カードローンの返済中に本人が死亡したら|家族の支払い義務と相続
カードローンを返済中の家族が亡くなっても、借金は自動では消えません。 借金も相続の対象で、相続人が引き継ぎます。ただし、引き継ぎたくない場合は、亡くなったこと(と自分が相続人であること)を知った日から3か月以内に、家庭裁判所で相続放棄ができます。「死んだらチャラ」という仕組みはありませんが、放棄を選べば、借金を引き継がずに済みます。この記事では、誰が払うのか、3つの選び方、期限、してはいけないこと、団体信用生命保険がない借入の確かめ方を書きます。
借金は相続される:誰が払うのか
民法896条は、相続人は、相続開始の時から、亡くなった人の財産に属した一切の権利義務を承継すると定めています。財産だけでなく、カードローンなどの借金も含まれます。相続人が複数いれば、それぞれが相続分に応じて承継します(民法899条)。
家族なら全員が払うわけではありません。返済義務を負うのは相続人です。 配偶者は常に相続人で、子がいれば子が第一順位、子がいなければ直系尊属(親・祖父母)、その次が兄弟姉妹です(民法887条・889条・890条)。たとえば子が全員放棄すると、次の順位の人に相続が移ります。放棄すると、その人は初めから相続人にならなかったものとみなされます(民法939条)。
| 立場 | カードローンの返済義務 |
|---|---|
| 相続人(承認する場合) | 引き継ぐ |
| 相続人(相続放棄をした場合) | 引き継がない。次の順位の人へ移る |
| 相続人でない家族(たとえば子が生きているときの兄弟姉妹) | 本人が保証人になっていなければ負わない |
| 生前に保証人・連帯保証人になっていた人 | 保証人としての責任は別に負う(相続の放棄とは別の話) |
団体信用生命保険がないカードローンの確かめ方
住宅ローンには、団体信用生命保険(団信)がつき、死亡時にローンが保険金で払われる契約があります。カードローンは、団信がついているとは限りません。 ついていない契約だと、借入残高がそのまま相続の対象になります。
確かめる場所は次の3つです。
- 契約書面と規定。 「保険」「団体信用」「死亡」「保証」の語を探します。
- 会員ページや返済予定表。 保険料の記載がないか見ます。
- カード会社・銀行への問い合わせ。 契約者が亡くなったことを伝えると、手続きの案内を受けます。伝えるときは、請求の扱いを聞いておきます。
借入先が分からないときは、郵便物、通帳の引き落とし、スマホの借入アプリなどで探します。相続人は、貸金業者に取引の帳簿の閲覧や謄写を求められます(貸金業法19条の2、施行規則17条の2)。信用情報の開示で調べる手順は親が死亡したら借金を調べる方法|信用情報の開示と郵便物の確認にあります。
3つの選び方と3か月の期限
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、単純承認・限定承認・放棄のどれかを選びます(民法915条1項)。何もしないまま3か月が過ぎると、単純承認したものとみなされます(民法921条2号)。
| 方法 | 内容 | 手続き | 向く場面 |
|---|---|---|---|
| 単純承認 | 財産も借金もすべて引き継ぐ | 特別な手続きなし(3か月が過ぎても同じ扱い) | 財産が借金を明らかに上回る |
| 限定承認 | 相続した財産の範囲でだけ借金を返す | 相続人全員が共同で、家庭裁判所に申述(民法923条・924条) | 借金と財産のどちらが多いか分からない |
| 相続放棄 | 財産も借金も引き継がない | 家庭裁判所に申述(民法938条) | 借金が財産を上回る |
放棄と限定承認は、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に、期間内に申述します。裁判所の案内では、相続放棄の費用は収入印紙800円(申述人1人につき)と連絡用の郵便切手で、必要書類は申述書、被相続人の住民票除票または戸籍附票、申述人の戸籍謄本などです(続柄により追加)。限定承認も印紙800円と切手で、相続人全員の共同が要ります。
3か月で調べきれないときは、利害関係人が家庭裁判所に期間の伸長を請求できます(民法915条1項ただし書)。借金の調査に時間がかかるなら、期限が来る前に動きます。相続の期限は、督促の期限より先に来ることがあります。
選び方の詳しい手順は借金の相続放棄|3か月の期限と手続きの流れ・してはいけないこと、限定承認は限定承認とは?借金と財産のどちらが多いか分からないときに書いています。親が亡くなったあとの全体の流れは借金は相続される?親が亡くなった後に確かめる順番と期限にまとめています。
放棄を考えているときにしてはいけないこと
相続財産の全部または一部を処分すると、単純承認したものとみなされることがあります(民法921条1号)。放棄を選ぶ可能性があるなら、次の行為の前に、家庭裁判所・弁護士・司法書士に確かめます。
- 故人の預金を引き出して、自分の生活費や借金の返済に使う
- 故人の車や家財を売る、名義を変える
- 故人の借金を、相続人自身のお金で返す(扱いは事情で分かれる)
- 督促の電話で、「払います」と約束する
保存のための行為は処分に当たらない場合があります。何が処分か、何が保存かは個別に判断されるため、「葬儀費用を出したから放棄できない」と決めつけず、事実を整理して専門家に相談してください。
督促が来たときの対応と、放棄のあとの連絡
亡くなったことを知った業者から、相続人あてに請求の書面が届くことがあります。放棄をまだ決めていない段階では、払う約束も、支払いもしないで、期限を確かめるのが基本です。放棄が受理されたあとは、家庭裁判所の受理を示す書類の写しを添えて、請求元へ伝えます。受理後の督促の対応は相続放棄した後に督促が来たら|伝えることと証明の出し方に書いています。
相続と並んで、故人が誰かの連帯保証人だった場合の扱いは連帯保証人の立場は相続される?亡くなった親が保証人だった場合で確認できます。借金と財産のどちらが多いか見当がつかないときは、公的な窓口か弁護士・司法書士に、書類を持って相談してください。窓口の番号と受付時間は借金の公的な相談窓口と受付時間にあります。
よくある質問
Q. 亡くなった家族がカードローンを借りていたのを、あとで知りました。もう放棄できませんか?
相続放棄の期間は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月です。条文の基準は、亡くなったことと自分が相続人になったことを知った日です。3か月を過ぎてから借金が分かった場合に放棄が認められるかは、事情で変わります。あきらめず、早く家庭裁判所か弁護士・司法書士に相談してください。
Q. 相続放棄をしたら、督促は止まりますか?
放棄が家庭裁判所に受理されたら、その旨を請求してきた業者に伝え、受理を示す書類の写しを送ります。受理を確認した業者に、相続人への請求を止めてもらう流れになります。書類が届くまでは請求が続くことがあります。伝え方は、督促の送り主ごとに別記事で整理しています。
Q. 亡くなった人の借金を、自分の貯金で先に返してしまってもよいですか?
返す前に確かめてください。相続財産を処分すると、相続を承認したものとみなされることがあります(民法921条1号)。故人の借金を相続人自身のお金で返すことの扱いは、事情で解釈が分かれうるため、放棄を考えているなら、返す前に家庭裁判所・弁護士・司法書士へ確かめます。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第896条・第915条・第920条・第921条・第922条・第923条・第924条・第938条・第939条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 相続の放棄の申述(裁判所)
- 相続の限定承認の申述(裁判所)
- 貸金業法 第19条の2(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。