親の借金は子供が払う義務がある?生きている間と死後の違い
親の借金を、子供が払う義務はありません。親が生きている間は、子供が保証人・連帯保証人・連帯債務者になっていない限り、請求の相手は親本人だけです。ただし親が亡くなると話が変わります。借金も相続の対象になり、知ったときから3か月以内に、引き継ぐか、放棄するか、限定承認をするかを選ぶ必要があります。この記事では、「生きている間」と「亡くなった後」に分けて、子供に義務があるのはどんな場合か、それぞれの段階でできることを書きます。
場面ごとに、子供が払う義務はあるか
「家族だから払うもの」という決まりは、法律にはありません。義務があるかどうかは、子供がどんな立場にあるかで決まります。
| 場面 | 子供の義務 | 根拠・ポイント |
|---|---|---|
| 親が生きていて、親だけが借りている | 払う義務はない | 契約した本人が返すのが原則。扶養義務(民法877条)は、借金を代わりに返す義務ではない |
| 子供が親の借金の保証人・連帯保証人になっている | 払う義務がある(保証契約の範囲で) | 保証契約は書面でする(446条)。連帯保証人は先に親に請求してと言えない |
| 子供が親と一緒に借りた(ペアローン・連帯債務) | 払う義務がある | 契約上の債務者の一人になっている |
| 親が亡くなり、子供が相続した | 借金も引き継ぐ | 相続人は一切の権利義務を承継する(896条) |
| 親が亡くなり、子供が相続放棄をした | 相続した借金を払う義務はない(保証人になっていれば保証債務は別) | 初めから相続人でなかったものとみなされる(939条)。保証人としての責任は相続放棄では消えない |
親の借金で、子供の名義を勝手に使われていた場合は別の話です。その場合は家族が勝手に自分名義で借金したらで説明しています。
- 親が生きている → 保証人・連帯債務者でなければ、子供に払う義務はない
- 親が亡くなった → 借金も相続の対象。知ってから3か月以内に「承認/放棄/限定承認」を選ぶ
- 放棄した → 初めから相続人でないので払う義務はないが、次の順位の親族に相続が移る
- 期限内に何もしなかった/財産に手を付けた → 引き継ぐ扱い(単純承認)になるおそれ
親が生きている間にできること
業者から子供に連絡が来たとき
保証人でない子供に、貸金業者が代わりに払うよう求めることは、貸金業法21条1項7号が禁じています。電話や手紙が来ても、「保証人ではないので、払う約束はしない」と答え、会社名と担当者名、用件を書き留めます。「親に伝える」と答えるのはかまいません。「私が払います」と答えると、あとで引くのが難しくなります。
文例(子供に督促の電話が来たとき):「私は〇〇(親)の保証人になっていないので、お支払いの約束はできません。会社名と担当の方のお名前、どの契約のご用件かを教えてください。親には、連絡があったことを伝えます。それ以上のご連絡は控えてください」
親の借金の全体を知る
親が借りている会社と金額が分からないと、何も決められません。本人の同意がなければ、子供が信用情報を開示することもできません。同意をもらう話し方と調べる順番は家族の借金を調べる方法にまとめています。
確かめたいのは、自分が保証人になっていないかです。CIC は、契約先が会員で保証人としての審査をして契約した場合には、保証人になった事実も登録され、報告書の契約の種類欄に「保証人」と表示されると案内しています。記憶にない保証があれば、連帯保証人とは?保証人との違いと借金を代わりに払う範囲で範囲を確かめてください。
親が自分で相談できるようにする
債務整理や返済の交渉を頼めるのは、契約している親本人です。子供が代わりに契約することはできません。子供ができるのは、窓口に一緒に行くこと、相談の予約を手伝うこと、書類を一緒にそろえることです。高齢の親の借金や滞納に気づいたときの窓口は親の借金の相談窓口で説明しています。
親に相談を持ちかけるときは、責める言い方を避け、予約と持ち物を先に用意します。たとえば「お金のことで心配になった。無料で相談できる窓口があるから、一緒に電話してみない? 督促の手紙が来ているなら、日付が過ぎる前に」と、具体的な日を添えます。親が嫌がるときは、郵便物の差出人と日付だけを記録し、子供が家族として窓口に先に相談する道もあります。
