自己破産 / 比較

自己破産の弁護士費用の内訳|着手金・報酬・分割払いと見積書

この記事のもくじ
  1. 自己破産の費用は「弁護士に払う分」と「裁判所に納める分」に分かれる
  2. 管財事件になると、見積書の総額が変わる
  3. 弁護士に払う費用の項目と、見積書で聞くこと
  4. 分割払い・積立・後払いの仕組み
  5. 見積書で総額を出してもらう手順

自己破産を弁護士に頼む費用は、弁護士に払う着手金・報酬金・実費と、裁判所に納める収入印紙・予納金・郵便切手の合計です。弁護士に払う額は事務所の報酬表で決まり、裁判所に納める額は、同時廃止になるか管財事件になるかで変わります。東京地方裁判所の令和8年1月1日現在の一覧では、個人の予納金は同時廃止で13,046円、管財事件で最低20万円です。払い方は一括のほか、分割や積立、法テラスの立替えがあります。事務所を比べるときは、着手金の額だけでなく、見積書の総額で比べます。

自己破産の費用は「弁護士に払う分」と「裁判所に納める分」に分かれる

自己破産の費用は、払う相手が2つに分かれます。弁護士費用だけを聞いて予算を組むと、裁判所に納めるお金の分が足りなくなります。最初に、2つの財布を分けて考えます。

区分 中身 額を決めるところ 見積書で見る点
弁護士に払う分 着手金、報酬金、実費、事務所独自の手数料 事務所の報酬表と委任契約書 項目ごとの額と、税込か税抜か
裁判所に納める分 収入印紙、予納金、郵便切手 申立先の地方裁判所 同時廃止の場合と管財事件の場合の両方の額

収入印紙は、破産手続開始の申立てが1,000円、免責許可の申立てが500円で、自分で申し立てる場合は合計1,500円です(裁判所の案内)。予納金は、裁判所が定める手続費用で、破産法は申立てのときに裁判所の定める金額を予納しなければならないと定めています(22条)。予納がないと、裁判所は破産手続開始の決定をしないものとされています(30条)。つまり、裁判所に納める分は、払えなければ手続きが先へ進まない費用です。

管財事件になると、見積書の総額が変わる

裁判所に納める分は、同時廃止になるか管財事件になるかで変わります。どちらになるかを決めるのは裁判所で、弁護士ではありません。東京地裁の公表額では、個人の裁判所に納める合計は同時廃止で19,496円、管財事件で226,847円で、管財事件になると約20万円増えます(筆者の計算。内訳の表は自己破産の費用はいくら?裁判所の費用と弁護士費用の内訳にあります)。分かれ目の基準は自己破産の同時廃止と管財事件の違い|分かれ目と費用・期間で、予納金の中身は自己破産の予納金とは?金額の決まり方と納める時期・分納の確認で扱います。

この記事で押さえたいのは、見積書がどちらの場合を前提にしているかです。同時廃止の額だけが書かれた見積書は、管財事件になったときに、裁判所に納める分と、事務所の追加費用が上乗せされます。追加費用が出る場面は、次の4つです。

  • 管財事件になって、予納金が加わる(事務所によっては、弁護士の着手金も増える)
  • 債権者の数が増え、着手金の区分が上がる
  • 申立ての準備中に、書き出していなかった借入れが見つかる
  • 個人事業者など、事務所が別の料金を定めている場合に当たる

どれも、見積書に「どの場合に、いくら加わるか」が書かれているかで、あとからの増え方が決まります。

弁護士に払う費用の項目と、見積書で聞くこと

弁護士に払う分は、事務所が自由に報酬表を作るため、名前も数え方も事務所で違います。次の表の項目ごとに、数え方を聞きます。

項目 意味 数え方の例 聞くこと
着手金 依頼を受けて手続きを始める費用 事件1件ごと、または債権者の数に応じて 債権者が増えたら増えるか
報酬金 免責許可の決定など、結果に対する費用 事件1件ごと 自己破産で報酬金があるか、いつ払うか
実費 通信費、書類の取寄せ、裁判所までの交通費 実際にかかった額、または定額 定額なら名目と額
追加の費用 管財事件になったとき、事業をしているときなど 事務所の報酬表による どんな場合に、いくら加わるか

「着手金」だけが大きく書かれた広告は、報酬金や実費が別になっていることがあります。逆に「着手金0円」と書かれていても、ほかの項目で払うことがあります。名前より、何の対価で、いつ、いくらかを一つずつ見ます。項目ごとの聞き方の文例は、次の3つです。

着手金:「着手金の○円には、債権者が○社の場合の書類作成と受任通知の送付が含まれますか。債権者が増えたら、1社ごとにいくら加わりますか。」

報酬金:「自己破産で、免責許可の決定が出たときの報酬金はありますか。ある場合は、いつ、いくら払いますか。」

実費:「実費は定額ですか、実際にかかった額の精算ですか。定額なら、何の費用が含まれますか。」

税込か税抜かは、項目の行ごとに確かめます。総額が「税込」と書かれていても、実費や事務手数料が税別の別の行になっていることがあります。見積書の合計の行に「税込」とあるか、それぞれの行も税込かを、面談で聞いてください。

参考として、法テラスの民事法律扶助を使うときの弁護士費用の基準を、法務省の資料から引きます(資料の表記のままで、法テラスの援助を使う事件に適用される基準です。一般の事務所の報酬表ではありません)。

