家計の立て直しの相談はFPと公的窓口どちら?費用と相談内容の違い
家計の立て直しの相談先は、返済が苦しい・延滞があるなら公的な窓口が先、返済は回っていて家計全体を長い目で見直したいならFP、という分け方が基本です。財務局の多重債務相談窓口や日本クレジットカウンセリング協会は相談料がかからず、借金の整理の道筋まで一緒に考えます。自治体の家計改善支援は、家計の見える化から支援計画の作成までを手伝う公的な事業です。FPは教育費・住宅・老後まで含めた資金計画が得意ですが、借金の交渉はできず、無料の相談の中には保険の提案につながるものもあります。以下で、費用・相談できる内容・向いている人を比べ、選ぶ順番を整理します。
家計の立て直しの相談先を費用と内容で比べる
主な相談先を並べると、次のようになります。窓口の番号と受付時間は借金の公的な相談窓口と受付時間にまとめています。
| 相談先 | 費用 | 相談できること | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 財務局の多重債務相談窓口 | 相談無料 | 借金の状況の整理、助言、弁護士・司法書士など専門家への橋渡し | 複数の借入があり、返済が苦しい人 |
| 日本クレジットカウンセリング協会 | 電話相談・カウンセリングは無料 | 家計と生活、返済・整理の方法の相談。希望により任意整理と家計管理の改善を手伝う | 借金を整理しながら家計の管理も身につけたい人 |
| 自立相談支援機関(家計改善支援) | 自治体の事業。予約の電話で「相談料はかかりますか」と聞く | 家計の見える化、支援計画の作成、関係機関へのつなぎ、貸付のあっせん | 収入の減少や失業などで生活全体が苦しい人 |
| 消費生活センター(188) | 相談無料(通話料はかかる) | 契約トラブル、悪質な業者、借金の相談先の案内 | 業者とのトラブルが絡む人 |
| 有料のFP相談 | 事務所の料金表による | 収支の分析、教育費・住宅・老後を含む資金計画、保険の点検 | 返済は回っていて、将来の計画を立て直したい人 |
| 無料のFP相談 | 相談料なし(保険の提案を伴う場合あり) | 有料の相談に近いが、保険の見直しが中心になりやすい | 保険の見直しも検討している人 |
表の上の4つは、借金の返済が苦しい人のための窓口です。下の2つは、借金がない人や返済が落ち着いている人も含めて、家計全体の計画を考える相談先です。どちらに行くかは、「いまの返済が家計を壊しているか」で決めるのが分かりやすい基準です。
公的な窓口でできること
財務局の多重債務相談窓口は、住んでいる都道府県ごとに担当の財務局(財務事務所)が決まっています。金融庁の一覧(令和7年8月29日現在)で窓口を確かめられ、相談は無料です。財務局がするのは相談・助言と専門家への橋渡しで、業者との交渉を代わりにするわけではありません。
日本クレジットカウンセリング協会は公益財団法人で、多重債務の電話相談と面接のカウンセリングを無料で行っています。協会の案内では、電話相談で助言か適切な相談先の案内を受け、面接の予約をして来所する流れで、家計と生活、返済や整理の方法、司法手続きまで話し合います。希望すれば、任意整理と家計管理の改善を無料で手伝うとしています。
自立相談支援機関の家計改善支援は、生活困窮者自立支援制度の事業の一つです。厚生労働省は、家計状況の「見える化」と根本的な課題の把握、支援計画の作成、関係機関へのつなぎ、必要に応じた貸付のあっせんを行うと説明しています。仕事や住まいの相談と一緒に受けられるのが特徴です。制度の中身は生活費が足りないときの公的な相談先で詳しく扱っています。
公的な窓口に共通するのは、相談する側が商品を買う前提がないことです。返済が苦しいときは、家計の数字を誰かと一緒に見るだけでなく、任意整理などの手続きまで視野に入れる必要が出てきます。そこまでつなげられるのが公的な窓口の強みです。
FPに頼めること・頼めないこと
FP(ファイナンシャル・プランナー)には、国家検定の「ファイナンシャル・プランニング技能士」があります。厚生労働省の技能検定制度は133の職種(令和8年3月3日時点)を対象にしていて、ファイナンシャル・プランニングはその一つです。ほかに民間団体の認定資格もあり、相談する前にどの資格を持っているかを確かめると、相手の専門の範囲が分かります。
FPに頼めること・頼めないことを整理します。
| 頼めること | 頼めないこと(担当の資格) |
|---|---|
