保証人がいる借金を任意整理するとどうなる?外すかの判断材料
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保証人がついた借金を任意整理の対象にすると、本人の返済が止まった時点で、残りの一括の請求が保証人に向かうことがあります。保証人は、本人が払わないときに代わりに払う責任を負う人だからです(民法446条1項)。任意整理は交渉する相手を選べるので、保証人つきの借金を対象から外すこともできます。選び方は「外した借金を払い続けても家計が回るか」と「保証人が請求に耐えられるか、一緒に相談できるか」の2点で決まります。
保証人がいる借金を任意整理すると請求が保証人に行く仕組み
任意整理を弁護士・司法書士に頼むと、依頼先から借入先に受任通知が届き、本人の返済が止まります。多くの契約には、返済が遅れると残りを一度に払わなければならなくなる「期限の利益の喪失」の条項があり、この請求が保証人に向かいます。
保証人に届く請求の中身は、民法の条文で決まっています。
| 何が起きるか | 中身 | 条文 |
|---|---|---|
| 請求される範囲 | 元本だけでなく、利息・違約金・損害賠償など借金に付随するものも含む | 民法447条1項 |
| 連帯保証人の場合 | 「先に本人へ」「本人の財産から先に」と言う権利がない。いきなり全額を求められることがある | 民法454条 |
| ただの保証人の場合 | 先に本人に請求するよう求める権利(催告の抗弁)と、本人の財産から取るよう求める権利(検索の抗弁)がある | 民法452条・453条 |
| 保証人への通知 | 本人が期限の利益を失ったとき、債権者は個人の保証人に、それを知ってから2か月以内に通知する(2020年4月1日以降の保証契約) | 民法458条の3 |
| 保証人が払った後 | 頼まれて保証人になった人は、払った分を本人に請求できる(求償権) | 民法459条1項 |
ここで押さえておきたいのは、任意整理の和解は本人と借入先の約束だという点です。本人の分割の条件が決まっても、保証人の責任がその条件に合わせて小さくなるわけではありません。保証人に一括の請求が届いた場合、保証人は保証人として、借入先と払い方を話し合うことになります。
なお、株式会社シー・アイ・シー(CIC)では、会員会社が保証人としての審査をして契約した場合、保証人になった事実が登録されると案内しています。手続き別(自己破産・個人再生・任意整理・特定調停)に保証人への影響を並べた全体像は、債務整理すると保証人はどうなるかの早見表にまとめています。
外す・含めて保証人と一緒に相談する:2つの選び方を比べる
保証人つきの借金の扱いは、大きく2つの選び方に分かれます。
| 比べる点 | 対象から外す | 含めて、保証人と一緒に相談する |
|---|---|---|
| 保証人への請求 | 外した借金を払い続けるかぎり、行かない | 残りの一括の請求が保証人に向かうことがある |
| 本人の毎月の返済 | 外した借金は契約どおりの額を払い続ける | すべての借金を和解の条件で払う |
| 保証人に伝える時期 | 急がなくてよいが、払えなくなれば請求が行く | 依頼の前に伝え、保証人の返済の見通しも一緒に考える |
| 向いている場面 | 外した借金の返済を続けても、ほかを整理すれば家計が回る | 外した借金の返済が重く、外しても途中で止まりそう |
| 注意する点 | 外した借金だけ払い続けると、ほかの整理が苦しくなることがある | 保証人に一括で払う力がなければ、保証人も相談が要る |
迷ったときは、次の問いに順に答えてみてください。
- 保証人つきの借金の毎月の返済額はいくらか
- その額を払い続けたうえで、ほかの借金を和解の条件(日本司法書士会連合会の説明では、およそ3年程度の分割が多い)で払えるか
- 払えないなら、保証人はその借金の残高を一度に、または分割で払えそうか
- 保証人自身にほかの借金や、生活の余裕のなさはないか
1と2に「払える」と答えられるなら、外す選び方が現実的です。2で詰まるなら、外しても数か月で返済が止まり、結局は保証人に請求が向かいます。その場合は、含める前提で保証人に早めに知らせ、保証人の側の見通しも含めて相談するほうが、保証人にとっても準備の時間がとれます。外せる借金の範囲を手続きごとに確かめたいときは、任意整理は一社だけでもできるかを読んでください。
外せないときと、ほかの手続きを考えるとき
任意整理と違い、自己破産と個人再生では、保証人つきの借金だけを手続きから外すことはできません。そのうえで、本人の免責は保証人に対する債権者の権利に影響せず(破産法253条2項)、個人再生の再生計画も保証人に対する権利に影響しません(民事再生法177条2項)。本人の手続きで借金が減っても、保証人の責任は元の契約のまま残ります。
