家族のギャンブルの借金|肩代わりの前に知る相談先と貸付自粛制度
この記事のもくじ
ギャンブルの借金が見つかったときの順番は、①肩代わりを決める前に、依存症の相談窓口と借金の窓口の両方に相談する、②借入れが増えないよう本人に貸付自粛制度の申告を勧める、③家族自身も家族の会などで支えを得る、の3つです。金融庁のリーフレットは、ギャンブル等依存症の家族に「安易な肩代わりはやめましょう」と呼びかけています。治療に結びつかず、回復を妨げることがあるためです。
この記事は、借金を抱えた本人の家族に向けています。本人が自分の借金について調べているときは、パチンコの借金がやめられないとき|依存の相談先と返済の整理とギャンブル依存症と借金|治療・相談の窓口と回復の進め方が本人向けです。貸付自粛制度の条件は、この記事の表が正本です。
返済額を数える前に、家族が先に一人で抱え込まないことが大切です。借金の額や督促の状況から整理したいときは、借金の相談窓口はどこ?公的な窓口の番号・受付時間と選び方で番号を確かめられます。家族のあいだで「死にたい」という言葉が出ているときは、借金で死にたいと思ったとき|24時間つながる相談先と最初の一歩に24時間の相談先を載せています。
最初の1週間でやること:肩代わりの前の5手順
借金の発覚直後は、気持ちの整理がつかないまま「とにかく返して終わらせたい」と考えがちです。依存症対策全国センターの家族向けの説明は逆で、焦って借金を清算する必要はなく、事情を確認し、専門家に相談する時間はあるとしています。
- お金を渡さない・貸さない・払わない、をいったん保留にする。 肩代わりも、生活費の名目の援助も、決めるのは相談後です。
- 借入れの全体を一緒に書き出す。 借入先、残高、返済日、督促の有無を表にします。本人が嫌がるときは、分かる範囲で構いません。借入先が分からないときは、本人が信用情報を開示すれば確かめられます。方法は信用情報の開示のやり方|CIC・JICC・KSCの申込み方法と手数料にあります。
- 依存症の相談窓口に電話する。 保健所か精神保健福祉センターです(次の見出しで説明します)。本人が行かなくても、家族だけで相談できます。
- 借金の相談窓口に電話する。 財務局の多重債務相談窓口や、消費生活センターで、整理の進め方を聞けます。
- 本人に、貸付自粛制度の存在を伝える。 申告するかどうかは本人が決めます(後の見出しで説明します)。
| 困りごと | 最初に相談する窓口 | 窓口で聞けること |
|---|---|---|
| ギャンブルをやめられない・家族が疲れている | 保健所、精神保健福祉センター | 依存症の相談、専門医療機関や家族の会の紹介 |
| 借金の整理の進め方を知りたい | 財務局の多重債務相談窓口、消費生活センター | 債務整理の種類、弁護士・司法書士の探し方 |
| 費用が心配で専門家に頼みにくい | 法テラス | 条件を満たせば無料の法律相談 |
| これ以上借りてほしくない | 本人の貸付自粛の申告 | 日本貸金業協会か全国銀行個人信用情報センターに申告 |
| 家計が回らない | 市区町村の自立相談支援機関 | 家計改善支援、住居確保給付金など |
依存症の相談先:保健所・精神保健福祉センター・全国センター
厚生労働省は、「やめたくてもやめられない」状態を依存症という病気かもしれないと説明し、家族や知人がそうかもしれないと思ったら、1人で抱え込まず、保健所や精神保健福祉センターに相談するよう案内しています。家族は借金の尻ぬぐいに翻弄され、本人以上に疲れ切ることも多いとも書かれています。
| 窓口 | 特徴(厚生労働省の案内) |
|---|---|
| 保健所 | 電話や面談で、ギャンブル等依存症の家族の相談も受ける。希望すれば保健師の家庭訪問もある。面談や訪問は、事前に電話で予約するのがよい |
| 精神保健福祉センター | 都道府県と政令指定都市に1か所ずつ(東京都は3か所)。「こころの健康センター」などの名称もある。依存症の家族の相談を電話や面接で受ける。家族会を運営するところもあり、内容はセンターごとに違う |
| 依存症相談拠点・専門医療機関 | 依存症対策全国センターのサイトの検索ツールで探せる |
