自己破産 / Q&A

自己破産すると連帯保証人はどうなる?請求の流れと話し合い方

この記事のもくじ
  1. 請求が保証人に届くまでの流れ
  2. 保証人が取れる選択肢
  3. 保証人が払ったあと、本人に取り戻せるか
  4. 自己破産の前に、保証人へ伝える順番と文例
  5. 弁護士に相談するときに確かめること

自己破産をしても、連帯保証人への請求は消えません。免責許可の決定は、債権者が保証人その他の「共に債務を負担する者」に対して持つ権利に影響を及ぼさないと、破産法253条2項が定めています。本人の返済責任が免責で終わる一方、保証人には残りの請求が向かうのが基本です。ここでは、請求が保証人に届くまでの流れ、保証人自身ができること、自己破産の前に保証人へどう伝えるかを順に整理します。債務整理全般での保証人の扱いは債務整理すると保証人はどうなる?請求が保証人に行く仕組みで比べられます。

請求が保証人に届くまでの流れ

自己破産の依頼から保証人への請求までは、次の順に進みます。債権者や契約によって時期は前後します。

時系列表:自己破産の依頼から保証人への請求まで
段階 起きること 根拠・注意
1 本人が弁護士・司法書士に依頼し、債権者へ受任の通知が出る。返済が止まる 通知の後、貸金業者が本人に直接請求することは貸金業法21条1項9号で禁じられています。保証人への請求は別です
2 債権者が本人の期限の利益が失われたものとして、残額の一括請求を保証人に向ける 破産手続開始の決定を受けた債務者は、期限の利益を主張できません(民法137条1号)。契約の約款で、それより前に失う定めもあります
3 2020年4月1日以降の保証契約では、債権者は個人の保証人に、期限の利益の喪失を知った時から2か月以内に通知する 民法458条の3。通知がなければ、喪失から通知までの間に生じた遅延損害金(期限の利益を失わなくても生じたはずの分を除く)は、保証人に請求できません。法人の保証人には適用されません
4 保証会社つきの借金では、保証会社が代わりに払い(代位弁済)、本人に求償する立場になる 人の保証人の話ではありません。代位弁済の通知が届いたら|保証会社から請求される仕組みと対応で確認できます
5 免責が確定しても、保証人への請求は続く 破産法253条2項

連帯保証人は、債権者から請求を受けたときに「まず本人に請求して」と言えません(民法454条、452条・453条の権利がない)。連帯の約束がない通常の保証人も、本人が破産手続開始の決定を受けた場合は、「まず本人に請求して」という催告の抗弁が使えません(民法452条ただし書)。いずれの場合も、債権者は保証人に対して請求できます。

債権者は、破産手続にも、保証人にも並行して請求できる立場です。数人が各自全部の履行をする義務を負う場合、そのうちの一人について破産手続開始の決定があっても、債権者は開始時の債権の全額について手続きに参加できます(破産法104条1項)。保証人が破産手続開始のあとに一部を払っても、債権の全額が消えない限り、債権者は開始時の債権の全額で本人の破産手続に参加し続けられます(同条2項)。本人の破産手続で配当があれば、その分だけ残りは減りますが、減らなかった残りへの請求は、免責が確定しても保証人に残ります(253条2項)。

保証人が取れる選択肢

請求書を受け取った保証人には、次の選択肢があります。

選択肢 中身 注意点
内訳の確認 元本・利息・遅延損害金の内訳と、主債務の不履行の有無・残額を債権者に尋ねる 委託を受けた保証人が請求すると、債権者は遅滞なく情報を提供しなければなりません(民法458条の2)
分割払いの相談 一括が難しければ、毎月の払える額を示して分割を相談する 応じるかは債権者の判断です。払える額の根拠として収支のメモを用意します
支払う 全額または一部を払う 払った後は、本人への求償の問題が出ます(下の表)
自分の債務整理 保証人が払えない額なら、保証人自身が任意整理・個人再生・自己破産を検討する 連帯保証人が払えないとき|保証人の債務整理と自己破産で扱っています
専門家への相談 請求書、保証契約書、主債務者の契約書を持って弁護士・司法書士・法テラス等へ 訴状が届いているときは、期限内に動けるよう急ぎます。連帯保証人として訴えられた・請求が来たら|払う前に確かめることを参照してください

