借金を親に相談するときの伝え方|話す前に準備することと文例
借金を親に打ち明けるときの目的は、お金を出してもらうことではなく、状況を共有して、一緒に相談先へ行ってもらうことに置くと話がまとまりやすくなります。そのために、話す前に「借入一覧」「毎月の収支」「頼みたいこと」の3つを紙に書き、1回で全体が伝わるようにします。この記事では準備の中身、切り出しから最後までの文例、親の反応別の返し方、肩代わりを申し出られたときの考え方を順に書きます。
話す前に準備する3つのこと
親は、まず「いくらあるのか」を聞きます。そこで答えられないと、不安が先に立って話し合いになりません。次の3点を用意します。
| 準備 | 書くこと | 注意 |
|---|---|---|
| ① 借入一覧 | 会社名、借りた時期、残高、金利、毎月の返済額、延滞の有無 | 分からない分は、調べてから。調べ方は自分の借金を調べる方法 |
| ② 収支と返済計画 | 毎月の手取り、固定費、返済に回せる額、完済までの月数 | 計算の仕方は借金の返済計画の立て方 |
| ③ 頼みたいこと | 「話を聞いてほしい」「相談窓口に同行してほしい」など。お金の話は最後 | 頼むことは1〜2個に絞る |
準備の途中で、親が保証人や連絡先になっている借入があるかも確認します。親に保証人を頼んだ借入や、勤務先ではなく実家を連絡先にした借入がある場合は、話さなくても親に影響が出る可能性があるためです。
また、親の状況も考えます。年金暮らしで生活に余裕がない、体調が悪い、といった場合は、一度に細かい数字をぶつけず、書いた紙を渡して読む時間をとります。
- 話す場を決める(落ち着いて話せる時間と場所。電話より対面か、書いた紙を渡す)
- 事実を先に言う(借金があること、総額、借入先の数)
- 理由を短く言う(飾らず、言い訳を長くしない)
- いま取り組んでいることを言う(一覧と返済計画を作った)
- 頼みたいことを1つ言う(聞いてほしい/一緒に窓口へ行ってほしい)
切り出し方と文例
切り出しは、謝罪と事実からです。結論を後回しにすると、親は悪い想像をふくらませます。
文例(切り出し):「大事な話があるので、30分だけ時間をもらえる? 実は、借金があって、返すのが苦しくなっている。いま分かっているのは全部で○社、合計約○○万円。」
文例(理由):「きっかけは、○○のときに生活費が足りなくなって、カードのキャッシングを使ったこと。そこから返済のために別の会社でも借りて、増えてしまった。」
文例(取り組んでいること):「自分で借入先を全部調べて、一覧と返済計画を作った。この紙を見てほしい。毎月○万円なら返せるけれど、利息が大きくて、完済まで○年かかる。」
文例(頼みたいこと):「お金を出してほしいわけじゃなくて、一人で考えると間違えそうだから、相談窓口に一緒に行ってほしい。話を聞いてもらえるだけでも助かる。」
「お金を貸してほしい」から入ると、親は貸すかどうかの返事で頭がいっぱいになり、それ以外の話を聞けなくなります。最後に、お金の話が出たときの返し方を次で決めておきます。
親の反応別の返し方
- 怒る・責める:反論せず、「その通り。心配をかけてごめん」と受けます。感情が落ち着くまで、数字の話は止めて、紙を置いて日をあらためます。
- 泣く・黙る:返事を急がず、「今日は聞いてもらえただけでいい。一覧は置いていくから、読んでおいて」と伝えます。
- 「いくらいるの? 払ってあげる」と言う:次の文例で、いったん受け止めてから、窓口に誘います。
- 「どうして今まで言わなかった」と聞かれる:言えなかった理由を短く言い、「いまは全部話した」と区切ります。
文例(怒られたとき):「心配をかけて本当にごめん。怒られて当然だと思っている。今日は数字の話はやめて、一覧だけ置いていく。落ち着いたころにまた時間をもらえる?」
文例(黙ってしまったとき):「急に言って驚かせたと思う。今日は聞いてもらえただけでいい。一覧と返済計画は置いていくから、読んでから、思ったことを聞かせてほしい」
文例(肩代わりを申し出られたとき):「ありがとう。でも、先に窓口で返し方の選択肢を聞いてから決めたい。それまでお金は受け取らずに、一緒に話を聞いてほしい。」
