自己破産の復権とは?資格制限が解ける時期と免責確定までの期間
復権とは、自己破産によって受けた資格の制限が解けることです。多くの人にとっては、免責許可の決定が確定した時が復権の時で、手続きを申し立てなくても当然に復権します(破産法255条1項1号)。警備員や生命保険の募集人のように、「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」を欠格とする仕事は、この時から、その欠格に当たらなくなります。資格制限が続くのは、破産手続開始の決定から免責の確定までの間です。ここでは確定までの数え方、復権する4つの場合、復権しても変わらないことを順に整理します。
復権する場合は4つ(破産法255条1項)
破産者は、次のどれかに当たると復権します。申立てなしで復権するのは1号〜4号です。
| 号 | 復権する場合 | どんな人が当てはまるか |
|---|---|---|
| 1号 | 免責許可の決定が確定したとき | 免責が認められた人の大半 |
| 2号 | 破産債権者の同意による破産手続廃止(218条1項)の決定が確定したとき | 破産債権者の同意により、手続きを廃止した場合 |
| 3号 | 再生計画認可の決定が確定したとき | 再生手続で計画が認可され、決定が確定した場合 |
| 4号 | 破産手続開始の決定後、詐欺破産罪(265条)で有罪の確定判決を受けずに10年が過ぎたとき | 免責が得られなかった人の最後の線 |
このほか、弁済などで破産債権者に対する債務の全部について責任を免れたときは、破産者の申立てにより、裁判所が復権の決定をします(256条1項)。申立てがあると公告され、破産債権者は公告の効力が生じた日から3か月以内に意見を述べられます(同条2項・3項)。
復権の効果の中身は、破産法ではなく、各資格の法律が決めています(255条2項)。たとえば警備業は、「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」が営むことも、警備員になることも認めていません(警備業法3条1号・14条1項)。生命保険の募集人などの登録も、同じ者は拒否されます(保険業法279条1項1号)。就けない仕事の一覧と期間は自己破産で就けない仕事|警備員など資格制限の一覧と期間にあります。
免責が確定するまでの期間の考え方
免責許可の決定が確定するまでには、複数の段階があります。決まった日数があるのは、意見申述の期間と不服申立ての期間の2つです。
- 申立て・開始決定:自己破産を申し立てると、免責の申立てもしたものとみなされます(248条4項)。同時廃止なら、開始決定と同時に手続きが廃止されます(216条)。
- 意見申述の期間:裁判所は、管財人と破産債権者が免責の当否について意見を述べられる期間を定め、公告します。期間は、公告の効力が生じた日から1か月以上です(251条1項〜3項)。
- 免責許可の決定:裁判所が、免責不許可事由の有無などを見て決定します(252条1項)。
- 公告・送達:裁判書は破産者と管財人に、決定の主文を記した書面は破産債権者に送達されます(252条3項)。債権者への主文書面の送達は、公告で代えられます(10条3項)。公告は官報に載り、掲載の翌日に効力が生じます(10条1項・2項)。
- 不服申立て(即時抗告)の期間:免責許可の申立てについての裁判には、即時抗告ができます(252条5項)。その期間は、裁判の公告があった場合は、公告が効力を生じた日から2週間です(9条)。許可の決定は、債権者への主文書面の送達を公告で代えるので、公告から2週間です。免責不許可の決定は、破産者への裁判書の送達を公告で代えられないため(252条4項)、告知を受けた日から1週間になります(13条が準用する民事訴訟法332条。不許可の場合は自己破産の免責不許可とは?で扱います)。
- 確定・復権:期間内に即時抗告がなければ、決定が確定して復権します。
6の目安は、官報に載った日から2週間と少しです(筆者の計算。掲載の翌日に効力が生じ、そこから2週間)。ただし、手続きの種類や送達の状況で、確定の日は事件ごとに違います。確定した日は、裁判所に免責許可決定確定証明を申請して確かめられます。東京地方裁判所の案内では、証明の申請ができるのは破産者と利害関係人で、代理人が申請する場合は委任状が必要とされています。
申立てから決定までの全体の期間は、同時廃止か管財事件か、裁判所の混み具合で変わります。流れと期間の要素は、自己破産の流れ|相談から免責許可の決定までの期間と手順で確かめられます。
免責が不許可だったときの復権
免責不許可の決定が確定すると、1号による復権はありません。資格制限を外す道は、次の3つです。
| 方法 | 条文 | 中身 |
|---|---|---|
| 弁済などで債務の全部の責任を免れる | 256条1項 | 破産者の申立てにより、裁判所が復権の決定をする |
| 10年が過ぎる | 255条1項4号 | 開始決定の後、詐欺破産罪で有罪の確定判決を受けずに10年がたつ |
| 破産債権者の同意による手続廃止が確定する | 255条1項2号 | 218条1項の廃止決定が確定した場合 |
また、いったん復権しても、免責取消しの決定が確定すると、復権は将来に向かって効力を失います(255条3項)。免責を不正な方法で得たと認められるなどの場合です。
復権しても変わらないこと
復権で解けるのは「資格の制限」です。次のものは、復権しても自動では変わりません。
| 項目 | 復権との関係 |
|---|---|
| 信用情報機関の登録 | 機関ごとの登録期間で管理され、復権とは連動しません。クレジットカードの再取得は自己破産後のクレジットカード|作れるまでの期間と使える代わりで整理しています |
| 免責されない支払い | 税金・養育費などは、復権後も請求が続きます(253条1項) |
| 保証人への請求 | 免責の効力は保証人に及びません(253条2項) |
| 再度の自己破産 | 前回の免責確定から7年以内の申立ては、免責不許可事由になります(252条1項10号)。自己破産を繰り返す人は免責される?2回目の申立てと7年の線で数え方を確かめられます |
居住地を離れるときに裁判所の許可が要る制限(37条1項)は、復権ではなく、破産手続が終わる時までのものです。資格制限とは別の話です。
復権後に確かめる手順
- 免責許可決定の確定日を、決定書の記載か確定証明で確認する
- 就きたい仕事の根拠の法律で、「破産者で復権を得ない者」の欠格があるかを確認する
- 登録や届出の窓口に、確定日の分かる書類を持参できるよう準備する
- 免責されなかった支払い(税金・養育費など)の返済計画を立てる
よくある質問
Q. 免責許可の決定が出た日に、復権しますか?
決定が出た日ではなく、決定が確定した時に復権します(破産法255条1項1号)。免責許可の決定は、確定しなければ効力を生じません(252条7項)。不服申立ての期間が過ぎるまでは、確定していません。
Q. 免責が認められなかったら、資格制限はずっと続きますか?
免責不許可でも、すべての借金を弁済などで返し終えて復権の申立てをする方法(破産法256条)や、開始決定から10年がたつ方法(255条1項4号)があります。自動で外れるわけではありません。
出典・参考にした公的な情報
- 破産法 第9条・第10条・第37条・第251条・第252条・第255条・第256条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 警備業法 第3条・第14条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 保険業法 第279条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 証明申請等の書式例(免責許可決定確定証明申請書)(東京地方裁判所)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。