自己破産の費用はいくら?裁判所の費用と弁護士費用の内訳
自己破産の費用は、裁判所に納める分と、弁護士・司法書士に払う分の2つに分かれます。東京地裁の令和8年1月1日現在の公表額では、裁判所に納める合計は、管財人を選ばない同時廃止で約2万円、管財事件で20万円台前半です。弁護士費用は事務所ごとに違うため、公的な統計はなく、見積書で確かめる項目を知っておくのが先です。この記事では、2つの費用の中身を表にし、総額の組み立て方まで説明します。
裁判所に納める費用の内訳(東京地裁の公表額)
裁判所に納める費用は、収入印紙(申立手数料)、予納郵券(郵便切手)、予納金の3つです。予納金は、官報に載せる費用と、管財事件では破産管財人を選ぶための費用にあたります。裁判所のQ&Aは、予納金の額は裁判所ごとに違うので、申立先の裁判所に確かめるよう案内しています。
東京地裁民事第20部の「破産事件の手続費用一覧(令和8年1月1日現在)」から、個人の自己破産の分を表にします。
| 項目 | 同時廃止事件 | 管財事件 |
|---|---|---|
| 収入印紙(破産・免責の申立手数料) | 1,500円 | 1,500円 |
| 予納郵券(郵便切手) | 4,950円(内訳の指定あり) | 4,950円(内訳の指定あり) |
| 予納金 | 13,046円 | 最低20万円と、個人1件につき20,397円 |
| 合計(筆者の計算) | 19,496円 | 226,847円 |
同時廃止の合計は 1,500+4,950+13,046=19,496円、管財事件は 1,500+4,950+200,000+20,397=226,847円です。東京地裁は、予納金額は事案に応じて変わる場合があるとも書いています。管財事件の「20万円」は最低額で、財産の額などで増えることがあります。千葉地裁の案内(令和元年9月改訂)は、管財人の選任が必要な場合の予納金を20万円〜50万円程度と書いており、裁判所によって水準が違います。
使える公表資料の注意が2つあります。
- 予納金の額は改定されます。 東京地裁の一覧は「令和8年1月1日現在」と日付を付けています。古い案内の額を写さず、申立先の裁判所の現在の公表額を見ます。たとえば、松江地裁の案内(2024年1月の日付の書式)には同時廃止11,859円、管財事件は概ね20万円以上と書かれており、東京の令和8年の額とは違います。
- 管財か同時廃止かは、自分で選べません。 破産法は管財事件が原則で、財産が少なく費用も出せないと認められる場合に同時廃止になります。どちらになるかは裁判所が判断します(裁判所のQ&A)。分かれ目は自己破産の同時廃止と管財事件の違いで扱います。
自分で申立てをする場合に、専門家の費用は省けても、裁判所に納める分は残ります。札幌地裁は、自分で申し立てても裁判所が必要と判断すれば管財人を選ぶので、その費用は最低でも20万円以上かかり、費用が納められないと申立てが却下されることもあると案内しています。東京地裁の一覧は、管財事件の予納金を「自己破産申立事件」の欄と「債権者破産申立事件及び本人申立事件」の欄に分けており、どちらの欄が自分に当たるかは、申立先の裁判所で確かめます。本人申立てと専門家に頼む場合の違いは自己破産の費用が安い方法は?本人申立て・司法書士・弁護士で比べるで比べます。予納金の決まり方と分納の確認は自己破産の予納金とはで説明します。
弁護士・司法書士に払う費用の内訳
弁護士・司法書士の費用は、裁判所に納める分とは別に、事務所に払います。自己破産の場合、費用の項目は主に次のとおりです。
| 項目 | 中身 | 確かめること |
|---|---|---|
| 着手金 | 依頼したときに払う、手続を始めるための費用 | 債権者の数による区分があるか |
| 報酬金 | 結果に応じて払う費用 | 自己破産で報酬金が別にあるか |
| 実費 | 印紙・郵券・交通費・書類の取得費など | 予納金を立て替えてもらえるか、自分で納めるか |
| 追加の費用 | 管財事件になった場合の増額、債権者の追加 | どの場合にいくら加わるか |
| 支払い方法 | 分割・積立の可否と回数 | 分割中に手続を始めてもらえるか |
司法書士に頼む場合は、役割が違います。千葉地裁は、司法書士は申立書等の作成を主に行い、代理人になれないなど仕事の範囲が限られていると案内しています。弁護士は代理人として、申立書の作成、債権者との対応、裁判官との面接への立会いなどを行います。選び方は債務整理は弁護士と司法書士どっち?で詳しく扱います。