自己破産事件(債権者の数) 着手金 備考
1社から10社 132,000円 管財事件は220,000円まで増額できる(資料に税込・税抜の表記なし)
11社から20社 154,000円
21社以上 187,000円

この資料は、自己破産事件と任意整理事件では報酬金は発生しないと書いています。事務所の報酬表を読むときの物差しとして、債権者の数で着手金が段階的に決まる形があることを知っておくと、見積書の読み方が分かりやすくなります。

分割払い・積立・後払いの仕組み

自己破産の弁護士費用は、まとまった額になるため、分割で払う仕組みがいくつかあります。

  1. 受任後の積立:弁護士が依頼を受けて債権者に受任通知を出すと、貸金業者は、正当な理由なく本人に直接請求することが貸金業法21条1項9号で禁じられています。返済に回していたお金を、費用の積立にあてる方法です。積立が終わってから申立てをする事務所と、積立の途中で申立てをする事務所があります。
  2. 契約後の分割払い:依頼のときに着手金の一部を払い、残りを毎月の分割で払う方法です。
  3. 法テラスの立替え:条件を満たすと、弁護士費用を法テラスが立て替えます。法務省の資料では、援助の開始決定の後、事件の進行中から返し始め、原則3年以内に払い終える金額で、月々5,000円から1万円程度の分割になります。条件と流れは自己破産の費用は法テラスで立て替えできる?条件と流れで扱います。

受任通知で止まるのは、貸金業者などからの本人への直接の請求です。家賃、税金、国民健康保険料などの督促が同じように止まるわけではありません。止まる範囲は債務整理の受任通知とは?督促が止まる仕組みと止まらない支払いで確かめてください。

分割や積立を選ぶときは、次の3点を委任契約書で確かめます。

  • 積立の額と期間、申立てをする時期(積立が終わるまで申立てをしない契約か、途中で申立てをする契約か)
  • 払えなくなったときに、契約が解除されるのか、猶予があるのか
  • 途中で解約したとき、受け取った金額をどう精算するか(すでに行った作業の分と、返す分をどう分けるか)

積立の契約の聞き方:「毎月の積立が1回遅れたら、契約はどうなりますか。途中で依頼をやめた場合、積み立てたお金のうち何が返ってきますか。計算の仕方を契約書の条項で教えてください。」

日本司法書士会連合会の指針の解説は、司法書士の債務整理で、積立の途中で解除になった場合に着手金を一切返さない条項が問題になっていると書いています。司法書士に向けた説明ですが、弁護士に頼む場合も、解約と精算の書き方は契約の前に読めます。払うのが難しくなったときの相談先は自己破産の費用が払えないとき|分割・積立・法テラスの使い分けにまとめています。

見積書で総額を出してもらう手順

複数の事務所を比べるときは、同じ条件で総額を書面にしてもらいます。

  1. 借入先の一覧を作り、債権者の数と合計額を決める。
  2. 同時廃止の場合と管財事件の場合の、それぞれの総額を出してもらう。
  3. 弁護士に払う分と、裁判所に納める分を、別の行で書いてもらう。
  4. 全部の行を税込の額にそろえてもらう。
  5. 分割や積立の回数、毎月の額、払い終える時期を書いてもらう。
  6. 債権者が増えたとき、申立て前に新しい借入れが見つかったときの扱いを書いてもらう。
総額の式:自己破産を弁護士に頼むときの費用

総額=着手金+報酬金+実費+事務所独自の手数料(税込にそろえる)   +裁判所に納める分(収入印紙+予納金+予納郵券) 同時廃止の場合と管財事件の場合で、2通りの総額を出す。

相談のときの聞き方の例:「借入先は6社です。自己破産で、同時廃止になった場合と管財事件になった場合の総額を、弁護士に払う分と裁判所に納める分に分けて、税込で見積書にしていただけますか。分割で払う場合の毎月の額と回数も書いてください。」

弁護士に頼まず本人で申し立てる場合との比べ方は自己破産の費用が安い方法は?本人申立て・司法書士・弁護士で比べるで扱います。費用の全体像は自己破産の費用はいくら?裁判所の費用と弁護士費用の内訳に、見積書の見方は債務整理の料金の見積書で確かめる項目|総額・追加費用・返金の条件にあります。

自己破産では、司法書士は裁判所に出す書類の作成で関わり、申立人は本人です。弁護士は代理人として手続きを進められます。頼める範囲の違いは債務整理は弁護士と司法書士どっち?140万円の線と選ぶときの確認点にあります。

弁護士に依頼するなら、受任する弁護士本人と面談できるか、総額を書面で示してもらえるか、分割の回数と払えなくなったときの扱いを確かめてから選びます。

よくある質問

Q. 自己破産の弁護士費用を後払いにできますか?

事務所によって違います。依頼のときに一部を払い、残りを手続きの途中で分割して払う契約や、受任後に積み立てる契約などがあり、どこまで後ろにずらせるかは委任契約書に書かれます。法テラスの民事法律扶助を使う場合は、費用を法テラスが立て替え、あとで月5,000円から1万円程度の分割で返す仕組みです。依頼の前に、いつ・いくら・何回で払うかを委任契約書で確かめてください。

Q. 見積書の総額が、あとから増えることはありますか?

増える場面は決まっています。管財事件になって予納金が加わる、債権者の数が増える、申立て前に見つかっていなかった借入れが出てくる、といった場合です。見積書に「管財事件になったときの追加額」と「債権者が増えたときの扱い」が書かれているかを、契約の前に見てください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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