自己破産したら携帯・スマホはどうなる?分割中の端末と新規契約
自己破産でスマホが使えなくなるかは、「端末代の分割」と「毎月の通信料」を分けて考えると見えてきます。分割で買った端末の残りは、破産の手続の対象となる借金です。通信料は、手続の開始より前に滞納した分だけが対象で、滞納のない回線は、通信料を払い続ける限り、使い続けられるのが基本です。ただし、端末の所有権が販売側に残っている契約では、端末の引渡しを求められる場合があります。
端末代の分割は、破産の手続に入る借金
携帯の請求書には、性格の違う2つの支払いが混ざっています。
- 通信料:回線を使う毎月の料金(基本料・データ通信料・通話料など)
- 端末代の分割:端末を分割で買った代金。携帯会社や立替会社に分割で払う契約
破産法2条5項は、破産債権を、破産者に対して破産手続開始前の原因にもとづいて生じた財産上の請求権と定めています。すでに買った端末の分割代金の残りは、開始前に生じた請求権なので、破産債権として債権者一覧表に載せます。さらに破産法103条3項は、期限付きの債権でその期限が開始後に来るものは、開始の時に弁済期が来たものとみなすと定めています。つまり、分割の残りの回数ぶんが、まとめて手続の対象になります。
| 状況 | 手続での扱い | 信用情報への載り方 |
|---|---|---|
| 端末代の分割中・滞納なし | 残りの分割代金を債権者一覧表に載せる | 割賦契約として登録されている |
| 端末代の分割中・滞納あり | 残りの分割代金と滞納分を債権者一覧表に載せる | 割賦料金の延滞として登録される(JICC) |
| 通信料だけ滞納 | 開始前の滞納分を債権者一覧表に載せる | 通話料金などのみの未払いは、信用情報機関に登録されない(JICC) |
| 通信料をカード払いにしていて滞納 | カードの債務として債権者一覧表に載せる | カードの延滞として登録される場合がある(JICC・CIC) |
| 端末は払い終え、通信料も滞納なし | 手続の対象になる借金がない | 影響なし |
登録の仕方は、JICCが公表しています。携帯電話料金が未払いのとき、通話料金などのみの未払いは分割払いの対象に含まれないため登録されず、端末を分割で買っているときは割賦料金として延滞基準に当たれば登録されると説明しています。クレジットカードで払っているときは、カードの延滞として登録される場合があります。CICも、会員会社の例に携帯電話会社を挙げています。
分割中の端末は、返すことになるのか
端末が手元に残るかは、所有権がだれにあるかで分かれます。割賦販売法7条は、割賦販売された指定商品のうち、耐久性を有するものとして政令で定めるものの所有権は、賦払金の全部の支払の義務が履行される時までは、割賦販売業者に留保されたものと推定すると定めています。割賦販売法施行令の別表第一(指定商品)には「電話機」が入っています。ただし、この推定が働くのは、販売会社自身が分割で売る割賦販売の場合です。端末が7条の対象になるか、立替会社が間に入る形か、契約書に所有権の定めがあるかは、会社と契約ごとに違います。
次の3点を、契約書や購入時の案内で確かめます。
- 所有権の条項:代金を払い終えるまで販売側の所有とする定めがあるか
- 端末返却の条件:一定の期間の利用後に端末を返すと残りの支払いが軽くなる、といった購入プログラムを使っていないか
- 立替会社の有無:携帯会社の自社分割か、別の会社が立て替えて請求しているか
所有権が販売側にあり、引渡しを求められた場合は、端末を返すことになります。返しても、残りの代金が全部消えるとは限りません。返却や売却で充てたあとになお残る代金があれば、それがほかの借金と同じ破産債権として手続に加わります。端末と回線は別の契約として扱われるのが一般的ですが、端末を返したときに回線をどうするかは約款と契約の内容で決まるので、依頼先を通じて携帯会社に聞いておきます。
端末を返すかどうかは、依頼先が携帯会社と話して決めるのが普通です。自分の判断で端末だけを手放したり、分割だけ払い続けたりしないでください。
滞納のない回線は続けられるか
手続のあとも回線を使い続けたい人は、次の点に気をつけます。
- 通信料の滞納がない:回線の利用料は、その月々に生じる支払いです。払い続けていれば、回線の利用が続くのが基本です。
- 同時廃止か管財事件か:管財事件では、破産法53条が、双方がまだ履行を終えていない契約について、管財人が契約を解除するか、債務を履行して相手に履行を求めるかを選べると定めています。同時廃止なら管財人がいないので、この選択は問題になりません。回線の契約をどう扱うかは、管財人と携帯会社の約款しだいです。
- 端末代だけ払い続けない:分割の残りを手続の前に特定の債権者として払い続けると、免責の判断で問題にされることがあります。破産法252条1項3号は、特定の債権者に特別の利益を与える目的の弁済を免責不許可事由に挙げ、松江地方裁判所も、一部の債権者にだけ片寄った返済への注意を呼びかけています。
通信料の払い方も見直します。クレジットカード払いにしている人は、カードが止まる前に口座振替や払込票へ切り替えておきます。カードが止まる時期は自己破産後のクレジットカードで整理しています。携帯代を滞納して利用停止や解約の予告が届いているときは、携帯代の滞納で強制解約されたらを先に読んでください。債務整理全体での携帯の見方は債務整理すると携帯・スマホはどうなる?にあります。
