家族の借金と保証人・相続 / 文例

家族に借金させない断り方|お金を頼まれたときの文例と貸す前の確認

この記事のもくじ
  1. 頼まれたときに、まず聞くこと
  2. 断り方の文例:場面別
  3. 保証人・名義貸しを頼まれたとき
  4. 貸すと決めたときの確認項目
  5. 繰り返し頼まれるとき:断る線引きと相談先

家族から「お金を貸してほしい」と頼まれたら、その場で返事をせず、金額・使い道・返せる見込みを聞いてから決めます。 貸さない場合は、理由を「できない」にして、責める言い方を避けます。貸す場合は、返ってこなくても生活が揺らがない金額を上限にし、借用書を作って、お金は振込で渡します。保証人や名義貸しを頼まれたときは、貸すより責任が重いので、断る前提で考えます。

頼まれたときに、まず聞くこと

頼まれた直後は、情に引っ張られて答えを急ぎがちです。次の4つを聞いてから、返事を決めます。

  1. いくら必要か:金額と、いつまでに必要か
  2. 何に使うのか:生活費、家賃、返済、遊びなど。使い道を聞かれて濁すなら、貸すのは見合わせる材料になる
  3. すでに借金があるか:借入先と残高。ほかの借金の返済にあてるお金なら、借金の整理を相談するほうが先
  4. どうやって返すか:返済の収入と、返す時期の見込み

文例(その場で答えないとき):「大事な話だから、今すぐ答えられない。金額と使い道と、いつまでにいくら返せるかを、書いて見せてくれる? 見てから返事をする」

書き出してもらうと、金額と返済の見込みが、貸す側にも借りる側にも整理されます。

断り方の文例:場面別

断るときは、(1)謝る、(2)「できない」と事情で言い切る、(3)代わりにできることを添える、の順にすると、感情がこじれにくくなります。

場面 断り方の要点
初めて頼まれた 事情を聞いたうえで、「貸せない」と理由を一つだけ言う
何度も頼まれる 「これまでの分が残っているから」と、事実だけで断る
親・きょうだいから頼まれた 金額でなく「ルール」にして断る(家計の方針)
金額を値切られた 「それでも貸せない」と繰り返す。条件を増やさない

文例(初めて断る):「力になりたい気持ちはあるけれど、お金を貸すことはできない。かわりに、一緒に相談窓口に電話をかけたり、書類を整理したりすることなら手伝える」

文例(何度も頼まれて断る):「この前貸した分がまだ残っているから、新しくは貸せない。まず、その分をどう返すかを話そう」

文例(家のルールとして断る):「うちは、家族でもお金の貸し借りはしないと決めているから、ごめんね」

文例(金額を下げられても断る):「金額の問題ではないんだ。貸さないと決めている。それ以外のことなら、いつでも相談に乗る」

断ったあとで、「冷たい」と責められることがあります。理由は繰り返さず、「できること」だけを同じ言葉で伝え続けます。

保証人・名義貸しを頼まれたとき

家族から頼まれるのは、現金の貸し借りだけではありません。次の2つは、貸すよりも責任が重くなります。

  • 保証人・連帯保証人になってほしい:保証は書面でしなければ効力が生じません(民法446条2項)。まだ署名・押印していない段階なら、責任を負っていません。連帯保証人は、本人に先に請求するよう求める権利がなく(454条)、本人が払えないとき、債権者から全額を請求されることがあります。
  • 自分の名義でカード・ローンを作って渡してほしい:契約者は自分です。実際に使うのが家族でも、債権者に対して返す責任を負うのは契約した自分になります。

文例(保証人を断る):「保証人になると、あなたが払えなくなったとき、私が全額を請求されることがある。私の家計を守るために、保証人にはならないと決めている。かわりに、一緒に相談窓口へ行く」

文例(名義貸しを断る):「私の名義で借りたものは、私が返す義務になる。それは約束できない」

もし、すでに家族に無断で保証人にされていた、名義を使われていた、というときは、勝手に連帯保証人にされていたら|署名していない保証の扱いや家族が勝手に自分名義で借金したら|名義の冒用への対応と相談先を読み、契約書の写しを集めて窓口に相談します。

