家族が借金を繰り返すとき|肩代わりをやめて相談につなぐ方法
この記事のもくじ
家族が借金を繰り返すとき、家族がまずやめるのは「借金の穴埋めを、本人の代わりに続けること」です。返す義務がないものを何度も払うと、家族の家計が先に崩れ、本人も借入の全体と向き合う機会を失います。ギャンブル等依存症の場合は、肩代わりが回復を妨げることもあると、金融庁のリーフレットは説明しています。家族が動けるのは、本人を専門の窓口へつなぐことと、家族自身が相談することです。
肩代わりが繰り返しを助長しやすい理由
金融庁の多重債務相談窓口リーフレット(2026)は、ギャンブル等への依存による借金について、次のように書いています。
- ギャンブル等依存症は精神疾患の1つで、意思の強さとは関係なく、なり得る。自分の意思ではやめられない状態になる。
- 家族が肩代わりしたり、病気を理解しないまま返済を進めたりすると、治療につながらず、新しい借金を作ったり、回復が遅れたりすることがある。
これは依存が疑われる場合の説明ですが、ほかの原因でも、次のような仕組みで繰り返しやすくなります(以下は筆者の整理です)。
- 返済が家族に移ると、借金の痛みが本人に戻らない。
- 払ったあとに話し合いが終わり、借金の原因や全体が見えないまま残る。
- 返せることが分かると、次の借入のハードルが下がる。
家族に返す義務があるのかを先に確かめると、気持ちの整理がつきます。配偶者や子の借金でも、保証人でない限り、返済義務は契約した本人にあります(日常家事債務の例外は、家族の借金は払う義務がある?発覚したときの確認と本人を相談につなぐ手順で確認できます)。貸金業者が家族に代わりに払うよう要求することは、貸金業法21条1項7号で禁じられています。
原因を分けて、相談先を選ぶ
「繰り返す」理由によって、つなぐ先が変わります。本人と責めずに話せる場面で、借入のきっかけを聞きます。
| 原因の目安 | 家族ができる最初の行動 | 主な相談先 |
|---|---|---|
| ギャンブル・のめり込み(のめり込む、うそをつく、借りて取り返そうとする) | 肩代わりをやめる。家族だけで依存の相談をする | 保健所、精神保健福祉センター、依存症対策全国センター。詳しくはギャンブルの借金と家族|肩代わりの前に知る相談先と貸付自粛制度 |
| 買い物・浪費(衝動買い、リボ払いの積み重ね) | クレジットの利用額と残高を一覧にする。支払い方法を見直す | 財務局・自治体の多重債務窓口、家計改善支援 |
| 生活費の不足(収入が足りず、借りて回している) | 家計の収支を一緒に出す | 自立相談支援機関の家計改善支援。生活費が足りないときの公的な相談先|家計改善支援と住居確保給付金 |
| 返済のための借入(借りて返す自転車操業) | 借入先と残高の全体を出す | 弁護士・認定司法書士、法テラス |
原因が混ざっていることも多いので、1つに決めつけず、まず借入一覧を作ります。本人が自分で整理する方法は借金を繰り返す癖をやめたい|原因の書き出しと仕組みで防ぐ方法にあります。窓口の番号と受付時間は借金の相談窓口はどこ?公的な窓口の番号・受付時間と選び方にまとめています。
家族ができること:肩代わりをやめて相談につなぐ手順
- 家族だけで相談する。 ギャンブル等の問題は、お住まいの地域の保健所や精神保健福祉センターが家族の相談も受けます。厚生労働省のページでは、保健所は電話や面談での相談に応じ、希望すれば保健師の訪問もあり、面談・訪問は電話予約とされています。本人が回復の必要を自覚するまでには時間がかかるため、家族だけでも相談できると金融庁も案内しています。
- 払う線を決める。 家族の生活費、子供の教育費、家賃のように家族が困るものと、本人の借金の返済を分けます。本人の借金は払わない、と決めて、全員に伝えます。
- 借金の整理は本人が相談する。 借金の返済については、都道府県・市区町村や財務局が相談を受けます。弁護士や認定司法書士への依頼は、本人が面談を受けて決めます。
- 同行は本人の同意を得て。 付き添いは構いませんが、本人の借入内容は本人が説明します。
- 貸付自粛制度を本人に伝える。 借りられない状態を、本人の意思で作る仕組みです。内容は次の段落にまとめました。
