督促・取り立て・差し押さえ / 手順

支払督促の申立書の書き方|貸したお金を取り戻す手続きと費用

この記事のもくじ
  1. 支払督促を使える場合と、向かない場合
  2. 申立ての手順
  3. 手数料の計算と早見表
  4. 送達から仮執行宣言、強制執行まで
  5. 相手が異議を出した場合

貸した側が申し立てる手続きの記事です。 支払督促が届いた側の方は支払督促が届いたら|異議申立ての期限と放置した場合の流れへ進んでください。手続きの選び方は貸した借金を返さない相手を訴えるには?支払督促と少額訴訟の選び方が担当し、この記事は申立書の書き方と費用に絞ります。

貸したお金の返済を求めて支払督促を使うには、相手の住所地を管轄する簡易裁判所に、裁判所の書式で申立書を作り、手数料を納めて申し立てます。 相手が2週間以内に異議を出さなければ、仮執行宣言を申し立てて、差押えなどの強制執行に進めます。異議が出れば、通常の裁判に移ります。2026年(令和8年)5月21日から手数料の払い方が変わり、郵便切手の予納が不要になりました。この記事では、申立ての準備から強制執行の入口までを手順で説明します。

支払督促を使える場合と、向かない場合

支払督促は、金銭などの一定量の給付を求める請求について、裁判所書記官が出します(民事訴訟法382条)。審理に出向く必要がなく、書類だけで進みます。ただし、次の条件に当てはまるかを先に確かめてください。

  • 相手の住所が分かり、郵便で届く。公示送達でしか送れない相手には使えません。
  • 請求がお金の支払いである。物の引渡しや、謝罪の要求などは対象外
  • 相手が争わないと見込める。異議が出ると通常の裁判になり、時間がかかる

借用書がない、相手が金額を争っている、といったときは、最初から訴えを起こす選択肢も出てきます。支払督促と訴えの選び方は貸した借金を返さない相手を訴えるには?支払督促と少額訴訟の選び方で、3つの手続きの違いは支払督促と通常訴訟・少額訴訟の違い|届いた側の対応の差で説明しています。個人間の貸し借りで、相手と話し合う段階にある場合は、個人間の借金が返せないとき|友人や知人との話し合い方と書面が先です。

申立ての手順

流れは次の6段階です。

  1. 証拠と相手の情報をそろえる。 借用書、振込の記録、やり取りのメッセージ、相手の住所と氏名を用意します。
  2. 申立先を決める。 原則は、相手(債務者)の住所地を管轄する簡易裁判所の書記官です(民事訴訟法383条1項)。仕事上の請求は、事務所や営業所の所在地の簡易裁判所にも申し立てられます(同条2項)。オンラインシステムで申し立てる場合は、申立先に例外があります。
  3. 書式を選んで作る。 裁判所のサイトに、汎用、貸金、賃料、売買代金など、請求の種類別の書式と記載例があります。貸したお金なら「貸金」の書式を使います。支払督促の書式は、2026年5月版に更新されています。古い版を使わないでください。
  4. 請求の趣旨と原因を書く。 請求の趣旨に請求額、請求の原因に貸した日・金額・返済の約束・返済された額を書きます。何が、いつ、いくらの請求かを、第三者が読んで分かる書き方にします。
  5. 手数料を納めて申し立てる。 書面の提出か、mints(民事裁判書類電子提出システム)のオンライン申立てを選びます。
  6. 裁判所書記官が支払督促を発し、相手に送達する。 効力は、相手に送達された時に生じます(同法388条2項)。

請求の趣旨と原因の書き方の骨組みは、次のようになります(○は自分の事情に置き換えます。書式の記載例も見てください)。

文例(請求の趣旨):「債務者は、債権者に対し、金○円及びこれに対する○年○月○日から支払済みまで年○%の割合による金員を支払え。」

文例(請求の原因):「債権者は、債務者に対し、○年○月○日、金○円を、返済期日○年○月○日の約束で貸し付けた。債務者は、うち金○円を返済したが、残金○円を支払わない。」

金額や日付は、借用書と振込記録に合わせます。利息や遅延損害金の率を書くときは、契約書で約束した率か、法律の定めの範囲かを確かめてください(利息の上限は借金の金利の上限は何%?利息制限法・出資法の数字を早見表でにあります)。

