債務整理の全体と選び方 / チェックリスト

借金減額の詐欺を見分けるチェックリスト|資格と事務所の確かめ方

この記事のもくじ
  1. まず確かめる:債務整理を引き受けられるのは誰か
  2. 資格と事務所の確かめ方(5分でできる)
  3. 危ないサインのチェック表
  4. 契約の前に確かめる順番と、聞き方の文例
  5. 払ってしまった・連絡が取れなくなったとき

借金減額を持ちかけられたとき、詐欺かどうかを見分ける最初の問いは「この会社は、債務整理を引き受けてよい資格のある弁護士・司法書士(またはその法人)なのか」です。貸金業者との減額や分割の交渉を報酬をもらって引き受けられるのは、弁護士と、一定の範囲の認定司法書士に限られます。資格を確かめる方法は2つあり、弁護士は日本弁護士連合会の弁護士検索、司法書士は日本司法書士会連合会の司法書士検索です。このあと、危ないサインを表にして、契約の前に確かめる順番を示します。

まず確かめる:債務整理を引き受けられるのは誰か

借金の減額や分割を貸金業者と交渉するのは、法律事務にあたります。弁護士法72条は、弁護士や弁護士法人でない人が、報酬を得る目的で、他人の法律事件について代理や和解などの法律事務を取り扱ったり、その周旋をしたりすることを業とするのを禁じています。違反した場合の罰則は、2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です(同法77条)。

例外が、法律に別の定めがある場合です。司法書士法は、法務大臣の認定を受けた司法書士(認定司法書士)が、簡易裁判所の手続きの代理と、紛争の目的の価額が140万円以下の民事紛争の裁判外の和解の代理をすることを認めています(3条1項6号・7号、2項)。この140万円は借入先1社ごとの債権の額で見ます。自己破産や個人再生の申立書は、司法書士は裁判所に出す書類の作成として関われますが、地方裁判所の手続きの代理人は弁護士です。範囲の詳しい説明は債務整理は弁護士と司法書士どっち?140万円の線と選ぶときの確認点にあります。

資格のない会社が「借金減額サポート」「返済代行」などの名前で、貸金業者との交渉を引き受ける形に見えたら、弁護士法72条の問題にあたるおそれがあります。ここで個々の会社を違法と決めることはできませんが、依頼する側にとっては、交渉が成り立たない、督促が止まらない、費用だけが取られるといった実害につながります。

資格と事務所の確かめ方(5分でできる)

  1. 弁護士の場合:名乗っている弁護士の氏名を、日本弁護士連合会の「弁護士検索」で調べます。現在登録されているすべての弁護士の基本情報を見られます。同じページの「弁護士情報提供サービス(ひまわりサーチ)」は、取扱業務から探すための任意登録の仕組みで、載っている内容は各弁護士の自己申告です。登録の確認にはひまわりサーチではなく、日弁連の弁護士検索を使い、ひまわりサーチに載っていないことだけで判断しないようにします。
  2. 司法書士の場合:日本司法書士会連合会の司法書士検索で、氏名・事務所の所在地・電話番号とあわせて、簡裁代理権の有無を見ます。債務整理の交渉の代理には、この簡裁代理権(認定)が要ります。検索は毎月2回更新されるので、新しく開業した場合などは反映が遅れます。載っていないときは、所属の司法書士会に問い合わせます。
  3. 検索で見つけた電話番号に、自分からかけて確かめる:広告やメッセージに書かれた番号ではなく、弁護士会や司法書士会で確かめた番号を使います。弁護士や司法書士の名前をかたる例があるためです。
  4. 運営している主体を見る:「〇〇法律事務所」「弁護士法人〇〇」「司法書士法人〇〇」なのか、株式会社などの名前だけなのかを、会社概要や契約書で見ます。「弁護士監修」「提携弁護士あり」は、運営する主体が弁護士であることとは別の話です。弁護士でない者が、利益を得る目的で法律相談を取り扱う旨を表示することは、弁護士法74条2項で禁じられています。
早見表:依頼先の種類と確かめ方
依頼先 できること 資格の確かめ先
弁護士・弁護士法人 任意整理・個人再生・自己破産の代理 日本弁護士連合会の弁護士検索
認定司法書士・司法書士法人 1社140万円以下の借入の任意整理の代理。破産・再生は書類作成 日本司法書士会連合会の司法書士検索(簡裁代理権の有無)
行政書士、一般の会社、NPO、コンサルタント 債務整理の交渉や代理はできない 債務整理は依頼の対象にしない

危ないサインのチェック表

次の表で、当てはまる行が2つ以上あれば、契約の前に資格者本人との面談を求めます。1つでも「契約書も料金の書面もない」「個人名義の口座を指定される」があれば、お金を払わずに止めます。

