借金の相談に持っていく書類と準備|借入一覧と家計表の作り方
借金の相談に持っていく書類は、①借入先ごとの契約書か利用明細、②届いた督促状や裁判所の書類、③収入が分かる書類(給与明細など)、④1か月の家計表、⑤本人確認書類の5つが基本です。全部そろっていなくても相談はできます。足りない分は、信用情報の開示と業者への取引履歴の請求で補えます。この記事では、持ち物のチェック表と、相談の場でそのまま使える借入一覧・家計表の見本を載せます。
相談に持っていく書類のチェック表
相談を受ける側が最初に知りたいのは、「どこから・いくら借りていて・毎月いくら払っていて・いくら入ってくるか」です。書類はその4つを示すために持っていきます。
| チェック | 書類 | 何のために見るか | ないときの代わり |
|---|---|---|---|
| □ | 契約書・会員規約 | 借入先、契約日、利率、返済方式 | 会員サイトの契約内容の画面、取引履歴 |
| □ | 利用明細・返済予定表 | いまの残高、毎月の返済額 | 会員サイトやアプリの画面の印刷 |
| □ | 督促状・一括請求の通知 | 延滞の状況、請求している会社(債権回収会社に移っていないか) | 電話の記録(日時・会社名・言われたこと) |
| □ | 裁判所から届いた書類 | 支払督促・訴状などの種類と期限 | なし。届いたら封筒ごと持っていく |
| □ | 給与明細・源泉徴収票(年金なら振込通知) | 収入の額と安定しているか | 通帳の入金の記録 |
| □ | 通帳(数か月分) | 返済の引き落とし先、ほかの借入の手がかり | ネットバンキングの明細 |
| □ | 家計表(1か月分) | 返済に回せるお金があるか | 下の見本で当日までに作る |
| □ | 保証人・担保の分かる書類 | 保証人がいる借入、ローン中の車や家 | 車検証、住宅ローンの返済予定表 |
| □ | 本人確認書類 | 本人であることの確認 | 運転免許証・マイナンバーカードなど |
貸金業者は、契約を結ぶときに利率や返済方式などを書いた書面を渡すことになっています(貸金業法17条)。手元に見当たらなくても、業者には帳簿を備える義務があり(同法19条)、取引の記録は後から請求できます。
- 借入先ごとの書類(契約書・明細・督促状)をクリアファイル1社1枚に分ける
- 裁判所の封筒は、届いた日をメモして一番上に入れる
- 給与明細・通帳・家計表・本人確認書類
- 借入一覧(下の見本)と、聞きたいことのメモ
期限のある書類から先に分ける(督促状・裁判所の書類)
届いた書類のうち、期限があるのは裁判所からのものです。たとえば簡易裁判所の支払督促は、受け取った日から2週間以内に督促異議を出さないと、債権者の申立てで仮執行宣言が付されることがあり(民事訴訟法387条・391条)、そうなると債権者は強制執行の手続きをとれるようになります。
書類の束から次の順に取り出して、相談の予約の電話で先に伝えます。
- 裁判所の名前が入った特別送達の封筒:受け取った日を書いておく。中身の見分け方は裁判所から督促状が届いたときへ。
- 一括請求・期限の利益の喪失の通知:分割で払う約束がなくなったという知らせ。
- 債権回収会社からの通知:元の借入先から債権が移ったかどうかの手がかり。
- 通常の督促状:延滞している会社の一覧になる。
借入一覧の作り方(見本)
借入一覧は、相談の時間をいちばん節約してくれる紙です。1社1行で、次の列を埋めます。分からない欄は空けたまま持っていけば、相談の中で何を調べればよいかが決まります。
| 借入先 | 種類 | 借り始め | いまの残高 | 毎月の返済 | 利率 | 最後に払った日 | 延滞 | 保証人・担保 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| (記入例)A社 | カードローン | 2019年ごろ | 約○○万円 | ○万円 | 年○% | 2026年9月27日 | なし | なし |
| (記入例)Bカード | リボ払い・キャッシング | 2021年 | 約○○万円 | ○万円 | 明細で確認 | 2026年8月 | 1回分 | なし |
| (記入例)車のローン | オートローン | 2023年 | 約○○万円 | ○万円 | 年○% | 2026年9月 | なし | 所有者の欄を車検証で確認 |
- 完済した借入も別の欄に書く:何年も前に完済した借入は、過払い金の調査の対象になりうるので、思い出せる会社名と時期を書いておきます。調べ方は過払い金の調査に必要な取引履歴の取り寄せ方にあります。
- 最後に払った日は日付まで:長く払っていない借入では、この日付が借金の時効の仕組みを考える材料になります。当てはまるかどうかの判断は相談先に任せ、事実だけを書きます。
- 家族・知人からの借入も書く:個人間の借入や、家族名義で借りたものも、家計の負担として一覧に入れます。
家計表の作り方(1か月分)
家計表は「毎月いくらなら返済に回せるか」を示すためのものです。細かい家計簿でなくてよく、通帳とカード明細を見ながら1か月分を次の形で書き出します。
