家賃滞納の相談先|大家・管理会社への連絡の仕方と公的な支援
この記事のもくじ
家賃が払えないときの相談先は、まず家主か管理会社、並行して自治体の自立相談支援機関です。家主には「払えない事実と払える見込み」を早く伝え、自立相談支援機関には「家賃を払うための収入や支援の使い道」を相談します。この2つを同じ週のうちに動かすと、住まいを失うリスクを下げながら、家計の立て直しに入れます。
相談する順番と、それぞれの役割
相談先は、役割が違います。順番をつけると迷いが減ります。
| 順 | 相談先 | 相談すること | 向いている状況 |
|---|---|---|---|
| 1 | 管理会社・家主 | 払えない月、払える額、時期 | 家賃が遅れそう、すでに遅れた |
| 2 | 自治体の自立相談支援機関 | 収入減への支援、住居確保給付金、家計の見直し | 失業・収入減で払い続けられない |
| 3 | 福祉事務所(生活保護の窓口) | 最低限の生活が維持できないときの保護 | 収入や貯金がほぼない |
| 4 | 財務局・法テラス・弁護士会など | 借金の整理 | 家賃以外にも借金が重い |
1から4を全部やる必要はありません。滞納が短いうちは、1と2から始めます。借金が複数あるなら4まで広げます。
手順1:大家・管理会社への連絡の仕方
連絡の前に、次の3つをメモにします。
- 払えない理由(失業、収入減、病気など)を、1〜2行で。
- 今月または今回払える額と、残りをいつから払い始められるか。
- 今後の収入の見込みと、その時期。
連絡は、最初は電話で、その後に書面かメールで同じ内容を残すのが基本です。電話だけだと、あとで「言った・言わない」になるからです。
文例(電話):「○号室の○○です。今月の家賃について相談したくご連絡しました。○月に仕事を失い、今月分は全額払えません。○日までに○万円を入金し、残りは○月から月○万円ずつ払う形でお願いできないでしょうか。」
文例(メール):「先ほどお電話した件の確認です。○日までに○万円を入金し、残りの○万円は○月から毎月○日に○万円ずつお支払いします。再就職の見込みは○月です。ご検討をお願いします。」
話すときのポイントは次のとおりです。
- 連絡先は、督促や振込先の書類に書かれた側にします。管理会社が窓口なら管理会社です。
- 払えない額だけでなく、払える額を具体的な数字で伝えます。「できるだけ払います」だけでは相手が判断できません。
- 家主や管理会社は、家賃保証会社を使っていると保証会社に連絡する場合があります。その場合の対応は家賃滞納で保証会社から督促が来たら|代位弁済後の請求と話し合いを見てください。
- 約束した日付と金額は、守れる範囲に絞ります。
書面で分割払いをお願いするときの文例と注意は家賃滞納分の分割払いをお願いするときの伝え方|大家への文例にまとめています。
手順2:自治体の自立相談支援機関に相談する
自立相談支援機関は、生活困窮者自立支援制度の相談窓口です。厚生労働省の案内では、家賃を払えないことも相談の対象の例に挙がっています。支援員が一緒に支援プランを作り、必要なら次の制度につないでくれます。
住居確保給付金は、離職・廃業後2年以内の人や、個人の責任・都合によらず収入が離職と同程度まで減った人が、一定の収入・預貯金の基準の範囲内で、求職活動をしながら使える制度です。市区町村から家主へ家賃相当額が直接支払われ、支給は原則3か月、延長は2回までで最大9か月です。上限額は自治体と世帯人数で違うので、窓口で聞きます。
この制度は令和7年(2025年)4月1日に改正されました。目黒区の案内によると、家賃を補助する給付に加えて、収入が大きく減って家賃の安い住まいへ移る人に転居費用を補助する給付が設けられ、離職・廃業から2年以内の期間が、条件によって4年以内になる場合があります。過去に家賃補助を受けたことがある人は、原則として対象外です。要件の細部は自治体で運用が分かれるので、「家賃補助と転居費用補助のどちらが合うか」を窓口で聞いてください。
