債務整理すると保証人はどうなる?請求が保証人に行く仕組み
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債務整理をすると、保証人がついた借金の請求は保証人に行くのが基本です。自己破産で本人が免責されても、個人再生で本人の返済額が減っても、保証人に対する債権者の権利はそのまま残ると法律に書かれています。避ける余地があるのは、整理する借金を選べる任意整理と特定調停で、保証人つきの借金を対象から外す場合です。ここでは手続きごとの違いと、保証人への伝え方までを順に整理します。
手続き別:保証人に請求が行くかの早見表
保証人への影響は、どの手続きを選ぶかと、その借金を対象にするかで分かれます。
| 手続き | 保証人つきの借金を対象から外せるか | 対象にした場合の保証人 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 自己破産 | 外せない(すべての債権者を一覧に書く) | 本人の免責後も保証人への請求は残る | 破産法253条2項 |
| 個人再生 | 外せない(すべての債権者を一覧に書く) | 本人の減額は保証人に及ばない | 民事再生法177条2項 |
| 任意整理 | 外せる(交渉する相手を選ぶ) | 残額の一括請求が保証人に行くことがある | 日司連の指針の解説 |
| 特定調停 | 外せる(調停の相手方にする債権者を選ぶ) | 対象にした借金は、調停の内容や契約の条項によっては保証人に請求が向かうことがある | 特定調停法3条(調停の申立て。相手方の選び方は申立先の簡易裁判所で確かめる) |
自己破産の免責について、破産法253条2項は「保証人その他破産者と共に債務を負担する者」に対する権利に影響しないと定めています。個人再生でも、民事再生法177条2項が、再生計画は債権者が保証人に対して持つ権利に影響しないと定めています。本人の借金が減っても、保証人が負っている保証の責任は元の契約のまま、という仕組みです。
任意整理については法律の条文ではなく、日本司法書士会連合会(日司連)の指針の解説が、依頼の前に説明すべき不利益の例として「保証人に残額の一括請求をされる可能性」を挙げています。
なぜ本人が整理すると保証人に請求が行くのか
保証人は、本人(主たる債務者)が払わないときに代わりに払う責任を負う人です(民法446条1項)。債務整理を依頼して返済を止めると、約束の返済日に支払いがない状態が続きます。契約の「期限の利益の喪失」の条項によっては、残りを一度に払うよう求められ、その請求が保証人に向かいます。
請求される範囲は元本だけではありません。保証の責任には利息・違約金・損害賠償など、元の借金に付随するものも含まれます(民法447条1項)。遅れている間に増えた遅延損害金が上乗せされた額が届くことがあります。
保証人の種類によって、請求のされ方が違います。
- 連帯保証人:「先に本人に請求して」(催告の抗弁)、「本人の財産から先に取って」(検索の抗弁)と言う権利がありません(民法454条)。いきなり全額を請求されることがあります。
- (ただの)保証人:上の2つの権利があります(民法452条・453条)。ただし本人が破産手続開始の決定を受けたときなどは、催告の抗弁は使えません。
2020年4月1日以降に結んだ保証契約では、本人が期限の利益を失ったとき、債権者は個人の保証人に、それを知ってから2か月以内に通知しなければなりません(民法458条の3)。この通知が保証人にとって最初の知らせになることもあります。保証人の立場からの対応は、連帯保証人として訴えられた・請求が来たら|払う前に確かめることで扱っています。
「保証会社」がついている借金と、人の保証人の違い
カードローンや住宅ローンでは、家族などの人ではなく保証会社が保証していることがよくあります。この場合の流れは次のとおりです。
- 本人の返済が止まる
- 保証会社が本人に代わって銀行などに残りを払う(代位弁済)
- 保証会社が、払った分を本人に請求する立場になる(求償)
- 債務整理では、保証会社が交渉や手続きの相手になる
保証会社が代わりに払った事実は、信用情報にも「代位弁済」「保証履行」などの事実として登録されることがあります(全国銀行個人信用情報センター、JICC)。代位弁済の通知が届いた後の動き方は代位弁済の通知が届いたら|保証会社から請求される仕組みと対応にまとめました。
家族が困るのは、人が保証人になっている借金です。 契約書の「連帯保証人」欄に家族の名前があるか、奨学金の人的保証か、事業資金の借入で親族が保証しているかを、借入一覧を作る段階で確かめます。奨学金の場合は奨学金が返せないと保証人に請求が行く?連帯保証と保証の違いも参考になります。
