家族の借金と保証人・相続 / 基本ガイド

家族の借金は払う義務がある?発覚したときの確認と本人を相談につなぐ手順

この記事のもくじ
  1. 家族に払う義務があるかどうか|早見表
  2. 例外にあたる場合を1つずつ確かめる
  3. 業者から家族に連絡が来たとき
  4. 責めずに全体を聞く|本人への質問リスト
  5. 本人を相談につなぐ順番
  6. 肩代わりの前に|家族の状況別に読む記事一覧

家族の借金が分かっても、借金を返す義務を負うのは、契約した本人です。 自分が保証人・連帯保証人・連帯債務者になっていなければ、家族というだけで返済の義務は生まれません。例外になるのは、自分が保証や連帯債務の契約をしている場合、夫婦の日常の家事に関する債務(民法761条)の場合、そして本人が亡くなって借金を相続する場合です。まず自分がどれに当てはまるかを確かめ、そのうえで本人を相談につなぐ、という順番で進めます。

家族に払う義務があるかどうか|早見表

払う義務の有無は、家族との関係では決まらず、契約書に自分がどう関わっているかで決まります。次の表で、いまの自分の立場を探してください。

早見表:家族の借金で自分に払う義務があるか
自分の立場 払う義務 確かめる場所
契約していない家族(親・子・きょうだい・配偶者) なし 契約書の借主欄に自分の名前がない
保証人・連帯保証人として署名した あり 保証契約の書面(書面がなければ保証は効力を生じない:446条2項)
連帯債務者として一緒に借りた(ペアローンなど) あり 契約書の借主欄に自分の名前がある
夫婦で、日常の家事のための借入れ 連帯して責任を負う場合がある 借りた目的(生活費か、個人の遊興か)
本人が亡くなり、相続人になった 借金も引き継ぐ(放棄すれば引き継がない) 自分が相続人になったと知った時から3か月以内に家庭裁判所へ
親子・きょうだいで扶養の関係にある 借金の返済義務はなし 扶養義務(877条)は借金を肩代わりする義務ではない

「家族だから」「同居しているから」「生活費を出してもらっているから」といった事情は、表のどこにも入りません。業者から「家族なら払ってほしい」と言われても、この表の例外に当たらなければ、断ってかまいません。

例外にあたる場合を1つずつ確かめる

表の例外は、それぞれ確かめ方が違います。順に見ていきます。

保証人・連帯保証人 保証は書面でしなければ効力を生じません(446条2項)。署名や押印をした覚えがあるなら、契約書の控えを探します。連帯保証人は、「まず本人に請求してほしい」と求める権利がなく(454条)、いきなり全額を請求されることがあります。個人の保証人には、本人が分割払いの約束を失った(期限の利益を喪失した)ことを、債権者が知った時から2か月以内に通知する決まりがあります(458条の3)。そうした通知が届いたら、保証人として扱われているしるしです(2020年4月1日より前に結んだ保証契約には、この通知の決まりがありません)。詳しくは連帯保証人とは?保証人との違いと借金を代わりに払う範囲で説明しています。

連帯債務者 住宅ローンのペアローンのように、夫婦や親子が同じ借入れの借主として署名していると、それぞれが債務者です。保証人ではなく、借主として請求を受けます。

夫婦の日常家事債務 民法761条は、夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたとき、他方も連帯して責任を負うと定めています。ただし、第三者に対して責任を負わない旨を前もって伝えていた場合は別です。何が「日常の家事」かは条文に書かれていません。食費・家賃・子どもの教育費などが典型とされる一方、個人の遊興や趣味のための借入れは範囲に入りにくい、という考え方が一般的です。範囲の考え方は夫婦の借金は連帯責任?日常家事債務の範囲と払わなくてよい借金にまとめました。

相続 借金も相続の対象です(896条)。親が生きている間は、子に返済義務はありません。亡くなった後に借金が見つかったときは、自分のために相続が始まったと知った時から3か月以内に、相続するか放棄するかを決めます(915条)。放棄は家庭裁判所への申述で行います(938条)。期限と手続きは借金の相続放棄|3か月の期限と手続きの流れ・してはいけないことで、親の借金の全体像は親の借金は子供が払う義務がある?生きている間と死後の違いで扱っています。

業者から家族に連絡が来たとき

貸金業者が、借りた本人や保証人以外の家族に、代わりに払うよう求めることは、貸金業法21条1項7号で禁じられています。本人の居場所や連絡先を教えるよう、断っているのに求め続けることも禁止です(同項8号)。保証人は「債務者等」に含まれるため、この保護の外にいます。

連絡が来たら、その場で払う約束をしないでください。会社名・担当者名・どの契約の話かを聞き、契約書に自分の名前がないことを伝えるのが基本です。家族への取り立ての対応は借金で家族に取り立てが来たら?払う義務の有無と業者への伝え方に、文例つきでまとめています。取り立てそのものが怖いときは取り立てが怖いとき|法律で禁止されている取立てと連絡先の一覧を先に読んでください。

