督促・取り立て・差し押さえ / Q&A

借金で家族に取り立てが来たら?払う義務の有無と業者への伝え方

この記事のもくじ
  1. 家族に払う義務があるのは、どんなときか
  2. 業者が家族に請求・協力を求めるときの禁止行為
  3. 業者への伝え方:電話と訪問での文例
  4. 本人を相談につなぐ手順
  5. 取り立てが続くとき

家族の借金の取り立てが自分に来ても、**保証人や連帯保証人になっていなければ、原則として払う義務はありません。**借金を返す義務を負うのは、契約した本人だからです。貸金業者が、本人以外の家族に「代わりに払ってほしい」と求めること自体も、貸金業法21条1項7号で禁じられています。ただし、家族が保証人になっている場合、夫婦の日常の家事に関する債務(民法761条)、相続の場合は別です。脅される、家に押しかけられるといった場面は、緊急なら110番、緊急でない相談は警察相談専用電話の#9110(受付時間は都道府県警察で違います)です。

家族に払う義務があるのは、どんなときか

まず、自分に払う義務があるかを、契約書と立場で確かめます。早見表にまとめました。

早見表:家族の借金で、自分に払う義務があるかどうか
自分の立場 払う義務 根拠と確かめ方
契約していない家族(親・子・きょうだい・配偶者) 原則なし 借金を返す義務は、契約した本人が負う(民法587条)。契約書の借主欄に自分の名前がないか確かめる
保証人・連帯保証人になっている あり 保証は書面でしなければ効力がない(446条2項)。連帯保証人は、まず本人に請求するよう求める権利もない(454条)。契約書の署名欄で確かめる
夫婦の一方で、日常の家事に関する債務 連帯して責任を負うことがある 761条。範囲は条文に定義がなく、生活費の借入れか、個人の浪費かなどの事情で判断される
本人が亡くなり、相続人になった 借金も引き継ぐ。放棄なら引き継がない 896条。放棄は知った時から3か月以内に家庭裁判所へ(915条・938条)
同居の親・子で、扶養の関係にある 借金の返済義務はなし 877条の扶養義務は、借金を代わりに返す義務ではない

家賃の滞納も同じ考え方で、請求の相手は契約書の借主と連帯保証人です。連帯保証人の責任の範囲は賃貸の連帯保証人の責任|家賃滞納の請求と極度額の確かめ方に、家賃滞納の相談は家賃滞納の相談先|大家・管理会社への連絡の仕方と公的な支援にあります。夫婦の連帯責任は、夫婦の借金は連帯責任?日常家事債務の範囲と払わなくてよい借金で扱っています。

業者が家族に請求・協力を求めるときの禁止行為

貸金業者が家族に連絡してきたとき、禁じられているのは次の行為です(貸金業法21条1項)。

  • 7号:債務者等以外の者に、債務者等に代わって債務を弁済するよう要求すること
  • 8号:債務者等以外の者が、債務者等の居所や連絡先を知らせることなどの取り立てへの協力を拒否しているのに、さらに協力を要求すること
  • 5号:貼り紙・立看板その他の方法で、借入れに関する事実を債務者等以外の者に明らかにすること

「債務者等」には、借りた本人と保証人が含まれます(貸金業法2条5項)。保証人になっている家族は、「債務者等以外」ではないので、7号の保護の外です。一方で、保証人でない家族に払えと言う、本人の居場所を教えるよう迫り続ける、といった言動は禁止の対象です。

自宅の電話に家族が出たとき、業者が「貸金業者の○○です、本人はいますか」と言うことは、それだけでは禁止されていません。金融庁の監督指針は、債務者から家族に知られないよう要請を受けていない場合は、貸金業者と名乗っただけでは直ちに5号にあたらないとしています。本人が家族に知られたくないなら、その旨を業者に伝えておくことが、判断の材料になります。

業者への伝え方:電話と訪問での文例

家族への取り立てに応じるときは、保証人でないことを伝え、請求を断り、相手の名乗りと請求内容を聞くのが基本です。貸金業者は、相手方から請求があれば、商号・取り立てを行う者の氏名・債権の内容などを書面で明らかにしなければなりません(21条3項)。

