税金の滞納は会社に知られる?給料の差し押さえと連絡の範囲
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税金を滞納しただけで、役所が会社へ「この人は滞納しています」と知らせることは、通常の流れにはありません。督促状も本人あてに届きます。会社に知られる典型は、給料の差し押さえです。給料を差し押さえると、差し押さえの通知は給料を払っている会社に届きます。その前に、役所が会社へ質問をして調べる場合もあります。知られる前に止める方法は、督促状に書かれた担当課へ早く連絡して、分納(分割で納めること)を相談することです。
会社に知られるのは、どの段階か
滞納から差し押さえまでは、次の順番で進みます。会社が関わるのは、表の後ろの2段階です。
| 段階 | 起きること | 会社への影響 |
|---|---|---|
| 1 納期限を過ぎる | 納付書の期限が過ぎ、延滞金がかかり始める | なし |
| 2 督促状が届く | 国税は納期限から50日以内、住民税・固定資産税・自動車税は納期限後20日以内に発送される | なし(本人あての書面) |
| 3 督促状から10日が過ぎる | 財産を差し押さえることができる状態になる | まだ通知は行かない |
| 4 財産調査 | 預貯金、不動産、勤務先、取引先などを調べる | 勤務先へ質問が行く場合がある |
| 5 給料の差し押さえ | 差し押さえの通知が会社に届き、会社が本人の代わりに役所へ給料の一部を払う | 会社に知られる |
督促状の発送時期は国税が納期限から50日以内(国税通則法37条)、地方税が納期限後20日以内(地方税法329条ほか)と決まっています。督促状を発した日から10日を過ぎても完納しないと、国税は国税徴収法47条、住民税などの地方税は地方税法331条で、財産を差し押さえる扱いになります。借金のように裁判所の手続きを経る必要がない点が、カード会社や消費者金融との大きな違いです。
会社員の住民税は、会社が給料から天引きして役所へ納める(特別徴収)ので、天引きされている分で本人が「滞納」になることはありません(地方税法321条の5)。会社に知られやすいのは、退職後に自分で納める切り替えのあとの住民税や、自分あてに届く固定資産税・自動車税・国税(副業の所得税など)の滞納が長引いた場合です。
差し押さえの前に、会社へ調べが入ることはあるか
国税徴収法141条は、滞納処分のために必要があるとき、徴収職員が滞納者だけでなく、滞納者に債務を負っている人にも質問し、帳簿書類を調べられると定めています。給料を払う会社は、本人に給料を支払う義務を負う立場なので、この対象に入ります。ですから、滞納が長引いて預貯金などの財産がつかめないとき、勤務先に調べが入る可能性は残ります。条文は調べができる場面を「滞納処分のため必要があるとき」と書くだけで、どの段階で会社に聞くかは役所の判断です。督促状が1通届いたからといって、会社への問い合わせが決まっているわけではありません。住民税など地方税の滞納処分も、国税徴収法の例によるとされています(地方税法331条6項)。同じ流れで進むと考えて、早めに窓口へ連絡するのが現実的です。
調べや差し押さえが近づいているサインは、次のようなものです。
- 督促状のあとに「催告書」「差押予告」といった書面が届いた
- 担当課から電話や訪問があったのに、折り返しをしていない
- 分納の約束をしたのに、期日までに納められなかった月がある
給料を差し押さえられたら、手元にいくら残るか
給料を差し押さえるといっても、全額を取られるわけではありません。国税徴収法76条は、給料のうち次の合計までは差し押さえてはならないと定めています。
- 所得税
- 住民税(給料から天引きされる分)
- 社会保険料
- 生活費として政令で定める額(月10万7千円。生計を一にする配偶者その他の親族が1人増えるごとに4万8千円を加算)
- 給料から1から4を引いた残りの20%(ただし4の金額の2倍が上限)
独身・月給30万円・所得税と住民税と社会保険料が合計6万円の人は、筆者の計算で差し押さえられ得る上限が約10万6,400円です。計算の途中は税金の滞納で差し押さえはいつから?督促状から10日の流れと押さえられる財産に置いています。ここでは、配偶者を扶養しているときの違いを見ます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 生活費の額(10万7千円 + 配偶者の加算4万8千円) | 15万5,000円 |
| 残りの20%(30万円 − 6万円 − 15万5千円 = 8万5千円の20%) | 1万7,000円 |
