過払い金請求の事務所の選び方|法律事務所を比べる前の確認点
この記事のもくじ
過払い金の請求をどこに頼むか迷うとき、先に見るのは「評判の順位」ではなく、資格と担当者、過払い金だけを扱う偏りがないか、費用の書面、時効の説明の4つです。この記事では、事務所を比べる前に確かめる点を8項目のチェック表にまとめ、それぞれの根拠と聞き方を示します。事務所名の順位や「おすすめ」は付けません。
比べる前に確認する8項目の早見表
過払い金の請求を依頼する先は、弁護士(弁護士法人)か司法書士(司法書士法人)です。どちらも、日本弁護士連合会(日弁連)や日本司法書士会連合会(日司連)が、受任の仕方や費用、広告の決まりを定めています。その決まりを、依頼者の側から確かめる項目に直したのが次の表です。
| 番号 | 確認する点 | 見る場所・聞き方 |
|---|---|---|
| 1 | 弁護士・司法書士として登録されているか | 弁護士検索、司法書士検索で氏名を確かめる |
| 2 | 1社あたりの過払い金が、依頼先の代理できる範囲か | 司法書士は1社140万円以下。取引履歴の計算後に聞く |
| 3 | 受任する本人が面談するか | 面談する人の氏名、面談の方法を聞く |
| 4 | 過払い金だけでなく、ほかの借金も聞かれるか | 他の借入れの有無の質問があるか |
| 5 | 報酬の種類・金額・算定方法が書面で出るか | 契約前に書面を受け取る |
| 6 | 報酬が上限の範囲に収まっているか | 過払金報酬金の上限は訴訟か否かで違う(率は費用の記事で確認) |
| 7 | 時効と見通しを、根拠つきで説明するか | 期限をどの日付から数えるか聞く |
| 8 | 回収後の報告と精算書が出るか | 受け取り方と精算書の出し方を聞く |
以下、番号の順に見ていきます。チェックを入れながら読んでください。
資格・代理できる範囲・面談する人を確かめる(1〜3)
- 弁護士なら、日弁連の弁護士検索で氏名を調べた(現在登録されているすべての弁護士の基本情報を見られる)
- 司法書士なら、日司連の司法書士検索で氏名と事務所を調べ、「簡裁代理権」の有無も見た
- 担当者の氏名と、面談の方法(来所・ビデオ通話など)を聞いた
資格は、広告や名前の印象ではなく検索で確かめます。司法書士検索は、氏名・事務所所在地・事務所電話番号・簡裁代理権の有無を表示します。掲載は推薦ではなく、検索に出ないから無資格と決まるわけでもありません(情報の更新は毎月2回です)。出てこないときは、所属の司法書士会に問い合わせてください。
代理できる範囲は、司法書士で特に重要です。司法書士法は、裁判外の和解の代理を、紛争の目的の価額が裁判所法33条1項1号の額(140万円)を超えないものに限っています(3条1項7号)。最高裁は2016年(平成28年)6月27日の判決で、この140万円は、借金の総額や減額される額ではなく、個別の債権ごとの価額で見るとしました。過払い金の請求も、まず1社ごとに考えるのが基本です。1社で140万円を超える過払い金が見込まれるなら、その会社との交渉は司法書士が代理できる範囲を超えるおそれがあり、弁護士が選択肢になります。「1社あたり140万円前後」に見えるときは、依頼の前に代理できる範囲かを司法書士に聞いてください。弁護士と司法書士の線引きは債務整理は弁護士と司法書士どっち?140万円の線と選ぶときの確認点で説明しています。
面談は、弁護士の規程では、受任する予定の弁護士自らが債務者と面談して、債務の内容や生活の状況を聴き取ることが原則です。面談が難しい特段の事情があるときは、電話やメールなどで把握したうえで受任でき、事情がなくなったあと速やかに面談することになります(規程3条)。司法書士の指針も、受任する司法書士が自ら直接面談することを原則とし、ウェブ面談は、依頼者に合理的な理由があって本人が希望した場合の例外としています(4条)。面談なしで契約に進む場合は、その理由と、誰が受任するのかを聞いてください。オンライン面談の考え方は債務整理はオンライン面談でできる?面談が求められる理由と確かめ方にあります。
過払い金だけを処理する偏りがないかを確かめる(4)
- 過払い金のほかに、借入れや返済中のカードがないかを聞かれた
- ほかの借金があるとき、それをどう整理するかの説明があった
- 過払い金だけを請求する場合の不利益について、説明があった