責めずに全体を聞く|本人への質問リスト

家族の借金は、最初に聞かされた額が全部ではないことが少なくありません。問い詰めると隠されやすいので、「助けるために全体を知りたい」と前置きして、次の順に聞きます。一度に全部聞く必要はなく、答えられた分だけで構いません。

  1. 借入れ先はどこか、何社か(銀行・消費者金融・クレジットカード・リボ払い・個人間の借り入れ)
  2. 残高はいくらで、毎月いくら返しているか
  3. 返済が遅れているものはあるか、督促状や電話は来ているか
  4. いつ頃から、何のために借りたのか(生活費・ローンの返済・ギャンブル・買い物・事業)
  5. 保証人や担保になっている人はいるか(自分や親を含む)
  6. 借金以外の滞納(税金・国民健康保険・家賃・携帯代)はあるか
  7. 収入はいくらで、貯金はあるか
  8. 誰かに相談したことはあるか、すでに弁護士や司法書士に依頼していないか

本人が答えにくいときは、届いている郵便物や通帳、カード明細を一緒に並べて整理する方法があります。本人の同意なしに家族が信用情報を調べることには制限があります。調べる方法は家族の借金を調べる方法|本人の同意が必要な開示と確かめ方にまとめました。

本人を相談につなぐ順番

弁護士・司法書士への依頼は、借金の当事者である本人が契約するのが基本です。家族にできるのは、本人が動けるように支えることです。次の順で進めると、止まりにくくなります。

  1. 全体を書き出す:上の質問リストで聞けた内容を、借入先・残高・毎月の返済額の一覧にする。作り方は借金の相談に持っていく書類と準備|借入一覧と家計表の作り方
  2. 公的な窓口を選ぶ:財務局の多重債務相談窓口、消費生活センター、法テラスなど。番号と受付時間は借金の相談窓口はどこ?公的な窓口の番号・受付時間と選び方
  3. 本人に予約してもらう:予約の電話は本人がかけるのが基本。同行や書類集めは家族が手伝う
  4. 方針が決まったら、費用を書面で確かめる:任意整理・個人再生・自己破産など。違いは債務整理の種類を比較|任意整理・個人再生・自己破産・特定調停の違い
  5. 家計を守る:返済が整うまでの間、家計の口座やカードを分ける

本人が相談を拒んだり、連絡が取れなかったりするときは、家族だけで窓口に相談する道もあります。関東財務局のページは、ご家族など本人以外からの相談も受け付けていると案内しており、相談は無料です(他の財務局の扱いは窓口ごとに電話で聞いてください)。家族が窓口でできること、できないことは夫の借金を相談できる窓口|妻だけで相談するときの準備にあります。

借金の整理を依頼するなら、本人が弁護士か認定司法書士に頼む、という選択肢があります。選ぶときは、登録の確認、費用の総額が分かる書面、面談の有無、手続きの不利益(信用情報への登録など)の説明があるかを確かめます。弁護士と司法書士の線引きは債務整理は弁護士と司法書士どっち?140万円の線と選ぶときの確認点で説明しています。

肩代わりの前に|家族の状況別に読む記事一覧

家族のだれが、どんな借金をしたかで、次に読む記事が変わります。自分の状況に近い行から入ってください。

ギャンブル等へののめり込みが原因のときは、家族だけでも保健所や精神保健福祉センターなどの専門機関に相談できます。金融庁のリーフレットは、本人が回復の必要性に気づくまで時間がかかるため、周囲の人が先に相談して適切な支え方を知ることを勧めています。入口はギャンブルの借金と家族です。肩代わりは、治療や相談につながるきっかけを失わせることもあるため、慎重に考えます。肩代わりを考えるときも、まず全体を知り、本人が相談に動く約束を取ってからにします。

よくある質問

Q. 家族の借金を知ってしまったら、まず何をすればよいですか?

最初にすることは、払うことではなく、全体を知ることです。借入れ先の数、残高、返済が遅れているかどうかを、責めずに本人から聞きます。そのうえで、契約書に自分の署名がないかを確かめ、本人が財務局や弁護士・司法書士に相談できるよう予約や書類集めを手伝います。

Q. 家族が借金を返せなくなったら、自分の財産が差し押さえられますか?

差押えの対象は、借金の債務者本人の財産です。家族であっても、保証人や連帯債務者になっていなければ、自分の給料や預金が債権者から請求の対象になる根拠はありません。保証人などになっている場合は、自分自身が債務者として請求されます。

Q. 家族の借金を肩代わりしたほうがよいのでしょうか?

義務がないのに急いで肩代わりする必要はありません。事情を聞く前に払うと、借金の全体が見えないまま、同じことが繰り返されるおそれがあります。金融庁のリーフレットも、ギャンブル等へののめり込みによる借金では安易な肩代わりをやめるよう呼びかけています。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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