税金・家賃・携帯の滞納 / 制度解説

税金を滞納しそうなとき|納税の猶予の条件と申請・分割の考え方

この記事のもくじ
  1. 納税の猶予の条件:どんな事情なら対象になるか
  2. 納税の猶予の申請:書類と流れ
  3. 事情が特にないときの入口は、換価の猶予
  4. 住民税・固定資産税・自動車税など地方税の猶予
  5. 猶予を受けると、延滞税はどうなるか
  6. 猶予が取り消されるとき

税金が払えないとき、待ってもらえる制度があります。国税なら、国税通則法第46条の「納税の猶予」です。病気・災害・事業の損失などで一時に払えないとき、申請により1年以内の猶予と、その期間内の分割納付が認められることがあります。猶予額が100万円以下、または期間が3か月以内なら、担保も要りません。事情がはっきりしない場合の分割は、「換価の猶予」が入口です。どちらも、督促状が届いた時点か、その前に窓口へ相談するのが基本です。

納税の猶予の条件:どんな事情なら対象になるか

納税の猶予は、国税通則法第46条第2項が定める制度です。次のどれかの事実があり、そのために国税を一時に納付できないと認められるときに、申請により1年以内の期間で猶予できます。

  • 災害や盗難にあった
  • 本人または生計を同じくする親族が病気にかかった、けがをした
  • 事業を廃止した、休止した
  • 事業で著しい損失を受けた
  • ①〜④に類する事実がある

猶予の期間は、1年の範囲内で最も早く完納できると認められる期間です。この期間の中で、財産や事情から見て合理的な額に分割して納めます(同条第4項)。やむを得ない理由があれば延長でき、当初と合わせて最長2年です(国税庁リーフレット)。

担保は、猶予する額に相当する分が求められます。ただし、猶予額が100万円以下のとき、猶予期間が3か月以内のとき、担保を出せない特別の事情があるときのどれかに当たれば不要です(同条第5項)。

比較表:納税の猶予と換価の猶予のちがい
項目 納税の猶予 申請による換価の猶予
根拠 国税通則法第46条 国税徴収法第151条の2
必要な事情 災害・病気・事業の廃止や損失など 一時に納付すると事業の継続や生活の維持が困難になるおそれがあり、納税に誠実な意思がある
申請の時期 第2項の条文に申請期限の記載はない。差し押さえが進む前に出す 納期限から6か月以内(6か月を過ぎたあとの扱いは下の本文)
期間 1年以内(最長2年まで延長あり) 1年以内
効果 納付そのものが猶予される。期間内に分割で納める 差し押さえた財産の売却(換価)や、差し押さえが猶予される。分割で納める
ほかの滞納 条件にない ほかの国税の滞納がないこと

納税の猶予の申請:書類と流れ

申請は、所轄の税務署の徴収担当が窓口です。申請書はe-Taxでも出せます。流れは次のとおりです。

  1. 税務署の徴収担当に電話か来署で相談し、自分の事情が猶予に当たるかを聞く
  2. 申請書を書く(事実の詳細、猶予を受けたい金額と期間、分割の方法)
  3. 資産・負債・収入・支出の状況を示す書類(財産目録など)、事実を証明する書類(診断書、り災証明書、廃業届など)をそろえる
  4. 担保が必要な場合は、担保の書類を付ける
  5. 不備の訂正を求められたら、通知の翌日から20日以内に直す。直さないと取り下げたものとみなされる(国税通則法第46条の2第9項)

収支の書類は、通帳の入出金、給与明細、家賃や保険料の支出が見える形が使いやすいです。相談の前に、次の表を埋めておきます。

項目 書き出すこと
収入 手取り額、入金日、今後の見込み
固定の支出 家賃、光熱費、保険料、食費、返済
今ある預貯金 口座ごとの残高
払える月額 生活を続けたうえで、毎月払える額
滞納の内訳 税目、年度、金額、納期限

事情が特にないときの入口は、換価の猶予

病気や災害などの事情がない人の分割は、納税の猶予ではなく換価の猶予になることが多いです。申請による換価の猶予の要件は、国税庁のリーフレットによると次の5点です。

  1. 一時に納付すると事業の継続または生活の維持が困難になるおそれがある
  2. 納税について誠実な意思がある
  3. ほかの国税の滞納がない(猶予中・申請中のものは除く)
  4. 納期限から6か月以内に申請した
  5. 原則として担保を提供する