| 差し押さえられない額(6万円 + 15万5千円 + 1万7千円) | 23万2,000円 |
| 差し押さえられ得る上限(30万円 − 23万2千円) | 6万8,000円 |
賞与は、支払われる月の給料として同じ規定で計算します(国税徴収法76条3項)。実際の差し押さえ額は役所が決めます。生活費の月10万7千円と加算の4万8千円は、国税徴収法施行令34条の現行の額です。以前の「10万円+1人4万5千円」という数字は古いので使わないでください。借金の強制執行(民事執行法)は手取りの4分の1が目安で、計算が違います。
知られる前に、分納を相談する手順
会社に知られないために現実的なのは、差し押さえの前に役所と納め方を決めておくことです。手順は次のとおりです。
- 督促状と納付書を手元に出し、税目(住民税、国税など)と未納額、督促状の発送日を確かめる。
- 毎月の収入と支出を紙に書き、いくらなら毎月納められるかを決める。
- 督促状に書かれた担当課(市区町村の納税課、都道府県の県税事務所、税務署の徴収担当)へ、期限の前に連絡する。
- 分納の月額と日付を決め、決めた日に納める。納められない月が出そうなら、その前に連絡する。
窓口で伝える言葉は、次のようなもので足ります。
文例:「納期限に払えず、督促状が届きました。いま毎月○万円までなら納められます。分割で納めたいので、手続きを教えてください。」
国税には、病気や事業の損失などで一時に納められないときの「納税の猶予」と、差し押さえや売却を待ってもらう「換価の猶予」があります。どちらも申請が前提で、通るかどうかは税務署が判断します。条件や申請書類は 税金を滞納しそうなとき|納税の猶予の条件と申請・分割の考え方 に整理しています。差し押さえの手順そのものは 税金の滞納で差し押さえはいつから?督促状から10日の流れと押さえられる財産 で、給料の差し押さえで会社に届く書類は 給料差し押さえは会社にバレる?会社に届く書類と職場での扱い で読めます。
自動車税・借金もあるときの次の一手
自動車税や固定資産税の督促状も、同じ流れです。たとえば自動車税の督促状が届いたときの払い方は 自動車税を払い忘れてた・督促状が来たら|車検と分割の相談 に書きました。
借金とあわせて税金も滞納しているときは、税金は自己破産でも免責されず、役所との分納の相談が必要です。相談先の選び方は 借金の相談窓口はどこ?公的な窓口の番号・受付時間と選び方 を見てください。滞納全体の優先順位は 家賃・税金・携帯代を滞納したらどうなる?支払いごとの結果と払う順番 にまとめています。
よくある質問
Q. 督促状が届いただけで、会社に連絡が行きますか?
督促状は滞納している本人あてに送られる書面で、会社に写しが届く決まりはありません。会社に関わってくるのは、役所が勤務先を調べたり、給料を差し押さえたりする段階です。督促状の発送日から10日を過ぎると差し押さえが可能になるので、その前に担当課へ連絡して分納を相談します。
Q. 給料を差し押さえられたら、全額が取られてしまいますか?
全額ではありません。国税の場合、所得税・住民税・社会保険料のほか、生活費として月10万7千円(生計を一にする親族1人につき4万8千円を加算)などが差し押さえの対象から外れます。住民税など地方税も、滞納処分は国税徴収法の例によるので同じ考え方です。
Q. 会社に知られたくないとき、いちばん先にすることは何ですか?
督促状に書かれた担当課へ、期限が来る前に電話か窓口で連絡することです。払える月額と収支を書いたメモを持って分納を相談し、納める約束を始めます。相談が続いている間は、役所が差し押さえを待つ場合もありますが、約束の保証ではないので、決めた日に納めることが前提です。
出典・参考にした公的な情報
- 国税徴収法 第47条・第76条・第141条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 国税徴収法施行令 第34条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 地方税法 第321条の5・第329条・第331条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 国税通則法 第37条・第46条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 国税を一時に納付できない方のために猶予制度があります(リーフレット)(国税庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。