| 本人が選ぶ手続き | 保証人つきの借金を外せるか | 保証人への影響 |
|---|---|---|
| 任意整理 | 外せる | 含めれば一括の請求が向かうことがある |
| 個人再生 | 外せない | 再生計画の減額は保証人に及ばない |
| 自己破産 | 外せない | 本人の免責は保証人に及ばない |
保証人を守るために任意整理で外す、という考え方は、外した借金を払い続けられることが前提です。借金の総額が大きく、任意整理では返しきれない見込みなら、保証人への影響を承知のうえで別の手続きを選ぶほうがよい場合もあります。どの手続きが合うかは、保証人の状況も含めて相談先が判断する事柄です。自己破産を考えている場合の保証人との話し合い方は自己破産すると連帯保証人はどうなるかで扱っています。
住宅ローンや車のローンに保証人がついていることもあります。家や車を残すかどうかの判断と重なるので、任意整理しても住宅ローンは払い続けられるかや任意整理で車のローンはどうなるかもあわせて読んでください。
含めるなら:保証人と一緒に相談する進め方
保証人つきの借金を含める場合は、保証人に請求が届く前に話しておくことが、関係を保つうえでいちばん効きます。進め方の例です。
- 依頼先に先に伝える:最初の面談で「保証人つきの借金があり、保証人に話すのはいつがよいか相談したい」と伝えます。
- 保証人に渡す材料をそろえる:借入先、残高、毎月の返済額、保証の種類(連帯保証かどうか)、保証契約の日付を紙にまとめます。
- 依頼の前に保証人に話す:請求が届く前に、手続きを考えていることと、保証人に請求が行く可能性を伝えます。
- 保証人の相談先を示す:保証人が一度に払えない場合は、保証人自身が借入先と話し合ったり、自分の債務整理を考えたりすることになります。保証人の立場からの対応は連帯保証人として請求が来たら払う前に確かめることと連帯保証人が払えないときの保証人の債務整理にあります。
文例(保証人に話す):「叔父さんに連帯保証人になってもらっている車のローンのことで、先に話しておきたいことがあります。ほかの借金も合わせて返済が回らなくなり、弁護士に任意整理を相談しています。このローンも整理に含めることになると、ローン会社から叔父さんに残りの約80万円を一括で払うよう連絡が行く可能性があります。手続きを始める前に、どうするかを一緒に考えさせてください。」
保証人が代わりに払った場合、保証人は払った分を本人に請求できます(民法459条1項)。家族の間でも、返す額と時期を書面に残しておきましょう。家族の誰がどこまで払う義務を負うかを一度に整理したいときは家族の借金が発覚したときの払う義務の有無が入口になります。次に読む奨学金は任意整理の対象から外せるかでは、親が保証人になっていることの多い奨学金を扱います。
よくある質問
Q. 保証人つきの借金を外して任意整理すれば、保証人に知られずに済みますか?
外した借金を契約どおり払い続けているかぎり、その借金について保証人に請求が行く理由はありません。ただし、外した借金の返済が途中で止まれば、保証人に請求が向かいます。知られないことを目的に無理な返済計画を立てるより、払い続けられるかを先に確かめてください。
Q. 保証人が代わりに払ってくれたら、その後はどうなりますか?
頼まれて保証人になった人が代わりに払うと、払った分を本人に請求できる権利(求償権)が保証人に生まれます(民法459条1項)。借入先への借金が、保証人への借金に置き換わる形です。家族の間でも、いつまでにどう返すかを書面にしておくと、後の行き違いを防げます。
Q. 保証会社がついている借金も、人の保証人と同じように考えればよいですか?
違います。保証会社が保証している借金を任意整理すると、保証会社が代わりに払い(代位弁済)、その後は保証会社が交渉の相手になるのが一般的な流れです。家族などの人に請求が行くのは、契約書の保証人の欄に人の名前がある借金です。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第446条・第447条・第452条〜第454条・第458条の3・第459条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民事再生法 第177条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 破産法 第253条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 「多額の借金」返済限度を超えた(任意整理の分割の期間の説明)(日本司法書士会連合会)
- よくあるご質問(保証人の登録)(株式会社シー・アイ・シー)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。