奨学金の返済 / 制度解説

奨学金の返済免除の条件|対象は死亡・障害・業績のみ、年収では不可

この記事のもくじ
  1. 免除の対象になるのは3つの場合だけ
  2. 本人が死亡したとき
  3. 精神・身体の障害で返せなくなったとき
  4. 大学院の「特に優れた業績」による免除
  5. 年収・病気・職業で免除を探している人へ
  6. 申請の流れと、先に決めておくこと

奨学金の返済が免除されるのは、日本学生支援機構(JASSO)の案内では、本人の死亡、精神・身体の障害で返せなくなったとき、そして大学院の第一種奨学生の「特に優れた業績による返還免除」の3つです。年収が低いこと、特定の職業に就いていることだけで免除される制度は見当たりません。収入が足りないときに使うのは、免除ではなく返還期限猶予と減額返還です。免除になる場合でも、全額か一部かは審査で決まり、基準は JASSO のページに書かれていません。条件や書類は、2026年10月時点の JASSO の案内にもとづきます。

免除の対象になるのは3つの場合だけ

まず、年収や職業で免除を探している人のために、整理します。

早見表:奨学金の返済で「免除」「猶予」「減額」を分ける
状況 免除になるか 使う制度
本人が死亡した 免除の対象 死亡による返還免除
精神・身体の障害で働けず返せない 免除の対象になりうる(症状が固定していることなど条件あり) 障害による返還免除
大学院で特に優れた業績を挙げた 免除の対象(第一種のみ) 業績による返還免除
年収が低い・無職 免除にはならない 返還期限猶予・減額返還
教員・公務員・看護師などの職業 学部の奨学金には免除の制度が見当たらない 職業別の記事で確かめる
病気で一時的に働けない 症状が固定していなければ免除にはならない 傷病による返還期限猶予

「免除」は、返していない残りを全部または一部なくす制度で、承認されるかは JASSO の審査で決まります。猶予や減額返還は、返す総額を変えずに時期や月額を動かす制度です。違いを混ぜると、使える制度を逃します。年収の目安で使える制度は奨学金が返せないとき|減額返還・返還期限猶予の条件と申請時期にまとめました。

本人が死亡したとき

本人が亡くなったときは、願出により、返還していない額の全部または一部を免除できる、とされています。手続きは遺された人が行います。

項目 内容
願い出る人 相続人。人的保証の場合は、相続人と連帯保証人の連署
機関保証・給付奨学金 相続人のみ
書類 返還免除願、死亡の事実を記載した公的証明書(戸籍抄本・個人事項証明・住民票など)の原本。住民票は個人番号の部分を見えない形にしたものを用意する(マイナンバー関係書類を提出済みなら証明書は省略できる)
提出先 JASSO 返還総務課 返還免除係

死亡の事実は、死亡の記載がある公的な証明書の原本で示します。どの証明書が受け付けられるかは、提出前に奨学金相談センターで確かめます。「死亡すれば全額免除」と書き切ることはできず、免除の範囲は審査で決まります。

家族が亡くなったあとで、奨学金が残っていることに気づいたときは、まず奨学金相談センターに連絡して、奨学生番号と死亡の事実を伝えます。相談センターの番号と受付時間は奨学金が返せないとき|減額返還・返還期限猶予の条件と申請時期に載せています。

精神・身体の障害で返せなくなったとき

精神または身体の障害で労働能力を失った、もしくは労働能力に高度の制限があり、返還できなくなった場合も、願出により返還未済額の全部または一部を免除できる、とされています。条件を整理します。

  1. 症状が固定している(または回復の見込みがない)こと。 治療中で回復が見込める間は、免除ではなく猶予で対応します。
  2. 貸与中・在学中ではないこと。 貸与中や在学中は願い出られません。
  3. 願い出る人。 本人と連帯保証人の連署です。機関保証の場合は本人のみです。
  4. 書類。 返還免除願、返還できなくなった事情を証明する書類(コピー不可、原本)、JASSO 所定の診断書の3点です。診断書は、病院で封入・密封してもらい、開封してはいけません。
  5. 提出先。 JASSO 返還総務課 返還免除係です。
  6. 収入が高いとき。 年間収入が給与所得者で300万円超、給与所得以外で所得200万円超の場合は、公民館長・学校長・福祉事務所長・病院長(診断書を書いた人を除く)や医療・福祉分野の国家資格者などの「報告者」の署名が追加で要ります。本人や親族の署名は認められません。