過払い金の請求は、返済中の借金が残っている人にとって、借金全体の整理と切り離せません。日弁連の規程は、弁護士が他の債務のあることを知りながら、その債務の整理を受けずに過払い金の請求だけを受けてはならないと定めています。ただし、不利益を説明しても依頼者が整理を望まず、その理由が不当な目的に基づくものではないときは例外です(規程8条2項)。司法書士の指針も、他の債務を聞かずに、または他の債務があると知りながら、過払い金の請求だけを受けることを禁じています(7条2項)。
日弁連は、過払い金だけを取り扱う旨を示して、他の債務を処理せずに過払い金の返還だけを行うことに不利益がないかのように誤解させる広告も禁じています(規程18条3項)。「過払い金専門」とうたう事務所を避けるべきだという意味ではありません。聞かれるべきことを聞かれず、過払い金の話だけが進むときが注意点です。
日司連の解説は、偏った事件処理の例として、過払い金だけを処理する、訴訟をせずに任意の交渉で和解して回収額が低額になる、といった場合を挙げています。過払い金のほかに借金が残っている人は、先に過払い金請求のデメリット|返済中の請求と信用情報への影響で、返済中に請求するときの影響を確かめておくと、説明の抜けに気づきやすくなります。
費用の書面と報酬の上限を確かめる(5・6)
- 報酬の種類・金額・算定方法・実費が、契約の前に書面で出た
- 「着手金0円」の場合、ほかの名目の費用がないかを聞いた
- 過払金報酬金が、上限の範囲か見た
- 任意整理の着手金を払ったあとで、過払い金の請求のために別の着手金を求められていない
- 途中でやめたときの精算の条件を聞いた
弁護士は、費用について依頼者に誤解が生じないよう説明することが求められ(規程5条)、司法書士は、依頼を受ける前に報酬額の算定方法その他の基準を示さなければなりません(司法書士法施行規則22条)。日司連の解説は、報酬表を示すだけでなく、計算例を示して説明するよう求めています。
過払い金の成功報酬には、弁護士会・司法書士会が定める割合の上限があります。率と計算の例は過払い金請求の費用|成功報酬や手数料の見方と見積もりの確認で扱います。
着手金や実費、事案によっては解決報酬金などが別にかかることがあります。弁護士の着手金には上限の決まりがなく、日弁連は、着手金を決めるときの考慮要素を定めるにとどめています。ただし、任意整理の着手金を受け取っている弁護士は、その債権者への過払い金の請求のために別の着手金を請求できません(訴訟の提起などの例外あり。規程10条3項)。「上限の範囲に収まっているか」とあわせて、「総額がいくらになるか」を書面で出してもらうことが大事です。「着手金0円」とうたいながら、手数料や管理料などの名目で別に金銭を受け取る広告は、日弁連の指針が不正確な表現の例としています。書面の見方は債務整理の料金の見積書で確かめる項目|総額・追加費用・返金の条件で、過払い金の費用の考え方は過払い金請求の費用|成功報酬や手数料の見方と見積もりの確認で扱います。
時効の説明と、回収後の報告・精算を確かめる(7・8)
- 時効の期限を、どの日付から数えるかを説明された
- 回収額を「全額戻る」のように言い切られなかった
- 交渉で和解する場合と、訴訟にする場合の違いを説明された
- 回収後の受け取り方と、精算書の出し方を聞いた
過払い金の返還を求める権利にも時効があり、完済から時間がたっているほど、期限が近づきます。事務所は、取引履歴の日付をもとに、期限をいつまでと数えるかを説明できるはずです。期間の考え方は過払い金の時効はいつまで?完済日から数える期限と確かめ方にまとめています。時効が過ぎていても戻るかのような説明や、金額を最初から言い切る説明には、根拠を聞いてください。日司連の指針は、司法書士が面談の前に、過払い金の発生や債務の減額を期待させる表示をすることを禁じています(19条2項)。
交渉と訴訟の違いも確かめます。日司連の解説は、訴訟をせずに和解すると回収額に大きな差が出ることを指摘し、特段の事情がなければ提訴することになるとしています。訴訟になる場合の期間や費用の増え方は過払い金請求で裁判になるのはどんなとき?期間と和解との違いで説明しています。
回収したあとの扱いも、依頼の前に聞いておく項目です。弁護士は、過払い金の返還を受けたら依頼者へ速やかに報告し、清算の方法を協議して、結果を書面で報告します(規程17条4項)。司法書士の指針にも、事件処理の報告と、終了後の精算を定めた条文があります(16条・17条)。入金までの期間と精算書の見方は過払い金の返金はいつ?戻るまでの期間と受け取り方・精算書の確認にあります。
口コミ・評判・無料相談の使い方と、問い合わせの順番
