自己破産 / 制度解説

自己破産の費用は法テラスで立て替えできる?条件と流れ

この記事のもくじ
  1. 法テラスが立て替える費用と、立て替えない費用
  2. 利用できる条件と、収入・資産の基準例
  3. 立替金の返し方と、生活保護を受けている人の扱い
  4. 申込みから立替金の返済までの流れ

自己破産の費用は、収入と預貯金が一定の基準以下で、勝訴の見込みがないとはいえないなどの条件を満たせば、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助で、弁護士・司法書士の費用を立て替えてもらえます。 立て替えてもらった費用は、無料になるのではなく、分割で法テラスに返すのが原則です。生活保護を受けている人は、返済の猶予や免除の対象になります。一方、自己破産の予納金は、生活保護を受けている人を除いて立替えの対象になりません。この記事は、立替えの対象、基準の数字、返し方、生活保護の人の扱い、申込みの流れを、法テラス・法務省・東京地裁の資料で説明します。

法テラスが立て替える費用と、立て替えない費用

法務省の資料は、民事法律扶助を、経済的に余裕のない人が法的トラブルにあったときに、無料で法律相談を行い、必要な場合に弁護士・司法書士の費用等の立替えを行う援助と説明しています。自己破産に関わる部分を整理します。

早見表:自己破産の費用のうち、法テラスの扱いが確かめられた範囲
費用 法テラスの扱い 根拠
無料の法律相談 費用負担なし 法務省の資料
弁護士の着手金・実費 代理援助として立替え 法務省の資料
司法書士の申立書作成の報酬・実費 書類作成援助として立替え 法務省の資料
弁護士の報酬金 自己破産事件では発生しない 法務省の資料
管財人に納める予納金(管財事件) 生活保護を受けている人の事件は、引継予納金20万円、官報公告費、印紙・郵券費用を立替え 東京地裁が破産管財人に出した通知(令和8年1月)
自己破産の予納金(生活保護を受けていない人) 立替えの対象にならない 法テラスのよくある質問
実費だけの立替え 原則できない 法テラスのよくある質問

着手金の基準は、法務省の資料にあります。自己破産事件の着手金は、債権者が1社〜10社で132,000円、11社〜20社で154,000円、21社以上で187,000円です。管財事件は220,000円まで増額でき、特に処理が困難な事件は280,761円まで増えます。夫婦そろって援助を受けるときは、双方の債権者数の合計の基準額に66,000円を加えて、それぞれに分けて支払います。報酬金が発生しないので、依頼するときの費用はこの着手金と実費が中心になります。裁判所に納める費用の全体は自己破産の費用はいくら?の表で、立替えを使わず本人で申し立てる場合との比べ方は自己破産の費用が安い方法は?本人申立て・司法書士・弁護士で比べるで確かめられます。

東京地裁の通知は、生活保護を受けている人の破産で破産管財人が選ばれる事件について、法テラスが引継予納金(管財人費用)20万円、官報公告費、印紙・郵券費用を立て替える制度が、平成22年4月1日以降の援助開始決定の事件から始まっていると説明しています。令和8年以降に申し立てた事件の立替額は、官報公告費20,397円と印紙・郵券費用6,450円を合わせて、226,847円です(20万円+20,397円+6,450円、筆者の計算)。引継予納金20万円は、法テラスが管財人の口座に直接振り込みます。

管財事件で破産財団が40万円を超えて集まったときは、管財人の報酬のあとに、法テラスの立替金を財団から返す必要があります(通知の説明。破産法148条1項1号の共益費用として扱います)。この財団からの返還額は、最大で226,847円(令和8年以降の申立て)です。

利用できる条件と、収入・資産の基準例

法テラスの案内と法務省の資料は、立替制度の利用要件を3つ挙げています。

  1. 収入と資産(現金・預貯金・不動産・有価証券)が一定の基準以下であること
  2. 勝訴の見込みがないとはいえないこと(法テラスは、自己破産では免責決定の見込みがあること、と説明しています)
  3. 民事法律扶助の趣旨に適すること

収入の基準は、住む地域と家族の人数で違います。法テラス公式の基準は次のとおりです(収入は賞与を含む手取りの平均月収)。

家族の人数 収入(東京都特別区・大阪市など) 収入(それ以外の地域) 資産
1人 200,200円以下 182,000円以下 180万円以下
2人 276,100円以下 251,000円以下 250万円以下
3人 299,200円以下 272,000円以下 270万円以下
4人 328,900円以下 299,000円以下 300万円以下

