日に障害等級に当たる状態であれば障害基礎年金を支給すると定めています。

納付の要件は、初診日の前日の時点で、初診日のある月の前々月までの加入期間の3分の2以上について保険料を納付または免除されていることです(20歳前に初診日がある場合は納付要件がありません)。これには期限のある特例があり、初診日が令和18年(2036年)4月1日より前で、初診日に65歳未満なら、前々月までの1年間に未納がなければ足ります(昭和60年法律第34号附則20条。日本年金機構も同じ内容を案内しています)。期限や適用の可否は初診日によって決まるので、年金事務所で自分の場合を確かめてください。会社員として厚生年金に入っていた期間に初診日があれば、障害厚生年金の対象になります。

早見表:病気で働けないときに確かめる給付と制度
制度 主な対象 申請・相談先 家計への効き方
傷病手当金 会社員など健康保険の被保険者 加入している健康保険の保険者 休業中の収入の一部を補う
障害年金 障害等級に当たる状態が続く人 年金事務所、市区町村の国民年金窓口 長期の収入を補う
高額療養費 医療費の窓口負担が上限を超えた人 加入している健康保険の保険者 医療費の支出を抑える
国民年金保険料の免除・納付猶予 国民年金の第1号被保険者 市区町村、年金事務所 毎月の保険料の支出を減らす
国税の納税の猶予 本人や家族の病気で税を一時に納められない人 所轄の税務署 税の支払いを分割・後ろ倒しにする
自立相談支援・家計改善支援 生活に困っている人 市区町村の自立相談支援機関 家計の見直しと制度へのつなぎ

医療費と毎月の支払いを減らす制度

収入を補うのと同時に、出ていくお金を減らします。

  1. 高額療養費:医療機関や薬局の窓口で払った額が、年齢と所得で決まる月の上限を超えると、超えた分が支給されます。マイナ保険証を使うか、事前に限度額適用認定証を受け取っておけば、窓口での支払いを上限までに抑えられます。入院が決まったら、加入している健康保険に手続きを確かめます。
  2. 国民年金保険料の免除・納付猶予:自営業・無職などで国民年金の保険料を払う人は、所得に応じて全額・4分の3・半額・4分の1の免除か、納付猶予を申請できます。未納のままにすると、障害年金の要件に響くおそれがあります。病気になった後でさかのぼって免除を申請しても、その病気の障害年金の納付要件には算入されないため、払えない月が出た時点で申請します。詳しくは国民年金が払えないときの免除と納付猶予へ。
  3. 税の納税の猶予:国税通則法第46条は、本人または生計を一にする親族の病気・負傷のために税を一時に納められないとき、申請により1年以内の猶予と分割の納付を認めています。住民税などは市区町村の税務課に相談します。流れは税金を滞納しそうなときの納税の猶予で扱っています。
  4. 生活の立て直しの相談:市区町村の自立相談支援機関では、家計の見直しや、使える制度へのつなぎを相談できます。家賃が払えないときの住居確保給付金は離職や収入の減少が条件です。生活費が足りないときの公的な相談先にまとめています。

借入先へ返済を相談する話し方(文例つき)

給付の見込みが立ったら、返済日より前に借入先へ連絡します。遅れてから連絡するより、遅れる前に事情を伝えた方が、話し合いの余地を残しやすくなります。なお、民法第419条は、支払いが遅れたときの損害賠償(遅延損害金)について、不可抗力を理由に免れることはできないと定めています。病気でも遅れた日数分の遅延損害金は付くので、黙って遅れるのは避けます。

連絡の前に、次の4つをメモにまとめます。

  • 病気・けがの状況と、働けない期間の見込み(診断書がある場合はその内容)
  • 申請した給付と、入る時期・額の見込み
  • 毎月いくらなら返せるか(家計の表から出した額)
  • 希望すること(返済額を一時的に下げたい、返済日を延ばしたい、など)

