連帯保証人が払えないとき|保証人の債務整理と自己破産
連帯保証人として請求された額が払えないとき、保証人自身が任意整理・個人再生・自己破産を使うことは、できます。保証債務も借金の一つで、破産手続の開始の原因は「支払不能」です(破産法15条1項)。保証人であること自体は、手続きを使えない理由にも、免責の妨げにもなりません。主債務者が自己破産した場合の保証人の扱いは自己破産すると連帯保証人はどうなる?請求の流れと話し合い方で説明しており、ここは保証人自身が払えない場合を扱います。保証人が選べる手続き、主債務者(借主)と一緒に考える方法、保証人の自己破産で家族に起きることを順に整理します。
保証人が使える3つの手続きと、保証債務の扱い
保証人が負う債務は、本人のほかの借金と同じ扱いで、手続きの対象に入ります。主な違いは、手続きの種類ごとに表で確かめられます。
| 手続き | 使える条件 | 保証債務の扱い | 注意 |
|---|---|---|---|
| 任意整理 | 債権者と交渉して分割払いなどを決める。収入があり、決めた分を払えること | 債権者ごとに交渉する。保証債務も対象にできる | 債権者が応じるかは相手次第。受任通知で督促が止まる仕組みは債務整理の受任通知とは?督促が止まる仕組みと止まらない支払いで確認できます |
| 個人再生 | 将来継続して収入を得る見込みがあり、再生債権の総額が5,000万円(住宅ローン等を除く)を超えないこと(民事再生法221条1項) | 再生手続開始前の原因に基づく請求権として、再生債権に入る(84条1項) | 借金の額に応じた最低の返済額があります。主債務者に対する債権者の権利は、保証人の再生手続の対象に入らず、そのまま残ります |
| 自己破産 | 支払不能であること(破産法15条1項) | 破産債権として扱われ、免責が確定すれば責任を免れる(253条1項) | 保証債務は、免責されない請求権の一覧(253条1項)に入っていません |
どの手続きが合うかは、収入、財産、借金の総額で変わります。自己破産は、保証したことだけでなく、本人のほかの借金やこれまでの返し方も合わせて、裁判所が免責を判断します。浪費や賭け事で債務が増えた場合、特定の債権者だけに返した場合などは免責不許可事由にあたることがあります(破産法252条1項)。個人再生の返済額の計算は個人再生の最低弁済額の早見表|借金額ごとの返済総額と計算の仕方にあります。
払う前に確かめることは、請求書と保証契約書の中身です。保証の範囲や、極度額があるときの上限は連帯保証人として訴えられた・請求が来たら|払う前に確かめることから順に見直せます。
主債務者と一緒に手続きを考える方法
保証した借金は、借主の状況で保証人への請求の形が変わります。借主が自分の借金を整理するときの、保証人への影響を表にします。
| 借主の手続き | 保証人への影響 | 詳しい説明 |
|---|---|---|
| 任意整理 | 保証人付きの借金を対象にするかを選べる。対象にすると保証人に請求が向かう場合がある | 保証人がいる借金を任意整理するとどうなる?外すかの判断材料 |
| 個人再生 | 再生計画は、債権者が保証人に対して持つ権利に影響しない(民事再生法177条2項)。減額された額に関係なく、保証人へは全額が請求されることがある | 債務整理すると保証人はどうなる?請求が保証人に行く仕組み |
| 自己破産 | 免責されても、保証人への請求は残る(破産法253条2項) | 自己破産すると連帯保証人はどうなる?請求の流れと話し合い方 |
借主が手続きを進めているなら、保証人は「いつ請求が自分に来るか」を借主から聞いておきます。借主が連絡を取らないときは、債権者に直接状況を尋ねます。
二人とも払えない状態なら、手続きを同時期に考える意味があります。破産法5条7項は、相互に主たる債務者と保証人の関係にある個人のうち一人について破産事件が係属しているときは、もう一人の破産の申立ても、その地方裁判所にできると定めています(裁判所のQ&Aも、主債務者と保証人は住所が違っても同じ地方裁判所に申し立てられると説明しています)。二人の手続きを同じ裁判所で進める選択肢があるということです。同じ弁護士や司法書士に二人とも頼めるかは、借主と保証人で利害が重なる場面と対立する場面があるため、依頼先に最初の面談で尋ねてください。
保証人が先に一部だけ払うことにも注意が要ります。保証人が払うと、借主に払った分を請求できる権利(求償権)が生まれます(民法459条1項)。ただ借主が自己破産をしていると、その請求は回収しにくくなります。また、保証人自身が自己破産を考えているなら、手続きの前に特定の債権者にだけ返すと、あとで破産管財人に否認されたり、免責不許可事由(破産法252条1項3号)にあたったりすることがあります。払う前に、依頼先に相談してください。
保証人が自己破産するとき、家族に起きること
