個人再生と住宅・車のローン / 早見表

個人再生の最低弁済額の早見表|借金額ごとの返済総額と計算の仕方

この記事のもくじ
  1. 最低弁済額の決まり方|条文の基準
  2. 借金額ごとの早見表(筆者の計算)
  3. 計算の手順
  4. 清算価値との比較|多いほうが下限になる
  5. この早見表の使い方と、次に確かめること

個人再生の最低弁済額は、住宅ローンなどを除いた借金が100万円以上500万円以下なら100万円、500万円超1,500万円以下なら借金の5分の1、1,500万円超3,000万円以下なら300万円、3,000万円超5,000万円以下なら10分の1です。100万円未満なら全額で、減りません。借金が1,000万円なら200万円、月に約5.6万円(36回)の計算です。この記事は、条文の基準を借金額ごとの早見表にして、計算の手順と、財産の評価(清算価値)と比べて多いほうになる仕組みを示します。

最低弁済額の決まり方|条文の基準

小規模個人再生の再生計画は、返す総額(計画弁済総額)が最低弁済額を下回ると、裁判所に認可されません(民事再生法231条2項3号・4号)。基準は借金の額で2つに分かれます。

  • 4号:対象の借金が3,000万円以下のとき。基準債権の総額の5分の1か100万円のうち、多いほうの額。ただし基準債権が100万円を下回るときはその全額、5分の1が300万円を超えるときは300万円
  • 3号:対象の借金が3,000万円を超え5,000万円以下のとき。その総額の10分の1

「対象の借金」には、住宅ローン(住宅資金貸付債権)と、担保の実行で回収できる見込みの額などは入りません。この記事では、わかりやすく「住宅ローンなどを除いた借金」と書きます。裁判所のQ&Aも、3,000万円以下は5分の1(100万円以上300万円以下の範囲)、3,000万円超5,000万円以下は10分の1と説明しています。条文では、3号の対象が「無異議債権及び評価済債権」の総額、4号の対象が「基準債権」の総額と、数え方が少し違います。実際の金額は、債権者一覧表に載せた額から依頼先が出します。

借金額ごとの早見表(筆者の計算)

早見表:借金額ごとの最低弁済額と月々の返済額
住宅ローンなどを除く借金 最低弁済額 返す割合 36回の月額 60回の月額
50万円 50万円 全額 約1.4万円 約0.8万円
100万円 100万円 全額 約2.8万円 約1.7万円
300万円 100万円 約33% 約2.8万円 約1.7万円
500万円 100万円 20% 約2.8万円 約1.7万円
600万円 120万円 20% 約3.3万円 2.0万円
800万円 160万円 20% 約4.4万円 約2.7万円
1,000万円 200万円 20% 約5.6万円 約3.3万円
1,500万円 300万円 20% 約8.3万円 5.0万円
2,000万円 300万円 15% 約8.3万円 5.0万円
3,000万円 300万円 10% 約8.3万円 5.0万円
3,500万円 350万円 10% 約9.7万円 約5.8万円
5,000万円 500万円 10% 約13.9万円 約8.3万円

表は、財産の評価(清算価値)が最低弁済額より小さい場合の計算です。借金が減った割合(圧縮率)は、全体から「返す割合」を引いた残りの割合です。たとえば600万円なら返す割合が20%で、圧縮率は80%になります。月額は最低弁済額を回数で割った額で、利息や、依頼先と裁判所に払う費用は含みません。36回は原則の3年に当たる月払い、60回は特別の事情があって5年に認められた場合です(民事再生法229条2項)。

見るべき点は3つあります。

  1. 500万円までは返す額が変わらない:100万円以上500万円以下では、借金が300万円でも500万円でも、下限は100万円です。借金が小さいほど、減る割合は低くなります。
  2. 1,500万円までが「5分の1」:5分の1で計算するのは500万円超1,500万円以下です。1,500万円を超えると300万円で止まり、3,000万円までは変わりません。
  3. 3,000万円を超えると10分の1:3,000万円は300万円ちょうど、3,500万円なら350万円と、借金に比例して増えます。

計算の手順

自分の借金で最低弁済額を出す手順を示します。

  1. 借入先ごとの残高を一覧にして合計する(利息の引き直しをした後の額を依頼先が出す)
  2. 合計から、住宅ローンと、担保で回収できる分を引く
  3. 引いた後の額を、早見表の区分に当てはめる
  4. 最低弁済額を、36回なら36、60回なら60で割って、月額を出す
  5. 財産を処分した場合の額(清算価値)と比べ、多いほうを下限にする

