赤字家計の立て直し方|借金返済中に固定費から見直す手順
赤字家計の立て直しは、①1か月の支出を「固定費」「変動費」「返済」の3つに分けて赤字の額を出す、②固定費を効果の大きい順(通信・保険・住居・車)に見直す、③変動費と返済の出し方を整える、④それでも赤字なら公的な家計相談や債務整理に切り替える、の順で進めます。食費から削り始めると我慢が続かず、数か月で元に戻りがちです。一度の手続きで毎月の支出が下がる固定費から手をつけるのが近道です。
赤字家計の立て直しは支出を3つに分けることから
まず、直近1か月の支出を、通帳・カードの明細・レシートから書き出し、次の3つに分けます。固定費は毎月ほぼ同じ額が出ていくもの、変動費は月によって増減するもの、返済は借入れへの支払いです。
| 区分 | 項目 | 毎月の額 |
|---|---|---|
| 固定費 | 家賃 | 72,000円 |
| 固定費 | 車(ローン・保険・駐車場・ガソリン) | 35,000円 |
| 固定費 | 通信(スマホ・自宅のネット) | 18,000円 |
| 固定費 | 保険 | 18,000円 |
| 固定費 | 動画・音楽などの定額サービス | 3,000円 |
| 変動費 | 食費 | 50,000円 |
| 変動費 | 電気・ガス・水道 | 15,000円 |
| 変動費 | 日用品・雑費 | 15,000円 |
| 返済 | カードローン・リボの約定返済 | 40,000円 |
| 合計 | 266,000円(赤字 26,000円) |
この例では、固定費が14万6千円、変動費が8万円、返済が4万円で、毎月2万6千円の赤字です(筆者の計算)。赤字の分はリボやキャッシングで埋めているはずなので、放っておくと返済額が毎月少しずつ増えていきます。年に1回の支出(自動車税・車検・保険の年払い・帰省など)は、年額を12で割って固定費に足しておくと、ボーナス月に慌てずに済みます。
毎月の記録の続け方は借金返済中の家計簿のつけ方にまとめています。
固定費を効果の大きい順に見直す手順
固定費は、①通信、②保険、③住居、④車の順に見直します。手続きの手間が小さく、生活の質を落としにくいものから進める順番です。
- 通信:契約中のプランの月額と、実際に使っているデータ量を明細で比べます。使う量より大きなプランや、使っていないオプション・端末の保証が付いていないかを見ます。乗り換えるときは、端末代の分割の残りと解約の条件を先に確かめます。
- 保険:保険証券を並べ、同じ保障が重なっていないかを見ます。会社員などで健康保険に入っている人には、病気やけがで働けないときの傷病手当金があります(健康保険法99条)。民間の保険の保障がこれと重なっていないかを確かめる材料になります。解約すると同じ条件で入り直せないことがあるので、解約の前に減額や特約の外しで足りないかを保険会社に聞きます。
- 住居:家賃は額が大きいぶん、効果も大きい項目です。ただし引っ越しには敷金・礼金・引っ越し代がかかるので、契約の更新の時期に合わせて、下がる家賃で引っ越し代を何か月で取り戻せるかを計算してから決めます。
- 車:ローン・保険・駐車場・ガソリン・税金・車検を合計した「車にかかる1か月の額」を出します。車がなくても暮らせる地域なら、手放すと固定費が大きく下がります。ローンが残っている車は、売るときにローン会社の承諾が要る契約もあるので、契約書の所有者の欄を先に見ます。
上の例で、仮に通信を8千円、保険を6千円、定額サービスを2千円下げられたとすると、毎月1万6千円の改善です。それでも1万円の赤字が残ります(筆者の計算)。
変動費と返済の出し方を整える
固定費の次に、変動費と返済の出し方を整えます。変動費は「削る」より「上限を決める」方が続きます。
- 食費と日用品は、週ごとの予算を決めて、その週の分だけを別の口座や財布に移す
- カード払いを減らし、使った額がすぐ見える払い方(デビットカード・現金)に寄せる
- ポイントやセールのための買い物をしない
