専業主婦で生活費が足りないとき|夫との話し方と使える窓口
この記事のもくじ
専業主婦で生活費が足りないときは、まず1か月に要る額を費目ごとの表にして、渡されている額との差を数字で夫に見せるのが出発点です。夫の収入はあるのに必要な生活費を渡されない、使い道を細かく詰められて渡されない状態が続くなら、それは家計の話し合いだけでは片づかない問題かもしれません。内閣府男女共同参画局はDVの形態の例として「生活費を渡さない」を挙げていて、DV相談+(プラス)で電話・チャット・メールの相談ができます。この記事では、足りない理由の見分け方、表の作り方、夫への伝え方の文例、話し合いで解決しないときの窓口を順に整理します。
生活費を渡されない、お金の使い道を責められる、外で働くことを止められるといった状態が続いているなら、先に相談できる窓口があります。内閣府のDV相談+は電話 0120-279-889(24時間)で、チャットは12時から22時まで受け付けています。命の危険を感じるときは110番に通報してください。
専業主婦の生活費が足りない理由を3つに分けて考える
「足りない」と一口に言っても、原因によって次の一手が変わります。最初に、自分の家がどれに近いかを見ます。
| 状態 | よくある様子 | 次の一手 |
|---|---|---|
| A. 世帯の収入そのものが足りない | 夫の手取りから固定費を引くと、食費や日用品に回る額がほとんど残らない | 夫婦で家計の表を見て固定費を見直す。赤字が続くなら公的な家計の相談へ |
| B. 収入はあるが渡される額が実際の支出に合っていない | 物価が上がっても何年も同じ額、子どもの成長で増えた費用が反映されていない | 費目ごとの表で差額を示し、金額の見直しを頼む |
| C. 必要な額を渡されない状態が続いている | 頼んでも理由なく減らされる、レシートを一枚ずつ責められる、働くことも止められる | 一人で抱えず、DV相談+などに相談する |
Aは夫婦がそろって「家計が苦しい」という同じ問題に向き合う話です。Bは情報の差の問題で、夫が今の物価や子どもの費用を知らないことが多く、数字を見せると動く場合があります。Cは、話し方を工夫しても変わらないことがある状態です。男女共同参画局の説明では、「生活費を渡さない」「外で働くなと言ったり、仕事を辞めさせたりする」が精神的な暴力の例に挙げられ、経済的な暴力と分類される場合もあると注記されています。
Cに近いと感じたら、表を作る前でも相談してかまいません。DV相談+は電話が24時間、チャットは昼から夜まで受け付けていて、内閣府の表示があります。お金を渡されない状態を相談先ごとに整理した記事は経済的DVで借金を強いられるときの相談先にまとめています。
1か月に要る生活費を費目ごとの表にする
話し合いでも相談でも、最初に役立つのは「何にいくら要るか」が一目で分かる表です。記憶で書かず、直近2〜3か月のレシート、通帳、カードの明細から拾います。
| 費目 | 実際の月平均 | 渡されている額で賄う分 | 差 |
|---|---|---|---|
| 食費(米・調味料を含む) | 62,000円 | 50,000円 | −12,000円 |
| 日用品・衛生用品 | 8,000円 | 5,000円 | −3,000円 |
| 子どもの学用品・給食費 | 9,500円 | 5,000円 | −4,500円 |
| 医療費・薬 | 4,000円 | 0円 | −4,000円 |
| 交際・冠婚葬祭(年額÷12) | 3,000円 | 0円 | −3,000円 |
| 合計 | 86,500円 | 60,000円 | −26,500円 |
| ※数字は作り方を示すための筆者の例。合計と差は検算済み。 |
作るときのコツは3つあります。1つ目は、毎月は出ない費用(冠婚葬祭、学校行事、季節の衣類)を年額で出して12で割ることです。これを入れないと、表の上では足りているのに毎年どこかの月で決まって赤字になる、という形が見えません。2つ目は、夫が直接払っている固定費(家賃、光熱費、通信費、保険)と、自分が渡されたお金で払う費目を分けることです。誰の財布から出ているかが分かると、「全部込みでこれだけ渡している」という食い違いが減ります。3つ目は、自分のための出費も遠慮せず書くことです。美容院や下着を削り続けて合わせている家計は、表の上で足りているように見えても長続きしません。
家計の見直し全体の手順は赤字家計の立て直し方、足りないときに借りる前に確かめることは生活費が足りないときにまず確かめることで扱っています。
夫に生活費の見直しを頼むときの話し方と文例
表ができたら、話す日と時間を決めて切り出します。夕食の支度中や夫が疲れて帰った直後は避け、10分ほど落ち着いて話せる時間を選びます。伝える順番は「事実→差額→お願い→一緒に決めたいこと」です。責める言葉から入ると、数字より感情の話になりやすいからです。
文例(切り出し):「家計のことで10分だけ相談したいんだけど、週末のどこかで時間をもらえる?」
文例(数字を見せる):「この3か月のレシートから、食費と日用品と子どもの学校の費用を書き出してみたの。毎月これくらいかかっていて、今もらっている額だと2万6千円くらい足りなくなってる。足りない分はこれまで私の独身時代の貯金から出していたけど、もう残りが少ないの。」
文例(お願いと選択肢):「金額を見直してもらえるか、難しければどの費目を削るか一緒に決めたい。食費は献立を工夫してあと5千円は下げられると思う。」
