個人再生と住宅・車のローン / Q&A

個人再生で通帳はどこまで調べられる?提出する期間と取引

この記事のもくじ
  1. 個人再生で通帳が見られる理由
  2. 提出する期間の考え方:裁判所ごとに違う
  3. 説明を求められやすい取引
  4. 記帳していない通帳・通帳のない口座の準備

個人再生で調べられるのは、提出する通帳の写しに載っている入出金と、個人再生委員が報告を求める収入・財産の状況です。出す期間は裁判所と依頼先の運用で決まり、札幌地方裁判所の添付書類一覧は「表紙・1年分以上・定期、積立等含む・直近に記帳・同居者分」を求めています。東京地方裁判所の申立て案内には、通帳の期間の数字は書かれていません。確かなのは、期間の数字より、全部の口座を漏れなく、記帳した状態で出すことです。

個人再生で通帳が見られる理由

通帳は、借金の理由、収入、財産、返済の状況を、第三者が確かめられる数少ない記録です。裁判所と個人再生委員は、通帳を次の点を確かめる材料にします。

  • 財産があるか:預金は財産目録に載り、持っている財産の合計(清算価値)の計算に入ります。計画で返す総額は、この清算価値を下回れません(民事再生法174条2項4号)。
  • 収入が安定しているか:給与などの振込が続いているかで、計画を払い続けられるか(174条2項2号)を見ます。
  • 一部の人だけに返していないか:再生手続の開始後は、計画によらない返済が禁じられています(85条1項)。開始前の返済も、不公平な返し方は清算価値や手続の判断で問題になります。
  • 書類の内容が合っているか:家計表、財産目録、債権者一覧表の数字と通帳が合うかを見ます。

個人再生委員は、再生債務者に収入と財産の状況の報告を求め、帳簿や書類その他の物件を検査できる立場です(民事再生法223条2項1号・8項)。東京地裁は申立書を審査して全件で委員を選任し、委員は財産と収入の状況を調査して、手続を始めてよいかの意見を述べると案内しています。つまり、提出した通帳に載っていない取引でも、委員から資料を求められることがあります。

提出する期間の考え方:裁判所ごとに違う

「何年分」という数字は、公表されている資料でも裁判所ごとに扱いが違います。

比較表:公表資料に見る、通帳の写しの求め方
裁判所 公表資料に書かれていること
札幌地方裁判所(小規模個人再生の添付書類一覧) 通帳(表紙・1年分以上・定期、積立等含む・直近に記帳・要同居者分)
東京地方裁判所(申立て案内・令和7年11月1日以降) 申立書類、添付書面(収入の資料、財産目録、家計全体の状況など)、疎明資料の提出を案内。通帳の期間の数字は書かれていない
裁判所(全国向けの案内) 申立てに必要な書類は、裁判所ごとに異なるので、申立先の裁判所へ確認するよう案内

札幌地裁の「1年分以上」は下限の目安です。支払いが苦しくなった時期のずっと前から取引がたどれないと、借金の経緯が見えません。通帳の記帳が1年に届かない口座は、依頼先の弁護士や司法書士が、取引明細の取り寄せを指示します。

出す口座は、メインの1つだけではありません。次の口座を全部書き出します。

  • 給与の振込口座、家賃や公共料金の引落し口座
  • ほとんど使っていない口座、ネット銀行、ゆうちょ銀行
  • 定期預金、積立預金、貯蓄預金
  • 証券口座の入出金口座、電子マネーやスマホ決済の残高が分かる画面

札幌地裁の一覧は、「同居者分」の通帳も付ける扱いです。同居家族の口座を出すかどうかは、家計の中身(生活費をだれの口座で管理しているか)で変わるので、依頼先に聞きます。