貸すと決めたときの確認項目

家族だからこそ、貸すなら、あとで関係がこじれないよう、条件を目に見える形にします。

チェックリスト:家族にお金を貸す前に
確認すること 具体的にすること
返せる見込み 相手の収入、ほかの借金の有無、返済に回せる月の額を聞く
金額の上限 返ってこなくても自分の生活が揺らがない額に決める
書面 借用書に、貸主・借主の氏名、貸す金額、渡す日、返す期日・方法を書く。署名・押印を求める
渡し方 現金でなく振込にして、通帳に記録を残す
返済の記録 返済も振込にし、返してもらうたびに、いくら返ったかをメモする
条件の見直し 返済が遅れたら、新たに貸さないことを決めておく

金銭の貸し借り(消費貸借)は、お金を受け取って、同じ額を返す約束をすれば成り立ちます(民法587条)。さらに、書面でする消費貸借は、お金を渡す前でも、貸す約束と返す約束を書面で交わした時点で効力が生じます(587条の2)。書面は成立のために必須ではありませんが、金額や期日を後から示せるので、家族間でも借用書があるほうが行き違いを防げます。

税の面では、国税庁は、親子の間の貸し借りでも、真に金銭の貸借と認められる場合には、借りたお金そのものは贈与にならないとしています(No.4420)。「ある時払いの催促なし」や出世払いは贈与として扱われます。借用書の書き方、贈与と見られない返し方、肩代わりしたときの税の扱いは家族間の借金の注意点|借用書の書き方と贈与税にならない返し方と借金を親が肩代わりする前に|贈与税と繰り返しを防ぐ条件にまとめています。金額が大きいときは、貸す前に税務署か税理士に確かめます。

繰り返し頼まれるとき:断る線引きと相談先

頼まれる回数が増えている、貸した分が返ってこない、というときは、家族の問題として一人で抱えず、相談先につなぎます。

「縁を切る」という言い方を考える人もいます。家族との距離の置き方は、気持ちの問題として自分で決めてよい面がありますが、直系血族と兄弟姉妹の間には、民法877条の扶養義務があります。この扶養義務は、生活の面倒をみる義務で、親族の借金を代わりに返す義務ではありません。連絡を絶つ・距離を置くかどうかとは別に、借金の返済を肩代わりしないことは、自分で決められます。

貸すかどうかで揺れたときは、「貸す」「貸さない」の二択にせず、「金額を決めて渡す(返してもらわない前提)」という選び方もあります。その場合は、あげるお金として、自分の家計から出せる範囲だけにします。借金の肩代わりを重ねる前に、その金額を数字で決めておきます。

よくある質問

Q. 口約束で家族にお金を貸した場合も、返してもらう約束になりますか?

民法587条は、書面を成立の要件にしていません。返すことを約束して受け取れば、貸し借りとして成り立ちます。ただ、金額・期日・返す約束があったことを、あとで示す材料がないと、お互いの記憶の食い違いになりやすいです。貸す前に、借用書を作り、お金は現金でなく振込で渡して記録を残します。

Q. 親から頼まれて生活費を援助するのは、贈与税がかかりますか?

国税庁は、夫婦・親子・兄弟姉妹などの扶養義務者から、生活費や教育費にあてるために受けた財産のうち通常必要と認められるものは、贈与税がかからないとしています。ただし、必要な都度、直接それらにあてるためのものに限ります。預貯金や不動産の購入資金にまわした場合は課税の対象になるので、個別の判断は税務署か税理士に確かめてください。

Q. 保証人になってほしいと頼まれました。断ってもよいですか?

断ってかまいません。保証は書面で結ばなければ効力が生じず(民法446条2項)、署名・押印する前なら、まだ責任を負っていません。連帯保証人になると、本人に先に請求するよう求める権利もなく(454条)、債権者から全額を請求されることがあります。断る文例は、本文の「保証人・名義貸しを頼まれたとき」に載せました。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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