手数料の計算と早見表

手数料は、請求額に応じた金額の半分に、2,700円(電子申立ては2,500円)を足した額です(民事訴訟費用等に関する法律3条2項・別表第二)。2026年5月21日以降は、郵便に使う費用がこの手数料に含まれ、郵便切手を別に納める必要がありません(同法11条1項ただし書)。納付は、原則としてペイジーによる現金納付です。次の表は、裁判所の手数料額早見表(新法適用)からの転記です。

早見表:支払督促の申立て手数料(2026年5月21日以降の申立て)
請求額 書面での申立て 電子での申立て
10万円まで 3,200円 3,000円
50万円 5,200円 5,000円
100万円 7,700円 7,500円
140万円 8,700円 8,500円

筆者の計算で、50万円の場合を確かめます。訴えを起こすときの手数料のうち、請求額に応じた部分が5,000円で、その半分の2,500円に2,700円を足すと、5,200円になります。表と一致します。

この手数料は裁判所に納める額で、申立書を司法書士に作ってもらう場合の報酬(申立書作成及び提出の費用)は含まれません。司法書士は裁判所に提出する書類の作成を業とできます(司法書士法3条1項4号)。報酬は事務所ごとの料金表で確かめ、依頼前に報酬の算定方法を示してもらいます。

請求額がこの表の間にあるときや、2026年5月20日以前に申し立てるときは、額が異なります。申立先の簡易裁判所と、裁判所の手数料額早見表で確かめてください。相手が異議を出して通常の裁判に移ると、訴え提起の手数料との差額を追加で納めます。追納の額は、裁判所の案内に従います。

送達から仮執行宣言、強制執行まで

支払督促が相手に届いたあとは、次の順に進みます。

段階 債権者がすること 期限
相手に送達される 待つ 相手に2週間の異議の期間がある
異議がなく2週間が過ぎる 仮執行宣言を申し立てる 申立てができる時から30日以内(民事訴訟法392条)。過ぎると支払督促は効力を失う
仮執行宣言付支払督促が相手に届く 強制執行を申し立てられる(確定を待たなくてよい) 相手に、さらに2週間の異議の期間がある(同法393条)。異議だけでは執行は止まらない
異議がなく2週間が過ぎる 強制執行を続ける 確定すると、確定判決と同じ効力(同法396条)

仮執行宣言が付いた支払督促は、強制執行の根拠になる「債務名義」です(民事執行法22条4号)。差押えを申し立てるときは、強制執行の申立て手数料(4,000円)に加えて、差し押さえる財産を特定する必要があります。給料なら勤務先、預金なら銀行名と支店名が要ります。強制執行は、2026年5月のオンライン化の対象外で、当面は紙の手続きと郵便切手の予納が残ります。

30日以内に仮執行宣言を申し立てそこねるのが、典型的なつまずきです。相手に送達された日と、異議の期間が終わる日を、手帳に書いておきます。

相手が異議を出した場合

相手が期限内に督促異議を出すと、支払督促は異議の限度で効力を失い、通常の裁判に移ります(民事訴訟法390条・395条)。請求額が140万円以下なら簡易裁判所、超えれば地方裁判所で審理されます。裁判では、貸した事実を証拠で示す必要があります。借用書や振込記録を、そろえておいてください。

異議が出たあとの対応、お金が戻る見込み、交渉の進め方は、事案ごとに異なります。個別の判断は、弁護士や認定司法書士に相談してください。借金の返済側として支払督促を受け取った場合の対応は、支払督促が届いたら|異議申立ての期限と放置した場合の流れにあります。貸した側が、公正証書で先に約束を残したい場合は、借金の公正証書とは?作るときの注意と強制執行との関係も参考にしてください。

よくある質問

Q. 支払督促の申立ては、自分でできますか?

できます。申立先は相手の住所地の簡易裁判所で、裁判所のサイトに申立書の書式があります。請求の中身を整理して書類にまとめる作業が中心です。請求の見込みや回収の見通しの判断は、弁護士や認定司法書士に確かめます。

Q. 相手の住所が分からないときも、支払督促は使えますか?

使えません。支払督促は、公示送達によらずに相手へ送達できる場合に限って発せられます(民事訴訟法382条)。住所が分からない相手には、別の方法を考える必要があります。

Q. 支払督促を出せば、相手からお金を取り立ててもらえますか?

支払督促が確定しても、裁判所が取り立ててくれるわけではありません。差押えなどの強制執行は、債権者が別に申し立てます。相手の勤務先や口座は、強制執行を申し立てるときに特定する必要があります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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