奨学金の返済 / Q&A

教員や公務員なら奨学金の返済は免除される?今の制度の確かめ方

この記事のもくじ
  1. 職業を理由にした免除は今あるのか
  2. かつての教員・研究職の免除は廃止された
  3. いま教員に関わる免除:大学院の「教員免除」
  4. 職に就いたあとに使える返還支援
  5. 母子家庭・公務員・低収入のときの考え方
  6. 自分の場合を確かめる手順

教員、公務員、看護師、母子家庭といった職業や家庭の事情だけで、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金の返済が免除される制度は、JASSO の案内に見当たりません。かつて教育・研究の職に就くと免除される「返還特別免除」がありましたが、現在は廃止されています。いま教員に関わる免除があるのは、大学院の第一種奨学生の一部だけです。職業に就いたあとで負担を軽くする道は、勤め先の返還支援、自治体の支援、猶予や減額返還です。2026年10月時点の公式の案内にもとづいて整理します。

職業を理由にした免除は今あるのか

結論を表にします。

早見表:職業・事情ごとの「いまの制度」
職業・事情 免除になるか 代わりに確かめるもの
教員(学部の奨学金) 免除の制度は見当たらない 勤め先・自治体の返還支援
教員(大学院の第一種で、特に優れた業績など一定の要件) 全額免除の制度がある 大学院の窓口・JASSO
公務員 職業による免除は見当たらない 勤め先の制度、猶予・減額返還
母子家庭・ひとり親 属性だけの免除は見当たらない 猶予・減額返還、生活保護なら猶予
看護師・医療職 JASSO の免除は見当たらない 勤め先や貸与元の返還支援

JASSO の免除は、死亡・精神や身体の障害、大学院の特に優れた業績の3系統です(奨学金の返済免除の条件|対象は死亡・障害・業績のみ、年収では不可)。ここでは、職業の話に絞ります。

かつての教員・研究職の免除は廃止された

JASSO のページによると、教育・研究の職に就いた場合の「返還特別免除」は、日本育英会法の廃止に伴い現在は廃止されています。対象は、平成15年度(2004年3月31日)以前に大学院の第一種奨学生として採用された人などでした。

古い情報が検索結果に残りやすいため、次の点に気をつけます。

  • 平成10年(1998年)4月1日以降に大学(学部)・短大・高専の1年次に入学して借りた人は、教育の職に就いても、この旧制度の対象になりません。平成10年3月31日以前に入学し、同年4月以降に第一種を借りて進学を続けているなど、JASSO が定める要件を満たす人だけが例外です。
  • 旧制度の問い合わせ先として、JASSO 返還部返還総務課の返還免除係が案内されています。いまの自分に関係するかを聞くなら、奨学金相談センターから確かめます。
  • 親の世代や、昔の奨学金を借りた人から「先生になれば免除」と聞いたことがあっても、それは廃止された制度の話かもしれません。

いま教員に関わる免除:大学院の「教員免除」

現行の制度として、大学院の第一種奨学金の「教員になった者に対する返還免除」があります。JASSO の案内にある要件は次のとおりです。

  1. 大学院(修士・博士前期・専門職学位)に在籍中に第一種奨学金(授業料後払い制度を含む)を借り、当該年度中に貸与が終わること。
  2. 在学中に特に優れた業績を挙げたと認められること。
  3. 教員採用選考に合格し、正規の教員(任期の定めのない常勤)として採用されること。採用されるのは、教職大学院かどうかを問わず、大学院修了の翌年度からです。臨時的任用の教員と非常勤講師は対象外です。
  4. 対象の学校は、小・中・義務教育学校・高校・中等教育学校・特別支援学校・幼稚園・幼保連携型認定こども園。

大学院在籍時の第一種奨学金は全額が免除されます。JASSO の2025年度の認定結果では、教員の要件を満たした719人が全額免除に認定されています(全額免除2,576人の内数)。4月1日時点の在職証明書の写しが出せないと認定されません。博士後期課程と一貫制博士課程は対象外で、教職大学院以外では専修免許状の取得や実習30時間程度などの要件もあります。手続きは、業績免除の申請として大学院を通じて行います。

したがって、学部で借りた人や、すでに教員として働いていて返還中の人が、あとから申請する制度ではありません。

職に就いたあとに使える返還支援

免除がなくても、職に就いてから負担を軽くする仕組みが2つあります。

企業等の返還支援(代理返還)。 企業等が従業員の返還残額の一部または全額を、従業員に代わって JASSO に直接送金する制度です。導入企業等の掲載数と利用状況は、日付つきで代理返還の記事に載せています。仕組みと調べ方は奨学金の返済を企業が代わりに?代理返還制度と利用できる会社にまとめています。

自治体の返還支援。 JASSO に「地方公共団体の返還支援制度」のページがあり、基金を設置した自治体などにつながっています。対象になる仕事、居住地の条件、支援額は自治体ごとに違います。住んでいる、または働きたい自治体の公式ページで、「奨学金返還支援」「補助」といった名前で探します。

勤め先に制度があるかは、就業規則や人事・総務の担当への問い合わせでも分かります。転職や就職を考えているときは、求人票の福利厚生に書かれていることもあります。

母子家庭・公務員・低収入のときの考え方

職業や家庭の事情を理由に免除は受けられなくても、収入が少なければ、猶予や減額返還が使えます。

ひとり親向けの手当や貸付など、奨学金以外の公的な支援は、住んでいる市区町村の窓口で聞けます。奨学金の返還に直接かかわるのは、上に挙げた JASSO の猶予と減額返還です。

自分の場合を確かめる手順

  1. 奨学金の種類を確かめます。 第一種か第二種か、学部か大学院か、いつ採用されたかを、返還確認票かスカラネット・パーソナルで見ます。
  2. 旧制度か現行制度かを見分けます。 平成15年度以前に大学院の第一種で採用された人か、平成10年3月31日以前に学部等へ入学した人でなければ、旧制度の対象になりません。該当しそうなら、返還免除係に確かめます。
  3. 勤め先に聞きます。 返還を支援する制度があるか、人事・総務に確かめます。
  4. 自治体の公式ページを見ます。 住所地や就職先の自治体に、返還支援の制度があるか調べます。
  5. 返しにくいなら、猶予か減額返還を使います。 奨学金が返せないとき|減額返還・返還期限猶予の条件と申請時期の分かれ道で、いまの状況に合う制度を選びます。

迷ったら、奨学金相談センターに「自分の採用年度と種類を伝えて、使える制度を聞く」のが近道です。

よくある質問

Q. 教員免許を取って教員になれば、学部で借りた奨学金は免除されますか?

学部(大学)の奨学金を教員になったことで免除する制度は、JASSO の案内に見当たりません。かつての教育職の免除は廃止され、平成10年4月以降に大学・短大・高専の1年次に入学して借りた人は、教育の職に就いても対象外とされています。

Q. 公務員になると、勤め先が奨学金を返してくれますか?

JASSO の代理返還は、企業等が従業員の返還を代わりに JASSO へ送金する制度です。公務員の職場に同じ制度があるかは、JASSO の導入企業等の検索や、勤め先の人事・総務の担当で確かめます。職業が公務員というだけで返還が変わることはありません。

Q. 自治体の奨学金返還支援は、どこで探せますか?

JASSO に地方公共団体の返還支援制度のページがありますが、対象や金額は自治体ごとに違います。住んでいる市区町村や都道府県の公式ページで、奨学金の返還支援や補助の名前で探すと、条件と申請先が分かります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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