奨学金の返済 / 手順

奨学金の減額返還の申請|月の返済額を下げる条件と手順

この記事のもくじ
  1. 減額返還の仕組み:月額を下げて期間を延ばす
  2. 減額返還を使える人の条件
  3. 収入の目安
  4. 申請の手順と出す時期
  5. 返す総額は変わらない:筆者の計算と注意点
  6. 減額返還と猶予の使い分け

減額返還は、毎月の返済額を3分の2・2分の1・3分の1・4分の1のどれかに下げ、そのぶん返す期間を延ばす制度です。使える人は、延滞しておらず、口座振替(リレー口座)で月賦で返していて、収入が目安以下の人で、給与所得者なら年間収入400万円以下が基準です。申請はスカラネット・パーソナルか郵送で、適用を始めたい月の前々月末までに出します。返す総額は減らず、返し終わる時期が延びる点が最大の注意です。2026年10月時点の日本学生支援機構(JASSO)の案内にもとづきます。

減額返還の仕組み:月額を下げて期間を延ばす

減額返還は、災害・傷病・その他の経済的な理由で、当初の月額では返せないが、減らせば返せる人のための制度です。返還を止める猶予とは違い、毎月、下げた額を返し続けます。

  • 月額の下げ方は、3分の2・2分の1・3分の1・4分の1の4通りです。JASSO のデータ集では、令和6年度から3分の2と4分の1も選べるようになり、収入の基準も緩和されたと説明されています。
  • 1回の願出で適用されるのは12か月です。終了前に再度願い出れば延長でき、通算15年(180か月)が上限です。
  • 下げた分の返還は消えず、返還期間の延長という形で後ろに回ります。

返還期限猶予との違いを表にします。

比較表:減額返還と返還期限猶予の違い
比べる点 減額返還 返還期限猶予
毎月の返還 下げた額を返す 止まる
延滞中の申請 できない(解消してから) できる
期間の上限 通算15年(180か月) 一般猶予は通算10年(例外あり)
収入の目安(給与所得者) 年間収入400万円以下 経済困難は300万円以下
向いている人 働いていて収入が少し足りない 無職・失業・病気で収入が細い

猶予の条件は奨学金の返済猶予の申請方法|返還期限猶予の条件・年収の目安で説明しています。

減額返還を使える人の条件

次の条件がすべてそろうことが必要です。

  1. 願出のときと審査のときに延滞していないこと。 延滞があるときは、延滞を解消すれば願い出られます。
  2. 口座振替(リレー口座)に加入していること。
  3. 月賦で返していること。 年賦・半年賦、または月賦・半年賦併用の人は、月賦の返還方法に変更されます(減額返還が終わっても月賦のままです)。変更に時間がかかり、希望する月から始められないことがあります。
  4. 収入が目安以下であること。 次の項で説明します。
  5. 所得連動返還方式の人でないこと。 平成29年度以降に採用された第一種奨学金で所得連動返還方式を選んでいる人は、減額返還を申請できません。月額が前年の所得で決まる仕組みのため、所得が下がれば翌年の月額が下がります。

月賦と半年賦を併用している人は注意が要ります。月賦に切り替わると、1月と7月の半年賦分が毎月に上乗せされて月額が約2倍になり、3分の2に下げても元の月額より増える場合がある、と JASSO が説明しています。切り替えた月額を先に確かめてから願い出ます。

収入の目安

減額返還の収入の目安は、本人の被扶養者1人につき38万円を控除して審査されます。

収入の種類 基準 子どもが2人 子どもが3人以上
給与所得者(年間収入) 400万円以下 500万円以下 600万円以下
給与所得以外を含む(年間所得・必要経費等控除後) 300万円以下 400万円以下 500万円以下

JASSO の例では、年収430万円で被扶養者が1人なら、430万円から38万円を引いた392万円で審査されます。基準は「目安」とされており、基準以内なら承認される、とは書かれていません。

被扶養者が増えたのに証明書に載っていないときは、マイナポータルの健康保険証情報の画面か、資格確認書のコピー(記号・番号などは黒塗り)を添えます。収入のくくり方が猶予と違うため、猶予の基準と取り違えないようにします。

