任意整理 / Q&A

任意整理の費用が払えないとき|分割払いと法テラスの立替

この記事のもくじ
  1. 任意整理の費用が払えないときの2つの道
  2. 返済が止まる間に費用を積み立てる仕組み
  3. 法テラスの立替えを使う流れ
  4. 収入と家計で分ける:どちらが向くか
  5. 費用の相談で伝えること・確かめること

任意整理の費用を一度に払えなくても、依頼をあきらめる必要はありません。道は2つあります。1つは、依頼した後に業者への返済が止まる間に、毎月決まった額を事務所に積み立てて費用にあてる方法です。もう1つは、収入や資産が一定の基準以下の人が使える法テラス(日本司法支援センター)の費用の立替えです。毎月いくらなら払えるかと、世帯の収入で、どちらを先に検討するかが分かれます。

任意整理の費用が払えないときの2つの道

まず、2つの方法の違いを表で並べます。どちらも「費用がかからなくなる」方法ではなく、払う時期と払う相手を分ける方法です。

比べる点 事務所への分割払い(積立) 法テラスの立替え
使える人 毎月決まった額を払える人 収入・資産が一定の基準以下などの条件に当たる人
頼める相手 料金表で分割を認めている弁護士・司法書士 法テラスと契約している弁護士・司法書士
費用の額 事務所の料金表のとおり 援助を申し込むときに法テラスで確かめる
払い方 受任の後、返済が止まっている間に積み立てる 法テラスが代わりに払い、本人は法テラスへ分割で返す
先にすること 事務所に分割の回数と月の額を聞く 法テラスのサポートダイヤルで条件に当たるか聞く

法テラスの立替えは、総合法律支援法30条が定める業務です。対象は、手続きの費用を払う資力がない人か、払うと生活に著しい支障が出る人とされ、裁判の手続きに先立つ和解の交渉で特に必要と認められるものも立替えの範囲に入っています。

依頼先の側にも、費用が出せない人に制度を伝える決まりがあります。日本弁護士連合会(日弁連)の規程は、事案に応じて法律扶助などの制度を説明し、本人が望めば使えるように努めることを弁護士に求めています。日本司法書士会連合会(日司連)の指針も、扶助の資力の条件に当たる依頼者に制度を教え、選ぶ機会を与えるよう司法書士に求めています。つまり、相談の場で「費用が払えない」と正直に伝えることが、出発点になります。

返済が止まる間に費用を積み立てる仕組み

弁護士や司法書士が依頼を受けると、業者に受任通知(依頼を受けたという書面)を送ります。貸金業法21条1項9号により、通知で直接の請求をしないよう求められた貸金業者は、なお電話・訪問などで返済を求めることが禁じられます。和解がまとまるまでの間、業者への返済はいったん止まるのが普通で、その間にこれまで返済に回していたお金の一部を、事務所への積立に回すのが分割払いの基本の形です。

積立で費用をまかなう流れ(例)
時期 業者への返済 事務所への積立
依頼の前 3社に月4万5,000円 なし
受任通知の後 いったん止まる 毎月決めた額を入れる
和解の交渉中 止まったまま 費用の総額に届くまで続ける
和解の成立後 和解した額を分割で返す 残りがあれば払い終える

例として、筆者が仮の数字で計算します。3社に毎月合計4万5,000円を返していた人が、依頼の後に毎月3万円ずつ積み立て、費用の総額が税込13万2,000円だとします。13万2,000円÷3万円=4.4なので、5か月目に積立が終わります(4か月で12万円、5か月目は1万2,000円)。積立の額を2万円にすると7か月かかります。

この方法で気をつけたい点は3つあります。

  1. 止まるのは貸金業者からの直接の請求で、借金そのものは残っている。 21条は「貸金業を営む者」への決まりなので、家賃・税金・個人からの借金などには及びません。止まる範囲は受任通知で督促が止まる仕組みと止まらない支払いで確かめてください。
  2. 積立が続かないと、交渉が進まない。 積立が止まったまま連絡もつかないと、委任契約の解除や辞任につながることがあります。起きやすい場面は債務整理で弁護士が辞任するのはどんなときかにまとめています。
  3. 途中でやめたときの返金の条件を、契約前に読む。 日司連の指針の解説は、積立中に払えなくなって解除になり、受任通知を送った程度しか作業していないのに着手金を一切返さないのは、消費者契約法に違反するおそれが高いと書いています。積立金がどう扱われるかは債務整理の預り金と積立金が返金される場合で詳しく扱っています。

法テラスの立替えを使う流れ

法テラスを使う場合は、事務所を探す前に、自分が条件に当たるかを確かめるのが近道です。金融庁の多重債務リーフレット(2026年版)は、法テラスを国が設立した公的な法人と紹介し、収入や資産が一定基準以下などの条件を満たした人に無料の法律相談を行っていると案内しています。

