お金を借りるなら公的機関から?生活福祉資金の対象と窓口
お金を借りるなら公的機関から、と考えたとき、生活費を借りられる公的な制度の中心は、都道府県の社会福祉協議会が行う「生活福祉資金貸付制度」で、窓口は役所の貸付係ではなく社会福祉協議会です。申込みと相談は市区町村の社会福祉協議会で、対象は市町村民税が非課税程度の低所得世帯・障害者世帯・高齢者世帯です。緊急小口資金は10万円以内で無利子、保証人不要など、民間の借入より条件はよい一方、審査と返済の見込みの判断があり、すぐに借りられるとは限りません。子どもの学費なら、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」もあります。
お金を借りられる公的機関と制度の一覧
「国から借りる」「役所で借りる」と検索されることの多い制度を、貸付と給付に分けて整理します。給付は返す必要のないお金で、条件に合えば貸付より先に考えたい制度です。
| 制度 | 貸付か給付か | 運営・窓口 | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| 生活福祉資金貸付制度 | 貸付 | 都道府県社会福祉協議会(申込みは市区町村社会福祉協議会) | 低所得世帯・障害者世帯・高齢者世帯 |
| 国の教育ローン(教育一般貸付) | 貸付 | 日本政策金融公庫 | 学校に通う子どもの教育費が必要な世帯 |
| 住居確保給付金 | 給付 | 自立相談支援機関 | 離職などで家賃が払えなくなった人 |
| 生活保護 | 給付 | 福祉事務所の生活保護担当 | 収入や資産で最低限の生活が送れない人 |
住居確保給付金の要件と支給期間は生活費が足りないときの公的な相談先、生活保護と借金の関係は借金があっても生活保護は受けられるかで扱っています。ここからは、貸付の中心である生活福祉資金を詳しく見ます。
生活福祉資金の対象と資金の種類
厚生労働省の案内では、生活福祉資金の対象世帯は次の3つです。
- 低所得者世帯:必要な資金を他から借りることが難しい世帯(市町村民税非課税程度)
- 障害者世帯:身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた人などがいる世帯
- 高齢者世帯:65歳以上の高齢者がいる世帯
資金は4種類あり、目的ごとに限度額と返済の条件が決まっています。厚生労働省の「貸付条件等の一覧」から、生活費に関わるものを抜き出します。
| 資金 | 用途 | 貸付限度額 | 据置期間 | 償還期限 | 利子 |
|---|---|---|---|---|---|
| 総合支援資金(生活支援費) | 生活再建までの生活費 | 二人以上 月20万円以内、単身 月15万円以内(原則3か月、最長12か月) | 最終貸付日から6か月以内 | 据置期間経過後10年以内 | 保証人ありは無利子、なしは年1.5% |
| 総合支援資金(住宅入居費) | 敷金・礼金など賃貸契約に要る費用 | 40万円以内 | 貸付日(生活支援費とあわせて貸すときは生活支援費の最終貸付日)から6か月以内 | 据置期間経過後10年以内 | 保証人ありは無利子、なしは年1.5% |
| 総合支援資金(一時生活再建費) | 技能習得、滞納している公共料金等の立替、債務整理に必要な経費など | 60万円以内 | 住宅入居費と同じ | 据置期間経過後10年以内 | 保証人ありは無利子、なしは年1.5% |
| 福祉資金(福祉費) | 療養、介護サービス、冠婚葬祭、住居の移転、就職の支度など13項目 | 580万円以内(用途ごとに目安あり) | 貸付日から6か月以内 | 据置期間経過後20年以内 | 保証人ありは無利子、なしは年1.5% |
| 福祉資金(緊急小口資金) | 緊急かつ一時的に生計の維持が難しくなったときの少額の費用 | 10万円以内 | 貸付日から2か月以内 | 据置期間経過後12か月以内 | 無利子(保証人不要) |
| 教育支援資金(教育支援費) | 高校・大学・高専・短大に通う費用 | 高校 月3.5万円以内、高専・短大 月6万円以内、大学 月6.5万円以内 | 卒業後6か月以内 | 据置期間経過後20年以内 | 無利子(世帯内の連帯借受人が必要) |
「据置期間」は、借りてから返し始めるまでの猶予の期間です。ほかに、居住用の不動産を担保に高齢者世帯が生活資金を借りる不動産担保型生活資金があります。金額や期間は、貸付の決定では返済の見込みも考えられるため、申込みの前に社会福祉協議会で自分の場合の条件を聞いてください。
