任意整理 / Q&A

任意整理で車のローンはどうなる?所有権留保と車を残す方法

この記事のもくじ
  1. 車のローンを対象にすると車はどうなるか
  2. 車を残すなら対象から外す——判断の材料
  3. 仕事で車が必要な人の考え方
  4. 依頼する前に用意するもの

車のローンを任意整理の対象にすると、**車検証の「所有者」がローン会社や販売店になっている車は、契約にもとづいて引き上げられることがあります。**これを所有権留保といい、ローンを払い終えるまで車の持ち主を貸した側に残しておく約束です。車を手元に残したいなら、車のローンは対象から外して払い続け、ほかの借金だけを整理するのが基本の考え方になります。仕事や通院で車が欠かせない人ほど、整理の前に車検証と契約書を確かめてください。

車のローンを対象にすると車はどうなるか

ディーラーで車を買うときのローンや、信販会社のオートローンでは、契約で所有権を販売店やローン会社に残しておく形が使われます。売主自身が代金を分割で受け取る割賦販売では、耐久性のある指定商品について、割賦販売法7条が、代金を全部払うまで所有権は売った側に留保されたものと推定すると定めています。信販会社のローンでは、この推定ではなく契約の条項で所有権を残す形が多く、いずれにしても契約書で確かめる点です。所有権留保は法律の世界でもはっきり扱われていて、たとえば貸金業法の総量規制では、所有権留保のついた自動車購入資金の貸付けを計算から外す決まりがあります(貸金業法施行規則10条の21)。

所有権が貸した側にあると、返済の条件を変える話し合いを始めた時点で、契約の定めにより車を返すよう求められることがあります。日本司法書士会連合会の指針は、債務整理の依頼を受けるときに「所有権留保された自動車等の占有を失う可能性」を説明するよう求めています。車を失うかもしれないことは、手続きの前に知らされるべき不利益として位置づけられているわけです。

車検証の所有者で分かれる、車のローンを対象にしたときの扱い
車検証の「所有者」欄 対象にした場合に起こりうること 確かめること
ローン会社・信販会社 契約により車の引き上げを求められることがある ローン契約書の所有権留保の条項
販売店(ディーラー) 同上。販売店からローン会社に権利が移っていることもある 誰が所有権を持っているか
自分 所有権留保を理由とする引き上げはない 車を担保にする別の取り決めがないか
リース会社(カーリース) 車はそもそもリース会社のもの。契約が解除されれば返すことになる リース契約の解除の条項

車検証の「使用者」が自分でも、「所有者」が別の会社なら所有権留保の可能性があります。使用者と所有者の2つの欄は、混同せずに分けて見てください。

車を残すなら対象から外す——判断の材料

任意整理は話し合う相手を選べるので、車のローンを外せば、車のローンは契約どおりの返済が続き、車もそのまま使えます。そのかわり、車のローンの毎月の返済は減らないので、残りの収入でほかの借金の和解額を払えるかが判断の分かれ目です。

数字で確かめる例を、金額を置いて筆者が計算しました。手取り月収22万円、生活費15万円、車のローンが月3万円の人なら、ほかの借金に回せるのは月4万円です。

ほかの借金の合計 36回で割ると 60回で割ると 月4万円に収まるか
120万円 3万3,334円 2万円 どちらも収まる
180万円 5万円 3万円 60回なら収まる
300万円 8万3,334円 5万円 どちらも収まらない

これは将来の利息をつけずに和解できた場合の単純な割り算で、実際の回数や利息の扱いは相手の会社との話し合いで決まります。表の下の段のように、車のローンを外すと残りが払えない場合は、車を残すことと借金を整理することが両立しにくい状態です。