申請の手順と出す時期

  1. 願い出る方法を選びます。 スカラネット・パーソナルからの願出か、郵送かを選びます。
  2. 収入を確かめる証明書をそろえます。 必要な種類は、JASSO の減額返還の手続きのページにある一覧で確かめます。被扶養者の控除を受けるときは、その人が載った書類も要ります。
  3. 提出します。 Web のほか、郵送もできます。郵送先は専用の郵便番号(〒119-0385)の猶予減額受付窓口で、住所は書かず、所定の切手を貼ります。
  4. 時期を守ります。 適用を始めたい月(延長なら継続したい月)の前々月末までに出します。4か月以上前の提出は返送されます。2027年1月から始めたいなら、2026年11月末が期限です(筆者の計算)。
  5. 承認通知を待ちます。 書類に不備がなく、開始希望月の前月27日の振替が行われたことを確かめたうえで、開始希望月の中旬ごろに「奨学金減額返還承認通知」が届きます。宛先は本人、連帯保証人(人的保証のみ)、リレー口座の名義人です。

当月に間に合わなかった場合は、翌月以降の開始になり、当月は通常の額で返します。つまり、早めに出しても、前月の振替が終わるまでは承認の通知は出ません。月末ぎりぎりに出すと、書類の不備があったときに間に合わなくなるので、余裕を持って出します。

文例(奨学金相談センターへ):「収入が下がり、いまの月額では返し続けるのが難しくなっています。延滞はしていません。減額返還を使いたいので、自分の返還方式で申請できるか、いつまでに何を出せばよいか教えてください。」

返す総額は変わらない:筆者の計算と注意点

減額返還で返す総額は減りません。JASSO の返還例(大学)の第一種・総額144万円・月9,230円・156回(13年)を例に、月額を2分の1にして12か月続けた場合を計算します。この例は平成24年度新規入学者が標準修業年限で借りた場合の例で、今の貸与月額の選択肢と同じとは限りません。

項目 当初の月額 2分の1(12か月)
毎月の返還額 9,230円 4,615円
12か月で返す額 110,760円 55,380円
後ろに回る額 - 55,380円(元の月額の約6回分)

後ろに回った約6回分は、返還期間が延びて返すことになります(筆者の計算)。端数の処理や終了月の細かな扱いは JASSO の計算によるので、実際の残りの回数は、スカラネット・パーソナルの返還情報照会で確かめます。

使うときの注意が3つあります。

  • 振替不能が2回続くと、取り消されます。 減額返還中に振替ができない状態が2回続くと、延滞が始まった時点にさかのぼって適用が取り消されます。当初の月額で計算した延滞金を加えて返すことになります。
  • 繰上返還はできません。 減額返還中は、繰り上げ返済の対象外です。
  • 減額後の額も返せなくなりそうなときは早めに動きます。 収入がさらに下がったら、振替不能が出る前に、猶予への切り替えを奨学金相談センターに相談します。

減額返還と猶予の使い分け

減額返還は、収入が減ったが働いていて、少額なら返せる人に向きます。収入がほぼなくなる、病気で働けない、すでに延滞しているといったときは、猶予のほうが合います。どちらが自分に合うか迷ったら、奨学金が返せないとき|減額返還・返還期限猶予の条件と申請時期の分かれ道を先に見ます。

本人の死亡や重い障害のときは、返す義務そのものをなくす返還免除という別の制度があります(奨学金の返済免除の条件|対象は死亡・障害・業績のみ、年収では不可)。余裕が出て早めに返したいときの考え方は奨学金の繰り上げ返済|手続きの方法と得になる場合・注意点で扱っています。

よくある質問

Q. 減額返還は何年まで続けられますか?

1回の願出で適用されるのは12か月です。終了前にあらためて願い出れば延長でき、通算15年(180か月)が上限です。猶予の通算10年とは別の数え方なので、混ぜないようにします。

Q. 減額返還をすると、返す利子が増えますか?

JASSO の案内では、返還予定の総額は変わらず、第二種の利子の総額も変わりません。機関保証の保証料が追加で引かれることもありません。月々の負担が軽くなる代わりに、返し終わる時期が後ろにずれます。

Q. 減額返還の期間中に、繰り上げ返済はできますか?

できません。JASSO は、返還期限猶予中と減額返還中は繰上返還の対象外としています。余裕が出て早く返したくなったら、減額返還が終わってから手続きします。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

奨学金が返せないとき|減額返還・返還期限猶予の条件と申請時期

奨学金の返済猶予の申請方法|返還期限猶予の条件・年収の目安

奨学金の返済免除の条件|対象は死亡・障害・業績のみ、年収では不可

奨学金の繰り上げ返済|手続きの方法と得になる場合・注意点