債務整理の全体と選び方 / 制度解説

借金減額診断とは?仕組みと使う前に知っておきたい注意点

この記事のもくじ
  1. 借金減額診断の仕組み:入力してから契約までの流れ
  2. 借金減額診断をしたらどうなる?連絡・信用情報・費用
  3. 2026年4月からの広告の決まり:日弁連・日司連が挙げる例
  4. 使う前に確かめる5つのこと
  5. 診断以外の入口と、依頼先を選ぶとき

借金減額診断は、借入額・借入先の数・毎月の返済額などを入力すると「減額できる可能性」が表示される、主に弁護士・司法書士の事務所が出すウェブ広告の入口です。入力だけで分かるのは一般的な目安までで、実際の方針と費用は、受任する弁護士・司法書士との面談で決まります。2026年4月1日からは、日本弁護士連合会(日弁連)の「業務広告に関する指針」に、入力だけで判断できるかのように思わせる「借金減額診断」が、誤導・誤認のおそれのある広告の例として加わりました。使う前に、仕組みと確かめる点を押さえておきましょう。

借金減額診断の仕組み:入力してから契約までの流れ

診断ページは、多くの場合、質問に答えていく形になっています。入力が終わると結果画面に「減額の可能性があります」などと出て、続けて電話番号やメールアドレスを入れる欄が現れます。ここから先は、ふつうの法律事務所への相談申込みと同じ流れです。

  1. 借入の総額・借入先の数・借り始めた時期・毎月の返済額・延滞の有無を選ぶ
  2. 結果画面に「減額の可能性」などの表示が出る
  3. 名前・電話番号・メールアドレスなどを入力する
  4. 事務所から電話やメールで連絡が来る
  5. 受任する予定の弁護士・司法書士と面談し、借金・収入・家計・財産を聞き取られる
  6. 手続きの方針(任意整理・個人再生・自己破産など)と費用の説明を受ける
  7. 委任契約を結ぶと、事務所が借入先に受任通知を送る

「借金減額シミュレーター」と名乗るページも、同じ種類の入口です。日弁連の指針も、日本司法書士会連合会(日司連)の指針の解説も、「借金減額診断」と「借金減額シミュレーター」を並べて取り上げています。

早見表:診断の入力で分かること・分からないこと
項目 診断の入力で分かるか 実際に決まる場面
借入の総額・社数 入力した数字として分かる 契約書・明細・信用情報で確かめる
利息制限法を超える金利で払っていたか 分からない 借入先から取り寄せた取引履歴で引き直し計算する
向いている手続き 分からない 収入・家計・財産・保証人を聞き取った面談
月々の返済額・返済期間 分からない 任意整理なら借入先との交渉、個人再生なら裁判所が認める計画
弁護士・司法書士の費用 分からない 面談後に出る報酬の基準と見積もり

入力項目には、取引履歴も家計も保証人の有無も入っていません。結果画面の「可能性」は、入力された借入の時期や額から一般的に言えることを表示しているにすぎない、と読んでおくのが安全です。どのように入力しても同じ結果が出るページがあることは、日司連の解説も問題として挙げています。

借金減額診断をしたらどうなる?連絡・信用情報・費用

診断をしただけで、契約や依頼になるわけではありません。 日弁連の指針は、診断ページで連絡先を入力した人について、入力が依頼や法律相談の申込みであるとページに明確に書かれているなどの事情がない限り、まだ「面識のない者」のままだと整理しています。そのうえで、その人に電話や訪問で依頼を勧めることは弁護士の業務広告に関する規程に反し、承諾なくメール・SMS・SNSのメッセージで勧めることも同じく規程に反すると示しています。

診断を入力しただけで、信用情報に記録が残る場面もありません。信用情報機関に情報を登録・照会するのは、カード会社や貸金業者などの会員で、使える目的は返済能力の調査などに限られています(CIC)。診断の入力は借入の申込みではないからです。信用情報に影響が出るのは、依頼して債務整理を始めた後です。その中身は借金減額のデメリット|信用情報・カード・家族への影響を整理で扱います。

費用は、診断が無料でも、依頼すれば着手金や報酬がかかります。司法書士については、日司連の指針が任意整理の報酬を債権者1社あたり5万円(税抜)までとし、減額報酬は減った元本の10%までと上限を定めています。弁護士についても、日弁連の債務整理事件処理の規律を定める規程が、任意整理の解決報酬金・減額報酬金・過払金報酬金に上限を設けています。上限は「定額」ではないので、面談で総額の見積もりをもらってから決めます。依頼後にかかるお金の内訳は借金減額にかかる費用|診断は無料でも依頼後にかかるお金にまとめます。

2026年4月からの広告の決まり:日弁連・日司連が挙げる例

弁護士と司法書士は、それぞれの団体の規律で広告の出し方を決められています。日弁連の業務広告に関する指針は、次のような表現を規程に反する広告の例に挙げています。診断を名指しする第3の3(7)は、2026年2月19日の改正で加わり、同年4月1日から適用されます(改正の一部は7月1日施行)。