車のローンを外すときに、あわせて確かめたい点があります。

  • 同じ会社にカードと車のローンがある:カードだけを対象にしても、その会社との契約全体の決まり(期限の利益を失う条件)で車のローンに影響しないかを確かめる。
  • 車のローンに保証人がいる:外していれば保証人に請求が行くことはないが、対象にすると保証人への請求につながる。日司連の指針の解説も、保証人に残額の一括請求がされる可能性を説明すべき不利益に挙げている。
  • 完済が近い:残りを先に払い終えて所有権を自分に移してから整理する方法を考える人もいる。ただし、後で自己破産に進む可能性があるなら、特定の相手にだけまとめて返すことは問題になりうる(破産法162条の否認、252条1項3号の免責不許可事由)ので、自分で決めずに事務所に相談する。

仕事で車が必要な人の考え方

営業や配送で車を使う人、公共交通の少ない地域で通勤や通院に車が欠かせない人にとって、車を失うことは収入を失うことにつながります。任意整理の目的は返済を続けられる形に組み直すことなので、車がなくなって収入が減れば、和解した返済も続きません。

考える順番は次のとおりです。

  1. 車がないと収入や生活が維持できるかを書き出す(通勤手段、業務での使用、家族の送迎・通院)。
  2. 車のローンを外した場合の家計を、上の表のように計算する。
  3. 収まるなら、車のローンを外して任意整理を進める。
  4. 収まらないなら、車のローンも含めた別の手続きを比べる。個人再生では、ローン中の車の扱いが所有権留保の有無などで変わる。
  5. 車のローン自体がすでに遅れているなら、引き上げの前に何が起きるかを先に把握する。

車の価値がローンの残りより低い、車の維持費(駐車場・保険・車検)が家計を圧迫している、という場合は、車を手放したほうが返済の計画が立てやすくなることもあります。どちらが自分の暮らしに合うかは、面談で家計表を見せて一緒に比べてもらうのが確実です。

個人再生で車がどうなるかは個人再生で車はどうなるか、車のローンの返済が遅れたときの流れは車のローンが払えないときの引き上げの流れと相談先、自己破産を考える場合は自己破産で車持ちの人が知ることで扱っています。

依頼する前に用意するもの

車のローンがある人の相談では、次の書類があると、車を残せるかどうかを具体的に判断してもらえます。

  • 車検証(所有者と使用者の欄)
  • ローンの契約書(所有権留保・担保・期限の利益の喪失の条項)
  • 返済予定表(残りの回数と残高)
  • 保証人の有無が分かる書類
  • ほかの借金の一覧と、毎月の家計表

文例:「通勤に車が必要なので、車のローンは対象から外したいと考えています。車検証の所有者は信販会社です。外した場合にほかの借金をいくらまでなら払えるか、一緒に計算してもらえますか。」

住宅ローンも抱えている人は、任意整理しても住宅ローンを払い続ける方法もあわせて読み、家と車のどちらのローンも外したときの家計を一度に計算しておくと、相談の場で迷いにくくなります。

よくある質問

Q. 車が引き上げられたら、残っていた車のローンはなくなりますか?

なくなるとは限りません。引き上げた車を売ったお金を残りのローンに充てても足りなければ、差額の支払い義務が残ります。その残りをどう返すかは、ほかの借金と同じように任意整理の話し合いに入れることになるので、引き上げ後の精算の書面を事務所に見せてください。

Q. 車検証の所有者が自分になっている車でも、ローンを対象にすると引き上げられますか?

所有権がローン会社や販売店に残っていなければ、所有権留保を理由に引き上げることはできません。ただし、契約で車を担保にする別の取り決め(譲渡担保など)をしている場合もあるので、ローンの契約書の担保の欄を事務所に確かめてもらいましょう。

Q. 家族名義の車のローンの保証人になっています。自分の任意整理に影響しますか?

保証人としての債務も借金の一つなので、任意整理の相手に入れるかどうかを考える必要があります。家族が約束どおり払っていれば、保証人のほうから話し合いを持ちかける場面は通常ありません。対象にするかは、家族の返済の状況とあわせて事務所に相談してください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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