文例:「○○(会員番号)の○○です。○月から病気で入院・休職しており、今月○日の返済が予定どおりにできない見込みです。傷病手当金を申請中で、○月ごろから月○万円ほどの収入になります。それまでの間、月○千円の返済にできないか相談させてください。」

話し合いで決まった条件は、日付・担当者名・内容をメモに残し、書面やメールで送ってもらえるか尋ねます。応じるかどうか、どんな条件になるかは借入先の判断です。払えない額を約束すると次の月にまた遅れるので、家計の表で出した額より多くは約束しないことが大切です。業者ごとの伝え方は借金の返済ができないときの業者への連絡の仕方にも文例を載せています。

保険で返済が免除・猶予される場合を確かめる

借金の契約や、自分で入っている保険に、病気のときの保障が付いていることがあります。次の書類を見直します。

  • 住宅ローン:団体信用生命保険の内容(死亡・高度障害のほか、病気の特約が付いているか)。ローン契約書と保険の加入証、金融機関の窓口で確かめます。住宅ローンの扱いは病気や入院で住宅ローンが払えないときで別に扱っています。
  • カードローン・その他のローン:契約書や会員規約に、保険・保障の定めがあるか。
  • 自分の生命保険・医療保険:入院給付金、手術給付金、働けないときの給付(就業不能の保障)があるか。保険証券と保険会社の窓口で確かめます。

給付金が入れば、それを返済や生活費に充てられます。請求には期限があることが多いので、診断書を取る前に、保険会社に必要な書類を確かめておくと二度手間を防げます。

給付と相談でも返せないとき:債務整理と相談先

給付を使い、借入先とも話したうえで、それでも数年で返し終える見通しが立たないときは、債務整理を検討します。債務整理には、借入先と将来の返済方法を話し合う任意整理、裁判所の手続きで返済額を減らして分割する個人再生、返せない状態を裁判所に認めてもらう自己破産などがあります。違いは債務整理の種類の比較で一覧にしています。

うつ病などで手続きの負担が心配な場合は、うつ病で借金が返せないときの債務整理の進め方を先に読むと、体調に合わせた進め方の考え方が分かります。費用を払う余裕がない人は、収入・資産が一定以下などの条件を満たすと、法テラス(日本司法支援センター)の無料相談や費用の立替えを使えます。公的な窓口の一覧は借金の公的な相談窓口と受付時間にまとめています。

依頼先を選ぶときは、登録番号、面談の方法と日程(体調に合わせて調整できるか)、費用の総額を書面で示してもらえるか、を確かめます。司法書士が代理できるのは1社あたり140万円以下などの範囲に限られるので、その線は債務整理を弁護士と司法書士のどちらに頼むかで確かめてください。収入がない期間が長くなる場合は、無職で借金が返せないときの選択肢もあわせて読むと、次の手を並べやすくなります。

よくある質問

Q. 傷病手当金を受けている間も、借金の返済は続けないといけませんか?

病気やけがで働けなくなっても、借金を返す義務そのものはなくなりません。ただ、返済額や返済日をどうするかは借入先と話し合えるので、給付の額が決まった段階で、払える額を示して相談します。なお、健康保険の給付を受ける権利は健康保険法第61条で差し押さえが禁じられています。

Q. 入院中で、借入先からの電話に出られません。どうすればいいですか?

電話に出られない状態が続くと、連絡がつかないと受け取られやすくなります。入院が決まった時点で、会員ページの問い合わせやメールなど、電話以外の連絡方法があるかを確かめ、入院していること、退院の見込み、連絡しやすい時間を伝えておきます。退院後に改めて返済の相談をします。

Q. 借金があっても障害年金は受け取れますか?

障害年金の要件は、初診日に年金制度に加入していたか、保険料を納めていた期間、障害の状態の3つで、借金の有無は要件に入っていません。また、国民年金法第24条は、給付を受ける権利の差し押さえを原則として禁じています。請求の手続きは年金事務所や市区町村の窓口で相談できます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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