話し合いのあとは、決まったことを短く残します。メモアプリやノートに「何月から、いくら、どの費目を誰が払う」を書き、次の見直しの時期(例:子どもの進級の前)も決めておくと、同じ話を一から繰り返さずに済みます。
文例どおりに話しても、「お前のやりくりが下手なだけ」と一蹴される、話すたびに怒鳴られる、渡す額をさらに減らされる、ということもあります。その場合は話し方の問題ではないかもしれません。言い返して説得しようとするより、記録を残しながら外に相談する段階です。
- 渡された日と金額、頼んだ日と返ってきた言葉を、日付つきでメモする
- レシートや通帳の写真を、夫が見ない場所(自分だけが使う端末のアルバムなど)に残す
- 身の危険を感じるときは、記録より自分の安全を優先する
話し合いで変わらないときに使える仕組みと窓口
民法は、夫婦が互いに協力し扶助すること(752条)と、夫婦が資産・収入その他一切の事情を考えて「婚姻から生ずる費用」を分担すること(760条)を定めています。この婚姻から生ずる費用は婚姻費用と呼ばれ、話し合いがまとまらないときに家庭裁判所に申し立てる「婚姻費用の分担請求調停」という手続きがあります。裁判所の説明では、別居中の夫婦の間で分担の話がまとまらない場合の手続きとして案内され、調停委員が双方の資産・収入・支出などを聴いて解決案を示します。
ただ、この手続きを今の自分の状況で使うべきか、別居を考えるべきかは、家族の事情に深く関わる判断です。このサイトはその判断をしないので、相談先を目的別に並べます。
| 相談したいこと | 相談先 | できること |
|---|---|---|
| 生活費を渡されない、お金の使い道を支配される | DV相談+(内閣府)、DV相談ナビ(最寄りの配偶者暴力相談支援センターにつながる) | 今の状況を話して整理する、身の安全や次に使える窓口について聞く |
| 世帯の家計が赤字で、生活の立て直しを手伝ってほしい | 住んでいる地域の自立相談支援機関(家計改善支援) | 家計の見える化、支援計画の作成、関係機関へのつなぎ |
| 婚姻費用の調停や別居・離婚を考えたい | 弁護士、法テラス(日本司法支援センター) | 個別の事情に応じた法的な助言 |
| すでにカードや借入の返済も苦しい | 財務局の多重債務相談窓口、消費生活センター | 借金の整理の相談、専門家への橋渡し |
自立相談支援機関や家計改善支援の中身は生活費が足りないときの公的な相談先、借金の窓口の番号と受付時間は借金の公的な相談窓口と受付時間にまとめています。
足りない分を借りて埋める前に知っておきたいこと
不足分をカードローンやクレジットカードのキャッシングで埋めようと考える人もいます。貸金業法の総量規制では、借入の合計は原則として本人の年収の3分の1までです。収入のない専業主婦が貸金業者から借りる場合は、施行規則10条の23が定める例外として、配偶者と合わせた年収の3分の1以下で、配偶者の同意を得ることが条件になります。つまり「夫に知られずに貸金業者から借りる」道は、仕組みのうえで狭くなっています。
借りられたとしても、返すお金の出どころは結局、夫から渡される生活費です。毎月の不足が2〜3万円ある家計で借りると、翌月からは不足分に返済額と利息が上乗せされます。借りる前に次の3つを確かめます。
- 不足は一時的か(家電の故障など)、毎月続くものか。毎月続くなら、借りても埋まらない
- 夫と表を見ながら話したか。話していないなら、借りるより先に話す
- 公的な窓口に相談したか。家計改善支援では、必要に応じて公的な貸付のあっせんも行う
すでに借りた分の返済と、手元に残すお金のどちらを優先するかは、次の記事借金返済と貯金はどちらを優先するかで計算例とともに整理しています。
よくある質問
Q. 夫に内緒でカードローンを借りて生活費を埋めてもいいですか?
収入のない専業主婦が貸金業者から借りる場合は、配偶者と合わせた年収の3分の1以下で、配偶者の同意を得る仕組みになっています。内緒で借りる前提の方法は少なく、借りても返す原資は夫の収入です。先に家計の表を作り、夫と話すか、公的な窓口で家計を一緒に見てもらう方が負担が増えません。
Q. 生活費を渡さないのは経済的DVになりますか?
内閣府男女共同参画局は、DVの形態の例として「生活費を渡さない」を挙げています。個別の家庭に当てはまるかをこのサイトは判断しませんが、内閣府の表示があるDV相談+では、電話(24時間)・チャット・メールで今の状況を話せます。
Q. 夫の収入そのものが少なくて足りない場合はどうすればいいですか?
渡す額の問題ではなく世帯の収入が足りない場合は、夫婦で家計の表を見ながら固定費を削る順番を決め、それでも赤字なら住んでいる地域の自立相談支援機関に相談できます。家計改善支援では、家計の見える化と支援計画づくりを手伝ってもらえます。
出典・参考にした公的な情報
- 男女共同参画局「ドメスティック・バイオレンス(DV)とは」暴力の形態(内閣府男女共同参画局)
- 男女共同参画局 配偶者暴力相談支援センター(DV相談ナビ(内閣府男女共同参画局)
- DV相談プラス(内閣府。電話0120-279-889 24時間、チャット12時〜22時)(内閣府)
- 民法 第752条・第760条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 婚姻費用の分担請求調停(裁判所)
- 貸金業法施行規則 第10条の23(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 生活困窮者自立支援制度(厚生労働省)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。