文例:「あなたを責めたいわけじゃない。ただ、これ以上は私たちの生活が持たないから、あなたの借金は払わない。相談する窓口は一緒に探すし、予約も手伝う。」
貸付自粛制度は、浪費やギャンブル等依存症による借金で生活に支障が出るおそれがあるとき、日本貸金業協会または全国銀行個人信用情報センターに申告すると、3つの信用情報機関に貸付自粛情報が登録される仕組みです。申告できるのは原則として本人で、親権者や後見人などの法定代理人を除くと、配偶者や親族は所在不明など厳しい要件を満たす場合に限られます(全国銀行協会)。登録期間や撤回の制限、ヤミ金には効かない点はギャンブルの借金と家族|肩代わりの前に知る相談先と貸付自粛制度に正本をまとめています。登録しても会員の与信判断を拘束しないため、借入の全部を防ぐ仕組みではありません。家族の話し合いと相談先とあわせて使います。
繰り返しを止めるために、家族の家計で先に確かめること
本人の借金を払わないと決めたあとも、家族の家計に借金が及んでいないかを確かめます。
| 確かめること | 見るところ | 見つかったとき |
|---|---|---|
| 家族カード・共有の口座 | 家族カードの利用明細、共有口座の引き落とし | 利用を止めるか、限度額を下げる手続きを、本会員と一緒にカード会社に聞く |
| 自分が保証人になっていないか | 契約書、業者や学校・家主からの郵便物 | 連帯保証人とは?保証人との違いと借金を代わりに払う範囲を読み、窓口に相談する |
| 自分の名前で契約された借入 | 自分名義の信用情報の開示 | 身に覚えのない契約は、188(消費生活センター)に相談する |
| 生活費の線 | 家賃、食費、子供の費用が毎月払えているか | 足りないときは家計改善支援に相談する |
自分名義の借入があるかどうかは、自分で信用情報機関に開示を申し込んで確かめられます。手順は信用情報の開示のやり方|CIC・JICC・KSCの申込み方法と手数料にまとめています。
夫や妻が繰り返すとき、離婚を考える前に
離婚しても、夫婦のどちらかが契約した借金の債権者との関係は、離婚そのものでは変わりません。借金を理由にした離婚の進め方と財産分与は離婚するとき借金はどうなる?財産分与と夫婦の借金の分け方に、離婚せずに家計を守る方法は夫の借金で離婚しない選択|家計を守る分け方と話し合いの進め方にまとめています。
状況別に、次に読む記事
- 原因がギャンブルのとき:ギャンブルの借金と家族|肩代わりの前に知る相談先と貸付自粛制度
- 収入が足りず、生活費が回らないとき:生活費が足りないときの公的な相談先|家計改善支援と住居確保給付金と家族の借金があると生活保護は受けられない?世帯の扱い
- お金を頼まれて断りたいとき:家族に借金させない断り方|お金を頼まれたときの文例と貸す前の確認
- 連絡が取れなくなったとき:借金を抱えた家族が行方不明になったら|行方不明者届と借金の扱い・督促への対応
- 高齢の親の借金のとき:親の借金の相談窓口|高齢の親の借金・滞納に気づいたときの確認と相談先
- 成人した子供が繰り返すとき:子供の借金の相談|親が払う前に本人と一緒に確かめること
よくある質問
Q. 家族が借金を繰り返しているとき、返済を一度だけ手伝うのも避けるべきですか?
一度の手伝いが悪いとは限りませんが、借金の原因が分からないまま払うと、同じことが続きやすくなります。ギャンブル等への依存が疑われる場合、金融庁は安易な肩代わりをやめるよう呼びかけています。払う前に、金額の全体と原因を本人と一緒に確かめ、相談先につなぎます。
Q. 家族が本人の代わりに貸付自粛を申告できますか?
申告できるのは原則として本人です。全国銀行協会のページでは、本人のほかに親権者や後見人などの法定代理人が申告できるとされ、配偶者や親族は、所在不明など厳しい要件に当てはまる場合に限られています。成人した家族ができることは、本人に制度を説明し、申告を勧めることです。
出典・参考にした公的な情報
- 多重債務相談窓口リーフレット2026(東京都版)(金融庁)
- ギャンブル等依存症に関する相談窓口(保健所・精神保健福祉センター)(厚生労働省)
- 貸付自粛制度(全国銀行協会)
- 貸金業法 第21条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。