任意整理で保証人つきの借金を外すときの考え方
任意整理は、借入先ごとに交渉する手続きなので、保証人つきの借金を対象から外せます。外した借金は契約どおり払い続けるので、保証人に請求は行きません。判断の材料は次の3つです。
- 外した借金の返済額を払い続けても家計が回るか:回らなければ、外しても途中で止まり、結局保証人に請求が行きます。
- 残りの借金を整理して返せる見込みがあるか:日司連の説明では、任意整理の分割は3年程度の和解が多いとされています。
- ほかの手続きが向いていないか:日司連の指針は、破産や民事再生が適切なのに安易に任意整理を選ぶことを禁じています(7条3項)。保証人を守るために無理な計画を立てないことが大切です。
自己破産や個人再生では、保証人つきの借金だけを先に返すこともできません。破産の前に特定の債権者だけに返すと、管財人に取り消される(否認される)ことがあり(破産法162条)、免責不許可事由にも関わりえます(252条1項3号)。個人再生の手続開始後は、計画によらない返済が禁じられています(民事再生法85条1項)。
外す・外さないの具体的な判断は保証人がいる借金を任意整理するとどうなる?外すかの判断材料で、外せる借金の範囲は債務整理は一部のみ選べる?手続き別に対象から外せる借金の範囲でくわしく扱います。自己破産を考えている場合は自己破産すると連帯保証人はどうなる?請求の流れと話し合い方へ。
保証人への伝え方と、伝える前の準備
保証人に請求が届いてから知らせると、関係がこじれやすくなります。依頼先に「保証人つきの借金があり、伝える時期を相談したい」と最初の面談で言っておくと、手続きの順番を一緒に考えてもらえます。
伝える前にそろえておくもの:
- 保証人がついている借金の借入先・残高・毎月の返済額
- 保証の種類(連帯保証か、ただの保証か)と保証契約の日付
- 選ぶ予定の手続きと、保証人に請求が行く可能性があるか
- 請求が来たときに保証人が相談できる先(債務整理は弁護士と司法書士どっち?140万円の線と選ぶときの確認点、公的な窓口)
文例:「お父さんに保証人になってもらっている〇〇銀行の借金のことで話があります。ほかの借金も含めて返済が回らなくなり、弁護士に債務整理を相談しています。手続きによっては、銀行からお父さんに残りの請求が行く可能性があります。請求が来る前に知らせたくて話しました。どの手続きにするかは来週の面談で決めるので、決まったらすぐ伝えます。」
保証人が自分で返せない額の請求を受けた場合は、保証人自身が債務整理をすることもあります(連帯保証人が払えないとき|保証人の債務整理と自己破産)。家族の誰がどこまで払う義務を負うかを一度に整理したいときは、家族の借金が発覚したら|払う義務の有無と本人を相談につなぐ手順が入口になります。
次は、広告でよく見る借金減額診断とは?仕組みと使う前に知っておきたい注意点を読むと、相談先を探す前の見方が分かります。手続きを始めた後の督促の止まり方は、前の記事の債務整理の受任通知とは?督促が止まる仕組みと止まらない支払いで確かめられます。
保証人がいる借金を一部の借入として外せるかは、債務整理は一部のみ選べる?手続き別に対象から外せる借金の範囲で手続き別に確かめられます。
よくある質問
Q. 本人が自己破産すると、保証人の借金も一緒に消えますか?
消えません。破産法253条2項は、免責許可の決定が保証人に対する債権者の権利に影響しないと定めています。保証人は残りを請求される立場のままで、保証人自身の返済が難しいときは、保証人が自分で相談先を探すことになります。
Q. 保証人に黙って債務整理を進めてもよいですか?
手続きを始めると債権者から保証人に連絡が行くことがあるので、保証人が突然知る形になりやすいです。依頼先と時期を相談したうえで、請求が届く前に本人から伝えておくと、保証人が準備や相談をする時間を取れます。
出典・参考にした公的な情報
- 破産法 第162条・第252条・第253条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民事再生法 第85条・第177条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民法 第446条・第447条・第452条〜第454条・第458条の3(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 債務整理事件の処理に関する指針の解説(令和7年4月)(日本司法書士会連合会)
- 信用情報の登録期間(保証履行・代位弁済)(株式会社日本信用情報機構)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。