説明を求められやすい取引

通帳の中に、次のような入出金があれば、日付、相手、理由を説明できるようにして、裏づけの書類を用意します。

早見表:説明を求められやすい入出金と、用意するもの
取引 聞かれやすい理由 用意するもの
高額の出金・入金 財産の移動や、収入の漏れを確かめるため 売買契約書、領収書、振込の依頼書
家族・知人への送金や、家族・知人からの入金 一部の人への返済、または借入にあたるため 借用書、メッセージのやりとり、金額の整理
ギャンブルや投資に関わる入出金 借金の原因や、財産の把握のため 取引の履歴、口座の明細
保険料・証券会社への引落し 解約返戻金や有価証券が財産になるため 保険証券、解約返戻金の証明書
自分名義の別口座への移動 口座の漏れがないか確かめるため 移動先の口座の通帳
給与以外の定期的な入金 副収入や援助が収入に当たるため 入金元の契約書、支払調書
借入の入金とカードの返済 債権者一覧表と合うかを見るため 取引明細、請求書

説明に詰まったときは、思い出せる範囲を正直に伝えます。財産を書き漏らしたり不正に書いたりすると、小規模個人再生では、裁判所は再生手続の廃止を決められます(民事再生法237条2項。この規定は小規模個人再生についての定めです)。家族や知人に先に返したお金は、見つからないようにするのではなく、そのまま依頼先に伝えます。自己破産で通帳が見られる範囲は自己破産で通帳はどこまで調べられる?にあり、公平でない返済の扱いは個人再生の偏頗弁済とは?手続き前に一部だけ返すと起きることで説明します。

記帳していない通帳・通帳のない口座の準備

通帳は、提出の直前に記帳した状態の写しを出すのが一般的です。何年も記帳していない通帳は、次の順で整えます。

  1. 通帳をそろえて、口座を一覧にする:金融機関、支店、口座番号の下4桁、最終に記帳した日を書き出します。
  2. ATMで記帳する:未記帳の取引がたまっていると、ATMの記帳が複数ページに分かれたり、古い分が「繰越」の表示でまとまったりすることがあります。
  3. 記帳できない古い取引は、金融機関に取引明細を頼む:窓口の取引明細の発行や、ネットバンキングの履歴のダウンロードで、期間ごとに取れます。手数料と、さかのぼれる期間は金融機関ごとに違います。
  4. 通帳のない口座は、画面の履歴を印刷する:通帳を発行しないネット銀行は、取引履歴の画面や、PDFをダウンロードして印刷します。日付、金額、相手先が切れていないかを見ます。
  5. 写しは表紙も付けて、ページ順にそろえる:札幌地裁の一覧が「表紙」を挙げているように、金融機関名と名義が分かる部分が必要です。
  6. 記帳の前に、入出金を整えない:通帳の見た目をよくするために、残高を動かしたり、取引を隠したりしません。

生活費の口座が借入先の銀行にある場合は、手続の途中で口座が止まることがあります。通帳の準備と並べて、個人再生で口座凍結される?も読んでください。提出する家計表との関係は、前の記事個人再生の家計簿の付け方にまとめています。

よくある質問

Q. 個人再生の通帳は、何年分を出しますか?

裁判所と依頼先の運用で決まり、全国で同じ年数はありません。札幌地裁の添付書類一覧は、表紙と1年分以上で、定期預金や積立も含め、直近に記帳したものを求めています。申立先の裁判所の書式と、依頼先の指示を基準にします。

Q. 使っていない口座や、解約した口座の通帳も必要ですか?

残高のある口座は、使っていなくても財産で、財産目録に載ります。札幌地裁の一覧も定期や積立を含めており、通帳は全部の口座が対象になると考えて準備します。解約した口座は、解約前の取引が分かる書類を依頼先に見せて、出す範囲を決めます。口座の数が多いほど記帳に時間がかかるので、早めに全部の口座を書き出しておきます。

Q. 家族名義の口座に入っているお金も見られますか?

名義が家族でも、実質は自分のお金を預けているのであれば、財産として説明を求められることがあります。札幌地裁の添付書類一覧は、通帳について同居者の分も出す扱いにしています。生活費を家族の口座で管理しているときは、依頼先に先に伝えます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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