大切なのは、「障害があれば免除される」とは書かれていない点です。免除するかどうかは JASSO の審査で決まります。まだ症状が固定していない、回復の見込みがある、という段階では、傷病による返還期限猶予が先に合います。うつ病など心の病気の場合の猶予の進め方はうつ病で奨学金が返せないとき|傷病による猶予と免除の申請に分けて書きました。

大学院の「特に優れた業績」による免除

大学院(修士・専門職学位・博士)の第一種奨学生で、当該年度中に貸与が終わる人が対象です。貸与された奨学金の全額または半額が免除されます。

  • 貸与が終わる月が属する年度に、在籍する大学院を通じて申請します。
  • 大学長の推薦を受けた人を、JASSO の認定委員会が審議して決めます。
  • 申請年度と修了年度が一致しないことがあるので、大学院の窓口に時期を確かめます。

JASSO が公表している2025年度の認定は、貸与が終わった24,354人のうち、推薦が8,441人、認定が8,383人でした。認定のうち全額免除が2,576人、半額免除が5,807人です。データ集では、令和6年度に6,809人・88億円が免除されています。つまり、推薦を受ければ多くが認定されている一方で、貸与が終わった人全体から見れば推薦を受けられる人は限られます。

注意点もあります。学部(大学)の奨学金は対象外です。令和5年度以降の博士課程の採用で、科学技術振興機構(JST)の特定事業から生活費相当の支援を受けた人も対象外です。対象の可能性がある人は、在学中に大学院の窓口へ相談します。教員になることを条件にした大学院向けの免除は、教員や公務員なら奨学金の返済は免除される?今の制度の確かめ方で扱っています。

年収・病気・職業で免除を探している人へ

「免除になる条件」で検索した人の多くは、実際には返還を軽くする別の制度に当てはまります。

どれが自分に合うか迷うときは、奨学金相談センターに状況を伝えて、制度の候補を聞くところから始めます。

申請の流れと、先に決めておくこと

  1. 奨学金相談センターに連絡する。 奨学生番号を用意して、死亡・障害・業績のどの免除を考えているか伝えます。
  2. 必要書類を聞く。 免除願の用紙、診断書の様式、公的な証明書の種類を確かめます。
  3. 署名と連署を集める。 連帯保証人がいる場合は連署が必要です。連絡が取れないときは、取れない事情を相談します。
  4. 原本を提出する。 提出先は返還免除係です。コピーでは受け付けられない書類があります。
  5. 審査の結果を待つ。 結果が出るまでの返還の扱いは、申請のときに相談センターで確かめます。確かめるまでは、通常の振替が続くものとして口座に入金しておきます。

免除を申請している間に延滞が始まると、督促や延滞金の対象になります。延滞したときの流れは奨学金の返済を滞納したら?督促・延滞金・裁判までの流れにあります。

よくある質問

Q. 年収が低ければ、奨学金の返済は免除されますか?

年収の低さだけを理由にした免除は、JASSO の案内にありません。年収の基準があるのは、返す時期を延ばす返還期限猶予と、月額を下げる減額返還です。収入が少ないときは、免除ではなく猶予か減額返還を検討します。

Q. 大学の学部で借りた奨学金も、業績による免除の対象になりますか?

対象は大学院(修士・専門職学位・博士)の第一種奨学生に限られ、学部(大学)の奨学金は対象外です。貸与が終わる年度に、在籍する大学院を通じて申請し、大学長の推薦を受ける流れになります。

Q. 業績免除の申請中に、繰り上げ返済をしても大丈夫ですか?

JASSO は、特に優れた業績による返還免除を申請している人は、結果が出る前に繰上返還をしないよう案内しています。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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