なお、新型コロナウイルス感染症に伴う緊急小口資金等の特例貸付は、令和4年9月末で申請の受付を終えています。上の表は特例ではない本来の制度の条件です。
民間の借入との違いと、時間がかかる理由
公的な貸付と、カードローンなどの民間の借入を比べると、違いは金利だけではありません。
| 比べる点 | 生活福祉資金 | 民間のカードローン・キャッシング |
|---|---|---|
| 金利 | 無利子または年1.5%(資金と保証人の有無による) | 利息制限法の上限は元本10万円未満 年20%、10万円以上100万円未満 年18%、100万円以上 年15% |
| 対象 | 低所得世帯・障害者世帯・高齢者世帯 | 貸す側の審査に通った人 |
| 使い道 | 資金ごとに決まっている | 原則として自由 |
| 決め方 | 貸付条件に加え、返済できる見込みも考えて決定 | 返済能力の調査と審査 |
| 相談・支援 | 社会福祉協議会や自立相談支援機関の相談とあわせて進む | 借入の手続きだけ |
| お金が届くまで | 面談・書類の確認・決定を経るので日数がかかる | 審査に通れば早いことが多い |
公的な貸付に時間がかかるのは、お金を貸して終わりではなく、借りた後に生活を立て直せるかを一緒に確かめる仕組みだからです。厚生労働省の案内でも、貸付の決定では貸付条件に加えて「償還可能性の有無」も考えるとされています。逆に言えば、返す見込みが立たないまま借りても、返済がもう一つの負担になるだけです。民間の金利の上限の仕組みは借金の金利の上限と利息制限法の早見表で詳しく説明しています。
申し込みの流れと、借りる前に考えること
生活福祉資金を使いたいときの流れは次のとおりです。
- 住んでいる市区町村の社会福祉協議会に電話し、困っている事情と必要な額を伝える(連絡先が分からなければ都道府県社会福祉協議会に聞く)
- 面談で、収入・支出・借金・滞納の状況を話し、使える資金と必要な書類を確かめる
- 書類をそろえて申し込む
- 貸付の決定を受け、契約の手続きをする
- 据置期間のあと、決められた期間で返していく
相談のときに伝える内容の例です。
文例:「先月から収入が減って、今月の家賃と光熱費が払えません。生活福祉資金の緊急小口資金が使えるか相談したいです。家族は二人で、ほかにカードの借金が少しあります。」
借りる前に、次の3つを自分に問いかけてください。
- 返す財源はあるか:収入が戻る見込みがあるか、毎月いくらなら返せるか
- 給付で足りないか:住居確保給付金や生活保護など、返さなくてよい制度に当てはまらないか
- 借金の整理が先ではないか:返済のために借りるなら、借りても穴は埋まらない
返さなくてよい制度と相談先は、まず自立相談支援機関で一緒に確かめられます。子どもの教育費が目的なら、日本政策金融公庫の国の教育ローンも選択肢です。公庫のページでは、融資限度額は350万円(一定の要件に当てはまれば子ども1人につき450万円)、固定金利で年4.05%(令和8年7月時点)と案内され、日本学生支援機構の奨学金と併用できるとされています。
公的な貸付も含め、借りる前に確かめることと、避けたい借り方は次の記事お金を借りる前のチェックリストにまとめています。
よくある質問
Q. 役所に行けば、その日のうちにお金を借りられますか?
生活福祉資金は、市区町村の社会福祉協議会で相談し、書類を出して貸付の決定を受ける流れで、貸付条件に加えて返済できる見込みも考えて決められます。その日のうちに借りられる前提で予定を組まず、今日の食費や住まいに困っているなら、自立相談支援機関や福祉事務所にその状況をそのまま伝えてください。
Q. 借金があると生活福祉資金は借りられませんか?
借金があることだけで対象外になるとは定められていませんが、貸付の決定では返済できる見込みも考えられます。総合支援資金の一時生活再建費の用途には「債務整理に必要な経費」も含まれているので、借金の整理と合わせて社会福祉協議会や自立相談支援機関に相談してください。
Q. 国の教育ローンと奨学金はどう違いますか?
国の教育ローンは日本政策金融公庫が保護者などに貸す融資で、固定金利の利息がかかります。日本学生支援機構の奨学金は学生本人に貸与・給付するもので、公庫のページでも両方を併用できると案内されています。
出典・参考にした公的な情報
- 生活福祉資金貸付制度(厚生労働省)
- 生活福祉資金 貸付条件等の一覧(厚生労働省)
- 国の教育ローン(教育一般貸付)(日本政策金融公庫)
- 生活困窮者自立支援制度(厚生労働省)
- 利息制限法 第1条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。