住民税が払えないとき|分割と減免の相談・退職後の注意
住民税が払えないときは、督促状が届く前に、住んでいる市区町村の納税課へ相談します。使える方法は、分けて払う分納、払う時期を待つ徴収猶予、税額そのものを軽くする減免の3つです。払える月額と、払えなくなった理由を伝えれば、窓口が使える制度を案内します。退職や収入の減少のあとに払えなくなる人が多いので、まず「天引きが止まった」のか「前年の収入が基準で額が重い」のかを確かめます。
なぜ払えなくなるのか:退職後の切り替えと前年所得
住民税は、前年の所得にかかります。収入が減った年でも、前年の所得を基準にした額の通知が来るので、手取りと税額の差が大きくなることがあります。
会社員は、給料から天引き(特別徴収)されます。年税額を12で割った額を、6月から翌年5月まで毎月引く仕組みです(地方税法第321条の5)。退職すると、翌月以降の天引きは止まります。残りの額の扱いは、退職した時期で変わります。
| 退職の時期 | 残りの住民税の扱い |
|---|---|
| 1月〜4月 | 5月までの残りを、最後の給与や退職手当から一括で天引きする(給与等が残額を超える場合)。足りない分の扱いは、勤務先と市区町村に確かめる |
| 6月〜12月 | 本人が申し出れば、残りを一括天引きできる。申し出がなければ、自分で納める普通徴収に切り替わる |
普通徴収は、自治体から届く納付書で自分で払う形です。納期は6月・8月・10月・1月の中で条例が定めます(同法第320条)。天引きのつもりで生活費を組んでいたところに、まとまった納付書が届くのが、払えなくなる主な流れです。
分納・徴収猶予・減免のちがい
| 方法 | 内容 | 条件の例 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 分納(分割納付) | 納期限を過ぎた分や、まとまった額を分けて払う約束をする | 払える月額を示し、納税課と合意する。自治体の運用で、回数や期間が違う | 各自治体の運用 |
| 徴収猶予 | 1年以内、払う時期を猶予する。分割もできる | 災害、本人や家族の病気、事業の廃止・損失などで一時に払えない | 地方税法第15条 |
| 換価の猶予 | 差し押さえた財産の売却を、1年以内の間猶予する | 一時に払うと生活の維持が困難になる、誠実な納税意思がある、納期限から条例で定める期間内に申請 | 地方税法第15条の5・第15条の6 |
| 減免 | 税額を軽くする、または免除する | 災害など特別の事情、生活保護など公私の扶助を受けている場合。条例による | 地方税法第323条 |
分納と猶予は、払う義務そのものは変わりません。遅れた期間に延滞金がつき、猶予を受けた期間は割合が軽くなります。減免は税額そのものを軽くしますが、要件が狭く、自治体ごとに違います。
福岡市の案内では、個人の市県民税の減免は、生活保護を受けている場合、廃業・休業・失業などで所得が減った場合、災害で著しい損害を受けた場合などが対象です(細かい条件は市の案内で確かめます)。申請は、その税の納期限の3日前までに出す必要があります。納期限を過ぎてからでは間に合わない例なので、減免を考えているなら、納付書が届いた時点で窓口に聞きます。
相談の手順:窓口で話すことと持ち物
- 納付書か督促状を手元に置き、税額・納期限・納期の回数を確かめる
- 家計の収入と支出を紙に書き、払える月額を決める
- 市区町村の納税課(または税務の窓口)に電話し、「払えないので、分割か猶予を相談したい」と伝える
- 窓口の案内に従い、収支の書類や、事情を示す書類(離職票、診断書など)を出す
- 決まった分割の額と日を、メモに残す
伝え方の例です。
文例:「令和○年度の住民税の第○期分が払えそうにありません。○月に退職して収入がなくなりました。今は毎月○円までなら払えます。分納か猶予の相談をさせてください。」
札幌市は、市税の納付の相談を、お住まいの区を担当する市税事務所の納税相談担当で受け付けています。各市税事務所は、毎週木曜日(年末年始・祝日を除く)に20時まで夜間窓口を開いています。福岡市は、徴収猶予・換価の猶予の申請先を、各区役所の納税課または財政局特別滞納整理課としています。区役所の窓口の受付時間は、8時45分から17時15分まで(土・日・祝日・年末年始を除く)です。他の市区町村は、市区町村名と「納税相談」で検索し、公式サイトの案内で窓口と時間を確かめます。
収入が途絶えて、家賃や食費にも困っているときは、地域の自立相談支援機関も窓口になります。家計の見直しを一緒に行う家計改善支援を受けられる自治体があります。番号と受付は借金の相談窓口はどこ?公的な窓口の番号・受付時間と選び方で確かめます。
払えないまま放置すると
納期限を過ぎると、督促状が届きます。住民税の督促状は、納期限後20日以内に出されます(条例で別の期間を定める自治体もあります。地方税法第329条)。督促状を発した日から10日を過ぎても完納しないと、財産を差し押さえられる状態になります(同法第331条)。裁判所の手続きは要りません。
届いた督促状の読み方と次の段階は税金の督促状の読み方|納期限の欄・届いた日にすること・偽物の見分け方、猶予の条件は税金を滞納しそうなとき|納税の猶予の条件と申請・分割の考え方にまとめています。延滞金の割合と計算は税金滞納の延滞金はいくら?いつから何%か・計算例と減免の相談です。家賃や携帯代も払えていないなら、家賃・税金・携帯代を滞納したらどうなる?支払いごとの結果と払う順番で、全体の順番を見直します。
住民税が払えないとき、やってはいけないこと
- 督促状を開けずに放置する:10日の期間が進みます。
- 払える額を超えた分割を約束する:守れなくなると、猶予や分納が取り消されることがあります。
- 借金で住民税を払う:カードローンやリボで税金を払うと、返済の負担が増えます。税の払えなさは、まず納税課に伝えます。
よくある質問
Q. 住民税を払えないとき、最初にどこへ連絡しますか?
住んでいる市区町村の納税課(札幌市は区を担当する市税事務所の納税相談担当、福岡市は各区役所の納税課)です。督促状が届く前の、払えないと分かった時点で連絡すると、分割や猶予の選択肢が残ります。
Q. 退職したら、住民税はどうなりますか?
会社の天引きが止まり、残りは自分で納める形に変わることがあります。1月から4月に退職した場合は、5月までの残りを最後の給与や退職手当から一括で天引きするのが原則です。6月から12月の退職は、本人が申し出れば一括天引きもできます。
Q. 住民税は減免してもらえますか?
条例が定める場合に限られます。法律は、災害などの特別の事情がある場合や、生活保護など公私の扶助を受けている場合を挙げています。失業などで所得が減った場合の扱いは自治体によって違うため、納税課で確かめます。
出典・参考にした公的な情報
- 地方税法 第15条・第15条の5・第15条の6・第320条・第321条の5・第323条・第329条・第331条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 納税の猶予と市税の減免(福岡市)(福岡市)
- 市税の窓口・納税相談(札幌市)(札幌市)
- 生活困窮者自立支援制度(自立相談支援事業・家計改善支援事業)(厚生労働省)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。