要件や、家計改善支援の中身、窓口の探し方は生活費が足りないときの公的な相談先|家計改善支援と住居確保給付金にまとめました。ここでは、家賃の相談で伝える内容だけ挙げます。
- 家賃の額、滞納の月数、家主や管理会社から言われたこと
- 収入が減った時期と、今の収入・貯金
- 世帯の人数と、ほかに払えていない支払い(税金、携帯代、借金)
手順3:公的な貸付や生活保護が合うかを聞く
自立相談支援機関では、状況に応じて他の制度も案内してくれます。
- 生活福祉資金貸付制度:都道府県の社会福祉協議会が実施し、問い合わせは市区町村の社会福祉協議会で受けています。低所得世帯などが対象で、貸付金の利子は、連帯保証人を立てれば無利子、立てなければ年1.5%です(緊急小口資金と教育支援資金は無利子)。貸付の決定では返せる見込みも考慮されるため、すぐ借りられるとは限りません。借りる以上は返す必要がある点を、借金が重いときは特に考えて選びます。
- 生活保護:収入や貯金が最低限度の生活に足りないときは、福祉事務所に申請できます。家賃は住宅扶助として扱われます。ほかの制度を使い切ってからでないと申請できないという決まりではないため、迷ったら福祉事務所に聞きます。
住居確保給付金(家賃補助)には求職活動の条件があり、厚生労働省の概要では、自立相談支援機関の面接が月4回以上、ハローワークの職業相談が月2回以上、企業への応募が週1回以上とされています(自営業者は事業再生の活動に代えられる場合があります)。収入と預貯金の基準もあるため、使えるかどうかは窓口で聞いてください。
手順4:借金もあって家賃が払えないとき
家賃が払えなくなった原因が、カードローンや消費者金融の返済の重さにあるなら、家賃の相談と並行して借金の相談先に連絡します。
- 財務局の多重債務相談窓口、法テラスなど。電話番号は借金の相談窓口はどこ?公的な窓口の番号・受付時間と選び方で調べられます。
- 弁護士や司法書士に、債務整理の方針を聞く。
家賃・税金・携帯代と借金のどれから払うかは、生活を守る観点で順番が変わります。全体の考え方は家賃・税金・携帯代を滞納したらどうなる?支払いごとの結果と払う順番が参考になります。
相談してもうまくいかないとき、訴状が届いたとき
家主から分割を断られた、または保証会社を通じて請求が続いている場合でも、住居確保給付金などの公的支援を使いながら再度話し合う余地があります。それでも解除の通知や、裁判所からの書面が届いたときは、無視しないで次に進みます。訴状が届いたときの対応は家賃滞納の明け渡し訴訟|訴状が届いてから強制執行までの流れをご覧ください。
夜逃げを考えるほど追い詰められているときは、先に家賃滞納で夜逃げを考えたとき|その前に使える相談先と住まいの支援の窓口に電話してください。
よくある質問
Q. 家主に連絡すると、すぐ出て行けと言われませんか?
連絡しただけで契約が終わることはありません。解除には、期間を定めた催告と、不履行が軽微でないことが条件になります(民法541条)。連絡が途絶えるほうが、貸主の不信を招きやすい点に注意してください。
Q. 管理会社と家主、どちらに連絡すればよいですか?
家賃の振込先や督促の連絡元になっている側に、まず連絡します。契約書の「管理会社」「貸主」の欄を見て、管理会社が窓口になっていれば管理会社です。管理会社には決められないと言われたら、家主への取次ぎを頼みます。
Q. 住居確保給付金は、家賃を滞納してからでも使えますか?
厚生労働省の制度概要では、離職・廃業後2年以内などの要件を満たし、家賃の支払いが難しい人が対象になります。滞納の有無の扱いは自治体の運用に関わるため、相談窓口に滞納の状況を伝えて聞いてください。
出典・参考にした公的な情報
- 生活困窮者自立支援制度(自立相談支援事業・住居確保給付金・居住支援)(厚生労働省)
- 住居確保給付金(制度の概要)(厚生労働省)
- 住居確保給付金のごあんない(令和7年4月1日からの制度改正)(目黒区)
- 生活福祉資金貸付制度(厚生労働省)
- 民法 第541条・第601条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。