連帯保証人とは?保証人との違いと借金を代わりに払う範囲
連帯保証人は、借りた本人(主たる債務者)が払えないとき、債権者から借金の全額を請求される立場の保証人です。「まず本人に請求して」と言えず、「財産がある本人から先に取って」とも言えません。ふつうの保証人にある防御の権利が、連帯保証人にはありません(民法454条)。ここでは保証人との違いを表で示し、請求される範囲と、引き受ける前に確かめることを順に説明します。
連帯保証人と保証人の違い
保証人は、主たる債務者が債務を履行しないときに、その履行をする責任を負います(民法446条1項)。連帯保証人はその責任が重くなるのが特徴で、次の3点が主な違いです。
| 保証人 | 連帯保証人 | |
|---|---|---|
| 催告の抗弁(まず主たる債務者に請求して、と言えるか) | あり(452条)。主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたときや行方不明のときを除く | なし(454条) |
| 検索の抗弁(本人に資力があり執行が容易だと証明して、先に本人の財産から取るよう求められるか) | あり(453条) | なし(454条) |
| 分別の利益(複数の保証人で頭割りになるか) | あり。数人の保証人には427条が適用され、等しい割合になる(456条) | 一般に、ないとされる |
| 請求を受けたときの対応 | 「まず本人に請求して」と求められる | 求められず、全額の請求を受けうる |
数字で考えると差が分かります(筆者の計算で、利息や遅延損害金は入れていません)。本人の残りの借金が600万円で、保証人が2人いるとします。
- 2人とも保証人(連帯がない): 分別の利益があるため、1人あたり300万円ずつの負担になります。
- 2人とも連帯保証人: 分別の利益がないため、債権者はどちらにも600万円の全額を請求できます。1人が全額を払えば、その分、債権者への債務は消えます。
この違いは契約書の「連帯して保証する」という文言で決まります。署名する前に、書面のどこに書いてあるかを確かめます。
分別の利益について、日本学生支援機構(JASSO)の第一種奨学金の人的保証では、連帯保証人は本人の未済額の全額を負担し、保証人は(連帯保証人1名・保証人1名の場合)2分の1を負担するという扱いです。法律の文言が直接そう書いているわけではなく、連帯保証人に分別の利益がないのは解釈によるものです。
また、連帯保証人に請求しても、主たる債務者への請求にはなりません。連帯保証人について生じた事由は、更改・相殺の援用・混同を除いて、主たる債務者に及ばないのが原則です(458条が準用する438条から441条)。逆に、主たる債務者に対する請求などによる時効の完成猶予や更新は、保証人にも効力が及びます(457条1項)。
借金を代わりに払う範囲
連帯保証人が代わりに払う範囲は、主たる債務の元本だけではありません。
- 元本。 借りた残額の全部です。
- 利息・違約金・損害賠償その他の従たるもの。 保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを含みます(447条1項)。遅れたときの遅延損害金も、ここに入る可能性があります。
- 上限。 保証人の負担が主たる債務より重いときは、主たる債務の限度に減ります(448条1項)。主たる債務が契約のあとで重くなっても、保証人の負担は重くなりません(同条2項)。
払うかどうかを判断するときに役立つ、2020年4月1日以降の保証契約に設けられた情報提供の規定が2つあります。
- 主たる債務の履行状況の情報(458条の2)。 主たる債務者の委託を受けて保証した保証人が請求すると、債権者は、元本と利息などの不履行の有無、残額、弁済期が来ている額を、遅滞なく知らせなければなりません。
- 期限の利益を失ったときの通知(458条の3)。 主たる債務者が分割払いなどの期限の利益を失ったとき、債権者は、個人の保証人にそれを知った時から2か月以内に通知する義務があります。通知がないと、期限の利益を失った時から通知までに生じた遅延損害金(期限の利益を失わなくても生じたはずの分を除く)は、保証人に請求できません。
古い保証契約には、新しい規定が適用されない場合があります。契約を結んだ日が2020年4月1日より前かどうかを、保証契約書で確かめます。
払ったあと・払えないときはどうなるか
連帯保証人が払ったあとは、主たる債務者に対して、払った額を求償できます。主たる債務者の委託を受けて保証したときは、払った額の求償権が認められます(459条1項)。ただし、求償できても実際に回収できるとは限りません。
主たる債務者が自己破産して免責を受けても、債権者が保証人に対して持つ権利には影響しません(破産法253条2項)。その場合、請求は連帯保証人へ向かいます。時効については、保証人も自分で時効を援用できます(民法145条)。
請求が届いたときの確認の順序は連帯保証人として訴えられた・請求が来たら|払う前に確かめることに、払えないときの選択肢は連帯保証人が払えないとき|保証人の債務整理と自己破産に書きました。債務整理が保証人に与える影響は債務整理すると保証人はどうなる?請求が保証人に行く仕組みでも整理できます。
連帯保証人を引き受ける前に確かめること
連帯保証人になるメリットは、法律上はありません(引き受ける側に利益が与えられる規定がない、という意味です)。頼む側が借りやすくなる仕組みなので、断るのも、条件を付けるのも自由です。引き受ける前の確認は、次のとおりです。
- 書面でするか。 保証契約は書面(電磁的記録を含む)でしなければ、効力が生じません(446条2項・3項)。
- 主たる債務の中身。 金額、利率、返済期間、返済の見通し。主たる債務者に、収支や他の借入を聞いて確認します。
- 極度額の定めがあるか。 継続的な取引や賃貸借の保証(根保証)で保証人が個人のとき、極度額を定めなければ効力が生じません(465条の2第2項)。詳しくは連帯保証人の極度額とは?2020年の民法改正で決まった上限にあります。賃貸の場合は賃貸の連帯保証人の責任|家賃滞納の請求で払う範囲と請求書の確かめ方です。
- 事業のための借入の保証か。 事業のための貸金等債務の保証は、契約日の前1か月以内に作った公正証書で、保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ効力が生じません。ただし、主債務者の取締役や共同事業者などは適用されません(465条の6、465条の9)。
- 親が連帯保証人を頼まれた場合。 奨学金(JASSO第一種奨学金の人的保証)の連帯保証人は、原則として父母とされています。JASSOには人的保証のほかに機関保証制度を選ぶ方法もあるため、費用のかかり方を含めて、申込みの前にJASSOの案内で確かめます。
すでに引き受けた人が外れたいとき、勝手に名前を使われたとき、亡くなった親が保証人だったときは、連帯保証人の解除はできる?外れられる場合と話し合いの方法、勝手に連帯保証人にされていたら|署名していない保証の扱い、連帯保証人の立場は相続される?亡くなった親が保証人だった場合を読みます。
よくある質問
Q. 連帯保証人になると、借りた本人と同じだけ払うのですか?
債権者が連帯保証人に請求できるのは、主たる債務の元本に加えて、利息・違約金・損害賠償などの従たるものも含みます(民法447条1項)。保証人の負担が主たる債務より重くなることはなく、重い部分は主たる債務の限度に減ります(448条1項)。
Q. 連帯保証人になるメリットはありますか?
民法には、連帯保証人になる側に与えられる利益は定められていません。メリットを受けるのは、保証人がつくことで借りやすくなる主たる債務者と、回収の見込みが上がる債権者です。引き受けるかは、返済の責任を負う覚悟と、頼んだ人の返済の見通しで判断します。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第446条・第447条・第448条・第452条〜第454条・第456条・第457条・第458条の2・第458条の3・第459条・第465条の2・第465条の6(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 破産法 第253条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 人的保証(連帯保証人・保証人)(日本学生支援機構)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。