依存症対策全国センターは、国立病院機構久里浜医療センターが運営する全国の拠点です。専門の相談窓口や医療機関を、地域から探せます。受診の前に電話で、家族だけの相談でよいか、予約が要るかを聞いておくと迷いません。
本人が依存症かどうか、家族には判断できません。目安として、同センターは次のようなサインを挙げています。
- 帰宅が遅くなる、休日出勤が増える、嘘が増える
- 給料の額を明らかにしない、小遣いがすぐなくなる、お金の無心が増える
- 財布のお金や家の物が、知らないうちになくなっている
- 「やめる」と約束しても、しばらくすると再開する
いくつか当てはまっても「依存症だ」と決めつけず、専門の窓口に見てもらうのが近道です。
家族が肩代わりする前に知っておくこと
本人が借金で困っているのを見ると、肩代わりで終わらせたくなります。ただ、依存症対策全国センターは、ギャンブル依存症の場合、借金を清算してもギャンブル依存症に向き合わなければ再び借金を繰り返し、問題は悪化していくと説明しています。借金だけを消しても、原因が残るためです。そのため、周囲が安易に金銭的な援助をしないこと、専門家と相談して借金に取り組むことを勧めています。
判断の材料を整理します。
- 法律上の義務: 家族は、保証人や連帯保証人でない限り、本人の借金を当然には払う義務を負いません。保証人になっていれば、事情が変わります。
- 肩代わりの形: 一括で払うほか、毎月の援助や、家族名義での借入れも肩代わりの一種です。名義を貸す借入れは、後から家族自身の借金になります。
- 繰り返しの防止: 肩代わりするなら、専門家に相談したうえで、条件(相談に通う、貸付自粛を申告するなど)を本人と決めます。口約束だけでは守られないことがあります。
家族の借金の相談の入口は家族の借金は払う義務がある?発覚したときの確認と本人を相談につなぐ手順、繰り返す場合の対応は家族が借金を繰り返すとき|肩代わりをやめて相談につなぐ方法で説明しています。
貸付自粛制度:これ以上、借りられないようにする仕組み
貸付自粛制度は、本人が「自分は浪費の習癖があり、ギャンブル等依存症などで本人や家族の生活に支障が出るおそれがある」と申告すると、信用情報機関に貸付自粛の情報が登録される制度です。金融庁のリーフレットによると、日本貸金業協会か全国銀行個人信用情報センターのどちらかに申告すると、JICC、CIC、全国銀行個人信用情報センターの3つの信用情報機関に登録され、会員の銀行や貸金業者が審査で使います。
| 項目 | 内容(全国銀行協会の案内) |
|---|---|
| 申告できる人 | 原則として本人のみ。親権者・後見人などの法定代理人は可(一部)。配偶者や親族は、所在不明などの複数の要件を満たす場合のみ |
| 申告先 | 日本貸金業協会(Web受付あり)か全国銀行個人信用情報センター(郵送のみ)。どちらか一方に申告する |
| 登録される情報 | 氏名、性別、生年月日、住所、自宅または携帯の電話番号、勤務先名と電話番号 |
| 登録期間 | 申告日から5年を超えない期間 |
| 撤回 | 原則として申告日から3か月は撤回できない |
| 全国銀行個人信用情報センターへの郵送物 | 申告書と承諾事項、本人確認書類2種類、切手460円分 |
| 注意点 | 会員の与信判断を拘束するものではない(登録されても、貸さないと決まるわけではない) |
「登録すれば一切借りられなくなる」という制度ではありません。それでも、新しい借入れの審査で貸付自粛の情報が見られるため、衝動的に借りるハードルは上がります。登録期間と撤回の制限があるため、申告するときは、制度の内容を本人が十分に理解していることが前提です。問い合わせ先の番号は、全国銀行個人信用情報センターの案内ページで確かめられます。
貸付自粛は銀行や貸金業者の借入れを止める仕組みです。ヤミ金、SNSの個人間融資、後払い現金化には効きません。本人が追い込まれて、そちらへ向かうのを避けるため、SNSの個人間融資は危ない|給与ファクタリングの手口と相談先や後払いでお金を借りるのは危険?ツケ払い現金化がヤミ金にあたるおそれも家族で共有しておくと安心です。
本人への話し方と、家族自身の支え
