債務整理の全体と選び方 / チェックリスト

債務整理の料金の見積書で確かめる項目|総額・追加費用・返金の条件

この記事のもくじ
  1. 見積書・委任契約書のチェック表
  2. 書面で示してもらう決まり(司法書士の場合)
  3. 追加費用が出やすい場面
  4. 分割払い・積立・支払代行の確かめ方
  5. 途中でやめるとき・辞任されるときの返金

債務整理の料金は、見積書と委任契約書に書かれた内容で決まります。確かめるのは、総額、1社ごとの費用、追加費用がかかる条件、分割の回数、途中でやめたときの返金、辞任の条件の6つです。司法書士は、受任の前に報酬の算定方法などを示すことが法令上の義務で(司法書士法施行規則22条)、日本司法書士会連合会の指針は報酬の内容を書いた書面の交付を求めています。書面で答えてもらえない項目があれば、その時点で契約を急がないことが大切です。

見積書・委任契約書のチェック表

次の表を印刷するか画面に出して、見積書と委任契約書を横に並べて一つずつ確かめます。「書いていない」項目は、口頭ではなく書面での回答をお願いします。

# 確かめる項目 見る場所 書いていないとき・気をつけるサイン
1 税込の総額 見積書の合計欄 「1社○万円〜」だけで合計がない
2 対象の社数と会社名 見積書の明細 自分の借入一覧と社数が合わない
3 1社ごとの着手金・解決報酬 見積書の明細 和解できなかった会社の扱いがない
4 減額報酬の割合と「減った額」の定義 報酬表・委任契約書 何から何を引いた額か書いていない
5 過払い金の報酬の割合 報酬表 交渉と訴訟の場合が分かれていない
6 実費・事務手数料の名目と額 見積書 名目だけで額や上限がない
7 裁判所に納めるお金(自己破産・個人再生) 見積書 管財事件や個人再生委員が付いた場合の額がない
8 追加費用がかかる場面と額 委任契約書 「別途協議」とだけ書かれている
9 支払いの開始時期・回数・月額 委任契約書 返済と費用の支払いが重なる月がある
10 積立金(預り金)の扱い 委任契約書 何に使い、残りをどう返すかがない
11 支払代行を使うか、その手数料 委任契約書 選べる形になっていない
12 途中で解約したときの返金 委任契約書の解除の条項 「理由を問わず一切返金しない」
13 辞任の条件 委任契約書の辞任の条項 何か月の滞納で辞任かが書いていない
14 業務の範囲(代理か書類作成か) 委任契約書 司法書士で、範囲の説明がない
15 受任する弁護士・司法書士の氏名 委任契約書 担当者名が事務員だけ

この表で「総額」と「追加費用」が埋まれば、債務整理の費用はいくら?手続き別の内訳と見積もりの確かめ方の3つの箱(報酬・実費・裁判所に納めるお金)のどこにいくらかかるかが見えるようになります。

チェック表の使い方:見積書と委任契約書を左右に並べる
  • 左:見積書(総額・社数・1社ごとの費用・実費・裁判所に納めるお金)
  • 右:委任契約書(追加費用の条件・分割・積立・支払代行・解除と返金・辞任・業務の範囲)
  • 真ん中:チェック表の15項目。両方に書いてある=○、片方だけ=△、どちらにもない=×
  • ×が残ったら書面で回答をもらってから契約する

書面で示してもらう決まり(司法書士の場合)

司法書士については、書面に関する決まりがはっきりしています。

  • 報酬の基準を前もって示す:司法書士は、業務を受任しようとするとき、あらかじめ報酬額の算定の方法その他の報酬の基準を示さなければなりません(司法書士法施行規則22条)。
  • 委任契約書と報酬の書面:日本司法書士会連合会の指針(2025年)は、業務の内容と範囲(簡易裁判所での代理か、裁判所に出す書類の作成か)を明確にした契約書を作って交付すること、報酬額・費用・算定方法を示して十分に説明し、その内容を書いた書面を交付することを定めています(5条1項・2項)。
  • 計算例での説明:指針の解説は、報酬表を見せるだけでなく、報酬表に基づく具体的な計算例を示すなどして説明する必要があるとしています。
  • 認定の有無:任意整理の交渉を代理できるのは、法務大臣の認定を受けた司法書士です。日本司法書士会連合会の司法書士検索では「簡裁代理権の有無」が表示されます。

弁護士については、日本弁護士連合会の「債務整理事件処理の規律を定める規程」が、弁護士費用とその他の費用を説明し、その事項を委任契約書に記載するよう定めています(4条・5条)。任意整理の着手金の追加請求も、債権者が申告より増えたときなど規程が挙げる場合に限られます(10条)。事務所の報酬基準と委任契約書で内容を確かめます。どちらに頼む場合も、チェック表の15項目を書面でそろえるという確かめ方は同じです。