親本人が債務整理を考える場合、弁護士や司法書士に依頼するという選択肢があります。自己破産をしても、子供が保証人なら保証人への請求は残ります(破産法253条2項)。依頼の前に、保証人になっている家族がいることを事務所に伝えます。
親が亡くなった後に決めること
亡くなった親の借金は、相続人が引き継ぎます。引き継がない相続放棄は、自分のために相続が始まったと知った時から3か月以内に、家庭裁判所へ申述します(民法915条1項)。何もせず3か月が過ぎるか、預金を使うなど相続財産を処分すると、財産も借金も引き継ぐ単純承認になります(921条)。借金と財産のどちらが多いか分からないときは、引き継いだ財産の範囲でだけ返す限定承認もあります。数え始めるのは死亡の日そのものではなく、親が亡くなったことと自分が相続人になったことを知った日です。調べきれないときは、期間の伸長を家庭裁判所に求められます。
保証人になっていた借金は、放棄しても残ります。生前に保証人になった覚えがあれば、相談のとき最初に伝えます。放棄や限定承認の手続き、放棄したあとの注意点は借金の相続放棄|3か月の期限と手続きの流れ・してはいけないことに、3つの選び方の比較は借金は相続される?親が亡くなった後に確かめる順番と期限に、借金の額の調べ方は親が死亡したら借金を調べる方法|信用情報の開示と郵便物の確認にあります。
相談の順番
状況別に、最初に連絡する先を整理します。
- 親が存命で、借金が見つかった:本人と話す → 全体を調べる → 公的窓口に一緒に行く。窓口の番号は借金の相談窓口の番号と受付時間にあります。
- 子供に請求や督促が来た:払う約束をせず、保証人かどうかを確かめる。取り立てがつらいときは窓口へ。
- 親が亡くなった:期限(3か月)の起算日をメモし、財産に手を付けず、家庭裁判所・弁護士・司法書士に相談する。
自分の借金を親に打ち明けたい人は借金を親に相談するときの伝え方を、すでに家族に知られた人は自分の借金が家族にバレたときの順番を参考にしてください。
よくある質問
Q. 親が自己破産したら、子供に請求が来ますか?
子供が保証人や連帯保証人になっていなければ、親の借金の請求が子供に向かう理由はありません。保証人になっている場合、親が免責を受けても保証人への債権者の権利には影響しないと破産法253条2項が定めており、保証人としての請求は残ります。保証人になった覚えがあるかは、契約書や信用情報で確かめます。
Q. 親の借金で子供に督促状や電話が来たら、払わなければなりませんか?
保証人でない子供に、払う義務はありません。貸金業者が債務者等以外の者に代わりに払うよう求めることは貸金業法21条1項7号が禁じています。払う約束はせず、会社名と用件を書き留めて、[借金で家族に取り立てが来たら](/toritate-kazoku/)の手順で対応します。
Q. 親が亡くなって3か月が過ぎてから借金が分かったら、もう放棄できませんか?
3か月は「自己のために相続の開始があったことを知った時」から数えます(民法915条1項)。借金を知ったのが期限後のとき、放棄が認められるかは事情で変わります。一人で判断せず、すぐ家庭裁判所・弁護士・司法書士に事情を伝えてください。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第877条・第896条・第915条・第921条・第938条・第939条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 貸金業法 第21条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 破産法 第253条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 相続の放棄の申述(手続の案内・費用)(裁判所)
- 保証人の登録(よくある質問)(株式会社シー・アイ・シー(CIC))
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。