5人目からは、1人増えるごとに収入基準が東京などで33,000円、それ以外で30,000円加わります。基準を超えていても、家賃や住宅ローン、医療費、教育費の支払いなどのやむを得ない事情があれば満たす可能性があり、家賃・住宅ローンは人数ごとの限度額(1人で41,000円、東京都特別区は53,000円など)まで収入から差し引けます。実際に当たるかは、同居する家族の人数、自分と配偶者の収入、預貯金の合計を手元にそろえて、法テラスの窓口で聞くのが確実です。審査は、通常、申込みから決定まで2週間程度かかります。立て替えた費用に利息はつきません(法テラス公式)。番号と受付時間は借金の公的な相談窓口と受付時間に載せています。借金全般で法テラスができることは、借金が返せないとき法テラスでできることに整理しています。

立替金の返し方と、生活保護を受けている人の扱い

法務省の資料が示す費用負担の原則は、次のとおりです。

  • 援助開始の決定後、事件の進行中から、立替金の償還(返済)が始まる。
  • 原則として3年以内に支払いが完了する金額で、月々5,000円〜1万円程度を分割して返す。
  • 返済を始める時期を延ばしたいときは、償還猶予を申請できる。援助を始めるかどうかの審査と同時に審査され、地方事務所長が決める。

生活保護を受けている人は、生活保護を受給している間は返済が猶予され、事件が終わったあとも受給が続いていれば、返済の免除を申請できます(法テラス公式のよくある質問)。免除は事件終了後に申請し、理事長が決定します。ただし、事件の相手方などから経済的な利益を得た場合は除かれます。生活保護の人以外にも、生計が困難で資力の回復が見込みにくい人には猶予や免除が認められる場合があり、条件は援助を申し込むときに法テラスで聞きます。

返済が始まると、家計の負担が増えます。札幌地裁は、弁護士報酬の支払いや、法テラスへの償還金の支払いがあるなら、家計表の支出欄に書くよう求めています(書き方は自己破産の家計簿と必要書類にあります)。債務整理で借金の返済は止まっても、法テラスへの毎月の返済は加わるので、家計表で払い続けられる額かを確かめてから依頼します。生活保護を受けながら自己破産できるかどうかは、生活保護を受けていても自己破産できる?で説明します。

申込みから立替金の返済までの流れ

法務省の資料の全体図に、自己破産の準備を当てはめると、次の順です。

  1. 援助を申し込み、無料の法律相談を受ける:借入れ先の一覧、督促状、家計の状況、通帳を持って相談します。この段階の費用負担はありません。
  2. 審査と援助開始決定:地方扶助審査委員(弁護士・司法書士)が、援助要件を満たすかを審査します。
  3. 代理援助または書類作成援助:弁護士に代理人を頼むなら代理援助、司法書士に申立書の作成を頼むなら書類作成援助です。着手金・実費などが立て替えられます。
  4. 申立てと裁判所の手続:生活保護を受けていない人は、予納金が立替えの対象にならないため、管財事件になった場合の納め方を依頼先の弁護士に先に確かめます(上の表)。
  5. 立替金の返済:事件の進行中から、月5,000円〜1万円程度を分割で返します。
  6. 援助の終結と、返済方法の決定・免除の申請:事件が終わると援助終結の決定があり、立替金の返済方法が決まります。生活保護を受けている人などは、このときに免除を申請します。

費用が払えないときの使い分けは自己破産の費用が払えないとき、弁護士費用の見積書の見方は自己破産の弁護士費用の内訳で扱います。

よくある質問

Q. 生活保護を受けていると、法テラスへの返済は不要になりますか?

すぐに不要になるわけではありません。法テラスは、生活保護を受給している間は返済が猶予され、事件が全て終わったあとも受給していれば返済免除を申請できると案内しています。免除は申請が必要で、事件の相手方などから経済的な利益を得た場合は除かれます。援助を申し込むときに、扱いを法テラスで確かめます。

Q. 法テラスで頼むと、弁護士は自分で選べませんか?

法テラスは、相談した弁護士・司法書士に依頼したいときは、その旨を直接伝えるよう案内しています。すでに相談している事務所があるなら、その事務所で民事法律扶助が使えるかを最初に聞きます。分からないときは法テラスの窓口でも聞けます。どの事務所に頼む場合も、費用の説明と見積書は書面で確かめます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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