見えるサイン なぜ気をつけるのか 確かめ方
「国が認めた借金減額制度」と書いてある 日本司法書士会連合会は、司法書士が使ってはならない表示の例に「国が認めた救済制度」を挙げています。国の制度としての借金減額はありません 借金減額は怪しい?広告がうざいほど出る理由と確かめ方で仕組みを確認
入力しただけで「減額できます」「〇〇万円減額」と結果が出る 面談の前に債務の減額を期待させる表示は、司法書士の指針が禁じています(19条2項) 方針と見込みは面談で聞く、と決めておく
資格者と一度も話さずに契約まで進む 弁護士は受任予定の弁護士が自ら面談して聴き取るのが原則です。司法書士も直接面談が原則で、ウェブ面談は例外です 担当の弁護士・司法書士の氏名を聞き、本人と話す
契約書と費用の書面が出てこない 司法書士には報酬の基準を示す義務があり、弁護士も費用の説明と委任契約書の記載が求められます 総額、内訳、途中でやめたときの返金を書面で確認
個人名義の口座、現金の手渡し、暗号資産で払わせる 事務所の口座かどうかが確かめられない 事務所名義の口座か、領収書が出るかを確認
受任通知を出すと言わず、返済を自分に預けさせる 返済をまとめて預かるだけで、貸金業者との交渉が始まらないことがあります 債務整理の受任通知とは?督促が止まる仕組みと止まらない支払いで流れを確認
「ブラックリストを消せる」と言う 登録内容が事実のときは、訂正も削除もできないと信用情報機関が説明しています 信用情報は本人が機関に開示請求して見る
「借金の返済を代行します」「肩代わりします」 新しく貸すなら貸金業の登録が要ります。返済の預かりだけなら、受任通知が出ません 金融庁の登録貸金業者情報検索サービスで登録を確認
会員証や登録を見せるよう頼むと断られる、事務所の実態が見えない 日本司法書士会連合会は、会員証の提示を拒むこと、メールや郵便だけで会ったことがないことを注意点に挙げています 住所を地図で確認し、事務所に出向く

「借金返済代行」という言葉は、2通りの意味で使われます。弁護士・司法書士が和解のあとの返済を送金する「支払代行」は、依頼者が選べるものとされ、手数料に上限もあります(司法書士の指針では月1,000円)。それとは別に、資格のない会社が返済金を預かって貸金業者に渡す形は、受任通知が出ないので督促が止まりません。どちらの話なのかを、契約書の言葉で確認します。

契約の前に確かめる順番と、聞き方の文例

  1. 担当する弁護士または司法書士の氏名と、所属の弁護士会・司法書士会を聞く。
  2. 上の「資格と事務所の確かめ方」で、自分で検索して一致を確かめる。
  3. 面談(来所またはビデオ通話)の日時を決め、資格者本人が出るかを確かめる。
  4. 契約書と、報酬の算定方法・総額の見積もりを書面でもらい、持ち帰って読む。
  5. 払うお金の宛先が、事務所名義の口座であることを確かめる。

文例:「契約の前に、担当される先生のお名前と所属の弁護士会(司法書士会)を教えてください。こちらでも登録を確認します。費用は総額と内訳が分かる書面と、委任契約書を先にいただけますか。持ち帰って検討します。」

この問いに丁寧に答えられない相手は、その時点で依頼先から外してよいです。相談の流れ全体は借金の減額相談の流れに、事務所を比べるときの項目は債務整理の事務所の選び方にまとめています。

払ってしまった・連絡が取れなくなったとき

すでに払ってしまったときは、動く順番を決めておくと落ち着いて対応できます。

  • 契約書、領収書、振込明細、LINEやメールのやり取りを消さずに残す。
  • 支払いを重ねない。追加の「手数料」を求められても、いったん止める。
  • 消費者ホットライン(188)から、最寄りの消費生活センターに相談する。
  • 弁護士・司法書士を名乗られていたなら、その名前が検索で見つかった所属先に連絡する。
  • 督促や脅しの連絡が来る、家や職場にまで来る場合は、警察への相談も含めて、借金の相談窓口はどこ?公的な窓口の番号・受付時間と選び方で窓口を選ぶ。

借金そのものの相談を先に進めたい場合も、資格を確かめた弁護士・司法書士か、公的な窓口を使います。窓口の違いは借金返済の相談センターとは|消費生活センター・相談会の使い分けにあります。

よくある質問

Q. 「提携弁護士がいる」と書いてある会社なら安心ですか?

提携と書いてあるだけでは、依頼の相手が誰なのかは分かりません。契約書の相手方が弁護士・司法書士の事務所(または法人)か、費用を払う先がその事務所の口座か、担当の資格者本人と話せるかを確かめます。運営が株式会社などで、事務所の名前が契約書のどこにもない場合は、いったん契約を止めます。

Q. 相談だけでお金を払ってしまった場合はどうすればよいですか?

領収書、振込明細、契約書、やり取りの画面を残して、消費者ホットライン(188)で最寄りの消費生活センターにつなぎます。相手が弁護士や司法書士を名乗っていたなら、その所属の弁護士会・司法書士会にも事情を伝えられます。返金が受けられるかは契約の中身によるので、早めに相談します。

Q. LINEで相談を受け付ける事務所は、すべて危ないのですか?

LINEで最初の連絡を受けること自体は、危ないサインではありません。確かめるのは、依頼を受ける資格者本人と面談や通話をして、方針と費用の説明を受けてから契約するかどうかです。LINEのやり取りだけで契約と支払いまで進む場合は、立ち止まります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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