自己破産の反省文の書き方|書く項目と文例・避けたい書き方
自己破産で「反省文」という名前の書類が、全国共通の必須書類として決まっているわけではありません。裁判所の案内を見ると、借金の経緯・原因・不相当な支出・今後の生活は、申立書に付ける陳述書の欄に書く内容になっています。そのうえで、浪費やギャンブルなどが理由のときに、裁判所・破産管財人・依頼した弁護士から、事情を書面にまとめるよう求められることがあります。この記事は、書く項目、3つの文例、避けたい書き方を順に示します。
反省文を求められる場面と、陳述書との関係
札幌地裁・千葉地裁・新潟地裁・秋田地裁・松江地裁の案内(本人申立て用の書き方や書類一覧)と、東京地裁民事第20部のよくある質問を見た範囲では、「反省文」という書類名は見当たりませんでした。代わりに、札幌地裁の陳述書の書き方は、次の事項を書くよう求めています。
- 借金をした理由(該当項目にチェックし、空欄に書き込む)
- 振り返ってみて、不必要または不相当だったと思う支出(事実を具体的に書く)
- クレジットカードで換金する目的の買い物をしたことがあるか
- 申立てに至るまでの事情(借入れの事情、債務が増えた経緯、返済の状況、支払不能を意識した状況)
- 免責不許可事由に当たる行為があるときは、その行為に至った経緯と、やむを得ない事情
反省文を求められるのは、主にこの最後の項目に関わる場面です。免責不許可事由には、浪費または賭博その他の射幸行為で著しく財産を減らしたり、過大な債務を負ったりしたこと(破産法252条1項4号)などがあります。事由に当たっても、裁判所は破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考えて、免責を許可できます(同条2項)。千葉地裁は、免責不許可事由があっても、事情しだいで裁判所の判断で免責を許可する場合があり、大切なのは、裁判所に本当の事実を明らかにすることだと書いています。
つまり反省文は、「気持ちを見せる書類」というより、「経緯と事実を、自分の言葉で整理した書面」です。浪費やギャンブルの借金でも免責の道があるかは、浪費やギャンブルの借金でも自己破産できるかと自己破産の免責不許可とはで説明しています。
書く5つの項目
札幌地裁の「書き方のポイント」に沿うと、次の5項目で組み立てると抜けがありません。
| 順 | 項目 | 書くこと | 元にする資料 |
|---|---|---|---|
| 1 | 借金のきっかけ | 最初の借入れの時期、そのころの生活・収入・家族の状況 | 債権者一覧表、取引履歴 |
| 2 | 借金が増えた原因 | 何に、いつ、いくら使ったか。浪費・ギャンブルなら、そのとおり書く | 通帳、カード明細 |
| 3 | 返済できなくなった経緯 | 返済のために借りるようになった時期、支払不能を意識した出来事 | 督促状、通帳 |
| 4 | 反省 | 自分のどの判断・行動が問題だったか。具体的に | 1〜3の事実 |
| 5 | 今後の生活 | 収入と家計の見通し、再発を防ぐ具体的な行動 | 家計表、相談先の記録 |
1〜3は、年表にして先に作ります。札幌地裁は、借入れの時期・理由・使い道を、債権者一覧表の取引開始時期と矛盾しないように書くよう求めています。通帳やカード明細から出来事を拾う方法は自己破産で通帳はどこまで調べられるかに載せています。4の反省は、「深く反省しています」の一言ではなく、1〜3の事実のうち何がいけなかったと考えるかを書きます。5は、できることだけを書きます。ギャンブルが原因なら、貸付自粛制度や依存症の相談先もあります(窓口はギャンブルの借金の相談先と貸付自粛制度にまとめます)。
文例
どの文例も、実際の事実に置き換えてください。 丸写しはしないでください。日付や金額は、陳述書・債権者一覧表の数字と合わせます。目安の長さはA4で1〜2枚です(筆者の目安で、決まりではありません)。
文例A(ギャンブルが主な原因):「私は、○年ごろからパチンコをするようになり、○年ごろからは給料日に生活費まで使うようになりました。足りない分はカードローンで借り、○社から合計約○万円を借りました。返済のためにまた借りる状態が○年続き、○年○月に返済ができなくなりました。借金の大部分はギャンブルに使ったもので、収入に見合わない使い方でした。家族に打ち明けられず、借入れを重ねたのは私の判断の誤りです。現在はパチンコ店に近づかず、給与の管理を○○に任せ、○○(相談先)に通っています。今後は毎月の家計表をつけ、収入の範囲で暮らします。」
