自己破産 / 制度解説

自己破産で就けない仕事|警備員など資格制限の一覧と期間

この記事のもくじ
  1. 資格制限の仕組み:破産法ではなく、各資格の法律が定める
  2. 制限される主な資格・職業と根拠(2026年10月23日時点の現行条文)
  3. 仕事以外で制限される立場
  4. 制限がかかる期間:破産手続開始の決定から復権まで
  5. 制限のある仕事に就いている人が確かめる順

自己破産で制限される仕事は、破産手続開始の決定を受けて、まだ復権していない人を欠格にしている法令の資格・職業だけです。警備員、生命保険募集人、宅地建物取引士、弁護士・司法書士・税理士などの士業が代表例です。制限はいつまでも続くわけではなく、免責許可の決定が確定して復権すれば外れます。任意整理・個人再生・特定調停には、同じ制限はかかりません。

資格制限の仕組み:破産法ではなく、各資格の法律が定める

破産法255条2項は、復権の効果は「人の資格に関する法令の定めるところによる」と書くだけです。どの仕事が制限されるかは、警備業法や宅地建物取引業法など、資格や許可ごとの法律に書かれています。多くは「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」を欠格や登録拒否の対象にしています。

つまり、制限の始まりは破産手続開始の決定、終わりは復権です。自己破産でなければ、この条件に当たりません。

手続き 破産手続開始の決定 資格制限
自己破産 あり 復権まで制限される
個人再生 なし(民事再生法の手続) かからない
任意整理 なし(裁判所を使わない) かからない
特定調停 なし(民事調停の特例) かからない

制限される主な資格・職業と根拠(2026年10月23日時点の現行条文)

資格・職業 根拠 内容
警備員 警備業法14条1項、3条1号 3条1号~7号に当たる人は警備員になれない。警備業者も、その人を警備業務に従事させられない(14条2項)
警備業を営む人 警備業法3条1号 警備業を営めない
生命保険募集人・損害保険代理店 保険業法276条・279条1項1号・307条 登録を拒否される。登録後に該当した場合は、登録の取消しの対象(307条)
宅地建物取引士 宅地建物取引業法18条1項2号 登録を受けられない
宅地建物取引業者 宅地建物取引業法5条1項1号 免許を受けられない
弁護士 弁護士法7条4号 弁護士となる資格を有しない
司法書士 司法書士法5条3号 司法書士となる資格を有しない
行政書士 行政書士法2条の2第2号 行政書士となる資格を有しない
税理士 税理士法4条2号 税理士となる資格を有しない
公認会計士 公認会計士法4条4号 公認会計士になれない
弁理士 弁理士法8条11号 弁理士となる資格を有しない
社会保険労務士 社会保険労務士法5条2号 社会保険労務士となる資格を有しない
土地家屋調査士 土地家屋調査士法5条3号 調査士となる資格を有しない
貸金業者 貸金業法6条2号 登録を拒否される
古物商 古物営業法4条1号 許可を受けられない
質屋 質屋営業法3条6号 許可を受けられない
建設業者 建設業法8条1号 許可を受けられない

これは、条文を確かめた代表例の一覧で、すべての資格を網羅するものではありません。自分の仕事や持っている資格が載っていなければ、その資格を定めた法律をe-Gov法令検索で開き、「破産」「復権」の語を探してください。資格を所管する官庁や団体の窓口に聞く方法もあります。

警備員は、勤務先の警備会社の側も、制限のある人を警備業務に従事させられません(警備業法14条2項)。働き続けられないだけでなく、会社に事情を伝えざるをえない場面があります。

仕事以外で制限される立場

仕事の資格ではなくても、次の立場に影響が出ます。

  • 成年後見人。 民法847条3号は、破産者を後見人の欠格事由にしています。
  • 遺言執行者。 民法1009条は、未成年者と破産者が遺言執行者になれないと定めています。
  • 会社の取締役。 会社法331条の欠格事由に、破産は入っていません。ただし、会社と取締役の関係は委任に関する規定に従い(会社法330条)、民法653条2号は、受任者が破産手続開始の決定を受けると委任が終了すると定めています。取締役を続けられるか、再び選任できるかは、会社の定款や登記の扱いを弁護士や司法書士に確かめてください。

制限がかかる期間:破産手続開始の決定から復権まで

制限は、破産手続開始の決定から始まり、復権した時に外れます。年数では決まりません。免責許可の決定が確定すると当然に復権し(破産法255条1項1号)、免責が許可されなかったときは別の事由による復権が要ります。期間の数え方と復権の種類は自己破産の復権とは?資格制限が解ける時期と免責確定までの期間に、手続き全体の期間は自己破産の流れ|相談から免責許可の決定までの期間と手順にまとめています。

早見表:資格制限の始まりと終わり
  • 始まり:破産手続開始の決定
  • 続く間:同時廃止の免責審理中、管財事件の手続き中
  • 終わり:免責許可の決定が確定して復権(破産法255条1項1号)
  • かからない手続き:任意整理・個人再生・特定調停

制限のある仕事に就いている人が確かめる順

  1. 自分の仕事に必要な資格・許可を、すべて書き出す。
  2. それぞれの根拠法令を開き、「破産」「復権」の語を探す。
  3. 該当するなら、手続きを選ぶ前に、弁護士へ「いま就いている仕事と資格」を伝える。
  4. 仕事を続けたい事情があれば、任意整理や個人再生を含めて比較する。手続きの違いは債務整理の種類を比較|任意整理・個人再生・自己破産・特定調停の違いで確かめられます。
  5. 勤務先に伝える範囲と時期も、あわせて相談する。

相談のときの伝え方の例:「警備会社で警備員として働いています。自己破産をすると警備の仕事ができなくなると聞きました。仕事を続けながら借金を整理する方法があるか、各手続きでの違いを教えてください。」

公務員の場合は、国家公務員法・地方公務員法の欠格条項に破産が入っていません。詳しくは公務員が債務整理すると職場に知られる?手続き別の影響と注意を読んでください。会社に知られる経路は自己破産は会社にばれる?家族に知られる場面と官報・郵便物の扱いで整理しています。個人事業主の場合は個人事業主の自己破産|事業を続けられるかと売掛金・道具の扱いを参照してください。

よくある質問

Q. 任意整理や個人再生でも、警備員の仕事はできなくなりますか?

警備業法の制限は「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」を対象にしています。任意整理は裁判所を使わず、個人再生は破産手続ではないため、この条件に当たりません。警備員の仕事を続けたい人が手続きを選ぶときの材料になりますが、勤務先の内規や契約書に別の定めがないかは確かめてください。

Q. 資格制限は、何年たてば外れますか?

年数では決まらず、復権した時に外れます。免責許可の決定が確定すると当然に復権します(破産法255条1項1号)。免責が許可されず手続きが終わった場合は、申立てによる復権の決定を受けるか、破産手続開始の決定後10年を経過するなど、別の事由が必要です。

Q. 自己破産すると選挙権や戸籍に影響しますか?

戸籍や住民票に載ることはなく、選挙権も失いません。大分地方裁判所のQ&Aは、自己破産をしても戸籍・住民票に載らず、選挙権を失うこともないと説明しています。一方で、警備員や生命保険の外交員など、一部の仕事に就けない期間があります(上の表)。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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