認められると、財産の差し押さえや売却が猶予され、分割で納めます。納期限から6か月を過ぎても、税務署の判断で換価の猶予ができる仕組み(職権による換価の猶予)があります。6か月を過ぎたからと諦めず、徴収担当に事情を伝えます。

払う力がなく、財産もなく、滞納処分で生活が著しく苦しくなる場合は、役所の判断で滞納処分の執行が停止されることがあります。停止が3年続くと納める義務が消えます(国税徴収法第153条)。これは役所が決める手続きで、本人の権利として申し出るものではありません。生活保護を受けているなど、払える状態にないときは、そのことを窓口で伝えます。

住民税・固定資産税・自動車税など地方税の猶予

住民税、固定資産税、自動車税などの地方税にも、同じ仕組みがあります。地方税法第15条は、災害、病気、事業の廃止・損失などで一時に払えないときの徴収の猶予(1年以内)を定め、延長は当初と合わせて2年までです。第15条の5・第15条の6が換価の猶予です。

ただし、申請の期限、必要書類、分納の回数は、条例や要綱で自治体ごとに違います。たとえば福岡市は、徴収猶予と換価の猶予の申請先を各区役所の納税課または財政局特別滞納整理課とし、換価の猶予は納期限から6か月以内、減免は納期限の3日前までの申請と案内しています。ほかの市区町村では違うことがあるため、住んでいる自治体のページか納税課で確かめます。住民税は住民税が払えないとき|分割と減免の相談・退職後の注意で個別に扱い、札幌市の窓口の例もそこにあります。

猶予を受けると、延滞税はどうなるか

猶予を受けた期間は、延滞税が軽くなります。病気・災害による猶予は延滞税が免除され、事業の廃止などによる猶予や換価の猶予は、一定部分が免除されます(国税通則法第63条)。国税庁が公表する割合を見ると、2026年の延滞税は納期限の翌日から2か月までが年2.8%、それを超えると年9.1%です。猶予を受けた期間は、これより低い割合になります。国税庁の延滞税の割合の表でも、猶予の期間は2026年が年1.3%です。福岡市は市税の猶予期間中の延滞金を、2026年以降は年1.3%に軽減すると案内しています。計算の流れは税金滞納の延滞金はいくら?いつから何%か・計算例と減免の相談にあります。

猶予が取り消されるとき

猶予は、受けたら終わりではありません。分割の予定どおり払わないとき、新しい国税を滞納したときなどは、猶予が取り消され、差し押さえに進むことがあります。払えなくなりそうなときは、取り消しを待たずに、納付計画の見直しを窓口へ相談します。

差し押さえが近づいている状態の動き方は税金の滞納で差し押さえはいつから?督促状から10日の流れと押さえられる財産、全体の位置づけは家賃・税金・携帯代を滞納したらどうなる?支払いごとの結果と払う順番で確かめられます。

よくある質問

Q. 猶予は、申請すれば通りますか?

認められるとは限りません。法律は「猶予することができる」と定めており、事情や払える見込みを見て税務署長が判断します。分割の計画どおり払わない、新しい税金を滞納するなどの場合は、猶予が取り消されることもあります。

Q. 事情が特になくても、税金を分割で払えますか?

病気や災害などの事情がない場合の入口は、換価の猶予です。一時に払うと事業や生活の維持が困難になることなどの要件があり、納期限から6か月以内に申請します。6か月を過ぎても、まず徴収担当の窓口で相談します。

Q. 猶予の相談をしている間も、差し押さえられますか?

条文上、督促状を発した日から10日を過ぎれば差し押さえが可能です。ただし、納税の猶予が認められれば、その猶予期間内は新たな督促や滞納処分ができません(国税通則法第48条第1項)。相談しただけで止まる決まりはないため、督促状が届いたらすぐ相談します。すでに差し押さえた財産があるときは、猶予を受けた人の申請により、税務署長が差し押さえを解除できる決まりもあります(同条第2項)。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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