保証人が自己破産をしても、同居の家族の財産は対象になりません。対象になるのは、破産手続開始の時に破産者が持っている財産です(破産法34条1項)。家族の名義の財産や、家族自身の信用情報は、そのままです。家族への影響を項目ごとに確かめたいときは、自己破産の家族への影響は?配偶者・子どもの生活と信用情報にまとめています。
保証人の自己破産で、家族に関係しやすい点は次のとおりです。
- 保証人の持ち家や預貯金(保証人名義のもの)は、手続きの対象になる。家を残す方法は個人再生の住宅資金特別条項
- 保証人自身の借金に、家族が保証人や連帯保証人になっているときは、免責されても家族への請求が残る(破産法253条2項)
- 保証人になったという事実は、クレジット契約の相手がCICの会員で、保証人としての審査をして契約した場合に、CICに登録される(CICのFAQ)。債務整理をした記録が載る期間はブラックリストの期間の早見表|延滞・債務整理・破産ごとの年数で確認できます
- 根保証(賃貸などで、不特定の債務を保証する契約)の保証人が破産手続開始の決定を受けると、その時点で元本が確定する(民法465条の4第1項2号)。以後、借主が新しく負う債務は、保証の対象に入らない
家族には、請求書が届く前に伝えておく方が、あとの混乱が小さくなります。同居の家族がいる場合の書類の準備や、家族に知られる経路は、上の記事で整理しています。
弁護士に相談するときに確かめること
保証人本人の債務整理は、保証した借金だけでなく、ほかの借金や収入、財産もまとめて見て決めます。弁護士に依頼する選択肢があります。面談では、次の点を尋ねてください。
- 保証した借金を含めて、どの手続きが自分に向いているか
- 借主の手続きと時期を合わせたほうがよいか(二人の依頼を受けられるか)
- 手続きにかかる費用の総額と、支払い方法を書いた見積書
- 費用が払えないときの法テラス(日本司法支援センター)の使い方
裁判所に納める費用の一部は決まっています。自己破産は申立ての手数料が収入印紙1,000円、免責の申立てが500円で、個人再生は1万円です(民事訴訟費用等に関する法律の別表)。このほかに郵便料と官報公告の費用などがかかり、額は裁判所によって違います。弁護士費用の内訳は自己破産の費用はいくら?裁判所の費用と弁護士費用の内訳で確かめられます。法テラスの無料相談と費用の立替えは借金が返せないとき法テラスでできること|無料相談と費用立替の流れにあります。弁護士と司法書士のどちらに頼めるかは債務整理は弁護士と司法書士どっち?140万円の線と選ぶときの確認点で説明しています。
保証した借金を含めて自己破産・個人再生を検討するなら、債務整理を扱う弁護士に相談する選択肢があります。
よくある質問
Q. 保証人の私だけが自己破産して、借主はそのままでもよいのですか?
保証人が免責を受けても、債権者が借主(主債務者)に請求する権利は残ります。破産法253条2項は、免責許可の決定は債権者が破産者と共に債務を負担する者に対して持つ権利に影響しないと定めています。借主は、自分の借金の返済を続けなければなりません。借主と保証人の双方が返せない状態なら、二人の手続きを一緒に相談する価値があります。
Q. 保証人が自己破産すると、持ち家はどうなりますか?
破産手続開始の時に持っている財産は、原則として破産財団になり、売却して債権者への配当に充てられます(破産法34条1項)。家を残したいときは、個人再生の住宅資金特別条項が選択肢になります(民事再生法196条以下)。条件があるので、[個人再生で住宅ローンを払い続ける特則|家を残す条件と流れ](/saisei-jutaku-loan/)で確かめてください。
Q. 保証したことが、自己破産の免責の妨げになりますか?
保証人になったこと自体は、免責不許可事由の一覧(破産法252条1項1〜11号)に入っていません。免責が許可されるかは、浪費やギャンブル、特定の債権者だけに返す行為など、ほかの事情で判断されます。手続きに至った経緯は申立てで説明する事項で、裁判所は経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することもできます(同条2項)。
出典・参考にした公的な情報
- 破産法 第5条・第15条・第34条・第252条・第253条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民事再生法 第84条・第177条・第196条・第221条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民法 第459条・第465条の4(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民事訴訟費用等に関する法律 別表第一(手数料の額)(デジタル庁)
- 破産・再生の申立てに関するQ&A(申立先・手数料・書類)(裁判所)
- 他人のクレジット契約の保証人になりましたが、その事実はCICに登録されますか?(株式会社シー・アイ・シー(CIC))
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。