| 区分 | 項目 | 月の額 |
|---|---|---|
| 収入 | 手取りの給与(本人)/家族の収入/年金・手当 | 円 |
| 固定費 | 家賃・住宅ローン、電気・ガス・水道、通信費、保険料、教育費 | 円 |
| 変動費 | 食費、日用品、交通費、医療費、交際費 | 円 |
| 滞納 | 税金・国民健康保険・家賃などの未払い | 円 |
| 返済 | 借入一覧の毎月の返済の合計 | 円 |
| 残り | 収入 −(固定費+変動費+返済) | 円 |
- 通帳の3か月分の入金を見て、手取りの平均を出す。
- 引き落としの行に印を付け、固定費の欄に移す。
- 食費などは、レシートかカード明細の1か月分を合計する(分からなければ「だいたい」でよい)。
- 「残り」がマイナスなら、その額を相談で最初に伝える。
税金や家賃の滞納は、カードローンなどの借金とは扱いが違います。たとえば税金は、自己破産で免責を受けても支払いの義務が残るものとして破産法253条に挙げられています(一覧は自己破産しても払う必要がある支払い)。滞納がある人は家計表の「滞納」の行を空けずに書いておくと、相談先が順番を考えやすくなります。続けて記録をつけるなら借金返済中の家計簿のつけ方が参考になります。
書類がないときの代わり(信用情報と取引履歴)
契約書も明細も見当たらないときは、次の2つで借入の全体を確かめられます。
- 信用情報の開示:CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センターの3つの信用情報機関に、自分の登録内容の開示を申し込めます。機関ごとに加盟している会社や記録の範囲が違うので、3つとも開示すると漏れが少なくなります。申込み方と最新の受付状況は信用情報の開示のやり方にまとめています。受付状況によっては結果が届くまでに1か月以上かかることもあるので、開示を待たずに、借入先の名前とおおよその残高を持って相談の予約を入れておくのが現実的です。
- 業者への取引履歴の請求:貸金業者に対し、債務者だった人も帳簿の閲覧・謄写を求めることができ、業者は権利行使の調査が目的でないことが明らかな場合を除いて拒めません(貸金業法19条の2)。業者が帳簿を保存する期間は、契約ごとに最終の返済期日(完済などで消えた借入はその日)から少なくとも10年と定められています(同法施行規則17条)。
どちらも、個人間の借入やヤミ金のように信用情報に載らない借入は出てきません。3つの方法をどの順で使うか、それでも分からない借入をどう扱うかは自分の借金を調べる方法で詳しく説明します。
書類がそろったら、相談の場で何を聞くかを決めておくと、限られた時間を使い切れます。質問の一覧は債務整理の相談で聞くことの確認表にあります。無料相談の場で決めることと持ち帰ることの分け方は債務整理の無料相談を使うコツで、持ち物の表はこの記事、質問の表は確認表が正本です。怖くて動けないときは借金の相談が怖い・恥ずかしいときを先に読んでください。
よくある質問
Q. 書類が全部そろっていなくても相談に行ってよいですか?
かまいません。借入先の名前と、だいたいの残高・毎月の返済額が分かれば、話は始められます。足りない書類は、信用情報の開示や業者への取引履歴の請求で後から補えるので、そろうのを待って相談を先延ばしにしないほうがよい場面もあります。
Q. 家族に知られずに書類を集めるにはどうすればよいですか?
会員サイトやアプリで利用明細を見られるカード会社・消費者金融なら、紙を取り寄せずに画面を印刷したり写真に撮ったりして持っていけます。信用情報の開示はインターネットで申し込める機関もあり、郵送の場合は本人限定受取郵便で届きます。
Q. 給与明細は何か月分あればよいですか?
相談の時点では直近の数か月分があれば、手取りの額と変動の幅が伝わります。自己破産や個人再生に進むと、裁判所に出す書類としてもっと長い期間の資料を求められることがあるので、何か月分が要るかは依頼する弁護士・司法書士の指示に従ってください。
出典・参考にした公的な情報
- 貸金業法 第17条・第19条・第19条の2(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 貸金業法施行規則 第17条・第17条の2(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民事訴訟法 第387条・第391条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 破産法 第253条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 簡易裁判所の手続 Q&A(支払督促)(裁判所)
- 信用情報の開示(インターネット・郵送)(株式会社シー・アイ・シー)
- 信用情報の開示(本人開示の手続き)(株式会社日本信用情報機構)
- 全国銀行個人信用情報センター 本人開示の手続き(全国銀行協会)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。