借金が返せないとき法テラスでできること|無料相談と費用立替の流れ
借金が返せないのに、弁護士・司法書士に払う費用が用意できない。そんなときに使えるのが、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助です。収入や資産が基準以下などの条件を満たせば、弁護士・司法書士による無料の法律相談を受けられ、債務整理を依頼するときは費用を法テラスが立て替え、あとで分割して返すことができます。条件に当たるかどうかは、法テラス・サポートダイヤルに電話して確かめるのが近道です。番号と受付時間は借金の公的な相談窓口の早見表に載せています。
法テラスで借金についてできること
法テラスは、国が設立した公的な法人です。法律(総合法律支援法30条)で決められた業務のうち、借金に関わるのは次の3つです。
| 業務 | 中身 | 借金の場面での使い方 |
|---|---|---|
| 情報の提供 | 法的な解決の制度や、相談できる機関の情報を伝える(30条1項1号) | どこに相談すればよいか分からないときの案内 |
| 無料の法律相談 | 費用を払う資力がない人などに、弁護士・司法書士による法律相談を行う(同2号ホ) | 債務整理が必要か、どの手続きが向くかを聞く |
| 費用の立替え | 代理人の報酬・実費や、裁判所に出す書類の作成の報酬・実費を立て替える(同2号イ・ハ) | 任意整理・自己破産・個人再生を依頼する費用にあてる |
援助の対象は、法律では「費用を支払う資力がない」人、または「その支払により生活に著しい支障を生ずる」人とされています。条文の立替えには、裁判の手続きに先立つ和解の交渉で特に必要と認められるものも含まれます。また、裁判所に出す書類の作成を頼む費用も立替えの対象なので、司法書士に自己破産の申立書の作成を頼む場合も、条件しだいで使える可能性があります。
一方で、法テラスの職員が業者と交渉してくれるわけではありません。実際に相談に乗り、依頼を受けて手続きをするのは、法テラスと契約している弁護士・司法書士です。
無料法律相談を受ける条件と回数
無料の法律相談には、法テラスの案内(2026年10月23日に確認)によると、主に次の条件があります。
- 収入(賞与を含む手取りの平均月収)と資産(現金・預貯金)が基準以下であること。原則として本人と配偶者の合計で見る
- 民事法律扶助の趣旨に合うこと(相手への報復が目的の場合や、権利の濫用にあたる場合は使えない)
- 同じ問題について3回まで、1回30分の無料相談を受けられる。1回目と別の弁護士に相談してもよい
- 原則として事前の予約が要る。予約は近くの法テラスの地方事務所への電話(一部の相談場所ではWeb)で行う
- 刑事事件の相談は対象外
収入と資産の基準は、家族の人数と住む地域で違います。法テラスが公表している数字は次のとおりです。
| 家族の人数 | 収入の基準(東京23区・大阪市など) | 収入の基準(それ以外の地域) | 資産の基準 |
|---|---|---|---|
| 1人 | 200,200円以下 | 182,000円以下 | 180万円以下 |
| 2人 | 276,100円以下 | 251,000円以下 | 250万円以下 |
| 3人 | 299,200円以下 | 272,000円以下 | 270万円以下 |
| 4人 | 328,900円以下 | 299,000円以下 | 300万円以下 |
5人目からは、1人増えるごとに収入の基準が東京23区・大阪市などで33,000円、それ以外で30,000円加わります。家賃や住宅ローンを払っている場合は、人数ごとの限度額まで収入から差し引いて計算でき、基準を少し超えても医療費や教育費などのやむを得ない事情があれば当てはまることがあります。基準は変わることがあるので、申込みの前にサポートダイヤルか法テラスの公式サイトで最新の数字を確かめてください。当てはまるかどうかの判断は、自分で決めずに電話で聞くのが確かです。電話では、次の4つを聞かれると想定してメモを作っておきましょう。
| 項目 | 書いておくこと |
|---|---|
| 世帯 | 同居している家族の人数 |
| 収入 | 自分と配偶者の毎月の手取り(賞与があれば年間の額をならした月額) |
| 資産 | 預貯金の合計、持ち家・車の有無 |
| 借金 | 借入先の数、合計のおおよその額、延滞や督促の有無 |
債務整理のどの手続きが向くかは、無料相談の場で弁護士・司法書士に聞けます。3回までという上限と、1回30分という時間の制限があるので、1回目で「どの手続きが考えられるか」、2回目で「費用と期間の見通し」のように、回ごとに聞くことを決めておくと無駄がありません。
予約から依頼・返済までの流れ
法テラスを使って債務整理を進めるときの流れを、6つの手順にまとめました。
- サポートダイヤルに電話する:借金の相談をしたいことと、世帯・収入・資産のメモの内容を伝え、無料相談の条件に当たりそうかを確かめます。
- 相談の予約を取る:相談の場所と日時は、予約のときに案内されます。持ち物もこのときに確かめます。
- 無料法律相談を受ける:借入れの一覧と家計のメモ、届いた督促状などを持っていきます。手続きの選び方と見通しを聞きます。