肩代わりを申し出られたとき:お金より相談を先に
親が「払ってあげる」と言うのは、子供を守りたい気持ちからです。それでも、先に相談窓口で選択肢を聞くことをすすめます。理由は4つです。
- 返し方は一つではない。自力で返す、返済条件を相談する、債務整理を相談するなど、窓口で選択肢を並べてから決められます。
- 親のお金は、老後や医療に使うお金でもある。出した額が大きいほど、親の生活に響きます。
- 贈与とみなされる場合がある。税の考え方は借金を親が肩代わりする前にで説明しています。
- 原因が残ると繰り返す。家計の足りなさやギャンブル、買い物など、原因に手を打たないと、肩代わりしてもらっても同じことが起きやすくなります。
それでも親のお金を借りるなら、借用書を作り、返済の記録を残します(家族間の借金の注意点)。
親と一緒に行ける窓口は、財務局の多重債務相談窓口、自治体の窓口、法テラス、弁護士・司法書士の相談などです。番号と受付時間は借金の相談窓口の番号と受付時間にまとめています。依頼するなら弁護士や司法書士という選択肢があります。選ぶときは、面談で事情を聞いてくれるか、費用の総額が書面で示されるか、扱える範囲の説明があるかを確かめます。
親に言えない・言う前に確かめたいこと
親に言えない事情があるときは、先に公的な窓口に一人で相談できます。そのうえで、次の3点を確かめてから、親に話すかを決めます。
- 督促が実家に届くか:貸金業者は、封をするなどして、借金の事実が本人以外に分からない方法で督促状を送らなければなりません(貸金業法21条2項、同施行規則19条2項)。ただし、親が保証人や連絡先になっている場合は、親に連絡が行く可能性があります。保証人でない親に代わりに払うよう求めることは、貸金業法21条1項7号が禁じています。
- 債務整理で親に知られるか:手続きが親に自動的に通知されるわけではありません。親が保証人なら、その借入について請求が親に向かうことがあります(債務整理すると保証人はどうなる?)。
- 学生や若い人の場合:成年年齢は18歳です(民法4条)。親の同意の有無で契約が取り消せるのは未成年のときの話で、18歳以上は自分の契約になります。学生の場合の整理は学生の借金が返せないときにあります。
実家に督促が届くおそれがあるときは、先に伝えておくほうが、親が一人で封書を開けて驚くよりも落ち着いて受け止められます。
文例(先に伝えておく):「もしかしたら、実家に私宛ての封書や電話が行くかもしれない。借金のことで、いま窓口に相談して整理を始めたところ。もし来たら、受け取らず、私に連絡をしてほしい。お金を払う約束はしないでね」
親に打ち明けたあとの家族全体の話し合いは、自分の借金が家族にバレたときの順番が使えます。親の借金を子供が払う義務があるかは親の借金は子供が払う義務がある?で説明しています。
よくある質問
Q. 親に言わずに、相談窓口や弁護士・司法書士に行くことはできますか?
できます。相談の窓口は、借金をした本人が自分で行けます。ただし親が保証人になっている借入や、親の連絡先を届けた借入がある場合は、手続きの途中で親に影響が出ることがあります。相談の最初に、親が保証人かどうかを伝えてください。
Q. 親に心配をかけたくなくて言えません。それでも話したほうがよいですか?
親が保証人でなく、自分で返済の見通しが立っているなら、無理に話す必要はありません。返せなくなっている、督促が実家に届く、親名義の口座やカードを使っている、といった場合は、親への影響が出る前に話すほうが負担が小さくなります。
出典・参考にした公的な情報
- 貸金業法 第21条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 貸金業法施行規則 第19条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民法 第4条・第5条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 多重債務相談窓口リーフレット 2026年版(金融庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。