団体の規律 問題になる表現の例 何が問題か
日弁連 指針 第3の3(7)(2026年4月新設) 借入額や時期を入れるだけで処理方針や減額の可能性が判断できるかのような「借金減額診断」「借金減額シミュレーター」 誤導・誤認のおそれ
日弁連 指針 第3の4(4) どう入力しても「あなたの借金は、0円又は減額になる可能性があります」と出る診断ページ 過度な期待を抱かせる
日弁連 指針 第3の4(3) 「国が認めた借金減額制度」「国が認めた借金救済制度」 破産や民事再生以外に特別に有利な制度があると思わせる
日弁連 指針 第3の3(3)(4) 「着手金0円~」で、実際は別の名目でお金を受け取る/表示より著しく高い着手金を受け取る 報酬の不正確な表示
日司連 指針19条・解説 面談の前に債務の減額を期待させる表示。表示してはならない例に「借金減額診断」「借金減額シミュレーター」「国が認めた救済制度」 有利な結果を保証するような広告

これらは広告を出す弁護士・司法書士に向けた決まりで、診断を使った人が責任を問われるものではありません。読者にとっての意味は、「入力だけで減額が分かる」と読める広告は、団体の規律から見ても言いすぎの表示だ、という点です。日弁連の規程は、面談前に債務減額を約束するのではなく、債務整理の広告では報酬の基準や、受任する弁護士との面談が要ることを表示するよう努めるとしています(規程18条)。

使う前に確かめる5つのこと

診断を入口に相談へ進むなら、次の5点を順に確かめます。どれも、事務所に聞いて答えてもらえる内容です。

  1. 運営者は誰か:ページの下や運営者情報に、法律事務所・弁護士法人・司法書士法人の名前と所在地があるか。弁護士でない者は「法律事務所」と名乗れず、報酬目的で法律事務を扱うこともできません(弁護士法72条・74条)。会社名だけのページは、運営しているのが事務所ではなく広告会社などのこともあります。
  2. 誰と面談するか:日弁連の規程は、受任予定の弁護士が自ら面談して借金・資産・収入・生活の状況を聞き取ることを求めています(3条)。日司連の指針も、受任する司法書士との直接面談を原則とし、ウェブ面談は依頼者側に合理的な理由があり本人が望む場合に限っています(4条)。
  3. 費用を書面でもらえるか:司法書士は報酬額・算定方法を書面で示すこと(指針5条)、弁護士は弁護士費用を説明すること(規程4条・5条)が決められています。
  4. 不利益の説明があるか:信用情報に登録されること、破産なら資格の制限、財産を失う可能性などの説明です(日弁連規程4条、日司連指針6条)。
  5. 連絡の方法を指定できるか:家族に知られたくない場合は、電話の時間帯やメールでの連絡を最初に頼んでおきます。

文例:「診断の結果を見て連絡しました。依頼するかは面談で説明を聞いてから決めたいです。面談を担当する弁護士(司法書士)のお名前と、費用の見積もりを書面でいただけるかを教えてください。連絡は平日の夜、携帯電話にお願いします。」

保証人がついている借金がある場合は、債務整理すると保証人はどうなる?請求が保証人に行く仕組みも先に読んでおくと、面談で何を聞くべきかが分かります。

診断以外の入口と、依頼先を選ぶとき

減額の相談の入口は診断だけではありません。財務局の多重債務相談窓口や消費生活センター、法テラス(日本司法支援センター)など、広告を出していない公的な窓口でも、状況の整理や相談先の案内を受けられます。番号と受付時間は借金の相談窓口はどこ?公的な窓口の番号・受付時間と選び方にまとめています。収入や資産が一定以下なら、借金が返せないとき法テラスでできること|無料相談と費用立替の流れも選択肢です。

事務所に依頼するなら、選ぶときは、弁護士・司法書士としての登録、受任する人との面談の有無、税込の総額が分かる書面、対応地域、司法書士なら1社140万円以下という扱える範囲を確かめます。減額診断を入口にする広告もありますが、診断は一般的な目安を示す仕組みで、方針と費用は面談で決まると考えておきましょう。

診断のあとに続く相談の流れは、借金の減額相談の流れ|広告から申し込んで契約するまでの5段階で順に見られます。

次は、「減額」が法律のどの仕組みで起きるのかを借金の減額とは?利息や元本が見直される法律上の仕組みで確かめると、面談で受ける説明を理解しやすくなります。

よくある質問

Q. 借金減額診断で「減額の可能性あり」と出たら、本当に借金は減りますか?

結果は入力した数字だけから出した一般的な目安で、減るかどうか・どれだけ減るかは、取引履歴や家計を確かめた後の面談で決まります。日司連の説明では、銀行のローンや平成21年6月以降の借入で金利が利息制限法の範囲内なら、元本の減額が望めないこともあるとされています。

Q. 診断だけ使って、依頼しなくてもかまいませんか?

かまいません。日弁連の指針は、診断ページに連絡先を入れただけの人を、ページで依頼や相談の申込みだと明示されていない限り、まだ依頼者ではないと整理しています。連絡が来たら「今回は依頼しません。今後の連絡は不要です」と伝えれば足ります。

Q. 診断すると勤務先や家族に知られますか?

診断の入力先は広告を出している事務所などで、勤務先へ連絡が行く仕組みではありません。ただ、入力した電話番号やメールに連絡が来るので、家族が着信や通知を見ることはあります。連絡してよい手段と時間帯を、最初の連絡のときに伝えておきましょう。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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