返済は、すべての借入先に約定の額を払ったうえで、余った分を金利の高い借入れに上乗せするのが基本です。返済の順番の決め方と借入一覧の作り方は借金返済のコツ10項目を参考にしてください。
税金や年金の保険料が家計を圧迫しているなら、公的な制度も確かめます。国民年金の保険料には、所得に応じた免除や納付猶予の制度があります(日本年金機構)。国民健康保険の保険料にも、所得の少ない世帯の軽減や、災害など特別な事情があるときの減免・猶予があり、市区町村の窓口で扱っています。
見直しても赤字が埋まらないときの切り替え点
次のどれかに当てはまったら、支出を削る段階は終わりです。家計を外の目で見てもらうか、返済の条件そのものを変える方へ切り替えてください。
| 当てはまる状態 | 次の一手 |
|---|---|
| 固定費と変動費を見直しても、3か月続けて赤字 | 公的な家計相談で、収支の表を一緒に見直してもらう |
| 赤字を埋めるために、毎月どこかから借りている | 公的な窓口に相談するか、債務整理を比べ始める |
| 返済日に払えなかった月がある | 借入先に連絡し、返済日や返済額を相談する |
| 家賃・税金・公共料金も払えていない | 生活全般の相談窓口に、住まいと暮らしの支援を相談する |
公的な家計相談の中心は、生活困窮者自立支援制度の「家計改善支援」です(生活困窮者自立支援法3条)。厚生労働省の説明では、家計の状況を見える形にして支援の計画を作り、必要に応じて貸付けのあっせんなどにもつなぎます。窓口は住んでいる地域の自立相談支援機関で、制度の中身と使い方は生活費が足りないときの公的な相談先で説明しています。民間のファイナンシャルプランナーに相談する方法との違いは家計の相談はFPと公的窓口どちらかで比べています。
返済の負担を手続きで軽くする方法は、債務整理の種類の比較で全体を見られます。今月の生活費がすでに足りない人は、生活費が足りないときにまず確かめることを先に読んでください。
専業主婦で、自分の収入がなく生活費が足りない場合は、夫との話し方と使える窓口を専業主婦で生活費が足りないとき|夫との話し方と使える窓口で整理しています。
よくある質問
Q. 家計の立て直しは、貯金と返済のどちらを先にすべきですか?
急な出費のたびに借りてしまう状態なら、少額でも手元に残すお金を先に作る方が、借金が増える流れを止めやすくなります。そのうえで余った分を金利の高い借入れの返済に回します。手元に残す額の考え方は[借金返済と貯金はどちらを優先するか](/shakkin-hensai-chokin/)で扱っています。
Q. 固定費を見直しても月に数千円しか浮きません。意味はありますか?
固定費の見直しは一度の手続きで毎月続く効果があるので、月5千円でも1年で6万円になります。ただ、赤字の額に比べて浮く額が明らかに小さいなら、支出を削る段階は終わっていて、返済の条件そのものを見直す段階にいる合図です。この記事の最後の節の目安で判断してください。
Q. 夫婦の家計を立て直すときは、どちらの借金も一緒に書き出すべきですか?
家計の表には、二人の手取りと二人の返済をすべて書き出す方が、赤字の本当の大きさが分かります。ただし借金の名義は契約した本人のままで、書き出したからといって相手に返す義務が生じるわけではありません。話し合いの前に、それぞれの借入一覧を用意しておくと進めやすくなります。
出典・参考にした公的な情報
- 生活困窮者自立支援制度(厚生労働省)
- 生活困窮者自立支援法 第3条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 健康保険法 第99条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度(日本年金機構)
- 国民健康保険の保険料・保険税について(厚生労働省)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。