| 収入と支出の分析、費目ごとの予算づくり | 借金の減額や返済条件の交渉(弁護士・認定司法書士) |
| 教育費・住宅・老後を含めた長期の資金計画 | 自己破産や個人再生の申立ての代理(弁護士) |
| 保険の保障内容の点検 | 個別の税額の計算や申告の相談(税理士) |
| 繰り上げ返済と貯金の配分の考え方 | 個別の事件に当てはめた法律の判断(弁護士) |
借金の交渉は法律事務にあたり、弁護士法72条は弁護士以外が報酬を得る目的で扱うことを禁じています(認定司法書士は、個別の債権ごとの価額が140万円以下なら代理人として交渉できる)。また税理士法は、税務相談を含む税理士業務を税理士以外が行うことを禁じています(52条)。FPの相談は、こうした専門家に渡す前の「家計を数字で整える」段階で力を発揮します。
無料のFP相談を使う前に確かめること
相談料が無料のFP相談には、保険代理店が運営し、相談の中で保険の見直しや新しい保険の提案を受ける形のものがあります。それ自体が悪いわけではありませんが、借金の返済中に保険料の高い商品へ切り替えると、家計の立て直しと逆の方向に進みかねません。申し込む前に次の点を確かめます。
- 運営会社の会社概要に「保険代理店」の記載があるか
- 相談の時間・回数と、2回目以降に料金がかかるか
- 担当するFPの資格名
- 提案を受けても、その場で契約しなくてよいか
提案を断るときは、短くはっきり伝えます。
文例:「今日は家計の数字を整理するのが目的なので、保険の契約は考えていません。資料は持ち帰って家族と相談します。」
FPの相談を選ぶなら、返済が回っていることが前提です。広告の家計相談を使う場合も、上の4点を確かめてから申し込みます。
状況別:家計の立て直しの相談先を選ぶ順番
迷ったときは、次の順に当てはめます。
- 返済日に払えない月がある、借入が複数ある → 財務局の多重債務相談窓口か日本クレジットカウンセリング協会へ。返済の整理が先です。
- 収入が減った、仕事を失った、家賃が払えない → 住んでいる地域の自立相談支援機関へ。家計改善支援と住まいの支援を一緒に相談できます。
- 業者とのトラブルや、不審な勧誘がある → 消費生活センター(188)へ。
- 返済は回っていて、教育費や老後の計画を立て直したい → FPの相談へ。有料か無料か、運営会社を確かめて選びます。
どの窓口に行く場合も、直近3か月の家計の記録と借入の一覧を持っていくと、相談が具体的になります。記録の取り方は借金返済中の家計簿のつけ方、固定費から見直す手順は赤字家計の立て直し方で紹介しています。
よくある質問
Q. 無料のFP相談は本当にお金がかからないのですか?
相談料がかからないサービスでも、運営会社が保険代理店で、相談の中で保険の見直しや加入の提案を受ける形のものがあります。申し込む前に運営会社の会社概要と、提案を断れるかを確かめ、契約はその場で決めずに持ち帰ると安心です。
Q. FPに借金の減額を交渉してもらえますか?
貸金業者などとの借金の交渉は法律事務にあたり、弁護士法72条により弁護士以外が報酬を得る目的で扱うことはできません(認定司法書士は一定の範囲で可能)。FPに頼めるのは家計の分析や返済計画の考え方までで、交渉や債務整理は弁護士・司法書士の仕事です。
Q. 公的な窓口とFPの両方に相談してもいいですか?
かまいません。返済に困っているなら公的な窓口で借金の整理の道筋をつけ、返済が落ち着いてから教育費や老後の資金計画をFPに相談する、という順番にすると、それぞれの得意なところを使えます。
出典・参考にした公的な情報
- 技能検定制度について(ファイナンシャル・プランニングを含む133職種)(厚生労働省)
- 税理士法 第2条・第52条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 弁護士法 第72条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 多重債務相談窓口リーフレット2026(東京都版)(金融庁)
- 全国の財務局多重債務相談窓口(令和7年8月29日現在)(金融庁)
- 日本クレジットカウンセリング協会(電話相談・カウンセリングは無料)(公益財団法人日本クレジットカウンセリング協会)
- 生活困窮者自立支援制度(家計改善支援事業)(厚生労働省)
- 消費者ホットライン188(消費者庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。