自己破産 / 制度解説

自己破産の同時廃止と管財事件の違い|分かれ目と費用・期間

この記事のもくじ
  1. 同時廃止と管財事件の違い
  2. どちらになるかの分かれ目
  3. 管財事件で起きること
  4. 費用と期間の違い
  5. 自分の事件がどちらになりそうかを知るには

自己破産には、破産管財人が付く「管財事件」と、付かない「同時廃止事件」があります。どちらになるかは裁判所が決め、本人が選ぶことはできません。分かれ目は、手放せる財産があるか、免責に関わる調査が必要かです。この記事では、2つの違いを表で比べ、東京地方裁判所が公表している基準と費用を例に、分かれ目と期間の考え方を示します。全体像は自己破産とは?流れ・失うもの・生活への影響をまとめて確認にあります。

同時廃止と管財事件の違い

破産法は管財事件を原則とします。破産財団で破産手続の費用を払うのに足りないと認めるときは、開始と同時に手続を終える「同時廃止」にします(破産法216条1項)。ただし、手続の費用を払うのに足りる金額の予納があれば、同時廃止にはなりません(同条2項)。

比較表:同時廃止と管財事件
比べる点 同時廃止 管財事件
破産管財人 選ばれない 開始決定と同時に選ばれる(破産法31条1項)
財産の換価・配当 しない 管財人が換価し、債権者に配当する
債権者集会 開かれない 原則として開かれる
免責の調査 裁判所が行う 裁判所が管財人に調査させられる(破産法250条1項)
郵便物の転送 なし 管財人に配達されることがある(破産法81条)
予納金の例(東京地裁) 13,046円 最低20万円と、1件につき20,397円

予納金の額は、東京地方裁判所民事第20部の「破産事件の手続費用一覧(令和8年1月1日現在)」にある数字で、事案に応じて変わる場合があるとされています。同時廃止の13,046円、個人の管財事件の最低20万円と1件につき20,397円という金額は、東京地裁での例です。ほかの裁判所は金額が違うので、申立先の費用一覧で確かめます。予納金そのものの意味と分納の考え方は自己破産の予納金とは?金額の決まり方と納める時期・分納の確認で説明しています。

どちらになるかの分かれ目

東京地裁民事第20部の「よくある質問」は、申立人側の事前調査を踏まえて、次のような場合を原則として管財事件として扱うと説明しています。

  1. 債務者に33万円以上の現金がある場合
  2. 預貯金・保険の解約返戻金・未払の報酬や賃金などで、20万円以上の換価の対象になる資産がある場合
  3. 不動産の被担保債権額が、不動産の処分価格の1.5倍未満の場合
  4. 資産の調査が必要な場合
  5. 債務者が法人、法人の代表者、または個人事業者の場合
  6. 免責についての調査を経ることが相当な場合

つまり、財産があって配当に回せる場合と、財産は少なくても調査が必要な場合の2通りで管財事件になります。6が、免責不許可事由の調査のために管財事件になる運用にあたります。浪費やギャンブルが借金の理由に含まれる場合、財産が少なくても、この調査が必要と判断されることもありえます。免責不許可事由の中身は自己破産の免責不許可とは?注意する行為と裁量免責の仕組みで、個人事業主の場合は個人事業主の自己破産|事業を続けられるかと売掛金・道具の扱いで扱っています。

この数字は東京地裁のもので、全国共通の基準ではありません。ほかの裁判所は、現金の線や調査の扱いが違うことがあります。申立先の地方裁判所のサイトで「破産」「同時廃止」「管財」を探すと、基準や費用一覧が載っています。

管財事件で起きること

管財事件では、管財人が破産者の財産の管理・処分の権利を持ちます(破産法78条1項)。流れは次のとおりです。

  • 開始決定と同時に、管財人が選ばれ、債権届出の期間と債権者集会の期日が定まる(破産法31条)
  • 管財人が、開始に至った事情や財産の状況を裁判所に報告する(破産法157条)
  • 債権者集会で、管財人が破産に至った経緯や財産の現状を報告する(東京地裁「よくある質問」)
  • 換価した財産を、債権者に配当する

債権者集会への出席は、債権者側は任意で、出席しなくても配当を受けられないといった不利益はないとされています。本人に出席が求められる場面は自己破産で裁判所に行くのは何回?審尋と債権者集会の中身で見られます。本人の義務は、聞かれたことに答えること、財産を書面で出すこと、調査に協力することです(破産法40条・41条・250条2項)。

費用と期間の違い

費用は、同時廃止と管財事件で、裁判所に納める額が大きく違います。依頼先の報酬は別です。総額の考え方は自己破産の費用はいくら?裁判所の費用と弁護士費用の内訳にまとめました。

「少額管財」は、破産法の用語ではなく、各地の裁判所が運用で付けた呼び名です。東京地裁の一覧は「個人の管財事件 最低20万円」と書いて呼び名を使わず、千葉地裁と高松地裁の一覧には少額管財の区分があります。呼び名・条件・金額は裁判所ごとに違うので、裁判所ごとの比較は自己破産の予納金とは?金額の決まり方と納める時期・分納の確認の表で見てください。

期間について、全国で共通の公式な数字は見当たりません。管財事件は、債権者集会や配当の手続が加わる分、同時廃止より長くなる構造です。東京地裁の運用では、同時廃止が相当と判断されると面接当日に開始決定と同時廃止の決定が出ます(同裁判所「よくある質問」)。全体の時系列は自己破産の流れ|相談から免責許可の決定までの期間と手順で段階ごとに確かめられます。

自分の事件がどちらになりそうかを知るには

見通しは、財産の一覧を作って、依頼先に見てもらうと立てやすくなります。

  1. 現金・預貯金・保険の解約返戻金・車・不動産の評価額を書き出す
  2. 借金の理由と、免責不許可事由になりうる行為(浪費・ギャンブル・特定の人への返済)がなかったかを振り返る
  3. 事業をしているか、過去に事業をしていたかを整理する
  4. 申立先の裁判所の費用一覧を開き、予納金の額と分納の可否を確かめる

自己破産の依頼先を探すときは、弁護士に頼む選択肢があります。同時廃止か管財かの見込みと、予納金を含む総額を、見積もりの段階で書面にしてもらうと比べやすくなります。

管財事件になる見込みが強いほど、手続中の制限や費用の見通しが変わります。失う財産を先に整理したいときは、前の記事の自己破産したら何を失う?手元に残せる財産と残せない財産が参考になります。

よくある質問

Q. 管財事件になると免責は難しくなりますか?

管財事件か同時廃止かは、免責が許可されるかとは別の話です。管財事件は財産の換価や免責不許可事由の調査が必要な事件で、そこで調べた結果を踏まえて免責を判断します。免責不許可事由があっても裁量で許可される仕組みがあります(破産法250条・252条)。

Q. 少額管財は法律で決まった手続ですか?

法律の用語ではありません。破産法は管財事件を原則とし、各地の裁判所が、予納金を抑えて管財人が手続を進める運用に付けている呼び名です。条件や金額は裁判所ごとに違うため、申立先の裁判所の費用一覧で確かめます。

Q. 同時廃止か管財かは自分で選べますか?

選べません。どちらになるかは裁判所が判断します(裁判所の民事事件Q&A)。申立ての準備では、財産の一覧を正確に作ることで、見通しが立てやすくなります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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