依存症は本人が問題を否認しやすく、周囲からの働きかけが重要だと、依存症対策全国センターは説明しています。同時に、ギャンブルを強く責める指摘は、かえって本人を意固地にさせる場合があるとも注意しています。借金の悩みを聞いてもらう方向で、専門機関につなぐ話し方をします。
文例:「借金のことで責めたいわけじゃない。私も何が起きているのか知りたいし、どうしたらいいか分からなくて、先に相談に行ってきた。あなたの借金の悩みを一緒に聞いてもらえる場所があるから、一度だけ付き合ってもらえない?」
本人が動かないときは、家族が先に相談機関へ行くだけでも進展があると、同センターは書いています。
家族自身にも支えが要ります。依存症対策全国センターの自助グループ一覧には、ギャンブルの当事者向けの「ギャンブラーズ・アノニマス(GA)」と、家族向けの「ギャマノン」「全国ギャンブル依存症家族の会」「GAFA(ギャンブルに問題を持つ人の家族や友人のための会)」が載っています。電話番号や受付時間は団体ごとに違うため、一覧のページで最新の連絡先を確かめてください。
家族の自助グループは、同じ立場の家族が体験を語り合い、家族自身の回復を支える場です。専門機関と自助グループは、どちらが良いというものではなく、併用してもよいと、同センターは案内しています。相性もあるので、身近なところから試してみてください。
借金の整理は、並行して進める
依存症の相談と、借金の整理は、片方が終わってから始める必要はありません。借金が返せない額なら、弁護士や司法書士に債務整理を相談できます。種類と違いは債務整理の種類を比較|任意整理・個人再生・自己破産・特定調停の違いで説明しています。ギャンブルや浪費でできた借金でも、自己破産の申立て自体はできます。免責の判断には経緯が考慮されるので、浪費やギャンブルの借金でも自己破産できる?裁量免責の考え方も読んでください。
費用が心配なときは、法テラスの無料法律相談や費用の立替えが、条件を満たせば使えます。条件の詳細は借金が返せないとき法テラスでできること|無料相談と費用立替の流れにあります。
パチンコが原因ならパチンコの借金がやめられないとき|依存の相談先と返済の整理、治療や回復の進め方を知りたいときはギャンブル依存症と借金|治療・相談の窓口と回復の進め方を続けて読んでください。
よくある質問
Q. 家族のギャンブルの借金を、私が返す義務はありますか?
借りたのは本人なので、家族が保証人や連帯保証人になっていなければ、法律上当然に返す義務があるわけではありません。業者から家族に返済を求める連絡が来たときの対応は、家族の借金の記事で扱っています。義務がなくても、情にほだされて肩代わりしたくなるのが普通です。その前に、この記事の手順で専門の窓口に相談してください。
Q. 本人が相談に行かないと、家族は何もできませんか?
家族だけでも相談できます。金融庁のリーフレットは、依存症は医療・相談機関、借金の返済は都道府県・市区町村や財務局に相談するよう案内し、家族だけでの相談も可能としています。保健所や精神保健福祉センターは、ギャンブル等依存症の家族の相談を受けています。
Q. 貸付自粛を家族が代わりに申告できますか?
申告できるのは原則として本人だけです。法定代理人(親権者や後見人など)は申告できる場合があり、配偶者や二親等内の親族などは、所在不明など複数の要件を満たす場合に限られます。家族が勝手に手続きできる制度ではないと考えておいてください。
出典・参考にした公的な情報
- 多重債務相談窓口リーフレット2026(東京都版)(金融庁)
- 依存症対策(相談機関等)(厚生労働省)
- 身近な人がギャンブル依存症なのでは?と心配な方へ(依存症対策全国センター)
- ギャンブル依存症の症状とサイン(依存症対策全国センター)
- 自助グループのご紹介(依存症対策全国センター)
- 全国の相談窓口・医療機関を探す(依存症対策全国センター)
- 貸付自粛制度のご案内(全国銀行協会(全国銀行個人信用情報センター))
- 全国の財務局多重債務相談窓口(令和7年8月29日現在)(金融庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。