過払い金請求の費用|成功報酬や手数料の見方と見積もりの確認
過払い金請求の費用は、**着手金(頼むときに払う)・成功報酬(回収できた額にかける)・実費(郵送や印紙など)の3つで考えます。日本弁護士連合会(日弁連)の案内も、日本司法書士会連合会(日司連)の指針も、過払い金の成功報酬の上限を回収額の20%(訴訟になった場合は25%)**とし、どちらも消費税は別です。つまり、100万円戻れば、上限いっぱいでも報酬は20万円(税別)で、そこから実費などを引いた額が手元に残ります。事務所が上限より安くしていることもあるので、実際の率は見積書で確かめます。
費用の項目と、決まりがあるもの・ないもの
過払い金請求の費用は、項目ごとに決まりの有無が違います。
| 項目 | 内容 | 上限の決まり |
|---|---|---|
| 着手金 | 依頼したときに払う。事務所ごとに有無・額が違う | 日弁連は「上限規制なし」と案内。日司連の指針は、任意整理の報酬(着手時の報酬を含む合計)に債権者1人あたり5万円(税別)の上限を置く(9条) |
| 解決報酬金 | 業者との事件が解決したこと自体で発生する弁護士の報酬 | 日弁連は1社あたり2万円以下が原則(税別) |
| 成功報酬(過払金報酬金) | 回収した金額に率をかける | 訴訟によらない20%以下、訴訟による25%以下(税別) |
| 実費 | 郵送代・収入印紙・交通費など | 金額の定めはなく、内訳の説明が必要 |
| 減額報酬 | 借金が減ったときの報酬。過払い金の回収額にはかけない | 日弁連は減額分の10%以下、日司連は減額・免れた元本の10%以下 |
日弁連は、通常の任意整理で想定される事務について、追加の着手金や個別の手数料を原則として受け取れないとも案内しています。同じ事務を別名目で請求されていないか、見積書で確かめる材料になります。日弁連のこの規律は、消費者や小規模事業者の任意整理事件(過払い金請求を含む)を中心に、2011年4月1日以降に弁護士が新規に受任した事件へ適用されるものです。破産や個人再生の報酬は、この上限の対象ではありません。
日司連の指針は、ほかの借金があると知りながら過払い金の返還請求だけを受任することも禁じています(7条2項)。日弁連の規程にも同じ趣旨の定めがあり、過払い金だけを取り戻して借金は整理しないという頼み方は、原則として断られます。
日司連の指針は、回収した金額のみを経済的利益として、訴訟によらないなら20%、訴訟によるなら25%を超えてはならないと定めています(11条)。さらに、依頼者と直接面談する前に、過払い金の発生や債務の減額を期待させる表示をしてはならないとも定めています(19条2項)。「あなたも過払い金が出ます」と書いた広告を見たときは、この線を思い出してください。
ここで言う上限は、法律ではなく、弁護士会・司法書士会という団体が自分の会員に課している決まりです。上限は「定額」ではなく、上限以下で事務所が自由に決められます。
戻った額から差し引く計算|筆者の例
成功報酬は、回収額にかける形なので、戻った額から差し引くと手元に残る額が分かります。次は、上限いっぱいの率で、消費税10%として計算した筆者の例です。着手金や実費は含めていません。
| 回収額 | 率 | 報酬(税別) | 報酬(税込) | 手元に残る額 |
|---|---|---|---|---|
| 30万円(訴訟によらない) | 20% | 6万円 | 6.6万円 | 23.4万円 |
| 80万円(訴訟によらない) | 20% | 16万円 | 17.6万円 | 62.4万円 |
| 80万円(訴訟による) | 25% | 20万円 | 22万円 | 58万円 |
80万円の例で、訴訟になった場合の差は、手元に残る額で4.4万円です(62.4万円と58万円)。訴訟では回収額そのものが違ってくることもあるため、率だけで比べるのは適切ではありません。訴訟と和解の違いは過払い金請求で裁判になるのはどんなとき?期間と和解との違いで扱っています。
この表に、着手金(ある場合)と実費を足したものが、実際に払う総額です。弁護士に頼む場合は、解決報酬金(1社2万円以下、税別)が加わることもあります。2万円なら税込2.2万円(筆者の計算)で、80万円の例なら手元に残る額は62.4万円から60.2万円に下がります。着手金が別にある事務所では、さらに減ります。
見積書で確かめる8つの項目