追加費用が出やすい場面

見積書の総額は、見積もりの時点の条件で計算されています。条件が変わったときに費用がどう変わるかを、委任契約書で確かめておきます。

  1. 借入先が後から見つかった:1社ごとに費用を数える契約では、社数が増えるとそのぶん総額も増えます。相談の前に借入一覧を作り、漏れを減らします。
  2. 借入先から訴えられた:任意整理の途中で訴訟になったときの費用を聞いておきます。流れは債務整理中に訴えられたら?裁判になる場合と事務所に伝えることにあります。
  3. 過払い金を訴訟で取り戻すことになった:報酬の割合が変わる契約があります。司法書士の場合、日司連の指針の上限も、訴訟によらない回収は20%、訴訟による回収は25%と分かれています(いずれも税抜)。
  4. 自己破産が管財事件になった、個人再生委員が付いた:裁判所に納めるお金が増えます。
  5. 手続きを切り替えた:任意整理から個人再生・自己破産へ切り替えるとき、払った費用がどう扱われるかを確かめます。

分割払い・積立・支払代行の確かめ方

費用を分割で払うときは、借金の返済と費用の支払いが重なる月がないかを家計表で確かめます。受任通知の後、貸金業者への返済をいったん止めて費用を積み立てる形を取る事務所もあり、その場合は積立金の使い道と、手続きが終わったときの残りの返し方を書面で確かめます(債務整理の預り金とは?積立金の使われ方と返金される場合)。

和解後の返済を事務所が代わりに振り込む「支払代行」は、使うかどうかを依頼者が選ぶものです。日本司法書士会連合会の指針は、司法書士の支払代行手数料を依頼者1人につき月1,000円(税抜)までとし、利用を強制してはならないとしています(12条)。

途中でやめるとき・辞任されるときの返金

途中で解約したとき 「理由を問わず、受け取ったお金は一切返さない」という条項には注意が要ります。消費者契約法9条1項1号は、契約の解除に伴う違約金などのうち、同じ種類の契約の解除で事業者に生じる平均的な損害の額を超える部分を無効としています。日本司法書士会連合会の指針の解説も、受任通知を送った程度しか作業していないのに着手金を一切返さない扱いは、消費者契約法に違反するおそれが高いとしています。契約の前に、解除の時期ごとに返金の額がどう決まるかを確かめます。

辞任されるとき 費用の滞納が続くと、委任契約の条項に従って弁護士・司法書士が辞任することがあります。辞任されると代理人がいなくなるため、貸金業者からの直接の請求が再び始まりえます。何か月の滞納で辞任になるのか、辞任の前に連絡や話し合いがあるのかを、委任契約書で確かめておきます。辞任を防ぐ注意点は債務整理で弁護士が辞任するのはどんなとき?辞任を防ぐ注意点で扱います。

確かめるときの聞き方の例:「途中で解約した場合、時期ごとにいくら返金されるかを書面で教えてください。また、費用の支払いが遅れた場合、何か月で辞任になるのか、その前にどんな連絡をいただけるのかも確認させてください。」

見積書の前の段階、つまり初回の相談で聞くことは債務整理の相談で聞くことの確認表|費用・期間・不利益の質問20項目にまとめています。費用の面で迷ったときは、総額を書面で示してもらえるか、受任する弁護士・司法書士本人と面談できるか、対応地域はどこか、を確かめてから依頼先を選びます。

よくある質問

Q. 見積書をもらったら、その場で契約しないといけませんか?

その場で決める必要はありません。見積書と委任契約書の写しを持ち帰り、チェック表の項目を確かめてから決めてかまいません。司法書士の場合、日本司法書士会連合会の指針は受任する司法書士との直接面談を原則とし、報酬の内容を書いた書面の交付を求めています。

Q. 債務整理の費用が払えなくなったら、どうなりますか?

委任契約書の「辞任」や「解除」の条項に従って扱いが決まります。委任契約には費用の滞納が続いたときの辞任の条項を置くものがあり、辞任されると貸金業者からの直接の請求が再開しえます。払えなくなりそうな時点で依頼先に連絡し、分割の組み直しや法テラスの利用ができないかを相談してください。

Q. 見積書と実際の請求額が違ったときは、どこに相談できますか?

まず依頼先に、見積書と委任契約書のどの項目に基づく請求かを書面で示してもらいます。それでも納得できないとき、司法書士への苦情は各都道府県の司法書士会が窓口です。契約の条項そのものの問題は、消費生活センターに相談する方法もあります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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