「過払い金 口コミ」「過払い金 評判」「過払い金 おすすめ」で出てくるページは、広告のことがあります。消費者庁の運用基準は、事業者がアフィリエイトプログラムで他人に表示させる場合も事業者の表示(広告)になるとして、比較サイトやブログをその例に挙げています。広告であることが明瞭か、運営者が誰かを見て、順位や星の数は、判断材料の一つにとどめてください。特定の事務所の名前を入れて調べたときも同じで、公式のページと上の8項目で確かめます。口コミの読み方は債務整理の口コミはどこまで信じる?評判を確かめるときの見方にあります。
「無料相談」は、窓口によって対象や時間が違います。弁護士会の法律相談センター、司法書士総合相談センター(原則有料ですが、無料のセンターも多くあります)、法テラスなど、公的な入口もあります。番号と受付時間は借金の相談窓口はどこ?公的な窓口の番号・受付時間と選び方に、法テラスの使い方は借金が返せないとき法テラスでできること|無料相談と費用立替の流れにあります。
問い合わせの順番は、次のとおりです。
- 借り始めの時期、最後の取引日、借入先を書き出す。
- 弁護士検索・司法書士検索で、名前と登録を確かめる。
- 8項目のうち、書面で確かめられるものを先にそろえる。
- 面談で、費用の総額と時効の数え方を聞いてから決める。
聞くときの文例です。
文例:「過払い金の調査を相談したいです。借り始めは2007年ごろで、完済は2014年です。調査だけで終わった場合の費用と、依頼した場合の報酬の種類・算定方法を、契約の前に書面でいただけますか。担当の先生の面談はありますか。」
弁護士・司法書士の事務所の窓口を探すなら、上の8項目を満たすかを見ながら比べる、という選び方があります。
知名度や広告の量ではなく、8項目の確認点で選べば、納得したうえで依頼できます。広告の側から確かめたい人は過払い金のCMや広告を見たら|宣伝の言葉を確かめる3つの点を、請求の入口から整理したい人は過払い金請求の流れと時効|昔の借金で確かめる順番と戻る条件を読んでください。
よくある質問
Q. 過払い金は、弁護士と司法書士のどちらに頼めばよいですか?
司法書士が交渉を代理できるのは、1社ごとの請求額が140万円以下の範囲です。1社でそれを超えそうなら、弁護士が選択肢になります。自分の過払い金がどちらの範囲か分からないときは、取引履歴の計算結果が出てから、依頼先に代理できる範囲かを聞いてください。
Q. 「無料相談」なら、依頼しなくても費用はかかりませんか?
相談の時間や範囲だけが無料で、依頼したあとの報酬や実費は別、という形が多くあります。無料なのが「相談」なのか「調査(取引履歴の取り寄せ)」なのか、依頼を断ったときに費用が発生しないかを、先に聞いて書面で確かめてください。
Q. 事務所の名前で調べると、広告ばかり出てきます。どう見分ければよいですか?
検索結果の上のほうに「広告」と表示されて出るものは、広告費を払った事務所や比較サイトのものです。名前を指定して調べるときも、この記事の確認点は同じです。公式のページで氏名・所属・費用の書面の有無を見て、弁護士検索・司法書士検索で登録を確かめます。
出典・参考にした公的な情報
- 債務整理事件処理の規律を定める規程(会規第93号)(日本弁護士連合会)
- 債務整理事件処理の規律を定める規程施行規則(規則第145号)(日本弁護士連合会)
- 債務整理の弁護士報酬のルールについて(日本弁護士連合会)
- 弁護士等の業務広告に関する規程(会規第44号)(日本弁護士連合会)
- 弁護士検索(日本弁護士連合会)
- 債務整理事件の処理に関する指針(令和7年)(日本司法書士会連合会)
- 債務整理事件の処理に関する指針の解説(令和7年4月)(日本司法書士会連合会)
- 司法書士検索(日本司法書士会連合会)
- 司法書士総合相談センター(日本司法書士会連合会)
- 司法書士法(第3条)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 司法書士法施行規則(第22条)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 裁判所法(第33条)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 損害賠償請求事件(最高裁判所 平成28年6月27日 第一小法廷判決)(最高裁判所)
- ステルスマーケティングに関する運用基準(消費者庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。