文例(払う義務を断る):「私は○○の家族ですが、この借金の保証人にはなっていません。代わりにお支払いすることはできません。私への請求はおやめください」

文例(本人の居場所を聞かれたとき):「その件に協力はできません。これ以上のお問い合わせは、お断りします」

文例(保証人かどうかを確かめたいとき):「私が保証人になっているという契約書をお送りください。会社名と担当者名、どの契約のお話かも教えてください」

その場で「いくらなら払う」「次に電話する」といった約束はしません。約束の前に、まず自分に払う義務があるかを、契約書で確かめます。金融庁のリーフレットは、ギャンブル等へののめり込みによる借金について、安易な肩代わりはやめるよう呼びかけています。

本人を相談につなぐ手順

家族への請求を止める根本の方法は、本人が借金の整理に動くことです。家族は、本人を責めずに、次の順で動きます。

  1. 事実を聞く:借入れ先、残高、督促状の有無を、責めずに聞く。本人から聞けないなら、届いた書面を一緒に整理する
  2. 相談は本人が申し込む:弁護士や司法書士への依頼(委任)は、本人が契約する。家族は同行や書類集めを手伝う
  3. 窓口を選ぶ:財務局の多重債務相談窓口、消費生活センター、法テラスなどで、本人が相談する。番号と受付時間は借金の相談窓口はどこ?公的な窓口の番号・受付時間と選び方
  4. 持ち物をそろえる:借入れ先の一覧、督促状、通帳など。内容は借金の相談に持っていく書類と準備|借入一覧と家計表の作り方
  5. 肩代わりを急がない:ギャンブル等が原因の借金では、家族の肩代わりが新たな借金や回復の遅れにつながることがあると、金融庁のリーフレットが注意している。家族の借金が発覚したら|払う義務の有無と本人を相談につなぐ手順に、話し合いの進め方がある

本人が相談を拒むとき、連絡が取れないときは、家族だけで窓口に相談する道があります。ギャンブルが原因なら、依存症の相談窓口は家族だけでも利用できます。くわしくはギャンブルの借金と家族|肩代わりの前に知る相談先と貸付自粛制度にあります。本人が弁護士や認定司法書士に依頼して受任通知が業者に届き、直接請求しないよう求めると、貸金業者は、正当な理由なく本人へ電話・FAX・訪問で返済を求め続けられなくなります(21条1項9号)。家族への請求は、通知の前から7号で禁じられています。仕組みは債務整理の受任通知とは?督促が止まる仕組みと止まらない支払いで説明しています。

取り立てが続くとき

家族への請求が続く、夜間に電話が来る、職場に連絡が行くといった場合は、日時と相手、言われたことを記録して窓口に伝えます。禁じられている取り立ての全体は、取り立てが怖いとき|法律で禁止されている取立てと連絡先の一覧で確かめられます。年金で暮らす人への取り立ては年金生活で取り立てを受けたら|差し押さえできない年金と相談先で扱っています。

よくある質問

Q. 夫(妻)の借金の取り立てが来たら、配偶者は払わなければなりませんか?

借金の契約をした本人が返す、というのが原則です。配偶者でも、保証人になっていない、契約者として一緒に署名していないなら、請求を受けても自分の借金にはなりません。例外は、民法761条の日常の家事に関する債務(夫婦の連帯責任)です。何が日常の家事にあたるかは条文に書かれておらず、事情で判断されるので、請求の内容を書面にしてもらって窓口に確かめます。

Q. 親の借金を、子どもが払う義務はありますか?

親子であることだけでは、返済の義務は生まれません。民法877条の扶養義務は、生活の面倒をみる義務で、親の借金を代わりに返す義務ではありません。子が保証人になっていれば、請求の相手になります。親が亡くなっているときは、借金も相続の対象になり、相続放棄は知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申し出ます。

Q. 取り立てられている本人が亡くなっている場合は、どうなりますか?

借金は相続人に引き継がれます(民法896条)。引き継ぎたくない場合は、自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所に相続放棄を申し出ます(915条・938条)。故人の預金を使うなど、財産に手をつける前に、家庭裁判所や弁護士・司法書士に確かめてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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