文例B(買い物・浪費が主な原因):「私は、○年ごろから、ストレスの発散のために衣類や雑貨をクレジットカードで買うようになりました。月の支払いが収入の○割になっても買い物をやめられず、リボ払いの残高が増え、○年○月に返済が難しくなりました。必要のない買い物をしていたこと、残高を確かめずに使い続けたことが原因です。現在はカードを持たず、現金で買い物をし、家計簿で支出を確認しています。今後も収入の範囲で支出を決めます。」
文例C(生活費の不足が重なった場合):「私は、○年に収入が月○万円から○万円に減りましたが、支出を見直さず、不足分をカードローンで補いました。○年に病気で休職し、その間の生活費も借入れでまかない、返済のために借りる状態になりました。収入が減った時点で、早く相談しなかったことが借金を大きくしました。現在は○○の仕事で月○万円の収入があり、家計表で支出を管理しています。今後は、返済が苦しくなる前に相談します。」
文例Cのように、浪費ではない事情が中心のときは、病気や収入減などの事実を書くのは問題ありません。ただし、事実を書くことと、責任を他に押しつけることは別です。次の章で説明します。
避けたい書き方
- 事実と違うこと、事実を隠すこと:虚偽の債権者一覧表を出したり、裁判所の調査で説明を拒み虚偽の説明をしたりすることは、免責不許可事由です(破産法252条1項7号・8号)。裁判所が説明を求めた事項について、説明を拒み、または虚偽の説明をした債務者には、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の定めもあります(271条)。札幌地裁も、浪費やギャンブルの借入れを安易に「生活費」と書かないよう注意しています。
- 他人のせいにする書き方:会社・家族・貸金業者・景気のせいだけで終わる文は、自分の判断を見つめていないと読まれます。事情は事実として書き、そのうえで自分の判断のどこが問題だったかを書きます。
- 気持ちだけの文:「反省しています」「申し訳ありません」だけでは、経緯が伝わりません。時期・金額・行動を入れます。
- 数字や時期の食い違い:陳述書、債権者一覧表、通帳と合わない日付や金額があると、書面全体の信用が下がります。書く前に見比べます。
- 守れない約束:「二度とギャンブルをしません」と言い切るより、「パチンコ店に行かない」「給与の管理を家族に任せる」など、実行できる行動を書きます。
- 文例や他人の文章の写し:裁判所は、その人の事情を知りたいのであり、言い回しが整った文章を求めているわけではありません。
書き終えたら、依頼した弁護士・司法書士に見せ、陳述書との食い違いや、書きすぎた部分がないかを見てもらいます。手続の流れは自己破産の流れ|相談から免責許可の決定までで確かめられます。
よくある質問
Q. 自己破産の申立てで、反省文を出す決まりはありますか?
裁判所の案内を見た範囲では、「反省文」という名前の提出書類は、申立てに必要な書類として挙がっていません。陳述書に、借金の理由や、振り返って不相当だった支出を書く欄があり、その内容が実質の説明になります。反省文を出すかどうかは、裁判所・管財人・依頼した弁護士から求められたときに決まります。
Q. 反省文を書けば、免責が許可されますか?
書いた内容だけで結論が決まるわけではありません。免責の許可は、免責不許可事由の有無と、裁判所が一切の事情を考えて判断します。反省文は、その判断材料になる事実の説明のひとつです。事実と違うことを書けば、かえって免責不許可事由になります。
出典・参考にした公的な情報
- 破産法(第252条・第271条)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 破産・免責申立書の書き方と留意事項(令和6年1月版)(陳述書の書き方)(札幌地方裁判所)
- 破産・免責手続について(よくあるご質問)(免責不許可事由)(千葉地方裁判所)
- 自己破産申立について(説明と書き方)(令和3年2月改訂)(新潟地方裁判所)
- 個人破産申立添付書類一覧表(本人申立て用)(秋田地方裁判所)
- 破産事件 よくある質問(東京地方裁判所民事第20部)
- 破産・免責手続のあらまし(免責不許可事由)(松江地方裁判所)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。