固定資産税を払い忘れてた・督促状が届いたら|分納の相談と差し押さえ
固定資産税の督促状が届いたら、同封の納付書で、期限までに払うのがいちばん単純な対応です。払えないときは、期限の前に市区町村の税務課(納税課)へ連絡して、分納を相談します。督促状の段階では、家はまだ取られません。ただし督促状を発した日から10日を過ぎると差し押さえが可能になり、放置を続けると、土地や建物の差し押さえ、さらに公売(売却)へ進みます。
納期から差し押さえまで:固定資産税の流れ
固定資産税の納期は、4月・7月・12月・2月中で条例で定める市区町村が多く(地方税法362条)、実際の日付は市区町村ごとに違います。払い忘れから差し押さえまでは、次の順番です。
| 段階 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 納期限を過ぎる | 延滞金がかかり始める | 地方税法 |
| 督促状 | 納期限後20日以内に発送される | 371条 |
| 差し押さえが可能になる | 督促状を発した日から10日を過ぎても完納しないとき | 373条 |
| 差し押さえ | 預貯金、給料、土地・建物など。不動産は差押書が本人に送達され、登記簿にも差し押さえが記録される | 国税徴収法68条 |
| 公売(換価) | 差し押さえた財産を入札や競り売りで売る | 国税徴収法94条 |
税金の差し押さえには、裁判所の判決などが要りません。カード会社の借金なら、判決や支払督促で確定した権利がないと給料や預金を差し押さえられませんが、税金は役所の判断で進められます。この違いは 税金の滞納で差し押さえはいつから?督促状から10日の流れと押さえられる財産 に整理しています。
家はいつ差し押さえられるのか
国税徴収法48条は、国税を徴収するのに必要な分を超えて差し押さえることを禁じています。地方税の滞納処分も、国税徴収法の例によって行います。滞納額に見合わない価値の財産を、必要以上に差し押さえることはできません。どの財産を差し押さえるかは役所が選び、預貯金や給料が先に差し押さえられる場合もあります。
不動産の差し押さえは、督促状のあとも納付がなく、分納の話し合いも進まないときに、役所が選べる手続きの一つです。差し押さえが決まると、法務局の登記簿に差し押さえが記録されます。記録されても、すぐに追い出されるわけではありません。差し押さえられた不動産も、通常の用法に従って使い続けられます(国税徴収法69条)。ただし、その家を売ったり、新しく担保に入れたりすることが難しくなります。
差し押さえのあと、売却するときは公売に付さなければならない決まりです(国税徴収法94条)。国税庁の「公売情報」サイトに、国税の公売の日程が出ています。自治体の公売は、各自治体のページで案内されます。差し押さえと公売は別の段階で、差し押さえに係る滞納額を全額納めたときは、差し押さえが解除されます(国税徴収法79条1項)。
納期限 → 督促状(20日以内)→ 10日 → 差し押さえ(登記)→ 公売。各段階で「払う」か「分納の合意」があれば進行を止められる。
督促状が届いたら、窓口で伝えること
分納の相談で、役所が知りたいのは「いつまでに、いくら払えるか」です。持っていくものと、伝える内容を整理します。
- 督促状、納付書、納税通知書
- 収入が分かるもの(給与明細、年金通知など)と、毎月の支出のメモ
- 預貯金の残高が分かる通帳
- 払えなくなった事情(失業、収入減、病気、住宅ローンの返済など)
文例:「固定資産税の納期を忘れていて、督促状が届きました。いま一度に払うのは難しいので、毎月○万円ずつ分けて納めたいです。いつまでに完納できるか、一緒に決めていただけますか。」
分納の約束をしたら、その月額と日付を守ることが大切です。約束を破ると、次の相談がしにくくなります。払えなくなりそうな月は、その前に連絡します。
地方税には、災害・病気・事業の損失などで一時に納められない場合に、申請で1年以内の徴収の猶予を認める仕組みがあります(地方税法15条)。また、天災などの特別の事情や、生活保護などで生活が困窮している場合に、条例の定めで減免を受けられる場合があります(地方税法367条)。猶予や減免は条例で決まるため、自治体のページか窓口で、対象になるかを確かめます。
督促状が自分に届いた理由を確かめる
固定資産税は、毎年1月1日(賦課期日)に、登記簿や課税台帳に所有者として載っている人にかかります(地方税法343条・359条)。このため、次のような場面で「覚えのない督促状」が届くことがあります。
- 年の途中で家を売ったが、その年の1月1日の所有者は自分だったため、その年の分の納付書が自分に届いた
- 登記簿上の所有者が賦課期日の前に亡くなっている場合は、賦課期日に現にその家を所有している人(多くは相続人)が納税義務者になる(343条2項)。親の実家や空き家の納付書が、引っ越し前の住所や相続人に届くのはこのため
- 口座振替にしていたが、口座の残高が足りず、引き落とせていなかった
- 4回の納期のうち、1回分だけ払い忘れていた
督促状に書かれた物件の所在地、年度、納期(第何期分か)を、手元の納税通知書と見比べます。口座振替の残高不足なら、残高を入れたうえで、納付書での払い方を窓口に聞きます。一部だけ払い忘れていた場合は、その期の分だけが督促の対象です。身に覚えのない物件の督促状は、払う前に税務課へ連絡して、課税の根拠を聞きます。
クレジットカードで払えるか、住宅ローンとの関係
固定資産税のカード納付は、自治体で対応が違います。督促状の段階でも使えるか、納付書に専用のコードがあるかは、市区町村のページか納税課で確かめます。カード払いで納付が遅れて反映されることもあるので、期限の直前は避けて、早めに手続きします。
住宅ローンを払っている人は、固定資産税の納付も大切です。固定資産税とローンの返済が重なって苦しいときは、どちらか一方だけを考えず、全体で見直します。ローンの返済と税金の両方が苦しいときは、住宅ローンが払えないときの選択肢|銀行への相談・売却・個人再生 を読んで、全体の優先順位を考えます。
延滞金は納期限の翌日から増えていくため、払えるめどがついたら早く払うほど総額が小さくなります。計算のしくみは 税金滞納の延滞金はいくら?いつから何%か・計算例と減免の相談 にあります。納税の猶予や分割の考え方は 税金を滞納しそうなとき|納税の猶予の条件と申請・分割の考え方 も参考になります。
よくある質問
Q. 固定資産税を払い忘れて督促状が届きました。すぐ家を取られますか?
督促状が届いた時点で、家が取られることはありません。督促状を発した日から10日を過ぎると差し押さえが可能な状態になりますが、その前に払うか分納を相談すれば進行を止められる場合があります。差し押さえのあとも、売却(公売)までには別の手続きがあります。
Q. 固定資産税を分割で払うことはできますか?
納期ごとに4回に分けて払う仕組みのほか、払えないときは担当課に分納を相談できます。期間や回数は条例や運用で決まっており、自治体ごとに違います。払える月額と収支を書いたメモを持って、市区町村の税務課(納税課)へ行きます。
Q. 固定資産税の延滞金は、いつからかかりますか?
納期限の翌日から、納めた日までの日数に応じてかかります。割合は納期限の翌日から1か月以内と、それを超えた期間で変わります。計算のしくみは、延滞金の記事で確かめられます。
出典・参考にした公的な情報
- 地方税法 第15条・第343条・第359条・第362条・第367条・第371条・第373条ほか(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 国税徴収法 第48条・第68条・第69条・第79条・第94条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 国税庁 公売情報(国税庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。