手続のあとに新しく契約する・機種変更する方法
端末を分割で買う契約は、信用情報が使われる契約です。割賦販売法35条の3の3は、個別信用購入あっせん業者が契約を結ぶ前に、年収、預貯金、債務の支払状況、借入れの状況などを調べて個別支払可能見込額を算定するよう求め、その調査には指定信用情報機関の情報を使わなければならないと定めています。35条の3の4は、原則として、1年間に支払う額がその見込額を超える契約を結ぶことを禁じています。端末の分割が、このあっせんの形で行われるかは、会社によって違います。
CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センターの、自己破産の記録が残る期間はブラックリストの期間の早見表にまとめています。この期間は、端末の分割が通りにくい期間と考えておきます。
| 方法 | 分割の審査 | 注意すること |
|---|---|---|
| 端末を一括で買う | 分割の契約をしないので、割賦の審査はない | まとまった額が要る。中古や型落ちなら負担が小さい |
| 今の端末を使い続ける | なし | 電池の交換や修理で延命できるか、店舗で聞く |
| 回線だけ契約する(手持ちの端末を使う) | 端末の分割はない | 回線の契約にも各社の基準がある。通信料を口座振替にできるかを確かめる |
| 家族の名義で契約する | 名義人の家族が審査を受ける | 払う責任は名義人にある。遅れれば家族の記録になる |
回線そのものの契約審査は、端末の割賦とは別に、各社が自社の基準で行います。JICCは、通信料のみの未払いは機関に登録されないと説明しています。ただし、携帯各社のあいだには別の仕組みがあります。電気通信事業者協会(TCA)は、契約解除後に料金の不払いがある人の情報を、移動系通信事業者のあいだで交換し、加入審査に使っていると説明しています。交換の期間は契約解除後5年以内で、自己破産などで免責が決定している人は対象に含まれません(いずれも、不払いのあった事業者でその事実が確認できる必要があります)。滞納したまま解約した回線がある人は、どの事業者に不払いが残っているかを、まず自分で確かめます。契約の前に、店舗や公式サイトで、支払い方法の条件と必要な書類を確かめてください。
自分の記録がどう載っているかは、開示で見られます。手順は信用情報の開示のやり方にあります。携帯とあわせて、住まいの契約の影響は自己破産してもアパートに住める?で整理しています。
よくある質問
Q. 端末代の分割が残っていても、自己破産するとすぐに端末を取り上げられますか?
すぐに取り上げられると決まっているわけではありません。端末の所有権が契約で販売側に残っているかと、携帯会社や立替会社が引渡しを求めるかで決まります。割賦販売法7条は、割賦販売された指定商品のうち政令で定めるものについて、代金を払い終えるまで所有権は販売業者に留保されたものと推定すると定めています。自分の契約書の所有権の欄と、購入時のプログラムの条件を、依頼先に見せて確かめてください。
Q. 家族名義の回線や、家族が使っている端末にも影響しますか?
契約者が家族の回線は、家族の契約で、あなたの債権者一覧には入りません。あなたが家族の端末代や通信料の保証人になっている場合は別です。破産法253条2項により、免責は保証人に対する債権者の権利に影響しないので、本人が免責されても保証人への請求は残ります。保証の有無は契約書で確かめます。
Q. 自己破産のあと、いつから端末を分割で買えますか?
端末の分割は信用情報の記録が見られる契約なので、記録が残る間は通りにくくなります。CICは免責にともなう契約終了日から5年間、JICCは2019年10月1日以降の契約なら契約終了後5年以内、全国銀行個人信用情報センターの官報情報は決定日から7年を超えない期間です。携帯会社がどの機関を使うかは会社により違うので、期間が過ぎたかは3機関の開示で見てください。分割を使わず一括で買う方法は、期間に関係なく使えます。
出典・参考にした公的な情報
- 破産法 第2条・第53条・第103条・第252条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 割賦販売法 第7条・第35条の3の3・第35条の3の4(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 携帯電話料金が未払いだった場合、延滞情報は登録されますか?(JICC よくあるお問い合わせ)(株式会社日本信用情報機構)
- CICとは(会員会社の業態)(株式会社シー・アイ・シー)
- 公共料金の支払いと信用情報(CIC よくあるご質問)(株式会社シー・アイ・シー)
- 自己破産をするとCICに登録されますか?(CIC よくあるご質問)(株式会社シー・アイ・シー)
- 信用情報の内容と登録期間(JICC)(株式会社日本信用情報機構)
- 登録情報と加盟資格(全国銀行個人信用情報センター)(一般社団法人全国銀行協会)
- 不払者情報の交換(電気通信事業者協会)(一般社団法人電気通信事業者協会)
- 破産・免責手続のあらまし/破産申立書(個人用)等の記入要領(松江地方裁判所)(裁判所)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。