請求書を受け取って慌てて「払います」と書面にしたり、一部を払ったりすると、権利の承認(民法152条)として、時効が新たに進み始める原因になることがあります。払うか迷う段階では、約束の書面に署名する前に、依頼先や相談窓口に内容を見せるのが安全です。

保証人が払ったあと、本人に取り戻せるか

保証人が本人の委託を受けて保証し、代わりに払った場合、本人に対して払った額の求償権を持ちます(民法459条1項)。ところが本人が自己破産をしていると、この求償権は事情が変わります。

  • 破産法104条3項は、破産者に対して「将来行うことがある求償権」を持つ人も、破産手続に参加できると定めています。債権者がすでに全額で参加しているときは別ですが、保証人の求償権は、原則として破産手続で扱われる債権(破産債権)に入ります。
  • 免責許可の決定が確定すると、破産者は破産債権について責任を免れます(253条1項)。
  • そのため、保証人が払った分を本人に請求しても、免責が確定した後は、免責の対象となり、回収できる見込みが小さくなります。

払った後に本人から取り戻す前提で、保証人が大きな額を払うのは避け、先に弁護士などに相談する方が安全です。本人の求償債務がどう扱われるかは、保証契約の内容や手続きの進み方で変わります。個別の見通しは、保証人の側の弁護士に確かめてください。

自己破産の前に、保証人へ伝える順番と文例

請求が先に届くと、保証人は事情が分からないまま請求書を受け取ります。関係をこじらせないために、次の順番を考えておきます。

  1. 依頼先に、保証人つきの借金があることを最初の面談で伝える
  2. 保証の対象の借金について、借入先・残高・契約日・保証の種類(連帯保証かどうか)を整理する
  3. 保証人に伝える時期を、依頼先と決める(債権者からの通知より前になるように)
  4. 保証人に、何が起きるか(請求が行く)、いつ頃か、相談できる先を伝える

文例:「〇〇銀行の借金で、おじさんに連帯保証人になってもらっていました。ほかの借金も含めて返せなくなり、自己破産の準備をしています。私の借金は免責の手続きで整理されますが、保証人のおじさんへの請求は残ります。近いうちに銀行から連絡が行くはずです。請求書が来たら、払う前に、先に私へ連絡してください。弁護士の面談にも、一緒に行ってもらえると助かります。」

伝える前に、避けたい行為が1つあります。保証人に迷惑をかけたくない気持ちから、保証人つきの借金だけ先に返すことです。特定の債権者にだけ返す行為は、管財人に取り消される(否認される)ことがあり(破産法162条)、免責不許可事由にも関わります(252条1項3号)。保証人の側の事情は大切ですが、返す順番は自分で決めずに、依頼先に相談してください。

弁護士に相談するときに確かめること

保証人がいる借金がある場合、依頼先に尋ねたい点は次のとおりです。

  • 保証人への請求が、いつ頃・どの債権者から行きそうか
  • 自己破産以外の手続き(保証人つきの借金を外せる手続き)との比較
  • 保証人から相談があったときの対応(保証人本人の相談は、別の依頼になります)
  • 費用の総額と支払い方法を、書面(見積書)で確かめる

弁護士と司法書士の違いは債務整理は弁護士と司法書士どっち?140万円の線と選ぶときの確認点にまとめています。保証人がいる借金の整理を相談するなら、債務整理を扱う弁護士の面談を使う選択肢があります。

よくある質問

Q. 保証人に迷惑をかけずに自己破産する方法はありますか?

自己破産では、保証人がついた借金だけを手続きから外せません。破産法は、債権者名簿に知っている債権者すべてを書くよう求めています(248条3項・252条1項7号)。保証人を守りたい事情は、最初の面談で依頼先に伝え、任意整理など別の手続きとの比較も含めて相談します。

Q. 保証人が高齢で、請求された額を払えません。どうなりますか?

払えないまま放置すると、訴訟や差押えに進むことがあります。保証人本人が請求書を持って弁護士や司法書士、法テラスなどに相談し、分割の交渉や、保証人自身の債務整理を検討する流れになります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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