- 依頼するなら援助を申し込む:費用の立替えを使って依頼することを決めたら、民事法律扶助の申込みをします。立替えには、収入・資産の基準に加えて、勝訴の見込みがないとはいえないこと(自己破産なら免責が認められる見込み)と、制度の趣旨に合うことが条件です。収入や資産を示す書類を求められるので、必要な書類を事前に聞いておきます。
- 弁護士・司法書士が手続きを進める:依頼を受けた弁護士・司法書士が、業者への通知や裁判所への申立てを進めます。
- 立て替えてもらった費用を法テラスに返す:手続きと並行して、法テラスに分割で返していきます。利息はかかりません。毎月の返済額は、審査の段階で立替えの額とあわせて決まるので、そのとき確かめておきます。
依頼の前に、費用の総額(立て替えてもらう額)と、法テラスに毎月いくら返すのかを書面で確かめてから決めましょう。債務整理で業者への返済額が決まっても、法テラスへの返済が加わると毎月の負担はその合計になります。家計表に両方を書き入れて、払い続けられるかを見ておきましょう。
文例(サポートダイヤルで):「借金が返せなくなり、債務整理を考えています。弁護士か司法書士の費用を払う余裕がありません。民事法律扶助の無料相談を受けられるか知りたいです。家族は○人で、私の手取りは月○万円、預金はほとんどありません。」
法テラスを使うか迷うときの判断のしかた
法テラスの立替えと、事務所に直接依頼して分割で払う方法は、どちらを選ぶかで負担の形が変わります。
| 比べる点 | 法テラスの立替えを使う | 事務所に直接依頼する |
|---|---|---|
| 使える人 | 収入・資産の条件を満たす人 | 条件なし |
| 依頼先 | 法テラスと契約している弁護士・司法書士 | 自分で選んだ事務所 |
| 費用の決まり方 | 法テラスの援助として決まる(額は申込みのときに確かめる) | 事務所の料金表と見積書で決まる |
| 払い方 | 法テラスに分割で返す | 事務所の分割払い・積立の条件による |
| 確かめること | 毎月の返済額、返すのが難しいときの扱い | 総額の書面、途中でやめたときの返金の条件 |
日本司法書士会連合会の指針(2025年)は、依頼者が民事法律扶助の資力要件に当たる場合、司法書士がその制度を教えて、使うかどうかを選ぶ機会を与えるよう定めています。指針の解説は、立て替えた費用を返すことの猶予・免除の制度もふまえて説明するよう求めています。事務所に相談したときに法テラスの話が出なかったら、自分から「民事法律扶助は使えますか」と聞いてかまいません。
手続きごとの費用と法テラスの関係は、自己破産の費用を法テラスで立て替えるときの条件と任意整理の費用が払えないときの分割と法テラスで詳しく扱っています。生活保護を受けている人は生活保護を受けながら債務整理する方法を見てください。
地域の相談場所と、条件に当たらなかったとき
法テラスの事務所は全国にあり、最初の電話をサポートダイヤルにかければ、住んでいる地域の相談場所と予約先を案内してもらえます。地方事務所ごとの電話予約の番号は、法テラスの地方事務所のページで住所地を選んで確かめます。東京・大阪・愛知・福岡・宮城・北海道の予約先と相談日は、地域別の記事に載せました。
地域別の記事は東京、大阪、名古屋、福岡、仙台、札幌にあります。法テラスの条件に当たらなかった場合でも、相談先はほかにあります。財務局の窓口で借金の全体を整理してもらう方法や、弁護士会・司法書士会の相談センターを使う方法は、借金の相談はどこにするかの選び分けで比べています。
よくある質問
Q. 生活保護を受けていても、法テラスの立替えを使えますか?
法テラスの案内では、生活保護を受けていても立替制度は使えます。受給中の間は返済が猶予され、事件がすべて終わった後も生活保護を受けていれば、返済の免除を申請できるとされています。自己破産の予納金は、生活保護を受給している人を除いて立替えの対象外とされています。手続きの進め方は、生活保護を受けながらの債務整理の記事で確かめてください。
Q. 自分で探した弁護士に、法テラスの立替えを使って依頼できますか?
立替えを使えるのは、法テラスと契約している弁護士・司法書士に依頼する場合です。気になる事務所があれば、最初の電話で「法テラスの民事法律扶助を使えますか」と聞いてください。日本司法書士会連合会の指針の解説は、扶助の契約をしていない司法書士に、扶助を使える別の司法書士を紹介するなどの対応を求めています。
出典・参考にした公的な情報
- 総合法律支援法 第30条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 多重債務相談窓口リーフレット2026(東京都版・法テラスについて)(金融庁)
- 無料法律相談を受けたい方(法テラス)(法テラス(日本司法支援センター))
- 弁護士・司法書士への依頼を検討している方(法テラス・立替制度)(法テラス(日本司法支援センター))
- 民事法律扶助の立替制度Q&A(生活保護を受けている場合)(法テラス(日本司法支援センター))
- 債務整理事件の処理に関する指針(令和7年理事会決定・改正)(日本司法書士会連合会)
- 債務整理事件の処理に関する指針の解説(日本司法書士会連合会)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。