日司連の施行規則22条(司法書士法施行規則22条)は、司法書士に、受任する前に報酬額の算定方法その他の報酬の基準を依頼者へ示すことを求めています。日司連の指針の解説も、報酬表を渡すだけではなく、具体的な計算例を示して説明することを求めています。次の項目は、書面で答えてもらいましょう。
- 着手金はあるか。あるなら、いくらで、過払い金が出なかったときも戻らないのか。
- 成功報酬の率は何%か。訴訟になった場合に率が上がるか。
- 金額は税込か税別か。
- 「回収額」の数え方(業者から実際に入った額か、他社の借金に充てた額も含むか)。
- 実費の内訳(取引履歴の取り寄せ、郵送、印紙、交通費)と、いくらを見込むか。
- 過払い金が出なかったとき、一部しか戻らなかったときの費用の扱い。
- 途中で依頼をやめたときの精算(受け取った費用を返す範囲)。
- 戻った過払い金を、事務所経由で受け取るか、本人の口座に直接入るか。
見積もりを頼むときの言い方の例:「A社とB社で過払い金があった場合に、成功報酬を何%で、いくら払うことになるか、回収額が50万円のときと100万円のときの計算を書面にしてもらえますか。着手金と実費も含めた総額が知りたいです。」
見積書そのものの読み方は債務整理の料金の見積書で確かめる項目|総額・追加費用・返金の条件に、債務整理全体の費用は債務整理の費用はいくら?手続き別の内訳と見積もりの確かめ方にあります。
自分で請求したとき・依頼したときの費用の違い
自分で請求するなら、事務所への報酬はかかりません。かかるのは、取引履歴の取り寄せの郵送代や、訴訟になったときの裁判所の手数料などの実費です。裁判所の手数料は、訴額が60万円なら8,500円(書面での訴え提起、2026年5月21日以後の新法適用事件)、100万円なら12,500円です(裁判所の手数料額早見表)。自分で進める場合の流れと負担は過払い金請求の手続きを自分でする流れ|交渉と裁判の負担と注意点にまとめています。
依頼するなら、事務所を選ぶ前に、上の8項目を2〜3か所で比べると、総額の違いが見えてきます。選ぶときの観点は過払い金請求の事務所の選び方|法律事務所を比べる前の確認点で扱っています。取引履歴の取り寄せだけを先に自分で済ませておけば、依頼先で見てもらう材料が早くそろいます。手順は過払い金の調査に必要な取引履歴の取り寄せ方|業者への請求手順にあります。
よくある質問
Q. 過払い金が1円も出なかったときも、お金を払うのですか?
成功報酬は回収した金額にかける形なので、回収がなければ成功報酬は発生しない仕組みです。ただし、着手金や取引履歴の取り寄せ・郵送などの実費を別に定めている事務所もあります。出なかった場合の費用の扱いを、依頼する前に見積書や契約書に書いてもらい、読んで確かめてください。
Q. 「費用は戻った額から差し引く」と言われました。手元にいくら残りますか?
回収額から、成功報酬(税込)と実費、着手金を支払っていなければその分を引いた額が、手元に残る額の目安です。具体的な計算は、本文の表で例を示しています。自分のケースは、依頼先から精算の見込みを書面でもらって確かめます。
Q. 弁護士と司法書士で、報酬の上限は同じですか?
過払い金の成功報酬は、弁護士会も司法書士会も、回収額の20%(訴訟なら25%)が上限と定めており、いずれも消費税別です。この上限は法律ではなく、それぞれの団体が会員に課す決まりです。別に、司法書士が代理できるのは訴訟の目的の価額が140万円以下の請求までという線があり、こちらは法律(司法書士法・裁判所法)で定められています。
出典・参考にした公的な情報
- 債務整理の弁護士報酬のルールについて(日本弁護士連合会)
- 債務整理事件の処理に関する指針(令和7年)(日本司法書士会連合会)
- 債務整理事件の処理に関する指針の解説(令和7年)(日本司法書士会連合会)
- 司法書士法施行規則(第22条)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 司法書士法(第3条)・裁判所法(第33条)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 手数料額早見表(2026年5月21日以後の新法適用事件)(裁判所)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。