事務所の料金の公的な統計は見つかっていませんが、法テラスの援助を使う場合の基準額は法務省の資料で公表されています。自己破産事件の着手金は、債権者が1社〜10社で132,000円、11社〜20社で154,000円、21社以上で187,000円です。管財事件は220,000円まで増額でき、特に処理が困難な事件は280,761円まで増額できます(法務省の資料。税込・税抜の表記は資料にありません)。法テラスの目安では、自己破産事件は原則として報酬金が発生しません(過払金を回収できた場合は報酬金が発生します)。着手金のほかに実費が23,000円で、合計は1〜10社で155,000円、11〜20社で177,000円、21社以上で210,000円です(法テラス公式の費用の目安。実際の額は審査で決まり、事件の困難度で増減します。この表にも税込・税抜の表記はないので、依頼先に確かめてください)。これは法テラスの基準であり、一般の事務所の料金がこの額とは限りませんが、見積書を見るときの物差しになります。個々の事務所の額は、その事務所の料金表と見積書で確かめます。法テラスの立替えの条件は自己破産の費用は法テラスで立て替えできる?にまとめます。
総額の組み立て例
次の表は、法テラスの着手金の基準額(債権者1社〜10社)と、東京地裁の公表額を足した場合の計算です。事務所への実際の支払額ではなく、費用の構造をつかむための筆者の計算です。
| 同時廃止 | 管財事件 | |
|---|---|---|
| 裁判所に納める費用 | 19,496円 | 226,847円 |
| 弁護士の着手金(法テラスの基準額、債権者10社まで) | 132,000円 | 132,000円〜220,000円 |
| 合計 | 151,496円 | 358,847円〜446,847円 |
法テラスの目安は実費を23,000円として数えており、この表のように裁判所の公表額を足した額とは数え方が違います。管財事件になった場合の予納金は、法テラスの目安に入っていません。
管財事件になるかどうかで、総額は2倍以上に動きます。依頼するときは、管財事件になった場合の追加費用と、予納金を誰が立て替えるかを先に聞いておきます。
見積書で確かめる項目
事務所を比べるときは、月々の金額ではなく総額と内訳で比べます。見積書の項目ごとの聞き方と契約書の読み方は自己破産の弁護士費用の内訳で扱うので、ここでは書面で出してもらう項目だけを挙げます。
- 着手金・報酬金・実費の別と、それぞれの額
- 債権者の数が増えたときの加算
- 管財事件になったときの追加費用と、その額の決まり方
- 分割払い・積立の回数、始める時期、手続を始めるタイミング
- 途中で依頼をやめたときの返金の扱い
- 予納金・印紙・郵券を、事務所が立て替えるか自分で納めるか
弁護士に依頼する選択肢として、債務整理を扱う弁護士の事務所の情報を、次に載せます。選ぶときは、上の項目を書面で出してくれるか、面談で費用の説明があるかを確かめてください。
費用が足りないとき
費用をすぐに用意できないときは、次の道があります。法テラスの民事法律扶助(収入・資産の条件を満たす場合)、事務所の分割払い・積立、裁判所の予納金の分納の可否の確認です。それぞれの使い分けは自己破産の費用が払えないときにまとめます。弁護士費用の内訳をさらに詳しく知りたいときは自己破産の弁護士費用の内訳を、借金の相談の入口は借金の相談窓口はどこ?を見てください。
よくある質問
Q. 自己破産の費用は、全部でいくらを見ておけばよいですか?
裁判所に納める分は、東京地裁の令和8年1月1日現在の公表額で、同時廃止なら約2万円、管財事件なら20万円台前半が目安です。ここに弁護士・司法書士の費用が足されます。事務所の料金は事務所ごとに決まるので、見積書を書面でもらって総額で比べます。
Q. 弁護士に頼まず、自分で申し立てれば費用は安くなりますか?
減るのは弁護士・司法書士に払う分だけで、裁判所に納める分は残ります。費用の水準は申立先の一覧の欄で決まり、東京地裁の一覧のように「本人申立事件」を別の欄に分けて載せている裁判所もあります。札幌地裁は、自分で申し立てても裁判所が必要と判断すれば管財人が選ばれ、その費用は最低でも20万円以上かかると案内しています。書類の準備と裁判所とのやりとりも自分で行います。
出典・参考にした公的な情報
- 破産事件の手続費用一覧(令和8年1月1日現在)(東京地方裁判所民事第20部)
- 破産(申立先と手数料・予納金)(裁判所)
- 民事事件Q&A(破産の費用・同時廃止と管財事件)(裁判所)
- 破産・免責申立書の書き方と留意事項(令和6年1月版)(管財事件の費用)(札幌地方裁判所)
- 破産・免責手続のあらまし(予納金)(松江地方裁判所)
- 民事法律扶助の諸課題について(資料2)(報酬の基準・自己破産事件の着手金)(法務省)
- 自己破産 費用の目安(着手金・実費)(法テラス)
- 破産・免責手続について(よくあるご質問)(弁護士・司法書士の役割・予納金の目安)(千葉地方裁判所)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。