  1. 法テラスのサポートダイヤルに電話し、借金の相談で援助を使いたいと伝える(番号と受付時間は借金の公的な相談窓口の早見表に載せています)。
  2. 条件は収入と資産で決まるので、給与明細や通帳を手元に置いて電話すると答えやすい。
  3. 条件に当たりそうなら、無料法律相談の予約を取る。法テラスと契約している弁護士・司法書士が相談に乗る。
  4. 任意整理を依頼すると決めたら、援助の申込みをする。求められた書類を出し、援助をするかの判断を待つ。
  5. 援助が決まると、法テラスが費用を立て替える。本人は立て替えてもらった額を、法テラスに毎月分割で返していく。

すでに気になる事務所がある場合は、その事務所に「法テラスの民事法律扶助を使えますか」と最初に聞いてください。返す額や回数、生活保護を受けている場合の扱いなど細かな条件は、援助を申し込むときに法テラスで聞くのが確かです。制度全体の流れは借金が返せないとき法テラスでできることで説明しています。

収入と家計で分ける:どちらが向くか

どちらを先に検討するかは、世帯の収入と、毎月いくら払えるかで分けると整理しやすくなります。

いまの状況 先に検討すること 理由
生活保護を受けている、収入がとても少ない 法テラスの立替え 条件に当たる可能性があり、費用を自分で積み立てる余裕がないため(当たるかは法テラスが決める)
収入はあるが、貯金がなく一度に払えない 事務所への分割払い 返済が止まる間の積立で、数か月かけて払える
法テラスの条件に当たるか分からない まず法テラスに電話して聞く 当たらなければ、分割を認める事務所を探せばよい
積立に回せる額が毎月ほとんどない 任意整理が合うかから相談する 任意整理は和解後に将来の収入から返す手続きなので、返す余力がないと続かない

最後の行は見落としやすい点です。日弁連の規程は、一般的な任意整理を、主に将来の収入を返済のもとにして分割の和解をする事件として扱っています。費用の積立すら難しい家計では、和解した後の返済も苦しくなるおそれがあります。その場合は、ほかの手続き(個人再生・自己破産など)も含めて相談の場で比べてもらいましょう。手続きの違いは債務整理の種類の比較にまとめています。生活保護を受けている人は生活保護を受けながら債務整理する方法も参考にしてください。

費用の相談で伝えること・確かめること

費用が払えないことは、相談の最初に伝えてかまいません。伝え方の例を示します。

文例(相談の予約の電話):「任意整理の相談をしたいのですが、費用を一度に払うのが難しいです。借入先は3社で、いまは毎月合計4万5,000円を返しています。依頼した後、毎月いくらずつの積立なら受けていただけますか。法テラスの立替えが使えるかどうかも、相談のときに教えてください。」

相談の場では、次の点を確かめて、答えを見積書や委任契約書に書いてもらいましょう。

  • 費用の総額(税込)と、分割の回数・毎月の額
  • 積立が遅れたとき、どこまで待ってもらえるか
  • 途中で解約・解除になったとき、積立金と着手金がどう返されるか
  • 和解の後も費用の支払いが残る場合、業者への返済と合わせて毎月いくらになるか
  • 法テラスの民事法律扶助を使えるか(契約しているか)

分割払いを使うなら、選ぶときは「受任する人と直接話せるか」「総額と分割の条件を書面で出してもらえるか」「解約したときの返金の条件」の3点を、どの事務所でも同じように聞いて比べてください。費用そのものを抑えたい場合は、前の記事の任意整理を安い費用で頼むときに確かめることで総額の比べ方を説明しています。依頼した後の進み方は、次に読む任意整理を弁護士に頼む流れで手順にしています。

よくある質問

Q. 任意整理の費用は、和解した後の後払いにできますか?

支払いの時期と回数は、事務所の料金表と委任契約で決まります。依頼の後に業者への返済が止まる間に積み立てる形のほか、和解後の返済と並行して残りを払う形を認める事務所もあります。最初の相談で「費用は何回に分けられるか、和解後に残りを払えるか」を聞き、答えを書面でもらいましょう。

Q. 積立が1回遅れたら、依頼は打ち切られますか?

すぐに打ち切られるとは限りませんが、積立が続かないと和解の交渉が進まず、委任契約の解除につながることがあります。遅れそうだと分かった時点で、払える日と額を事務所に伝えて相談してください。解除された場合に積立金がどう扱われるかは、契約書の解約の条項で確かめておきます。

Q. 積立をしている間に、業者から裁判を起こされることはありますか?

あります。貸金業法21条1項9号が禁じているのは、受任通知で直接の請求をしないよう求められたのに、なお電話や訪問などで返済を求めることで、業者が裁判を起こすことまでは禁じていません。裁判所から書類が届いたら、すぐ依頼先に伝えてください。日弁連の規程は、業者からの訴えに代理人として対応する場合などを、着手金を追加できる例に挙げているので、追加の費用があるかも契約書で確かめておきましょう。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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