例1:借金が600万円で、住宅ローンがない場合。 600万円は500万円超1,500万円以下なので、下限は5分の1の120万円です。36回なら月に約3.3万円、減る額は最大480万円です。

例2:住宅ローン3,000万円のほかに、カードローンなどの借金が1,000万円ある場合。 住宅ローンは除いて、1,000万円だけを区分に当てはめます。下限は200万円で、住宅ローンは約束どおり払い続けます(住宅資金特別条項を使う場合)。

例3:借金が3,200万円(住宅ローンなし)の場合。 3,000万円を超えるので10分の1の320万円です。36回なら月に約8.9万円です。

境目の500万円・1,500万円・3,000万円では、どちらの区分で計算しても下限は同じ額になるので、1万円の差で下限が急に跳ねることはありません。ずれが出やすいのは、「対象の借金」の数え方です。利息の引き直し、担保で回収できる見込みの額、住宅ローンの切り分けで、対象の額が動きます。境目の近くの人は、債権者一覧表で確定した額での計算を依頼先に出してもらってください。

清算価値との比較|多いほうが下限になる

最低弁済額は、返す額の下限の1つです。もう1つの下限が、財産を処分して返す場合の額に当たる清算価値で、裁判所も、返済総額は清算価値を上回らなければならないとしています。最低弁済額と清算価値を並べて、多いほうが実際の下限になります。

場合(借金600万円、最低弁済額120万円) 清算価値(仮の評価) 返す額の下限
財産が少ない 80万円 120万円(最低弁済額のほうが多い)
財産が最低弁済額と同じくらい 120万円 120万円
財産が多い 250万円 250万円(清算価値のほうが多い)

清算価値が250万円と評価されたとき、36回の月額は約6.9万円で、最低弁済額だけで計算した約3.3万円の2倍を超えます(筆者の仮定と計算)。財産ごとの評価の考え方は個人再生の清算価値とは?財産が多いと返済額が増える仕組みで扱っています。

給与所得者等再生では、さらに可処分所得の2年分以上を返す必要があります(民事再生法241条2項7号)。3つのうち最も多い額が下限になる仕組みは、個人再生の給与所得者再生とは?小規模個人再生との違いと選び方にあります。

この早見表の使い方と、次に確かめること

早見表は、手続きの入口で「だいたいいくらを返すのか」をつかむための道具です。実際の返済額は、債権者一覧表の確定額、清算価値の評価、給与所得者等再生なら可処分所得で変わります。月々の返済に回せる額と、早見表の月額を比べてみてください。月額が家計で払える額を超えるなら、返す期間を延ばせるかを含めて、依頼先に相談します。

借金が大きく、家を残したい場合は、住宅資金特別条項の使える条件を個人再生で住宅ローンを払い続ける特則|家を残す条件と流れで確かめます。ほかの手続きとの返済額の違いは任意整理と個人再生の違い|借金額・収入・住宅で選ぶ分かれ道に、全体の仕組みは個人再生とは?いくら減るかの決まり方と家を残す条件・流れにあります。

次に読むなら、財産の評価で返済額が変わる仕組みの個人再生の清算価値とは?財産が多いと返済額が増える仕組みが続きです。

よくある質問

Q. 個人再生で借金が1,000万円なら、いくら返しますか?

住宅ローンなどを除いた借金が1,000万円なら、最低弁済額は5分の1の200万円です(民事再生法231条2項4号)。36回なら月に約5.6万円です。財産を処分した場合の額(清算価値)が200万円を上回れば、その額が下限になります。

Q. 個人再生では、どんな借金でも5分の1になるのですか?

5分の1で計算するのは、対象の借金が500万円超1,500万円以下の人だけです。500万円以下は100万円、100万円未満は全額が下限で、1,500万円超3,000万円以下は300万円、3,000万円超は10分の1です。清算価値が大きければ、さらに増えます。

Q. 最低弁済額を月々の返済に直すと、いくらになりますか?

最低弁済額を回数で割ります。36回なら100万円で約2.8万円、200万円で約5.6万円、300万円で約8.3万円です。最終の返済日を認可の確定から3年後の月より先、5年以内まで延ばせる(60回の計算はこの場合)のは、特別の事情があるときだけです(民事再生法229条2項2号)。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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